201224_海軍航空隊発進

海軍航空隊発進

源田實 文春文庫

源田實氏といえば、海軍において過激な航空主兵主義を唱えた事で有名である。氏の海軍航空発展に果たした役割は決して無視できないものがあるのは確かで、そういった意味において本書の価値は大きい。
そのような氏が海軍航空隊の黎明期について記した著作が本書である。本書が扱う期間は、氏が海軍兵学校に入学した大正10年(1921年)から日華事変真っただ中の昭和13年(1938年)までの20年弱である。その間、海軍の主力機は複葉機から単葉の九六陸攻、九六艦戦に変遷していった。いわば海軍航空隊が最も激しく進化した時期である。そのような中で中心的な役割を果たした筆者による手記は、歴史を研究する上で極めて貴重なものと言えよう。
とはいえ、現在の目から見ると本書の記載内容に違和感に覚える部分も多くある。いわゆる「自己礼賛」「仲間褒め」と類だが、海軍航空隊が米英の航空戦力を圧倒していたとか、日本空母の戦術思想が米海軍のそれを圧倒していた、といったような記述を読むと、(当事者ゆえに仕方がないとは言え)戦記に対する偏った評価と言わざるを得ない。そういった意味で本書の価値は、当時における海軍航空の実態と限界を示した著作ともいえよう。

お奨め度★★★★