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映画「ミッドウェイ」の上映に触発された形で自作ゲームの「海空戦!南太平洋1942」の「ミッドウェー海戦」シナリオをプレイしてみた。私は米軍を担当する。

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「海空戦!南太平洋1942」は自作の空母戦ゲームです。
作品についての詳しくは --> こちらを参照して下さい。
またミッドウェー海戦シナリオの概要はこちら を参照してください。
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前回までの展開 --> こちら

1942年6月5日

10:00

US_CV6ob最初に米機動部隊に到達したのは、近藤部隊に所属する軽空母「瑞鳳」を飛び立った九七艦攻1ユニット(9機)である。この小規模な攻撃隊は「ヨークタウン」を中心とする空母戦闘群を目標に定めたが、ワイルドキャットの迎撃を受けて1機も雷撃射点にたどり着けずに全滅してしまう。

続いて南雲機動部隊を発進した攻撃隊が米機動部隊に迫る。零戦1ユニット、艦攻3ユニットからなる攻撃隊だ。彼らは不思議なことに魚雷ではなく爆弾を装備していた。日本の艦攻は後のTBFアヴェンジャーのように低空から緩降下爆撃を行うような敏捷性はない。従って中高度から編隊を組んで公算爆撃を行うしかない。それにしても魚雷を搭載していないことは不可思議である。
ワイルドキャットの迎撃を突破した日本の艦攻隊(その途中で全体の1/3を失う)は空母「エンタープライズ」に対して編隊公算爆撃を実施する。海上を高速で動き回る艦船に対して編隊公算爆撃の命中率はあまり高くはない。それでも250kg爆弾2発が「エンタープライズ」に命中。「エンタープライズ」は飛行甲板の一部を破壊され、数十名の死傷者を出してしまう(2hit)。

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B5N_CV3さらに日本機が来襲してきた。今度狙われたのは「ホーネット」を中心とする空母戦闘群である。最初に現れた戦爆連合36機はワイルドキャットの迎撃を受けて半数以上を失い、残りが「ホーネット」を狙って爆弾を投下したものの、爆弾は全て外れた。
次に飛来した戦爆連合27機はワイルドキャットの迎撃をうまく躱して「ホーネット」上空に進入。激しい対空砲火の中公算爆撃を実施したが、これまた爆弾は全て逸れてしまい命中弾なし。「ホーネット」は無傷であった。

この段階で勝負あったということでゲームは終了とした。ちなみにミッドウェーから発進した海兵隊のSBDドーントレス/SB2U-3ヴィンディケータ急降下爆撃機がミッドウェー南西200海里の日本軍攻略船団に向かっていたが、この攻撃を解決する前にゲーム終了となった。少し残念である。

結果

日本軍の損害

沈没:軽巡「由良」、駆逐艦1隻、潜水艦2隻(哨戒機による爆撃による)
大破:空母「赤城」「蒼龍」「飛龍」
小破:重巡「最上」「三隈」
航空機:100~200機

米軍の損害

中破:空母「エンタープライズ」
航空機:30~60機


ゲーム自体は途中終了となったが、今後の展開を少し想像してみよう。
JP_CV2a傷ついた日本空母艦隊が米空母の追撃を逃れるのは簡単ではない。何もしなければ損傷した「赤城」「蒼龍」は恐らく米空母の追撃から逃げ切れないだろう。大破した「飛龍」も危ない。「飛龍」の最大速度は今や潜水艦の追撃すら逃れられない程なのだから。
日本側にとってチャンスがあるとすれば無傷で残った「加賀」だ。「加賀」が史実における「飛龍」のように獅子奮迅の働きを見せれば、追撃してくる米機動部隊を阻止できるかもしれない。あるいは殆ど無傷の日本水上部隊が後退する損傷空母の撤退援護を行えば、米空母の足を止める可能性も出てくる。ただしその場合は日本側水上部隊が米空母機の攻撃で大きな被害を被る可能性があったが・・・。
いずれも史実と違ってゲームの場合は大勢が決した時点で「終わり」というパターンが殆どである。そういった意味では、史実における「飛龍」の奮戦のような状況は、意図的にそのようなシナリオを用意しない限りは再現するのが難しいのかもしれない。

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感想

プレイ時間はセットアップや昼食休憩を含めて約9時間である。全23Turn中7Turnの途中までのプレイであったため、仮にフルターンをプレイすれば30時間近くかかることになる。まあ空母戦の場合、フルターンプレイする前に決着がつく場合が殆どだが・・・(今回のように)。
今回の勝因は当初に設定した「敵正規空母の撃破」という基本方針に依る所が大きい。全ての行動を基本方針に沿った形で行ったことでほぼ勝利に向けて一直線に進むことができた。

日本側は辛い立場である。ミッドウェー攻略と敵空母撃滅という相反する2つの目標を追う必要があったのだから。「二兎を追う者は一兎をも得ず」という諺があるが、まさにそのような諺を地で行くような展開であった。
今回日本軍プレイヤーが採用した「まずミッドウェーを全力で叩いた後、上陸部隊を進める」という戦略自体は間違っているとは言えない。私自身が日本軍を担当していても多分「まずミッドウェーを叩く」戦略を採用していただろう。本文中にも触れたが、空母艦載機による全力攻撃でミッドウェー島を無力化できなかったことは、日本軍にとっては不運であった。
日本軍の指揮でやや疑問を感じたのは、米空母が近づいて来たときの対応である。ミッドウェー基地攻撃に固執するあまり、米空母攻撃について消極的過ぎることはなかったか。当初ミッドウェーを全力で叩くのは問題ないとしても、米空母が近づいてきたなら直ちに米空母との対決を最優先とすべきだろう。脅威度で言えば空母部隊は基地航空部隊の比ではない。一番危険な存在が米空母機動部隊である。であるなら、危険な敵が近づいて来たのならばまずそれを叩くべきであった。たとえ相打ちになっても空母の隻数では日本軍が多い。また味方空母が相打ちで戦闘能力を失っても、空母の損害によってドクトリンルールが解除されるので「金剛」「比叡」によるミッドウェー島砲撃が可能になる。艦砲射撃でミッドウェー基地を無力化してしまえば、あとは(潜水艦を除いて)怖いものはない。非力な米巡洋艦隊が「大和」を含む日本艦隊を撃破することはほぼ不可能なのだから。

ちなみに最後の場面でなぜ日本側の艦攻が魚雷ではなく爆弾を抱いていた訪ねた所、ミッドウェー攻撃を予定していた艦攻隊を出そうとして米空母が見つかったため、兵装転換の暇がなかったので仕方なく爆装のまま出したとのこと。史実を彷彿させる光景で微笑ましい(と同時に対戦相手のフェアプレイ精神を改めて認識)が、目的を敵空母撃破に絞れなかった日本側の実情を垣間見た気がする。

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