もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

カテゴリ:ゲーム > 戦略級ゲーム

写真00


Churchill(以下、本作)は、2015年に米国GMT社から発売されたシミュレーションゲームである。ウォーゲームではなく外交ゲームであり、プレイヤーはWW2期の連合国指導者となり、協力しながら枢軸軍打倒を目指す。無論単なる協力ゲームではなく、勝利するためには相手プレイヤーを出し抜いて多くの勝利ポイントを獲得する必要がある。

全体図


もう少し詳しく書こう。
プレイヤーは、ルーズベルト、チャーチル、スターリンの立場となり、他の連合国と協調しつつ枢軸軍打倒を目指す。ゲームは「会談」を中心に進められ、「会談」を通じて様々な政治課題を解決していく。「会談」の回数はシナリオの長さによって異なるが、一番長いキャンペーン・シナリオの場合、10回の「会談」が行われる。この「会談」が、他のゲームで言う所の「Turn」に相当するものである。

「会談」は、会議フェイズと戦争フェイズからなる。
会議フェイズでは、様々な議題をプレイヤー間で話し合い、議題に決着をつけていく。話し合いといっても実際にプレイヤー同士が議論を戦わせる訳ではなく、スタッフカードと呼ばれるものを使うことで解決する。それぞれの議題は、議題マーカーという形で下記の「会議テーブル」に置かれており、それをスタッフカードと呼ばれるカードを使って自陣営に引き込んでいく。スタッフカードには1~5の数値が記載されており、数値分だけ議題マーカーを自分の方へ移動させることができる。

会談表


戦争フェイズでは、スパイ組織を諸国に展開したり、政治的な影響力を行使したり、枢軸軍との戦いを進めたりする。戦争フェイズは、その直前に行われた会議フェイズの結果により大きな影響を受ける。例えばソ連軍プレイヤーが米国の主攻勢目標を東部戦線に配置すれば、米国の戦争努力が東部戦線に振り向けられることになる(それはソ連軍に大きく利することになる)。

とまあ、こんな感じのゲームだが、実際にプレイしてみないとどのようなゲームなのか理解することは困難だろう。機会があればYouTube動画等を使って本作のシステムを詳しく解説してみたい所だが、今回は上記の説明でご勘弁頂きたい。

今回、本作をお試しでプレイしてみたので、その記録を紹介する。

「チャーチル」対戦記録、ルーズベルトの野望

まずはルールを覚えるために全3Turnの練習シナリオをプレイしてみた。それが終わったのが丁度昼頃になっていたので、昼食のために中座し、戻ってきて午後の時間にキャンペーンシナリオをプレイしてみた。プレイ時間

第1回会談:カサブランカ会談

会談ではアメリカが勝利した。そして米軍が太平洋で進攻作戦を行い、マーシャル諸島へ進撃する。一方の英ソ領国はそれぞれ東欧と中東に政治勢力を広めていく。

Turn01


第2回会談:ワシントンD.C.会談

会談はソ連が勝利した。米英軍は西部戦線でボレロ作戦を実施。英本土に上陸部隊を前進させる。さらに我が合衆国は西欧一帯にスパイ網を構築する。

Turn02


第3回会談:ケベック会談

会談は我が合衆国が勝利した。キング提督が太平洋での攻勢を主導し、太平洋での指揮権を米国が掌握する。米第58機動部隊がトラック島を空襲し、カロリン諸島を支配下に置いた。
欧州戦線では早くも米英軍がノルマンディに上陸。第2戦線を構築する。東部戦線ではこれまで停滞していたソ連軍がようやく前進に成功し、ドン川流域に姿を現した。

Turn03


第4回会談:カイロ会談

会談に勝利したのはイギリスであった。その勝利を駆ってイギリスは東南アジアで植民地支配の確立を一気に進めていく。戦場では、米英連合軍がフランスを抜けて低地諸国に進出。早くもドイツ国境に近づいていた。東部戦線では前進が一時停止。太平洋方面では米軍の海兵隊がマリアナ諸島を制圧した。

