VITP表紙


Victory in the Pacific(以下、VITP)は、私が生まれて最初に購入したウォーゲームだ。当時中学生であった私は、ウォーゲームという未知のホビーに対して限りない夢を抱いており、ゲームが手元に届く前から「一体どんなゲームなんだろう」と興味津々であった。
実際に手に取ってみると、正直「期待外れ」に近い感想が漏れた。確かに「大和」や「赤城」が駒になってはいるが、海戦自体は抽象的に解決され、細かい「作戦の妙」を発揮できる余地はない。世界最強であったはずの「大和」が「アイオワ」よりも弱かったこともショックだったし、世界最強であったはずの第1航空艦隊が、米空母と対して変わらない実力(両方とも航空攻撃力は4で同じ)というのも納得できなかった。戦争後半に登場してくる「大鳳」「雲龍」といった日本空母がいずれも弱かったことも何か納得いかなかった。そんなこんなでVITPは私にとって「初めてのゲーム」ながらも「プレイされないゲーム」となった。

その後VITPを何度かプレイしてみて、このゲームが決して子供だましではなく、高度な戦略性を持った知的なゲームであることがわかってきた。また中学生当時は納得いなかった日米両軍のレーティングについても、当時の実情を知ると納得できるものであることがわかってきた。

そんなVITPを今度はVASSALによる通信対戦で戦ってみることになった。シナリオは標準シナリオで選択ルールはなし。私は連合軍を担当する。さてさてどうなることやら・・・。

VITP_Map


1Turn

JP_CV_赤城他の太平洋戦争ゲームと同じく、VITPも真珠湾攻撃からゲームが始まる。日本軍は正規空母6隻、軽空母2隻をハワイ海域に出撃させ、真珠湾に潜む米太平洋艦隊を襲う。ただし護衛部隊は高速戦艦2隻のみとやや手薄だ。その代わり日本軍は小型空母「鳳翔」と戦艦2隻、重巡6隻をミッドウェー海域に出撃させてきた。位置不定の米空母がミッドウェー近海に出現した際、これを討ち取る布陣である。

Turn01a


US_BB_Nevada真珠湾に殺到する約350機の日本艦載機。戦艦「ネヴァダ」に多数の魚雷が命中し、横倒しになって轟沈する。重巡「ニューオーリンズ」「サンフランシスコ」も800kg爆弾数発を食らって大爆発を起こす。戦艦「アリゾナ」は魚雷5本を食らって真珠湾に大破着底。戦艦「ペンシルバニア」もドック内で横倒しになる。他に戦艦4隻が大中破。一連の攻撃で真珠湾の米艦隊は戦艦3隻、重巡2隻沈没、戦艦4隻大中破の損害を被った。ただしハワイに展開している米陸軍航空部隊は無傷で残った。これが貴重な反撃兵力になる。

US_CV_Saratoga攻撃隊を収容した南雲機動部隊が真珠湾に対する第2撃を準備していたころ、真珠湾周辺に米空母機動部隊が続々と集結しつつあった。太平洋各地で別行動中の空母部隊が真珠湾攻撃の報を受けてハワイ近海に続々とはせ参じてきたのである。空母「レキシントン」「サラトガ」「ヨークタウン」「ホーネット」の4隻と多数の重巡部隊だ。空母の隻数では南雲機動部隊に劣るものの、護衛艦隊の数では南雲機動部隊を凌駕している。夜戦に持ち込めばチャンスはある。ということで、ハワイ周辺に集結した米空母部隊は、南雲機動部隊に対して決戦を仕掛けていった。ハワイ沖海戦の始まりである。

JP_CV_翔鶴まず最初に空母対空母の戦いとなった。日本軍の損害は空母「翔鶴」「蒼龍」が沈没、同「飛龍」が大破、空母「瑞鶴」「赤城」が艦載機を失って帰路についた。米軍の損害は、空母「サラトガ」「ヨークタウン」が沈没、「レキシントン」が小破、「ホーネット」が艦載機を失って後退である。
続いて艦対艦の夜戦になった。夜陰に紛れて日本空母に接近した米重巡が日本軍軽空母「瑞鳳」を撃沈し、大型空母「加賀」を大破した。ここで「加賀」を撃沈できなかったことが惜しい。
真珠湾攻撃とハワイ沖海戦の総括は以下の通り。

