もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

カテゴリ:ゲーム > 戦略級ゲーム

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Twilight Struggle(以下、本作)は、米GMT社が2005年に発売したシミュレーションゲームだ。本作は、WW2終了直後から1989年冷戦終結までの約30年間にわたる約半世紀の冷戦時代を扱う。全10Turnなので、1Turnは実際の4~5年間に相当する。プレイヤーは米ソそれぞれの首脳を演じる。2014年には完全日本語版も発売されており、日本でもプレイし易くなった。
本作のシステムについては、 以前の記事 で紹介しているので、そちらを参照されたい。

今回は、本作を対戦してみた。筆者はアメリカ陣営を担当する。以下はその記録である。

前回の展開は、--> こちら

5Turn(1961~1964年)

Card107ヘッドラインはアメリカが「中ソ国境紛争」、ソ連が「チェ・ゲバラ」を使ってきた。アメリカは「中ソ国境紛争」を使ってインドとタイのソ連支配を突き崩した。一方ソ連は「チェ・ゲバラ」を使ってコロンビアの親米政権をクーデターで打倒。さらにパナマでクーデターを起こしてソ連の支配権を広げてきた。
アメリカはこの機会にアジアにおける優位を占めたいと考え、「中国」カードを使ってインドの支配を確立した。さらにタイもアメリカが支配し、アメリカはアジアにおける優位をほぼ確立した。

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6Turn(1965~1969年)

Card011ヘッドラインは、アメリカが「ケンブリッジ・ファイブ」、ソ連が「朝鮮戦争」。しかしいずれのカードも条件が揃わないとか、ダイス目が悪いとかで効果なし。

ソ連は、中東におけるアメリカの支配を崩さんとイランでクーデターを試みて、イランからアメリカの影響を排除することに成功した。一方のアメリカは、エジプトのサダト大統領を使ってエジプトからソ連の影響力を排除し、新型戦闘機(当時だとF-4ファントムか?)をエジプトに輸出してエジプトへの影響力を強めていく。さらにアメリカは隣国リビアにも浸透していく。

その間、ソ連は北東アジアで攻勢を強め、韓国で親ソ政権樹立に成功。さらに極東におけるアメリカの牙城であった日本にも進出してアメリカの支配を崩していく。韓国はとにかく、日本を失う訳にはいかないアメリカとしては、積極的に日本へコミットしていき、ソ連影響力の排除を図っていく。

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7Turn(1970~1974年)

このTurnは、まず宇宙開発で動きがあった。月面探査を進めているソ連は、遂に初の有人月面着陸に成功したのである。史実とはことなり、「月に小さな一歩」を記したのは、アメリカ人ではなくロシア人となった。

Card068アメリカは「ヨハネ・パウロ2世の教皇選出」カードを使い、ソ連にとっては絶対防衛線ともいうべきポーランドにおけるソ連側支配を崩していく。

このTurn、ソ連は「欧州の特点獲得」カードと「中東の特点獲得」カードを引いて来たので、これを使わざるを得ない羽目になった。いずれもアメリカが有利な地歩を占めており、これらのカードの使用は、アメリカの得点をさらに加算することになった。結局Turnの終わりごろには、アメリカの勝利得点は18点に達し、アメリカのサドンデス勝利が目前となった。
そしてTurn終了時、このTurnにおけるソ連側の軍事行動不足が明らかとなり、それによってさらにアメリカが2点を獲得したため、この時点でアメリカの勝利が確定した。