Turn04


第5回会談:テヘラン会談

会談に勝利したのは我が合衆国であった。しかしソ連は東部戦線で大攻勢の準備を進めており、状況は予断を許さない。イギリスは東南アジアの植民地支配をさらに進め、遂に東南アジア一帯から他国の情報網を一掃した。
そして東部戦線。圧倒的な軍事資源を投入したソ連軍が大攻勢を実施。白ロシア一帯とウクライナ一帯を完全に奪回していた。

Turn05


第6回会談:ロンドン会談

またもや会談に勝利したのは、我が合衆国であった。しかし南西太平洋での米国軍の攻勢作戦は2回連続で失敗。太平洋の戦場に暗雲が垂れ込める。
欧州戦線でも西部戦線ではドイツ国境付近で進撃停止。その間、ソ連軍は東部戦線で攻勢を強め、遂に東プロイセンまで到達していた。

Turn06


第7回会談:ケベック会談

原爆が完成した。早速日本本土攻撃に原爆を使用する。日本の軍部は原爆の威力に衝撃を受けたが、未だに降伏する気配はない。それもそのはず。日本が降伏する条件は、本土侵攻するか、又は原爆投下とソ連の参戦の両方を満たす必要があるのだ。
ソ連軍は遂にベルリンを指呼に収める地点まで進出。ヒトラーの命運も風前の灯である。ソ連軍の軍事的成功の裏で、米国の政治的活動がバルカン諸国で繰り広げられ、ユーゴスラヴィア、ギリシアに反共政権が樹立する。

Turn07


第8回会談:モスクワ会談

さしものソ連軍もドイツ軍の全力防御を突破することはできず、ベルリン前面で足止め状態である。一方の西部戦線では、西側連合軍がようやくラインラントに到着した。

Turn08


第9回会談:ヤルタ会談

未だに元気なルーズベルト。その間、極東戦線でコソコソ前進を続けていた英軍がいつの間にか香港を超えて台湾に到達していた。そのまま日本本土に迫る英連邦軍。

Turn09


第10回会談:ポツダム会談

最終会談である。不死身のルーズベルト大統領が遂にご逝去。副大統領のトルーマンが急遽大統領に就任した。原爆の威力を背景に猛威を振るトルーマン新大統領。しかし日本本土に侵攻したのは、台湾を出撃した英連邦軍であった。遂に降伏する日本。一方のドイツは、ソ連軍による再三に渡る攻勢を跳ね返し、ゲーム終了まで持ちこたえた。

Turn10


最終的なVP計算では、米79VP、英63VP、ソ連22VPで米国の勝利。10回の会談のうち7回で勝利を収めた「会談の勝利」が勝因であった。ちなみに実際の最終局面での盤面は、以下のようなものであった。

写真01


ちなみに本作の勝利条件は少し変わっていて、通常は獲得VPの大小で勝敗が決まるのだが、もし1位プレイヤーが2位と20VP以上の差をつけて勝つと、「勝ちすぎ」ということで2位以下が勝利する可能性がある。従ってプレイヤーはVP勝利を狙いながらも、「勝ちすぎ」ないように注意して他プレイヤーと協力する必要がある。

感想

勝ったので素直に嬉しい。本作の場合、枢軸軍に対する軍事的な勝利が必ずしも重要ではなく、むしろ自身の政治的な影響力を第3国に如何に広げていくかが重要である。その点、やや極端な気がしないでもないが、それはそれで面白い。3人用ゲームとしてもバランスが取れていて面白かった。

写真14


「真珠湾強襲」をプレイした 後、時間があったのでGame Journal#70号の付録ゲーム「第三帝国の盛衰」(以下、本作)をプレイしてみました。こちらのゲームについては詳しい記録を取らなかったので、概要レべルの紹介でお許しください。因みに私は連合軍を担当しました。

