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「インペリウム」について今更説明は不要だろう(そうでもないか・・・)。1980年代のウォーゲームブーム期を体験した50歳以上(もうそんな歳になってしまったのか・・・)の世代なら、名前ぐらいは知っている筈だ。今(西暦2020年)から約100年後を想定した星間国家間の戦争を描いたSFゲームである。
マップには太陽系を含む銀河系の一部が平面に描かれており、1Hexは0.5パーセク(約1.67光年)に相当する。また1Turnは地球時間の2年間に相当する。

今回、国際通信社から「インペリウム」が再版されたことを受けて、VASSALを使って早速ソロプレイしてみた。今回のルールは国際通信社の2019年度版(GDWの第2.0版に相当する)に従った。また選択ルールは使用しないこととした。

基本戦略

帝国軍の基本戦略は単純明快。「蛮族共を鎮圧するのみ」である。そのためにはたとえ皇帝陛下の不興を買おうと直訴に次ぐ直訴で戦力を蓄えて蛮族共の宇宙艦隊を殲滅。蛮族共が「ソル」と称する惑星上で城下の誓いを強いるのみだ。

Ter_WorldHome地球連邦軍は少しムツカシイ。普通にプレイすれば戦力差で押し切られるのは明白。兎に角国力を培養して銀河帝国と互角に渡り合う力を身に着けるしかない。
地球連邦軍にとってキーポイントは2個所ある。地球(ソル)から見て東側(あくまでもマップの上方向を北と見立てた場合の比喩だ)に位置するプロキオン(Procyon 2313)と西側のヌスク(Nusku 0513)だ。
まずプロキオンだが、シリウス(Sirius 2111)方面から延びてくる帝国軍の侵攻経路上に位置している。幸いなことにシリウスは第3種星系(惑星を持たない恒星系)であり、帝国軍の連絡線はシリウスより先には届かない。従って地球連邦軍としては敵に先んじてプロキオンを支配できる。一旦プロキオンを支配した後は、同地を強固に守って帝国軍の侵攻を許さなければ良い。
問題はヌスクだ。ヌスクはゲーム開始時点で既に帝国の支配が及んでいる可能性が高い。またヌスクは太陽系近郊では数少ない第1種星系(居住可能な惑星を持った恒星系)である。従って地球連邦軍としてはヌスクを奪取し、ここにワールド(文明)を築いて地球連邦の国力増強を図りたい。
そこで地球連邦軍としては、プロキオン方面は前進基地を築いた後に同方面の支配を固める一方、ヌスク方面で攻勢に出てヌスクの奪取を戦略的目標とすることにした。

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第1次星間戦争

開戦前の状況

銀河帝国と地球連邦。相容れない理念を持つ2つの星間国家が戦争という事態に突き進むのは自然の摂理だろうか。地球上で繰り返された争いの歴史は、人類が宇宙に進出した22世紀になっても終わることはなかった。
銀河帝国との開戦に備えた地球連邦は、外宇宙艦隊の主力を前線基地であるアルファ・ケンタウリ(Alpha Centauri 1506)星系に集結させた。艦隊基地として文明の発展した太陽系やアルファ・ケンタウリA/Bではなく、辺境地ともいうべきアルファ・ケンタウリ星系を選んだ理由は、敢えて文明地を避けることによって艦隊乗組員の規律を維持し士気を高めるためであった(と言えばもっともらしく聞こえるが、要するに整備費をケチったのである)。
一方の帝国軍は、地球側が攻勢を仕掛けてくるであろうヌスクには、ワールドを配置し、モニター艦、防御砲台、地上部隊により守りを固めた。一方、プロキオン方面には主力艦隊を配置し、搦め手から地球侵攻を企てることにした。

第1Turn(A.D.2113)