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感想

プレイ時間は2時間弱。今回は途中までのプレイだったけど、最終Turnまでプレイしても3時間とかからないだろう。たった3時間足らずで戦後の世界史を再体験できる本作はやはり素晴らしい作品である。Board Game Geekで長らく一番人気だったのも頷ける話だ。
このゲーム、慣れないうちには何をして良いのかわからないことがある。特に初心者が熟練者を相手にした場合、何をしているのかわからない間に負けていたりすることが多い。かくいう私も本作を最初に2回ほどプレイした時には、わけのわからない間にサドンデス負けを食らっていて、一体このゲームの何が面白いのかサッパリ理解できなかった。
そういった意味では、もし初心者が最初に本作をプレイする際には、可能な限り実力の拮抗した相手とプレイするのが望ましいと考える(あるいは、インストが超絶上手いベテランゲーマーが相手でも良い思うけど、筆者個人の体験から言えば「インストが上手いベテランゲーマー」とやらにこれまでに一度も出会ったことはない)。

いずれにしてもプレイ時間も短いし、その気になれば1日に何度もプレイできる。メインシナリオだけではなく終盤戦シナリオも興味深いものがあるので、機会があれば再戦したい作品である

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トワイライト・ストラグル 日本語版
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Twilight Struggle: Deluxe Edition
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「Paths of Glory」は、1999年に米国GMT Games社から発売されたSLGです。テーマはWW1(第1次世界大戦)で、1914年に始まるWW1を、1Turn=3ヶ月、1ユニット=軍団~軍といった単位で再現します。

今回、この「Paths of Glory」をVASSALを使ってプレイしました。筆者は連合国を担当しました。



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Twilight Struggle(以下、本作)は、米GMT社が2005年に発売したシミュレーションゲームだ。本作は、WW2終了直後から1989年冷戦終結までの約30年間にわたる約半世紀の冷戦時代を扱う。全10Turnなので、1Turnは実際の4~5年間に相当する。プレイヤーは米ソそれぞれの首脳を演じる。2014年には完全日本語版も発売されており、日本でもプレイし易くなった。
本作のシステムについては、 以前の記事 で紹介しているので、そちらを参照されたい。

今回は、本作を対戦してみた。筆者はアメリカ陣営を担当する。以下はその記録である。

1Turn(1945~1948年)

Card026筆者はヘッドラインに「CIA創設」カードを使用した。このカードは、相手の手札を全公開させるカードである。このカードによって相手側プレイヤーが「アジアの特点獲得」と「欧州の特点獲得」カードを持っていることが判明した。ソ連軍の立場から言えば、特点獲得カードの所在が明らかになった以上、相手に出し抜いて高得点を得ることが不可能となったわけである。尤も、欧州にせよアジアにせよ、これらの地域は本ゲームで最重要地域であるため、いずれか一方が収奪し続けるということは不可能に近いのではあるが・・・。

そういった事情もあってか、ソ連側プレイヤーじゃ「欧州の特点獲得」カードを早々に使った来た。手札がバレているから、早めに使っておこうという訳であろう。この段階では両陣営とも欧州での優勢を得ていないが、ソ連が「主戦場国」であるポーランドと東ドイツを支配しているのでソ連プレイヤーは2点を獲得した。

一方の、アメリカプレイヤーである筆者は、アジア重視で、日本、フィリピン、オーストラリアを支配下においていく。さらに韓国、イランの支配を広げていく。ソ連側はアフガニスタンとパキスタンを支配してきたので、こちらとしてはヨルダンとイランを支配下に置いた後、「中東の特点獲得」カードを使って得点を獲得した。この時期、中東情勢はアメリカの一方的な支配状況だったので、アメリカ軍が計6点を獲得。勝利得点では、一気に逆転した。

Card018そして最後は「ナチの科学者を登用」して宇宙開発を実施。アメリカの人工衛星「エクスプローラー1号」が、初めて宇宙空間を飛行した。宇宙時代の幕開けである。









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2Turn(1949~1952年)

ヘッドラインはアメリカが「オリンピック」、ソ連が「核兵器禁止条約」である。いずれのカードもあまり影響のないカードだ。

このTurnは両陣営のクーデター応酬合戦となった。まずアメリカがパキスタンで軍事クーデターを起こし、強力な親米軍事政権を確立した。しかしソ連側もフィリピンでクーデターを成功させた後、さらに引き続いてパキスタンでも軍事クーデターを強行。パキスタンの右派政権を打倒してパキスタンは再び騒乱状態とした。