本作のシステムは「真珠湾強襲」と同じくカードによるデッキ構築とカードドリブンによる交互プレイです。「真珠湾強襲」との違いは、ユニットが移動しただけでは「使用済」にならないこと。カードにはイベントの他に「戦略値」が記載されており、イベント以外に戦略値に相当する活動(移動、戦闘、増援等)を実施できること。さらに「開発」カードが含まれており、序盤は戦略値の低いカードしか使えないのが、開発カードを使うことで戦略値の大きなカードが使えるようになること等です。また「戦略爆撃」や「ウルフパック」「レンドリース」といった欧州戦線独特のカードも追加されています。

ゲーム展開

第1Turnは枢軸軍しか動けないので、ポーランドが成す術もなく陥落しました。

写真15


第2Turnにはドイツ軍がフランスへ侵攻。パリが陥落した後、「ヴィシーフランス」が成立し、フランスが連合軍陣営から脱落しました。この時「待ち伏せ」カードを使って迎撃を試みたのですが、強力なドイツ装甲部隊相手には「待ち伏せ」の効果が殆どないことを痛感しただけで終わりました。

その後ドイツ軍はUボートで連合軍を苦しめつつも、連合軍対潜部隊はUボートとの苦しい戦いを続けます。その間ドイツ軍は「あしか作戦」を発動。英本土にドイツ装甲部隊が上陸しますが、英軍も粘り強く抵抗し、ロンドンを死守し続けます。

1941年になってソ連が参戦。しかしアシカ作戦に兵力を吸われているドイツ軍は独ソ戦へ兵力を投入できません。その間、ソ連軍はキエフ(今風に言えば「キーウ」)地区に大要塞を構築。キエフに突撃してきたドイツ軍の猛攻を支え続けます。

1941年冬季から42年夏季にかけてドイツ軍は白ロシア一帯を占領。さらに北に進んでレニングラードに迫りますが、ここでもソ連軍の要塞が威力を発揮し、ドイツ軍は苦戦を強いられます。

その間、北アフリカでは、エジプトから出撃したイギリス軍の戦車部隊がイタリア軍のリビア守備隊を撃破。さらに西に進んでチュニジア、さらにはアルジェリアを制圧します。

そしていよいよアメリカ合衆国が連合軍側に立って参戦。その巨大な工業力が動き出す・・・。

という所で今回は時間切れとなりました。

写真16


感想

プレイ時間は3~4時間です。
本作については以前に何度かプレイしたことがある のですが、いずれも一方的な展開で、かつ枢軸軍の圧勝。ややバランスが悪いのではないかという印象を持っていました。しかし今回は比較的史実に近い展開となり、両者がそこそこベストプレイをすればそんなに荒れたゲームにならないのかな、という好印象を持ちました。
まあ1回ぐらいのプレイで判断するのも早計だし、手練れの枢軸軍であればやはり枢軸圧勝になるのかも知れません。しかし両プレイヤーが正しくルールを理解してプレイすれば、それほど極端な展開にはならないのかもしれません。そういった意味ではもう少し付き合ってあげても良いかな、と思った次第です。


写真00


「真珠湾強襲」(以下、本作)は、2011年にGame Journal#39の付録ゲームとして発表されたシミュレーション・ウォーゲームだ。テーマは1941年12月に開始される太平洋戦争。3年8ヶ月に及ぶ太平洋戦争を1Turn4ヶ月、計11Turnで再現する。