日本軍の損害
・沈没:空母「翔鶴」「蒼龍」「瑞鳳」
・大破:空母「加賀」「飛龍」

連合軍の損害
・沈没:空母「サラトガ」「ヨークタウン」、戦艦「ネヴァダ」、重巡2隻
・着底:戦艦「アリゾナ」「ペンシルバニア」
・大破:戦艦「テネシー」「メリーランド」「オクラホマ」
・中破:戦艦「ウェストバージニア」「カリフォルニア」
・小破:空母「レキシントン」

JP_24AF時を同じくして日本軍による東南アジア~太平洋一帯に対する攻勢が始まる。南シナ海では、哨戒中の英新鋭戦艦「プリンス・オブ・ウェールズ」と巡洋戦艦「レパルス」がサイゴン付近の基地を発進した陸攻隊の攻撃を受けた。幸い両艦とも沈没こそ免れたものの中小破し、セイロン島に向けて後退していった。

このTurn、日本軍は新たにインドネシア、南太平洋、中部太平洋、アリューシャン列島を支配下におき、支配海域は7海域とななった。日本軍は12POCを獲得。対する連合軍は、ベンガル湾、インド洋、珊瑚海、サモア沖、ハワイ海域の計5海域を支配し、8POCを獲得した。その差4POCが新たに加わる。

Turn01b


2Turn

日本軍は太平洋全域にわたって大攻勢を仕掛けてきた。その主攻勢軸は3本、インド洋、珊瑚海、中部太平洋(ミッドウェー近海9である。その全てを阻止するのは困難と判断した連合軍は重点主義でそれを迎え撃つ。インド洋の日本艦隊に対してはセイロン島を基地とする英艦隊が迎撃。珊瑚海の日本軍は無視し、ミッドウェー近海の日本艦隊に対して空母「ホーネット」「エンタープライズ」を中核とする機動部隊で迎え撃った。

Turn02a


まずインド洋の海戦。日本軍は小型空母2隻の他、戦艦3、重巡6という艦隊。対する連合軍は損傷修理中の体に鞭打って出撃してきた米戦艦「カリフォルニア」をはじめとする戦艦3、空母3、重巡8、そして基地航空隊である。航空兵力で勝っているので、まず敵空母を叩けば勝利は安泰だ。

Turn02b


最初の航空決戦で英空母「インドミダブル」が大破したものの、日本側の小型空母「鳳翔」「龍驤」の2隻を撃沈し、制空権をまず握った。その後の航空攻撃で戦艦「伊勢」を撃沈、戦艦「長門」が大破して後退。その後両軍とも何隻かの沈没艦、損傷艦を出すも、海戦そのものは英軍の勝利に終わった。

ミッドウェー近海の激突、いわゆるミッドウェー海戦では、日本軍は改造空母2隻「祥鳳」「隼鷹」と戦艦「榛名」「霧島」の計4隻。対する米軍は空母「ホーネット」「エンタープライズ」と重巡5隻、そして基地航空部隊だ。まともに戦えば米軍の勝利は動かないが、日本側には不気味な「イ号潜水艦」と厄介な上陸部隊がいる。上陸部隊がミッドウェーを占領して米軍の基地航空部隊を追い払い、潜水艦が2隻の米空母のうち1隻を撃破すれば、兵力のバランスは一気に日本軍有利に傾く。

Turn02c


第1ラウンドは夜戦であった。これでは優勢な航空兵力を生かせない。万事休すか。と思われた米軍。しかし重巡「チェスター」が良い仕事をしました。敵上陸部隊に対する攻撃で見事に6の目を出し、それに続く損害判定でも4の目を出して日本軍の上陸部隊を追い払ったのである。
続く潜水艦攻撃でも「イ号潜水艦」はスカを出して失敗。空母決戦では「エンタープライズ」を失ったものの、「隼鷹」「祥鳳」の2隻を撃沈し、キルレシオ的にはイーブン以上の結果を残した。

このTurnで日本軍は新たに珊瑚海を支配したが、中部太平洋の支配を失った。一方の米軍は珊瑚海の他、サモア近海の制海権を日本側襲撃艦の活躍によって失ってしまう。日本軍のPOCは13、連合軍は5POC。その差は8POC。累積では12POCとなった。

Turn02d


つづく