Card004そんな状況だから、デフコンが2になっているから、もう核戦争目前の状態である。そんな中で米国本土では、核攻撃に備えた避難訓練が盛んに行われるようになった。とはいっても強力な水爆ミサイル相手に民間防衛がどこまで役に立つのだろうか?・・・。

その間、エジプトでは、ナセル大統領就任によってソ連の影響力が強まり、さらにイタリアでは共産党が活発化してきた。ソ連はいよいよ西側諸国の本陣であるう西ヨーロッパに対して影響力を行使し始めたのである。
対するアメリカは、西ドイツの地盤を固める一方、フランスへも影響力を行使してその地盤固めを行う。

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3Turn(1953~1956年)

Card031ヘッドラインでソ連側は「危険分子の排除」カードを使ってきた。これは、そのTurnに相手のカードの作戦値を-1するカードである。正直な所、結構鬱陶しい。
仕方がないので、こちらとしては「中東の特点獲得」カードを使用し、得点固めを行う。この時期、ソ連もエジプトを拠点として中東のプレゼンスを確保しつつあったものの、イスラエル、イラン、サウジアラビアという三大国を支配下としているアメリカの優位は動かない。アメリカは4点をさらに得点した。

宇宙開発分野では、ソ連がアメリカに追いついてきた。アメリカに引き続いて人工衛星の打ち上げに成功したソ連は、次に打ち上げられたスプートニク2号で初めてライカ犬を宇宙に送り込んだ。有人飛行に先立つ動物を使った宇宙飛行の分野で、ソ連がアメリカに先んじたのである。
慌てたアメリカは、ハムという名のチンパンジーを宇宙に送りこみ、なんとかソ連に追いつこうとする。しかしソ連の宇宙開発はアメリカの予想を上回る速度で進展し、遂には人類初の有人宇宙飛行を成し遂げた。

宇宙空間で国家の威信をかけた熾烈な宇宙開発競争が続く中、ソ連は東南アジアに食指を伸ばし、ベトナム、タイに共産政権を樹立した。さらにフィリピン、インドネシア、マレーシアにも共産政権を広げていく。まさにドミノ理論を地で行くような展開であった。

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4Turn(1957~1960年)

現時点での得点はアメリカの9点で、未だにアメリカ有利の状態が続いている。全般情勢を見ると、アジアでは極東地域ではアメリカが押さえているけど、東南アジアはほぼ共産陣営が支配を固めつつあり、アメリカが恐れた「ドミノ理論」を地で行くような展開となっている。 アフリカでもソ連の勢力浸透が進んでおり、赤化が進んでいる。
主戦場であるヨーロッパでは、アメリカがイタリアでの共産党政権を打倒したけど、イベリア半島がソ連人民戦線勢力の伸長により赤化が進んでいる。
アメリカが大きく勝っているのは南米一帯で、この辺りはアメリカの支配一辺倒である。

Card062そんな中、全世界に衝撃が走った。当時のアメリカ大統領ケネディがダラスを遊説中に銃で撃たれて命を落としたのである。ちなみに「ケネディ暗殺」カードの威力は、アメリカプレイヤーの手札を全て公開状態とするもので、Turnの早い時期に使用すると結構強力なカードである。

アメリカが混乱する中、ソ連は南米地区にも浸透を図るべく、まずチリに影響度を置いて来た。アメリカ側も対抗上、アルゼンチンを固める。
そしてアメリカは、「ニクソン訪中」カードを使用。このカードを使ってチャイナカードをソ連軍プレイヤーから奪った。アメリカ外交会心の一撃である。

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つづく



トワイライト・ストラグル 日本語版
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Twilight Struggle: Deluxe Edition
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「HANNIBAL: Rome vs. Carthage」は、紀元前219年~201年に渡って戦われた第2次ポエニ戦争を扱ったSLGである。1996年に米国Avalon Hill社から出版されて作品で、その後2007年にカナダのValley Games社から再販された。さらに別の2社から再販されていることから、本作が評判の良い作品であったことがわかる。

