200719_TheGermanFleet

The Gaeman Fleet At War, 1939-1945

Vincent P.O'Hara Naval Institute Press

ドイツ海軍水上部隊の活躍は一部大型水上艦(ビスマルク、シュペー、シャルンホルスト等)を除いて伝わっておらず、駆逐艦や水雷艇は殆ど活躍していないような印象もある(例えばナルヴィク沖では英戦艦「ウォースパイト」に10隻まとめて沈められた等)。しかし実際にドイツ海軍はWW2期において連合軍と実に69回もの水上戦闘を戦っていたのだ(Eボートや仮装巡洋艦のみによる海戦は含まず、両陣営に500トン以上の専用水上戦闘艦が参加しているもののみ)。その数値はイタリア海軍はおろか、日本海軍や米海軍すらも上回る回数であった。WW2においてドイツ海軍を上回る回数の水上戦闘を体験したのは、イギリス海軍だけであった。
本書はドイツ海軍が体験した69回の水上戦闘をそれぞれ要領よくまとめた著作である。取り上げた海戦の中には、有名なビスマルク追撃戦やラプラタ沖海戦、北岬沖海戦等の他、ドイツ海軍の戦いの多数を占めている駆逐艦、水雷艇、掃海艇等が主力として戦った小規模海戦が多数収められている。例えば1943年英仏海峡では少なくとも5回に渡って英独の水上戦闘が戦われたが、その中には水雷艇5隻のドイツ艦隊(第4水雷戦隊)が巡洋艦を含む英艦隊と戦い、巡洋艦を撃沈して勝利した10月23日の海戦等も含まれている。
知られているようであまり知られていないWW2におけるドイツ水上部隊。その活躍を概括的に把握するためには良い著作である。

お奨め度★★★★