表紙


「ガダルカナルギャンビット」(以下、本作)は、以前に紹介した 「ガ島沖砲雷戦」 の姉妹ゲームともいうべき作品である。「ガ島沖砲雷戦」がガダルカナル近海での水上戦闘を描いた作品なのに対し、本作はガダルカナル島における地上戦闘を描いた作品だ。1Turnは実際の半月に相当し、1Hex=約1km、1ユニットは1個大隊(戦車は中隊)に相当する。
本作は移動・戦闘を繰り返す一般的なウォーゲームだが、日本軍のみに適用される補給ルールに特徴がある。日本軍は自身が攻撃する際に1ユニットで1ポイント、さらに毎ターン1ユニットが生存するために1ポイントの補給ポイントを消費する。そして補給ポイントは海を越えてガダルカナルの海岸に陸揚げされ、そこから最前線に送られる。だから部隊を多く陸揚げしても、その分補給ポイントを多く必要とされる訳で、離島における補給の厳しさを実感できるようになっている。なお、米軍はその豊富な補給を再現してか、補給ポイントに関するルールはない。
もう1つ本作で特徴的なのは、日本軍にのみ認められている強行軍である。日本軍は通常移動の後、追加で強行軍を実施できる。強行軍の成否はダイスで判定し、地形が固いほど成功率が下がる。また強行軍では通常は禁止されているZOCtoZOCの移動が可能になる。強行軍に成功すると1ヘクス前進できるが、失敗すると強行軍自体がそこで終了になるだけではなく、強行軍を試みたユニット自体がステップロスする。
とまあ基本的なルールはこんな所だ。では早速始めてみようか・・・。

Turn0


1Turn(1942年9月前半)

日本軍はテナル川東岸に陣取る熊大隊(一木支隊の生き残り)が、ヘンダーソン基地東方を守る米海兵隊に対して果敢な攻撃を加える。損害覚悟の白兵戦だ。しかし突撃は功を奏せず、熊大隊は1ステップを失う。

Turn1a


2Turn(1942年9月後半)

海軍イベントのダイスは"7"。平均的な結果である。日本軍は増援部隊を2手に分け、第2師団の2個大隊を補給物資12ポイントともにタサファロンガ岬に(ゲームでは「タサロファンガ」と記載されているが、"タサファロンガ"(Tassafaronga)が正しい)へ、補給物資10ポイントをヘンダーソン基地の東側、コリ岬へ上陸させた。上陸の過程で補給ポイントが4ポイントと歩兵1ステップを失う。
西方から攻撃を加えた川口支隊主力がヘンダーソン基地西方、ククムの陣地線の突破に成功した。

Turn2a


海兵隊は直ちに戦車を派遣して突破口を塞ぐ。戦車による反撃が功を奏し、ククムは連合軍の支配下に戻った。

3Turn(1942年10月前半)

海軍イベントで聯合艦隊が陸上砲撃に成功した。このTurn、連合軍は4ユニットまでしか攻撃に使用できない。28ポイントを補給ポイントを日本軍は16ポイント、12ポイントに分けてエスペランス岬とタイボ岬に送った。また上陸部隊は全てエスペランス岬に上陸する。

日本軍は、東方から攻める部隊が猛攻を仕掛けてまたもや米軍の最前線を突破した。しかし戦車を含む米海兵隊の迅速な反撃によってまたもや日本軍は撃退された。

Turn3a


4Turn(1942年10月後半)

海軍イベントのダイスは"6"で平均的な結果となった。このTurn、日本軍には最強の増援部隊が登場する。日本軍は補給ポイントをエスペランス、タサファロング、コリに10,8,12に分割し、揚陸した。また増援部隊は4部隊をタサファロング岬に、3部隊をコリ岬に上陸させる。

日本軍はまたもや東方から猛攻を加え、一部の部隊が陣地線を突破した。米軍はすぐに戦車を投入してこれを叩き出そうとする。しかし今回は日本軍の抵抗が功を奏し、米軍の反撃は失敗に終わる。

Turn4a

5Turn(1942年11月前半)