今回、本作を対面でプレイしてみた。筆者はローマ陣営を担当する。

前回まで

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4Turn(BC215-214)

ローマ軍は「ローマの盾」ファビウス・マクシムスを副執政官(プロコンスル)に指名し、新たな執政官(コンスル)を選択する。今回引いて来たのは、ティベリウス・センプロニウス・ロングスとガイウス・テレンティウス・ウァロの2人。いずれもコンスル経験者で、ロングスは3度目、ヴァロは2度目の就任となる。

先のTurn、イタリアの戦いで大損害を被っていたハンニバル軍は、アルプスを越えて一旦ガリアに撤退。しかしその撤退行の間に貴重な象部隊1戦力を失ってしまう。パォーン。

ローマ軍は執政官ロングス麾下の1戦力をバレンシア島に侵攻させた。カルタゴ軍の注意をローマ本国から逸らすのが目的である。

あとで気づいたのですが、コンスルは常に5戦力を付随させておかないといけない、というルールを失念していました。

Cart_Magoカルタゴ軍は、ハンニバルの弟であるマゴ・バルカ(Mago)が1戦力を率いてバレンシア島に渡らせる。西地中海の制海権を得ていたローマ軍と異なり、カルタゴ軍の渡海作戦は海没の危険を伴うものであった。しかしマゴはその賭けに勝ってバレンシア上陸に成功。島内の戦闘でローマ軍を撃破し、執政官ロングスは命かながらローマ本国に逃げ帰った(このゲーム、ハンニバルと大スキピオ以外は絶対死ぬことはない)。

ローマ軍はもう1人の執政官ヴァロが5戦力を率いてバレンシアに上陸する。ローマ軍の強みは海上機動力にあるのだ。5倍の兵力相手ではさすがのハンニバル一族でも勝ち目はなく、マゴは兵を見捨てて本国へ撤退していった。

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ハンニバル本人はガリア南部のローマ側港湾都市マッシリア(現在のマルセイユ)を包囲し、その攻略に着手した。

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5Turn(BC213-212)

Roma_Marcellusプロコンスルは今回もファビウス・マクシムス。新たな執政官は、前回にバレンシアで戦勝を飾ったガイウス・テレンティウス・ウァロと・・・。そして遂に登場、「ローマの剣」マルクス・クラウディウス・マルケッルスが執政官に就任した。ここに至り、ローマ軍もようやく人材がそろってきた。

まずこのTurnの最初にハンニバルによって包囲されていたマッシリアが陥落した。ローマは南ガリアの重要拠点を失ったことになる。

ローマはバレンシアにいたヴァロが5戦力を率いて渡海。アフリカの西ヌミディア国の港町サルデー(Saldae)に上陸した。

「ローマ軍、アフリカに上陸す」

その報に接したカルタゴ元老院も即座に対応。バレンシア島から戻ってきたマゴ・バルカに7戦力を与えて海路でサルデーに向かわせた。無事に海輸を終えたマゴのカルタゴ軍は、ローマ軍に襲いかかる。兵力、指揮官の能力、さらには地の利を得ていたカルタゴ軍はローマ軍を圧倒。ローマ軍は成す術もなく敗走。西ヌミディアの奥地に逃げるしかなかった。

「やはり、いきなりアフリカ上陸はやり過ぎだったか・・・」

と後悔するローマ軍であったが、後の祭りであった。

ローマで準備を整えた新コンスルのマルケッルスは、9戦力を率いて地中海を渡海。南ガリアのニース(Nice)に上陸した。ハンニバルは4戦力を率いて迎撃に向かう。風光明媚なニースの街で、ハンニバルの「ローマの剣」マルケッルスが初めて激突する。兵力に勝るローマ軍であったが、ハンニバルは果敢に攻撃を実施。ハンニバルは終始主導権を取り続けたが。マルケッルスはハンニバルの攻撃を悉く跳ね返した。とうとうハンニバルはカードを全て使い切って敗北。戦力の半数を失ったハンニバルはやっとの思いで後退していった。