Ter_Jt101時に西暦2113年。地球連邦と銀河帝国は遂に戦端を開いた。地球連邦軍はプロキオン方面に地上部隊と前線基地を輸送し、同方面の守りを固める。その一方でアルファ・ケンタウリを発進した地球連邦主力艦隊は、アジッダ(Agidda 0813)星系に進出。哨戒中の帝国軍偵察艦隊を撃破し、アジッダに対して強襲降下作戦を実施した。対空砲火を生き延びた地球連邦第101空挺師団は、アジッダを守る帝国軍守備隊を撃破。アジッダを占領した。
地球連邦艦隊はアジッダに新たな前線基地を築く一方、主力艦隊は一旦アルファ・ケンタウリの前線基地に退いた。
帝国は現時点で生産力で地球連邦に劣っている(あくまでもガシッダ領域だけに限った話だが・・・)。しかしこのTurn、帝国本土はかつてない好景気に沸いた。さらに総督が皇帝へ行った直訴が効いてこの戦争での予算が2RU増える。大量の予算を獲得した総督は、地球連邦に対する反撃を決意した。
とは言ってもこのTurn、帝国軍の戦力は決して十分ではない。さらに主力である駆逐艦2ユニットが整備不良のために動けなくなっていた。従って帝国軍の反撃はあくまでも限定的なレベルに留まった。
駆逐艦と偵察艦からなる艦隊が、それぞれアジッダりとプロキオンに侵攻してきた。プロキオン方面では兵力に勝る帝国軍が勝利したが、アジッダでは地球連邦軍偵察艦「ゆうなぎ」が善戦し、帝国軍駆逐艦と相打ちになって果てた。

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第2Turn(A.D.2115)

Ter_MS地球連邦艦隊は反攻に転じた。このTurnに整備が完了した第1空母機動艦隊を中核とする打撃群でプロキオン方面に進出。また偵察艦やミサイルボートを中核とする打撃部隊はヌスクに進出して、それぞれ所在の帝国艦隊撃破を図る。
まずプロキオン方面では新編成の地球連邦軍空母艦隊が威力を発揮。駆逐艦と偵察艦からなる帝国軍前衛艦隊を容易に撃破した。こちらは全く無傷である。
一方のヌスク方面だが、帝国軍のモニター艦と地球連邦軍のミサイルボートの対決。モニター艦のミサイル斉射は地球連邦軍のミサイルボート1ユニットを瞬く間に葬り去ったが、ミサイルボート3ユニットも集中射撃で順当にモニター艦を撃破。この戦闘における損得勘定では、明らかに地球連邦軍に有利な交換比であった。
地球連邦軍は要所に偵察艦と戦闘機隊を配置し、主力艦隊はバーナード(Barnard's Star 1113))星域に集結せしめて帝国の反攻に備える。
帝国軍としてはヌスクの制宙圏を蛮族共に奪われている状態は痛い。奪回作戦を仕掛けたいのだが、地球側の機動艦隊は強力なのでまともに対決するのは危険である。そこで2正面作戦を仕掛けた。ヌスクが帝国にとって重要であるのと同様に蛮族共にとって重要なのはプロキオンである。そこで艦隊を二手に分けてヌスクとプロキオンの両面から反撃を実施した。折しも帝国はまたもや好景気。反撃の機会は整った。
ヌスクとプロキオンの両面に侵攻してきた帝国に対し、地球は全力を挙げてプロキオン救援に向かった。プロキオンの戦いは地球連邦軍の勝利に終わったが、ヌスクでは帝国軍が勝利した。

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第3Turn(A.D.2117)

Imp_AO 地球連邦軍はプロキオンの安全を確保するため、その前面にあるシリウス星系へ前進した。先にも述べた通りシリウス星系は第3種星系(惑星を持たない恒星系)であり、そのため宇宙船は通常の方法では燃料を補給できない(宇宙船の燃料は水素であり、それは居住可能な惑星か、またはガスジャイアントと呼ばれる巨大な惑星から採取する)。恒星から燃料補給を可能とするのがタンカーと呼ばれる特殊な宇宙船である。タンカーを伴った地球連邦艦隊は、シリウスに向けて出撃していく。
シリウスへの侵攻は帝国にとっても重大な挑戦といえた。帝国艦隊もまた全力で出撃し、ここにシリウス星系の戦いの幕が切って落とされた。
今回の戦いは帝国軍の勝利。地球連邦艦隊は手痛い打撃を受けてシリウスより撤退。生き残ったのは空母2隻と艦載機数機に過ぎなかったという。かくして地球連邦軍のシリウス侵攻作戦は完全な失敗に終わり、地球連邦軍はヌスク~プロキオンの線で再び防衛体制に入った。

帝国はヌスクとプロイセン方面から侵攻を実施する。プロキオン、アジッダの上空は帝国軍の偵察艦に制圧されたが、地球連邦軍は兵力不足のため成す術がなかった。

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つづく