「戦略級銀英伝」については、 以前に紹介 した。「銀英伝」と呼ばれる作品での銀河帝国と自由惑星同盟との宇宙戦争を描いた戦略級ゲームである。
先日、この「戦略級銀英伝」をVASSALで通信対戦してみた、以下がその記録である。
第1回戦
私が銀河帝国を担当した。ソロプレイの際にも説明したが、このゲーム、序盤は物語冒頭で描かれているアスターテ会戦から始まる(アスターテよりもティアマトを攻めたほうが帝国の勝率が(少しだけ)高くなる、ことはプレイの途中で気づいた)。「常勝の天才」ラインハルト・フォン・ローエングラム(CV:堀川亮、コウ・ウラキだ)麾下の1個艦隊が、自由惑星同盟3個艦隊と相対する。兵力的には同盟が帝国の3倍だが、指揮能力ではラインハルトが圧倒的に有利。その結果や、如何?。
事前の図上演習(ソロプレイ)で戦艦至上主義に自信をつけていた私は、戦艦8ユニットをずらりと並べた艦隊で同盟艦隊に挑む。最初に戦ったのは「史実通り」パストーレ中将率いる第4艦隊。同盟艦隊は半数以上を空母とした空母艦隊。「空母は役立たず」と思っていた私は、自信をもって戦いを挑んだが・・・。
実は戦艦中心艦隊は重大な欠陥が含まれていた。戦艦は敵との距離が1以下の場合、全く射撃できないのである。敵に一旦距離0まで詰められると、距離を2まで離さないと全く射撃できないのだ。今までは「距離1は中距離だ」と完全に誤解していた私。懐に飛び込まれても「1歩動いて横から射撃」ができると思い込んでいたのが、
「違いますよ、距離1は短距離ですよ」
と対戦相手氏に指摘されて狼狽する始末。
結局「常勝の天才」は敵の半数以上を撃破しながらも懐に飛び込まれた一握りの空母艦隊に成すすべなく敗退。肩を落として本国に帰った「金髪の小僧」は、帝国貴族たちの物笑いの種になってしまったとさ。
第2回戦
「ごめん、最初からやらせて」
泣きを入れた「金髪の小僧」は、再びアスターテの戦場へ向かった。今度は先の海戦での教訓を生かし、艦隊を戦艦、巡航艦の混成編成とした。なお第1Turnに引いてきた帝国の将軍が、さっきは良将ミッターマイヤー(CV:森功至、ガッチャマンだ)だったのが、今度は帝国貴族の名家リッテンハイム公(CV:・・・、ま、どうでもいいか)だったのが少し悲しい。
さっきは自由惑星同盟相手に後れを取ったラインハルトであったが、今度は違う。出目の良さも手伝って自由惑星同盟3個艦隊を悉く撃破した。ラインハルト艦隊が失ったのは僅か1ユニットのみ。まさに圧倒的な大勝利である。
「汝、ローエングラム公ラインハルトを帝国元帥に任ず。また、帝国宇宙艦隊副司令長官に任じ、宇宙艦隊の半数を汝の指揮下におくものとす」
こうして栄光の階段をまた1歩上ったラインハルト。その彼の前に立ちはだかったのは、自由惑星同盟の若き天才ヤン・ウェンリー(CV:富山敬)少将である。余談だが、ヤンは将官としては異例の若さだが、ラインハルトと比べると1回り近くオッサンである。まあ実際のところ ラインハルトが若すぎる、 というのが正しいのだが・・・。
ヤンは定数に満たない第13艦隊を率いてイゼルローン要塞攻略の途につく。彼にはイゼルローン要塞を陥落させる秘策があった。それはつまりワルター・フォン・シェーンコップ率いるローゼンリッター連隊をイゼルローン要塞に潜入にさせ、要塞司令部を占領。要塞司令官であるシュトックハウゼン大将を拘束、人質にして要塞を解放・・・・。
「味方艦隊が一隻も残っていません」
「へ・・?」
「だから味方が一隻も残っていないんですってば」
イゼルローンに向かったヤン艦隊を迎え撃ったのは、なんと先の戦いで戦勝の意気上がるラインハルトの艦隊だったのである。ヤン自慢の「トロイの木馬」作戦も、その前の艦隊戦で敗れれば打つ手がない。第7次イゼルローン攻防戦はヤンとラインハルトの初の艦隊戦となったが、数的劣勢なヤン艦隊は、結局ラインハルト艦隊を打ち破ることができなかった。
最終的にはヤンの旗艦「ヒューベリオン」も敵艦隊の集中砲火を浴びて撃破され、ヤンは副官フレデリカ・グリーンヒル中尉(CV:榊原良子、ハマーン様)と共に辛くも脱出。しかし脱出の際に重傷を負い、病院送り。先に病院送りとなったアスターテの敗将3名とともに、その後の入院生活を楽しみましたとさ。
なお、ヤンの入院期間が4Turnになったため、ラインハルトの進撃をストップさせるのは困難と判断(4Turnあればラインハルトはイゼルローンからハイネセンまで届く)。ここでお開きとした。
第3回戦
立場を変えて今度は私が自由惑星同盟を担当した。展開はほぼ前回と同じであった。最初に第5次ティアマト会戦(ティアマトの方がアスターテよりもハイネセンに少し近い)で自由惑星同盟の3個艦隊をラインハルトが撃破。その後ヤン艦隊がイゼルローンを襲ったが、ラインハルト艦隊の迎撃を受けてヤン艦隊敗退。その際、ヤンが重傷。ヤンの入院中にハイネセンが取られる可能性大ということで投了である。ただ、もう少し悪あがきしても良かったかもしれない。例えばヤンの入院中にビュコックやアッテンボローやメルカッツといった「ちょっとマシな」提督が登場すれば、たとえ艦隊戦では勝てなくても、ラインハルトを負傷退場させることは可能だったかも。否、同盟軍の「普通の」提督であっても、幸運にさえ恵まれれば、ラインハルトを戦死に追い込み、ゲーム自体にも勝利できるかも。例えば敵艦2ユニットを撃沈できれば、ラインハルトの死亡する確率は1/72(1%強)、3ユニット撃沈できれば1/36(約3%)まで跳ね上がるのだから。
感想
という訳で「史実の展開」にこだわると、なかなか史実通りになってくれないので苦労します(先日発表したソロプレイの記録は、何度か試行錯誤を行った後の記録です)。ただ(上にも書いた通り)仮に史実通りにならなくても、ダイス目その他による振れ幅が大きい(一般提督でヤンやラインハルトに打ち勝つことは困難ですが、死傷させる可能性はそこそこある)ので、決着がつくまでプレイしてみても良いかも。うまくいけば逆転できるかもしれないし、ダメでもすぐ終わるので「断末魔の苦しみ」は少なくて済みそう。古いゲームでかつミニゲームなのでシンプルかつ大雑把ですが、ゲームとしてはちゃんと機能しており、銀英伝の世界をコンパクトにまとめた佳作と言えるのではないでしょうか。
(つづく)
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