本作のシステムについては 以前の記事で紹介したので 、参照されたい。

今回、シナリオ4「第2ターンからのキャンペーン」を対人戦でプレイすることになった。このシナリオは文字通り第2ターンからのキャンペーンシナリオで、1942年1~2月頃の状況からゲーム開始となる。
日本軍はマレー半島、フィリピンへの上陸には成功しているが、シンガポール、マニラ等は未だに連合軍が押さえている状況だ。日本軍としては東南アジア一帯を速やかに占領して長期不敗態勢を固めると共に、インド、南東太平洋、ハワイ方面といった連合軍の枢要地域に侵攻作戦を行って勝利を確実なものにしたい。
一方の連合軍は日本軍によるサドンデス勝利を阻みつつ、反攻の糸口を捉えて日本軍に打撃を与えたい。

今回、私は連合軍を担当した。

2Turn



写真01


JP_AF台南まず日本軍は東南アジア一帯を支配下に収めようとする。地上部隊の攻撃によりマニラ、シンガポールを相次いで占領。スラバヤに対しては「急襲作戦」を仕掛けて電撃戦でこれを占領した。ビルマ方面では、日本軍2個師団がラングーンに前進を果たしたが、同地を占領するには至らず。さらにガダルカナルは2個旅団を投入したが、これまた占領には至らない。

写真02


このTurn、日本軍はマニラ、シンガポール(各5VP)、スラバヤ(2VP)の計12VPを獲得し、VPの総量は19VPとなった。

写真03


3Turn

JP_BG川口アメリカ西海岸から米空母機動部隊が出動し、ソロモン諸島南東海域に進出する。米空母から発進した艦載機がガダルカナルの日本軍に対して激しい空襲を加えてこれを制圧するも、日本軍は不屈の精神(単に「補給」カードを使用しただけ)で復活。「急襲作戦」でガダルカナルを守る米軍部隊を撃破し、同地を占領した。

写真04


ビルマ方面では日本軍が航空部隊の支援の元、ラングーンを連続攻撃し、遂にラングーン占領を果たした。他にレイテを日本軍部隊が無血占領している。

このTurn、日本軍はガダルカナル、ラングーン、レイテ(各2VP)の計6VPを獲得し、VPの総量は25VPとなった。他にボーナス1VPがあるので、サドンデス勝利まであと4VPである。

写真05


4Turn



写真06


JP_CV飛龍蒼龍南太平洋で日米の機動部隊が激突した。「空母機動部隊」によって先制攻撃をかけてきた日本機動部隊に対し、米機動部隊は「迎撃機」で反撃。激しい戦いにより日本軍は空母「隼鷹/飛鷹」が沈没、「飛龍/蒼龍」が中破する。一方米機動部隊も空母「ホーネット/ワスプ」が沈没。空母同士の戦いは痛み分けに終わった。
その間、ガダルカナルには米海兵隊2個師団が上陸。同島の奪回を図るも、日本軍守備隊の奮戦によってこれを撃破するには至らず。

写真07


ビルマ戦線では英東洋艦隊が出撃し、ベンガル湾に進出して制海権を握る。英軍2個師団が、英東洋艦隊と航空兵力の援護の下、ラングーンに反攻作戦を実施。「急襲作戦」によって日本軍を撃破し、ラングーン奪回に成功した。

写真08


このTurn、連合軍がラングーン(2VP)を奪回し、日本軍のVPの総量は23VPに減少した。

写真09


5Turn

日本軍はラングーン奪回のため航空兵力を地上兵力を投入したが、英軍も2個師団を投入し、ラングーンを守り切った。

US_AF南東太平洋方面では、ガダルカナルで日米両軍の睨み合いが続く中、珊瑚海に米機動部隊が進出する。米機動部隊の攻撃によってラバウルの日本軍基地航空部隊が一掃されたため、日本軍は慌てて地上部隊をラバウルに送り込んだ。一方日本軍も空母機動部隊をソロモン海に送り込み、空母機の攻撃で米空母「エンタープライズ/ヨークタウン」を撃沈することに成功する。