マルケッルスは、マッシリアを包囲し攻城戦を行う。しかしマッシリアの攻囲が続く中、スペインで兵力を回復させたハンニバルが、ガリアに戻ってきた。ハンニバルは5戦力、マルケッルスは6戦力。兵力的にはローマ軍が有利だが、相手は戦術の天才ハンニバルである。この程度の兵力差は物ともしない。4ラウンドの戦いでローマ軍は脆くも敗退。3戦力を失ってアルプスの麓に後退していった。

「ハンニバル、強ぇー」

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6Turn(BC211-210)

Roma_Scipio_Africanusローマ最強のスキピオ・アフリカヌス(Scipio Africanus)が遂に登場してきた。ハンニバルハンニバルと互角の能力を持つローマ軍の至宝である。もっとも、その最期は(ハンニバル同様)あまり幸せな終わり方ではなかったそうだが・・・。ちなみにこの時のスキピオは25歳でハンニバルとは11歳違い。この時期、彼は副執政官(プロコンスル)の立場であり、執政官就任は彼がイベリア半島のカルタゴを一掃した後のBC205年とされている。

スキピオは10戦力を率いて海路ニースに上陸。マッシリア攻略戦に着手した。ハンニバルの目の前に上陸したのである。明らかにハンニバルを挑発した動きである。ハンニバルは僅かに4戦力しかなかったが、若きスキピオの挑戦を受けて立った。南ガリアのマッシリアにて、ハンニバルとスキピオ。2人の名将が激突する。(まるでラインハルトとヤンの対決だな、どっちがラインハルトかは別として・・・)

スキピオはハンニバル軍の左翼を猛攻。あえて左翼を手薄にしていた(つまりカードが少なかった)ハンニバル軍は不意を突かれて敗走してしまう。後に「マッシリアの戦い」と呼ばれる合戦は、スキピオの勝利に終わった。
ハンニバルは象部隊と共にイベリア半島を後退していったが、スキピオ軍はそれを追撃し、ハンニバルを捕縛に成功。この時点で第2次ポエニ戦争は事実上の終結を迎えた。ハンニバルが捕縛された場所は、イベリア半島付け根にあるタラッコ(Tarraco)という町である。奇しくも史実に置いてスキピオ・アフリカヌスがスペイン攻略のための基地とした場所であった。

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感想

記録を見ると、前回プレイしたのは10年前であった。 その時の記録によれば
「ちょこちょこプレイしていきたい作品です」
と書かれていたが、まさかその次のプレイが10年後になるとは、当時は予想してなかっただろう。
という訳で久しぶりのプレイであったが、やはり面白い。ルールはシンプルだが、カードドリブンゲームなのである程度の慣れは必要。実力差が大きい相手とはプレイしたくない作品だが、同程度の実力同士なら伯仲したゲームが楽しめるのではないだろうか。ルールは比較的シンプルな上、慣れればサクサク進むので、1日に数回プレイすることも可能だろう。カードを使った合戦が盛り上がる点も良い。難点と言えば、Valley Games版は箱が大きいので可搬性に難があることぐらいか・・・。

ちなみにこのゲームをプレイするにあたって塩野七生氏の「ローマ人の物語II - ハンニバル戦記」を読んでみた。単行本版で400ページ近い大作だが、この本を読むとゲームの中で描かれている事象が生き生きと感じるようになる。本作をプレイする際には、是非一読をお奨めしたい作品だ。

VaG_Hannibal表紙




Hannibal-ボードゲーム
ハンニバル戦記──ローマ人の物語[電子版]II

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「HANNIBAL: Rome vs. Carthage」は、紀元前219年~201年に渡って戦われた第2次ポエニ戦争を扱ったSLGである。この第2次ポエニ戦争は共和制ローマとカルタゴとの戦いで、カルタゴの名将ハンニバルが活躍したことから別名「ハンニバル戦争」とも言われている。

