191110_中国40

戦略家として名高いルトワック氏が唱えた中国戦略論。氏によれば、中国(中華人民共和国=中共)は、1976年の毛沢東死亡以降は3段階の戦略を採用してきたという。最も成功した「中国1.0」は、所謂「平和攻勢」。「中国は危険ではありませんよ、領土的野心は持ちませんよ」と平和的な態度に終始することで周辺諸国と有利な関係を築いた。次の「中国2.0」は「強硬路線」。南シナ海での攻勢、日本に対する尖閣諸島の領有権主張等、露骨とも思える対外強硬路線である。しかし筆者によれば「中国2.0」は失敗であったという。何故なら日本やインドといった大国をはじめ、東南アジア諸国も中国に敵対する姿勢を示したからだ。彼らは米国と結託し、中国包囲網を形成した。そこで中国は戦略を変え、所謂「中国3.0」と呼ばれる戦略を採用した。これはインドや日本といった「強敵」に対しては領土的野心を控え目にし、「弱い」南シナ海周辺諸国を狙い撃ちにする戦略だという。しかしこの「中国3.0」も失敗に終わりそうだ。何故なら「弱い」国々も米国と結託することで中国の侵略に対抗できるからだ。そしてこのような状況下で中国が採用するであろう「中国4.0」はどのような戦略なのか。それは今の所誰も知らない。
本書は中国に関する戦略論を示しながらも、その一方で日本に対しても取りうるべき戦略について呈言している。筆者の定義によれば、日本は真の意味で「大国」ではない(大国とは戦争を正当化できる国のことである)。そして恐らく中国は「大国」だ。大国の脅威に直面した中小国というのが日本の立場だが、そのような状況下で日本の取るべき戦略は何か。その答えは本書を読んで確認して頂きたいが、少なくとも現政権の対外政策は「かなり上手くやっている」と評価しても良いのではないだろうか。

お奨め度★★★★