米軍はニューギニア北東岸のラエに陸軍2個師団と航空部隊を進出させ、その攻撃によりトラック島に展開する日本軍の航空部隊を撃破した。

写真10


このTurn、VPに変化はなく、日本軍のVPの総量は23VPのままである。

写真11


6Turn

US_CVエセックスバンカーヒル米艦隊の一部がダンビール海峡を越えてビスマルク海に進出。同地の制海権を米軍が確保した。さらに新鋭空母「エセックス/バンカーヒル」、インデペンデンス級軽空母2ユニット(4隻)が艦隊に加わり、珊瑚海に進出。ベテランの空母「サラトガ/レキシントン」と合流する。南太平洋で三度日米の機動部隊が激突。先手を取った米機動部隊は空母「翔鶴/瑞鶴」を撃沈し、ベテラン「赤城/加賀」も艦載機を失ったので日本本土へ後退していった。

トラック島が危ない。
US_DV1MD日本軍はトラック島に1個旅団を送り込んで守りを固める。連合軍は「急襲作戦」を利用して海兵師団1個にてトラック島を攻撃。日本軍の守備隊を撃破してトラックを占領した。

写真12


この時点で日本軍のVP総量は21VPに減少。日本軍は勝利の望みを失ったと判断し、ゲーム終了となった。

プレイ時間=3~4時間

写真13


感想

JP_CV赤城加賀ルールは簡単だが、意外なほど歴史的に忠実な展開になる。ソロモン諸島や東部ニューギニアでVPの高い地域が集まっているため、必然的に同方面が激戦地になる。現実の戦略的な価値を考えた時、ソロモン諸島や東部ニューギニアに高い戦略的価値があったかどうかは疑問だが、ゲーム展開を歴史に忠実になるように誘導するという観点からは有効なデザイン手法と言える。
ルールが簡単な太平洋戦争キャンペーンゲームとして、「太平洋戦史」や「Victory in the Pacific」等があるが、これらの作品に比べると、本作の展開は比較的「大人しい」ものと言える。また上記2作品では陸軍の存在がかなり抽象的に扱われているが、本作では米海兵隊や日本海軍の小規模部隊(一木支隊、川口支隊、南海支隊等)の有用性がしっかりと再現されているので、嬉しい所だ。
本作で気になる所はカードの使い方で、この点についてはある程度の経験値が必要になるだろう。とはいえ一度プレイすればコツが掴めるレベルのものなので、致命的な欠点という訳ではない。
総じていえば、本作はゲーム性やシミュレーション性の両面から万人にお奨めできる太平洋戦争キャンペーンゲームといえる。既に発売から10年近くが経過しているが、豪華版という形で再販が望まれる作品だ。

写真00


以前に Empire of the Sun(以下、本作)のソロプレイ を紹介した。そのプレイの目的は、近々実施する予定の対人戦の準備であった。
しかし、その直後に 私自身が大怪我をしてしまった ので、対戦が伸び伸びになっていた。
5月になってようやく傷も癒えてきたので、伸び伸びになっていた対戦を実施することになった。

当日、ちょっとした手違いがあった。本作には2005年発売の第1版と、2015年発売の第2版の2種類がある。私は本作の第2版ルールは読んでいなかったし、第2版は第1版に比べるとややぶっ飛んだ感じになっていると聞いていたので、できれば第1版によるプレイを希望していた。対戦相手氏には事前に第1版での対戦をお願いしていたと思っていたのだが、どうやら対戦相手氏には伝わっていなかった様子であった。対戦相手が持参してきたのは第2版。私が「食わず嫌い」しているバージョンである。
しかしここまで来てワガママ言うのも大人気ないし、第一時間も勿体ない。まあ折角の機会だし、この機会に第2版のプレイを経験するのも悪くない。そう思って第2版で対戦を始めることにした。
ちなみに今回選択したのは1942年キャンペーンで、私の担当は連合軍である。

2Turn(1942年前期)

