Next War Poland(以下、本作)はGMT社が2017年に発売したシミュレーションゲームである。同社が精力的に発売を続けているNext Warシリーズの第4弾で、共通のゲームシステムとゲーム毎の固有ルール群からなる。

今回、このNext War Polandを4人(各陣営2人ずつ)でプレイすることになった。下名はNATO軍を担当し、ポーランド本土の地上部隊を指揮する。

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写真1

3Turn

写真11とにかくNATOが本格参戦するまでポーランド軍は時間稼ぎをするしかない。そこでNATOはロシア軍の進撃をストップさせるため、ロシア軍の補給路遮断を試みた。ポーランド人・リトアニア人からなる特殊部隊が敵最前線後方に進入し、ロシア軍車両を破壊する。その後方ではステルス爆撃機B-2Aがロシア軍の道路補給線に対する阻止攻撃を実施する。敵中への急進撃によって補給線を僅か2本の道路に依存していたロシア軍の補給線は脆弱であった。この攻撃によって前線のロシア軍は補給線を遮断され、その進撃がストップした。ロシア軍は補給線を回復するため、後方地帯に取り残してきた都市部の掃討戦を行うことになる。

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写真12空ではいよいよNATOの航空優勢が明らかになってきた。このTurnもB-52H等から発射された巡航ミサイルがロシア本土に着弾し、ロシアの航空基地2個所が機能停止する。また米空母から発進したEA-18Gに加えて、米空軍のF-16CJ、B-1Bランサーも防空制圧任務に投入された。これらの攻撃でロシア側の防空網は大きな損害を被り、著しく機能が低下した。ロシア軍としては防空網の能力を回復させたい所だが、補給ポイントの残量が乏しいために十分な回復が行えないでいる。

写真2


写真13写真14海では、米艦隊に打撃を与えるべく、Tu-22Mバックファイアの編隊がバルト海に進入した米空母を襲う。しかしAWACSによって周辺空域に監視の目を光らせているNATO軍はロシア機の来襲を見逃さない。バックファイアの殆どは迎撃に上がってきた米戦闘機(F-15C、F-35Aの最強コンビ)によって撃墜され、発射された対艦ミサイルも艦隊を守るイージス駆逐艦のSM-2ミサイルによって悉く撃墜された。

写真3


このTurn、NATO軍による本格的軍事介入(トランペット第5条発動)を期待したが(確率50%)、NATO首脳は相変わらずの優柔不断で、今回もまた動かなかった。

4Turn

写真15制空権をほぼ掌握したNATO軍は、攻撃目標をロシア防空網及び地上部隊に向ける。地上では電波探知によって発見した敵司令部(「奴らは良い耳を持っている」)に対してNATOの対地攻撃機が攻撃を集中し、司令部2個を破壊した。しかしロシア軍も前Turnにおける掃討戦成功によって補給線を回復し、再び進撃を開始した。首都ワルシャワに迫るロシア軍は、ワルシャワ市街地ヴィスラ川東岸部(3422)に進入し、ここを占領していた。またロシア軍の一部はPlock(2619)にまで進出し、同地を占領していた。この動きに憂慮した米軍は、ワルシャワ方面を守る米第82空挺師団に加えて第101空中機動師団もワルシャワ方面に派遣し、主にワルシャワ西方、ヴィスラ川制南岸部の守備につかしめた。

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写真16このTurn、遂にNATO軍は本格的な軍事介入を決定した(トランペットは鳴った)。ドイツ連邦軍第10山岳師団の一部が動員編成され、ポーランドヘ向けて出撃準備を整える。またスペイン、イタリア空軍の航空部隊も出撃準備に入った。

5Turn

写真18ヴィスラ川の東方地域をほぼ制圧したロシア軍は、いよいよワルシャワへの本格的な攻撃を開始した。ワルシャワ市街を二分する橋梁はNATO軍の手で悉く落とされていたが、ロシア軍は橋梁を強行修理し、そこを突破してワルシャワ市街西部になだれ込もうとした。それに対してポーランド軍及び米第82空挺師団の将兵は果敢な迎撃戦を展開。空からはNATO航空機による支援、さらにはAH-64アパッチ攻撃ヘリコプターによる援護もあった。ロシア軍も支援戦闘機を出撃させたが、制空権をNATOがほぼ完全に掌握している状態なので、目標接近前にAWACSによって捕捉され、NATO戦闘機(ラファール、タイフーン、F-16等)による迎撃を受ける。結局ロシア側支援機は目標上空に1機もたどり着けないまま、あたらNATO戦闘機の餌食となっていった。
ワルシャワ市街地を巡る攻防戦はNATO軍の勝利に終わり、ロシア軍は西ワルシャワ地区に全く突入できなかった。さらに大損害を被って後退していたロシア軍空中機動師団をNATO空軍が叩く。ステップロスしていた3個旅団がNATO空軍の攻撃を受けて悉く壊滅した。