再び聯合艦隊による陸上砲撃が成功し、このTurn、米軍の攻撃は最大4回に制限を受ける。しかも日本軍は36ポイントもの補給ポイントを受け取る。そして日本軍は豊富な補給物資を背景にヘンダーソン飛行場に総攻撃を開始した。マタニカウ川から迫る第2師団の主力はククムの防衛ラインを突破し、ヘンダーソン飛行場まであと1ヘクスに迫った。また東のイル川から攻撃してきた川口支隊主力も防衛ライン突破に成功。こちらもヘンダーソン飛行場に迫ってきている。

海兵隊は増援でやってきた第2海兵師団と虎の子戦車中隊をヘンダーソン飛行場に投入。決死の反撃を行って日本軍を少しばかり後退させることに成功したが、危機的な状況には変わりがない。

6Turn(1942年11月後半)

海軍イベントのダイスは"8"で日本軍としてはあまり嬉しくない数値である。ここに至ってやる気をなくしたか帝国海軍。とはいってもヘンダーソン飛行場は目の前だ。あと一押しで占領できるはず。
しかし僅か1Turnで米軍の防御陣地は恐るべき程に強化されていた。そしてあとわずか1kmが遠い。日本軍は突撃を繰り返すも、決死の覚悟で守りを固める米海兵隊の堅陣はビクともしなかった。

Turn6a


7Turn(1942年12月前半)

最終Turnである。日本軍は22ポイントの補給ポイントを得た。しかし盤上に展開する日本軍は16ユニット。彼らを食べさせるだけでも1Turnに16ポイントが必要になる。果たして攻撃を継続する余力があるのか。日本軍。

日本軍の攻撃はヘンダーソン飛行場には届かなかった。逆に大規模な増援を得た米軍が戦線の左右で反撃に転じて日本軍を押し返す。日本軍は各地で包囲され、分断、殲滅の危機が迫った。

Turn7a


感想

という訳でゲーム終了である。勝利条件的にはヘンダーソン飛行場の占領が日本軍の勝利条件になるので、それを阻止した連合軍の勝利である。

システムは非常にシンプルである。他のゲームと少し違う所は、日本軍に適用される補給ルールで、日本軍は攻撃実施だけではなく自らが生存するためにも補給ポイントが必要になる。従って盤上の部隊が増えると途端に厳しくなる。日本軍は自らが食糧不足で飢える前に、所謂「自殺攻撃」で自軍の駒を減らし、来るべき飢餓時代に備えなければならない。

今回のプレイだけで評価するのは危険だが、私の感想としては日本軍が苦しいように思えた。米軍の歩兵や戦車は強力で、その戦闘力は侮りがたい。しかも米軍は補給ポイントによる制約がないので、その気になれば毎Turn攻撃して来る可能性がある。日本軍としては自軍の損害覚悟で米軍を前線を「自殺攻撃」等で突破し、可能な限り多数の米軍部隊を撃破しなければならない。
日本軍に勝機があるとすれば、海軍イベントが走りまくって米軍の反撃を封殺できた場合だろう。このゲーム、原則として攻撃側に損害が出ることはない。攻撃側にとっては攻撃成功か失敗かの2種類しかなく、攻撃に失敗しても自軍に損害が及ぶことはない(ただし日本軍による白兵戦は除く)。逆に言えば、自身が攻撃しなければ相手が死ぬことはないのだ。
海軍イベントで「陸上砲撃」が出ると、そのTurnにおける米軍の攻撃回数を制約する。つまり敵中に突入した日本軍を排除するチャンスがそれだけ減るということだ。日本軍としては、ここぞという時(多分第4~5Turn)で「陸上砲撃」が出ると、勝機が広がるだろう。

本作についての感想だが、細かい点で文句を言うことは可能だが、ガダルカナル戦をプレイアブルに再現した好ゲームだと思う。日本人としてはメジャーなテーマにも関わらず、ガダルカナルの地上戦闘を再現した作品は、これまで国産ゲームにはなかった。そういった意味で本作は貴重な存在と言える。

写真99