ABDAHQ日本軍はマニラへ侵攻し、マニラ、コレヒドール要塞を陥落させた。マッカーサーは辛くもオーストラリアに脱出したが、フィリピン一帯は日本軍の手に落ちた。

連合軍はアルカディア会談を開催。ジャワ島南部のチャラチャップにABDA統合司令部を設営した。

写真01


日本軍はマレー半島を南下してシンガポール要塞に肉薄する。マレー方面の英空軍航空部隊はジャワ島へ撤退。シンガポール要塞も陥落する。シンガポール陥落によってセイロン島に脅威を感じた連合軍は、急遽セイロン島の防備を固める。
勢いに乗る日本軍は、さらにビルマへ侵攻。ラングーンを陥落させた。さらに南東方面では日本軍がソロモン諸島一帯を制圧する。

写真02
写真03


このTurn終了時点で日本軍は、マニラ、シンガポール、ラングーン、ガダルカナルを陥落させ、フィリピン一帯とマレー、シンガポールを支配下に置いた。一方、蘭印地区はまだ手付かずで、スマトラやボルネオの油田地帯は連合軍が支配している。

写真04


3Turn(1942年中期)

IJA_第38軍日本軍はクワイ川橋梁を設営し、さらにビルマ内陸部に侵攻してきた。「戦場にかける橋」について私のイメージは、「役に立たないイベント」だったが、Ver3.0ルールで大きくその価値を変えたことに気づかなかった。何と「クワイ川橋梁」を設営すると、なんとビルマ方面で日本軍が活性化する場合、司令部の能力が+1されてしまうのだ。後で調べてみると、デザイナーはこのルール改定について「自画自賛」しているのだが、私的には「ちょっとやり過ぎじゃないのか?」と思えてしまう。

写真05


IJA_第38軍そんなこんなで日本軍はビルマ一帯を制圧し、さらに北インドへ向けて牙をむく。しかし英軍は北アフリカ・中東戦域の戦況が安定しないので、インド方面に増援部隊を送れない。北ビルマまで進出してきた日本軍によってビルマルートは遮断され、北インドは危機に瀕した。
一方、米太平洋艦隊はようやく反撃を開始した。エスピリッツサントに集結した米機動部隊はガダルカナルへ機動攻撃を実施し、日本軍のAPD(輸送駆逐艦)を撃沈した。

写真06


その他の戦場では、日本軍はインドネシアに侵攻。バリクパパン油田とパレンバン油田を占領した。しかしメナドに対する侵攻は英艦隊の反撃により撃退され、ジャワ島も連合軍がしっかりと保持している。

写真07


4Turn(1942年後期)

USA_第14軍団米軍が本格的にジャワ島の戦況に介入した。米陸軍航空隊がジャワ島周辺に展開し、さらに米陸軍の地上部隊がスマトラ島に上陸する。パレンバン油田を米陸軍の地上部隊が奪回した。

写真08


ガダルカナル近海には再び米機動部隊が現れたが、今度は日本の潜水艦が反撃してきた。米空母2隻が潜水艦攻撃によって撃破されてしまう。

5Turn(1943年前期)

NE_J_6_12 戦争開始から1年が経過した。いよいよ日本軍は国内資源が怪しくなってきた。未だに日本軍はインドネシアの油田地帯を支配できていないため、日本軍の使える戦略カードが激減してしまう。日本軍は燃料事情を改善すべき、ボルネオ島東部の油田地帯パレンバンに対して強襲上陸を敢行してきた。しかし連合軍航空部隊の反撃とジャワ島から急遽駆け付けたオランダ軍師団6-12によって強襲上陸を敢行してきた日本陸軍の2個軍が壊滅してしまう。

写真09


ここでルールミス発覚。オランダ軍師団は強襲上陸できませんでした。すまんです。

さらにスマトラ島では米陸軍2個軍団がバンガ油田を守り日本陸軍第14軍(18-12)を攻撃。兵力に勝る米軍部隊が日本軍を撃滅してバンガ油田を取り返した。

写真10


ガダルカナル近海では日米の空母部隊同士が初めて激突した。兵力では日本軍が優勢であったが、何とかダイス目で優位を占めた米軍が勝利した。

6Turn(1943年中期)