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写真17ロシア軍の一部はさらに西方へと進み、Torun(2016)にまで到達。同地を守備する米第101空挺師団とポーランド軍との混成部隊を攻撃する。しかしここでの戦いもワルシャワの戦いと同様の結果を辿った。航空機と攻撃ヘリによる支援を受けたNATO軍がロシア軍の攻撃を撃退し、ロシア軍は大きな損害を被って後退を余儀なくされていた。

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写真19ロシア軍が勝ちを収めた戦場もあった。Wtoctawek(2318)を巡る渡河戦闘。橋梁を修理して強行渡河を図るロシア軍自動車化2個旅団に対し、対岸を守るNATO軍はフランス軍の空挺大隊のみ。フランス人たちは果敢な抵抗を行ったが、衆寡敵せず、ついに壊滅。Wroctawekの渡河点はロシア軍が占領した。しかしロシア軍もフランス空挺大隊との戦いで大損害を被っていたため、その兵力は乏しかった。周囲から集まってきたポーランド軍部隊、米第101空中機動師団の部隊がWtoctawekに対してすかさず反撃を実施。ロシア軍を撃破して同地を奪回した。

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写真20ワルシャワ方面におけるロシア軍の圧力を危惧したNATO軍は、北部戦線を守る部隊からポーランド軍2個師団(第12機械化師団、第16機械化師団)を引き抜いてワルシャワ方面に向かわせる。北部戦線の守りは、先発隊としてポーランドに来ていた米第1騎兵師団の機甲旅団、米第2機甲騎兵旅団、バルト海を東進してきた米海兵遠征軍、そして新たに増援に現れたドイツ第10山岳師団、米第4歩兵師団の先鋒部隊に託されることとなった。
遂にロシア軍の快進撃に陰りが見えてきた。このTurnに獲得したVPが主導権VP値である28VPに届かなかったのだ。主導権Turnは終焉し、次Turnは競合Turnとなる。

ここでNext Warシリーズの基本システムについて説明しよう。Next Warシリーズの陸戦システムは、通常の移動・戦闘を繰り返すタイプだが、特徴的なのが「主導権Turn」と呼ばれる概念である。Turnは「主導権Turn」と「競合Turn」の2種類があり、その中で「主導権Turn」はどちらかの陣営(主導権プレイヤー)が積極的な攻勢作戦を展開している状況を表している。主導権Turnでは、主導権プレイヤーは1Turnに3回の移動・戦闘が認められ、、非主導権プレイヤーはそれが1Turn2回となる(加えてエリート反応移動が認められる)。逆に「競合Turn」には両陣営とも移動・戦闘が1回ずつだ。従って「主導権Turn」の方がダイナミックな動きを見せることが理解できよう。次のTurnが「主導権Turn」になるか「競合Turn」になるかは、当該Turnに両陣営が獲得したVPによって決まる。「主導権Turn」において、いずれか一方の陣営のみが主導権VP(この数値はシナリオによって決められている)以上のVPを獲得した場合に当該陣営が次Turnにおける主導権プレイヤーとなる。それ以外の場合(両陣営が主導権VPを獲得した又は両陣営共主導権VPを獲得できなかった)、次が「競合Turn」となる。
一方で「競合ターン」の場合はより多くのVPを獲得した陣営が次Turnにおける主導権を獲得する(同点の場合は競合Turnが続く)。
このシステムよってゲームの流れは現実に即したダイナミックなものになる。ゲーム序盤、攻撃側(多くの場合は非NATO陣営)は主導権を獲得してゲームを開始する。序盤は敵の撃破や都市・重要施設などの占領によって大量のVPが手に入るため、主導権は動かない。しかし非主導権側が立ち直り、主導権側の進撃が止まると、獲得VPが主導権値に達しなくなる。ここでゲームは競合Turnに移行し、一旦ゲームのモーメンタムが止まる。
競合Turn、非主導権側が航空攻撃等でVPを稼ぎVP上で優位に立つと、今度は攻守逆転が生じて主導権プレイヤーが逆転する。後はモーメンタムの動きで主導権が入れ替わる、とこんな感じだ。
今回のプレイの場合、シナリオルールによって第1,2Turnはロシア側が主導権プレイヤーだと決まっている。NATOは第3Turnから主導権逆転のチャンスが生じるが、ロシア軍が第4Turnまで順当にVPを獲得し続けたため、主導権の逆転は生じなかった。第5Turnにロシア軍の進撃がストップし、獲得VPが主導権値を下回ったため、第6Turnには競合Turnとなった。