Guam


2021年2月半ば。首都圏1都3県に発令された緊急事態宣言は未だ解除されていない。そんな中、 前回、CSS SaipanをVASSAL対戦した3人 が、再びVASSAL対戦することになった。
選んだゲームは、Compass Gamesの"Guam - Return to Glory"である。1944年7月~8月におけるグアム島の戦いを中隊規模で描いた作品で、CSS(Company Scale Serise)と呼ばれる共通のルールで構成されている。基本的なルールは、同じシリーズの Saipan を参照されたい。

前回、Saipanをプレイした際 にいくつかのルールミスが発覚した。一応列挙してみる。

1)縦隊のスタックが潰走チェックに失敗した場合、潰走するのは目標ユニットだけで、その他のユニットは釘付け状態になる(例えばアムトラックと歩兵中隊の縦隊スタックが潰走チェックに失敗した場合でも、一方のユニットは助かる)
2)間接射撃の場合、目標ユニットの防御力は適用しない。
3)日本軍砲兵については弾薬不足ルールがあり、第2アクションや直接命令で間接射撃を実施できない。 4)水陸両用戦車は散開隊形を持っており、散開隊形では火力3、防御力0、移動力0になる(移動力0だと実質的にはあまり意味がないかも・・・)。

これらのルールに加えて、さらにGuamでは、「上陸直後の部隊が散開隊形になれる」というルールも加わった。これらの効果によって海兵隊の戦い方がどのように変わってくるのか。そういった点にも着目してみたい。

今回の参加者は3名で、日本軍2名、米軍1名という布陣である。私は日本軍の半分(独立混成第48旅団と海軍部隊)を担当する。

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今回プレイするシナリオ5は、米海兵隊によるグアム島上陸当日を扱ったシナリオである。CSSのマリアナシリーズ(Saipan、Guam、Tinian)では、なんだかんだ言っても上陸当日を扱ったシナリオが一番面白い。この"Guam"では、米海兵隊は1個師団+1個旅団が登場し、それは第3海兵師団と第1臨時海兵旅団である。
第3海兵師団の上陸地点は、アサン海岸(Adelup PointとAsan Pointの間)で、グアム島の西部中央部になる。一方、第1臨時海兵旅団は、アガット湾(Agat Bay)に上陸する。

上陸地点

(Image by Wikipedia>

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ゲームが始まって最初におこなれるのは、米海空戦力による砲爆撃である。米軍は使用可能な重火力を主に海岸を守る我が海軍カノン砲部隊に向けてきた。カノン砲部隊はアサン海岸に3個中隊、アガット湾正面にも3個中隊が展開していたが、一連の事前砲爆撃によってその2/3(4個中隊)が何らかの被害を受けてしまう。

砲爆撃に引き続き、米軍の上陸部隊が海岸線に突進してくる。それに対して生き残った海岸砲兵が果敢に反撃を行う。海上でのたうち回る米軍の上陸用舟艇。さらに上陸海岸に配備された地雷原が炸裂して海岸に近づいた米海兵隊に出血を強いていく。
このTurn、海岸に到達したのは、北部のアサン海岸で歩兵8個中隊と水陸両用戦車2個中隊。南のアガット湾でも同数の兵力が海岸にたどり着いた。しかしそのうち無傷で上陸できたのは歩兵6個中隊と水陸両用戦車3個中隊に過ぎず、残りは地雷原と日本軍の防御射撃によって何らかの被害を被っていた。

このGuamでは、前作Saipanからいくつかの修正点がある。まず上陸部隊の隊形である。Saipanでは、上陸直後の部隊は縦隊扱いとされていたが、Guamでは縦隊か散開隊形といずれかを選択できるようになった。この場合、縦隊を選択するメリットは殆どないので、散開隊形を選択するのが常道である。この改正により、上陸直後の極めて脆弱な状態で海兵隊が大損害を被っていたSaipanに比べると、Guamでは上陸部隊の損害が出にくくなった。なお、この改正ルールは、Saipanでも適用されることになっている。
もう1つは海岸地雷だ。Saipanでは無視されていたが、Guamでは日本軍の海岸地雷がルール化された。これにより海兵隊は海岸地雷を突破する際に大損害を被る可能性が高くなった。この改正はGuamでのみ適用されるルールであり、Saipan(及びTinian)には適用されない。


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Guam島に上陸した海兵隊は、早くも内陸へ向けて進攻を開始する。しかし海岸付近に潜む日本軍は満を持して猛烈な射撃を見舞った。北西部アサン海岸を守る独立混成第48旅団は米第3海兵師団に対して猛反撃を実施。早くも第3海兵師団所属の歩兵3個中隊を屠った。南部アガット湾を守る第29師団(満州方面から転出してきた関東軍の精鋭部隊である)も奮戦し、第1臨時海兵旅団麾下の1個中隊を撃破している。

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米軍の戦車小隊が早くも前線に姿を現した。戦車の威力はすさまじく、日本海軍の加農砲中隊1個が米海兵隊戦車部隊の攻撃を受けて壊滅してしまう。米軍の圧力は徐々に強まってくるが、そのような中でもアサン海岸では海軍の加農砲中隊が直接射撃で米海兵隊2個歩兵中隊を撃破する戦果をあげた。

一方、アガット湾方面では、精鋭第29師団が米海兵第1臨時旅団に対して善戦していた。日本軍の銃砲撃を受けて浮足立った海兵隊を集中的に狙う(要するに、戦闘結果でSuppressed(制圧)の結果を食らった目標を集中的に射撃する)という戦術によって、第1臨時海兵旅団所属の5個歩兵中隊と1個水陸両用戦車中隊、さらに随伴する1個戦車小隊を葬ったのである。

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徐々に体制を整えつつある米海兵隊は、橋頭保からの攻撃を強化してきた。米軍は主に我が海軍砲兵部隊に攻撃を集中。特に砲爆撃が威力を発揮し、このTurnだけで海軍砲兵部隊2個中隊が壊滅してしまう。
一方の海兵隊は、このTurn失ったのは、歩兵1個中隊と迫撃砲1個中隊のみ。流れが変わってきたか・・・。

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米軍はさらに橋頭保を広げるべく攻撃を続行する。戦車を含む海兵隊の攻撃により、さらに日本海軍の長射程加農砲中隊1個が撃破された。残る加農砲中隊は2個のみだが、それらも度重なる砲爆撃によって甚大な被害を被っていた。
日本軍の反撃は、このTurnアサン海岸方面に向けられた。増援部隊を得た独立混成第48旅団の銃砲撃により、米第3海兵師団の歩兵中隊と迫撃砲中隊各1個が壊滅した。

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感想

この時点で今回のプレイは終了とした。朝9時から開始して18時半まで。途中約1時間の昼食休憩が入ったので、プレイ時間は実質7.5時間である。1Turn平均で丁度1.5時間だ。

新ルールの効果だが、 前回、Saipanを対戦した時 に比べると、海兵隊の損害は明らかに小さくなっている。前回のプレイでは、午前中の3Turnだけで海兵隊の損害は22個中隊になったが、今回は5Turnプレイして損失は14個中隊に留まった。両軍の総兵力が違うので単純な比較はできないが、損害が小さくなる傾向にあることは確かだ。この状況ならばキャンペーンを続けても、海兵隊が史実通り勝利できる可能性は高い。

今回の対戦で新ルールの有効性はある程度確認できたと思う。次はSaipanの中規模シナリオに挑戦してみて、新ルールの効果を確かめたい。

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