US_CV_Wasp_12_12_2連合軍は「戦略戦争」を初めて成功させた。資源ヘクスを確保できていない日本軍は遂に使えるカードが4枚まで減少。これは日本軍が獲得できる最低のカード数だ。ちなみに連合軍の使えるカードは7枚である。

米軍は新カード「U.S. Carrier Rids」を使用してパラオ島を攻撃。空母「翔鶴」を撃沈し、基地航空兵力にも大損害を与えた。しかし日本軍はまたもや潜水艦攻撃で米空母に反撃を実施し、米空母3隻を撃沈破した。

写真11


ジャワ方面では米陸軍3個軍団がスマトラ島南部をガッチリ守っており、日本軍が手出しをする隙がない。

写真12


ソロモン方面では、米軍がブーゲンビル島に上陸し、ここに拠点を築くことに成功した。

写真13


ビルマ戦線でも増援を得た英軍が北インドからビルマ領内に反攻を仕掛けていく。

写真14


その間、日本軍はひたすら中国戦線に3OCカードを注ぎ込んで攻勢を続けている。そして遂に中国を陥落させたのである・・・・。
実は、これはルール違反であった。中国戦線に使えるOCは、2Turnに1回、しかも1枚だけなのだ。確か以前のバージョンではそのようなルールだった。当初、日本軍がOCカードだけで中国戦線をどんどん進めてくるので「何だか変だな」とは思いつつ、新バージョンでは変わったのかな、とも思っていた。しかしたった1Turnで中国が陥落するのを見て、「さすがに変だ」と思い直し、ルールブックを再読してみると・・・。
やはりOCカードが2Turnに1回。しかも1枚だけではないか。そりゃそうだよ、と、思いつつ、そのことを相手プレイヤーに告げる。ルールブックを読み直した相手プレイヤーはさすがに納得するしかない。この時点で戦意を失った相手プレイヤーの投了でゲーム終了となった。

感想

IJN_BB_Hiei_17_14クワイ川橋梁のルールや北インドの補給ルール、さらにカードの内容が微妙に変わっていて、ちょっと面食らった。しかし慣れてくれば第2版であっても第1版と左程変わらないプレイ感覚でプレイできることがわかった。気になるのはやはりインド・ビルマ戦線の扱いで、日本軍の南方軍HQの能力が第2版で大幅に強化されている上、例の「クワイ川橋梁」ルールでビルマ方面での日本軍が今までよりもさらに強力になった感がある。第1版でもインド陥落=日本の勝利、というパターンが多かったので、第2版になってさらに日本軍の「インド一本攻め」指向が強くなった懸念がぬぐえない。さらに英軍にとって急所とも言うべきセイロン島をもしっかり守る必要もある。このあたりでバランスが崩れていないか、というのが気になる所だ。

とはいってもEmpire of the Sunはやはり面白い。第2版になってカードのバリエーションが増えたので、多彩なカードを使いこなす楽しみがまた増えた。インド方面のバランスが気になる所であり、その点がクリアできれば再戦したい作品の1つである。

表紙


「真珠湾強襲」(以下、本作)は、2011年にGame Journal#39の付録ゲームとして発表されたシミュレーション・ウォーゲームだ。テーマは1941年12月に開始される太平洋戦争。3年8ヶ月に及ぶ太平洋戦争を1Turn4ヶ月、計11Turnで再現する。
システムはいわゆる強襲システム。決められた数のカードで自分のデッキを構築し、カードを交互にプレイすることで進行する。マップはエリア方式、艦艇は同型艦2隻、航空隊、地上部隊は旅団から師団で再現する。
今回、その中からシナリオ2「珊瑚海海戦」をプレイしてみた。このシナリオは第2Turnから始まり、第5Turnまでをプレイするシナリオである。1942年の春から翌1943年の春までを扱う。日本軍が30VPの勝利ラインをどこかでクリアすれば勝利、それ以外は連合軍の勝利である。

