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Great War at Sea(GWaS)シリーズは、第1次世界大戦前後における海上戦闘を作戦レベルで再現するシミュレーションゲームシリーズだ。ユニットスケールは原則として1隻1ユニット、ただし駆逐艦以下の小型艦は複数艦で1ユニットを構成する。マップは作戦マップと戦術マップに分かれ、作戦マップは段差型スクエア(TAHGCの"Bismark"と同じ)で、1スクエアは実際の36海里に相当する。戦術マップはヘクス方式で1Hex=8000yd。1Turnは実際の4時間に相当する。
"1904-1905"(以下、本作)は、GWaSシリーズの1作品で、テーマは日露戦争。同戦争における日本とロシア両海軍の対決を8本の戦闘シナリオ、11本の作戦シナリオ、2本のキャンペーンシナリオで再現する。今回はその中から作戦シナリオの1本であるOperationnarl Scenario#9 "Breakout and Pursuit"をプレイした。これは1904年8月10日の黄海海戦を作戦レベルで再現するシナリオである。私は日本軍を担当する。

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1904年8月13日

AMC01朝鮮半島南西端の木埔木浦沖で東郷艦隊は旅順艦隊主力を捉えた。艦橋で小躍りする秋山参謀。しかしロシア艦隊は日本艦隊の追撃を巧みに回避し、再び霧の中に姿を消していった。切歯扼腕して悔しがる秋山参謀。
その頃、下北半島の東方沖から急電が飛ぶ。ロシアの仮装巡洋艦が下北半島沖に現れたのだ。蜘蛛の子を散らすように逃げる日本の商船。日本海を東に進む第2艦隊の分遣隊(装甲巡洋艦2、防護巡洋艦3、出羽少将麾下)は津軽海峡へ向けて急進する。

1904年8月14日

木埔沖で再び日露の主力艦隊が相まみえた。ロシア艦隊は戦艦6、巡洋艦3の計9隻。日本艦隊は戦艦4、装甲巡洋艦6、防護巡洋艦2の計12隻である。日本艦隊は先に対馬を出撃した上村艦隊との合流を既に終えていた。

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IJN_AC08Nisshin隻数で優る日本艦隊であったが、戦艦の隻数で優るロシア艦隊に苦戦を強いられた。戦艦「敷島」が多数の命中弾を受けて損傷する。装甲巡洋艦「常磐」も集中砲火を受けてその搭載火砲全てが使用不能になる。一番集中攻撃を受けた装甲巡洋艦「日進」は、多数の命中弾を受けて沈没していった。
日本艦隊も負けてはいない。戦艦「セバストポール」は日本戦艦の放つ大口径砲弾を受け、弾薬庫に命中を受けて爆沈した。装甲が弱いために日本側中口径砲に狙われまくったロシアの巡洋艦「パラーダ」「アスコリド」「ディアナ」も多数の命中弾を受けて沈没していった。それでも重装甲を誇るロシア戦艦は、中口径砲の砲撃を受けても良く耐えていた。

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IRN_B11Tsesarevitch劣勢のロシア艦隊は雷撃戦に活路を求めた。ロシア戦艦、巡洋艦が次々と魚雷を発射する。その1本が日本の戦艦「富士」に命中。機関部に損害を受けた「富士」は航行不能に陥ってしまう。日本艦隊は敢然と敵に突撃。至近距離から雷撃を敢行する。戦艦「ポルタワ」には1本の魚雷が命中。こちらは「ポルタワ」に大浸水を引き起こして「ポルタワ」は航行不能となってしまう。戦艦「ツェサレーヴィチ」には魚雷2本が命中。こちらも大破したが、航行能力には未だ支障がなかった。

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この時点でロシア軍には5隻の戦艦が残っていた。うち1隻「ポルタワ」は航行不能、もう1隻「ツェサレーヴィチ」は大破してほぼ戦闘不能、「レトヴィザン」が中破し、残り2隻は無傷であった。一方の日本軍は、戦艦「富士」が航行不能、戦艦3隻が中破。装甲巡洋艦は1隻「常磐」が大破して戦闘不能、2隻「浅間」「八雲」が中小破、2隻「春日」「磐手」が無傷であった。未だに両軍の戦闘は予断を許さない状況であった。この戦いはどちらか一方が完全に倒れるまでは決して終わることがないだろう。

感想

この時点で単なる殲滅戦の様相を呈してきたので、一旦お開きにすることにした。ここまでで25Turnが終了。全体の約42%で所要時間は約6時間である(セットアップ含む)。仮に最終Turnまでプレイするとしても1日でかなり良い所まで行けそうだ。
感想としては、 前回にも書いた が、戦術戦闘のルールが面倒だ。殆ど戦術的な選択肢がないのにやたらと手間がかかり、しかも結局はダイス勝負である。しかも決してリアルではない(何か変な海上戦闘になる)。手間がかかる理由は、射撃の機会が多い(1ラウンドあたり5回もの射撃機会がある)上、命中判定の後に損害判定で2D6を振る必要があるからだ。これが結構面倒だ。さらに損傷艦が出れば火力減少が発生するので、各艦ごとに現時点での火力をチェックする必要がある。これらの手間が「楽しい」行為ならまだ許せるが、決して楽しい訳ではなく、単に面倒なだけである。
また水上戦闘の「死ぬまで戦う」システムにも問題を感じる。一旦水上戦闘に入り、両者が射程距離内に入った場合、余程の視界不良や夜間ではない限り戦場離脱は殆ど不可能になる。結局水上戦のダイス目勝負になり、戦略・戦術的な面白さはなきに等しい。

とまあ、ここまで悪口を書いたが、評価できる点もある。まず作戦機動の部分は極めて面白い。マップ1枚で艦隊を動かすタイプのゲームであるが、事前に航路をプロットしておく必要があり、海上作戦の「ままならなさ」は上手く表現されている。しかもシチュエーション的な切り取り方も見事で、今回の黄海海戦について言えば、旅順方面から出撃する旅順艦隊とウラジオストクから出撃するウラジオ艦隊。その両面に対処しなければならない日本軍の戦略など、それなりに複雑な状況を楽しめる。戦術戦闘部分さえ無視すれば、それ以外の部分は結構面白い作品といえる。

作戦級の海戦ゲームといえば、空母戦ゲームは結構あるものの、空母が出てこない時代の作戦級海戦ゲームは意外と少ない。今回紹介したGWaSシリーズはその数少ない例外だが、システムを見る限り決定版とは言えない。そういった意味では未だ未開拓の分野であり、今後の発展が期待できる分野ともいえる。作戦級で描く日露海戦。

誰か作ってくれないかな・・・。

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