前回までは --> こちら

Turn04-00


4Turn

このTurn、日本軍としては、ポートモレスピーを取って勝ち逃げした。その日本軍は、補給2枚、急襲作戦2枚、独立部隊、空母機動部隊でデッキを組んだ。
対する連合軍は、急襲作戦2枚、独立部隊、補給、空母機動部隊である。

[US_BBノースカロライナワシントン]先攻を取った日本軍は、航空攻撃を選択。ラバウル航空隊でポートモレスピーを空襲した。対する連合軍は「急襲作戦」を選択。ガダルカナルに海兵隊を上陸させてこれを奪回した。
日本軍は「急襲作戦」でポートモレスピーを攻撃したが、これがまさかの失敗(成功率75%)。ポートモレスピーは陥落せずに踏みとどまった。なおも日本軍はポートモレスピーを攻撃したが、米軍守備隊が奮戦して踏みとどまる。その間、米軍の水上部隊が珊瑚海に進出。日本機の猛攻を受けながらも珊瑚海の制海権を奪回した。

Turn04-01
Turn04-02


このTurnに日本軍はガダルカナルの2VPを失ったため、VP合計が26VPまで減少した。日本軍勝利まであと4VP。

Turn05-00


5Turn

JP_CV飛龍蒼龍最終Turnである。日本軍としてはガダルカナル、ポートモレスピーの2ヶ所を取りたい。空母機動部隊、補給2枚、独立部隊、海上輸送、急襲作戦という手札だ。
対する連合軍は、補給2枚、共同作戦、独立部隊、空母機動部隊、迎撃機である。

連合軍は「空母機動部隊」等を使って大艦隊を珊瑚海へ前進させた。これによりポートモレスピーを攻撃中の日本軍旅団が後方を遮断されてしまう。その結果、ポートモレスピー付近で戦っていた日本軍は遂に壊滅した。
さらに米海兵隊がラエに侵攻。無血占領に成功する。
しかしガダルカナルでは執拗な日本軍は遂に米海兵隊を壊滅に追い込んで、ガダルカナルを日本軍が支配した。

Turn05-01


このTurnに日本軍はラエを失ったが、ガダルカナルの2VPを得たので、VP合計が27VPまで戻った。

この時点でシナリオは終了。日本軍が勝利ラインを超えられなかったので、連合軍が勝利した。

Turn05-02


感想

JP_BB大和武蔵日本軍にとってチャンスは第3Turnだった。ここでガダルカナル、ポートモレスピーを占領すれば勝利していた。艦隊戦力を珊瑚海に集結させて海空から全面支援していればポートモレスピーを占領できた可能性はあったと思われるが、さてさて。

本作については久しぶりにプレイしてみたが、デッキの構築が難しい。上手くデッキを組まないと、攻撃が連携せずに頓挫してしまう。一番使い道が確実にありそうなのが「補給」で、他は「急襲作戦」「独立部隊」あたりが有効だろう。「空母機動部隊」も便利なカードなので1枚は入れておきたい。「迎撃機」「潜水艦」「待ち伏せ」等は奇襲的要素としてデッキに組み込んでおくのは面白い。
難点を言えば、カードの使い方がテクニカルなので、慣れが必要。また「潜水艦」「迎撃機」等のカードは嵌れば強力なので、その存在を知らないと痛い目に遭う可能性が高い事等かな。

本作は太平洋戦争を陸海空からシンプルに再現した佳作である。同テーマの傑作「Victory in the Pacific」に代わり新たな太平洋戦争ゲームの定番ともなり得る作品だ。機会があれば再戦したい作品である。

USS N.Carolina

↑このページのトップヘ