この「HANNIBAL: Rome vs. Carthage」(以下、本作)は、1996年に米国Avalon Hill社から出版されて作品で、その後2007年にカナダのValley Games社から再販された他、さらに別の2社から再販されている。今から30年近く前で、しかもウォーゲーム氷河期に出版されたゲームにも拘らず再販を繰り返されていることから、本作が評判の良い作品であったことを伺わせている。
本作のデザイナーは、マーク・シモニッチ氏。今や押しも押されぬ名ゲームデザイナーとなったシモニッチ氏が、比較的初期に発表した作品だ。

本作の基本システムは、カードドリブンシステムである。For the PeopleやPaths of Gloryといった初期に発売されていたカードドリブンシステムのゲームとほぼ同様のシステムを採用している。プレイヤーは配られたカードを元にゲームを進めていく。カードをプレイする際には、カードの記載された作戦値を使用するか、カードに記載されたイベントを発動するかいずれかである。この繰り返しでプレイを進めていく。

本作の特徴的な部分は戦闘システムである。戦闘比とかファイアーパワーとかいったシステムではなく、お互いに戦闘カードを配ってそのカードを出し合ってプレイする方式である。使える戦闘カードの枚数は、戦闘に参加する部隊数と指揮官の能力等で変化し、兵力が大きくて指揮官が優秀なほど配られる戦闘カードが多くなる。戦闘カードは、「接触」「正面突撃」「左翼」「右翼」「両翼包囲」「予備」の計6種類があり、攻撃側がカード1枚を出し、それに対して防御側が同じカードを1枚出す。防御側が同じカードを出せなくなったら戦線崩壊で防御側の負けになる。また防御側は攻撃を凌いだ後にダイスを1個振り、指揮官の戦術値以下の目を出すと防御側と攻撃側が逆転する。また「予備」カードは何でも使える便利カードだが、防御側が「予備」カードを出し始めたら戦線崩壊が近いな、と予想できてくる。当然ながら手元の戦闘カードが多い方が勝率が高くなるが、優秀な指揮官が敵の手薄なカードを狙って逆襲を仕掛けると、カードの少ない側でも逆転の可能性がある所が面白い。
ちなみに戦闘解決時には逆襲判定以外ではダイスを使わないが、戦闘終了後の損耗判定にはダイスを使用する。

マップには、イタリア半島、イベリア半島、北アフリカ、そしてそれらに囲まれた西地中海一帯がポイントトゥポイントで描かれている。第2次ポエニ戦争の戦場となった領域全てが含まれており、ハンニバルによるアルプス越え、スキピオによるイベリア半島進攻、そしてスキピオとハンニバルのザマでの決戦が再現できるようになっている。

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今回、本作を対面でプレイしてみた。筆者はローマ陣営を担当する。

1Turn(BC218)

Cart_Hannibalイベリア半島からガリア南部を経てアルプスに挑むハンニバル。史実通りアルプスを越えていきなりローマ近くのファレリイ(Falerii)に姿を現してきた。ハンニバルの大胆な挑戦に対して、当時のローマ執政官プブリウス・コルネリウス・スキピオ(P. Scipio)は、ローマ兵8戦力を率いてハンニバルに挑む。

ハンニバルはローマ軍左翼を攻撃し、ローマ軍の注意を引き付けた後、騎兵を背後に回り込ませて「包囲戦」を敢行。最初の包囲攻撃をなんとか耐えたローマ軍であったが、2回目の包囲攻撃は防ぎきれず。ローマ軍は5戦力を失うという大損害を被って敗退。後にファレリイの戦いと呼ばれる戦いはハンニバルの快勝に終わった。

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勝利を得たハンニバルは叫んだ。

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「私はイタリア人と戦いに来たのではなく、ローマに対抗するイタリア人の自由のために戦いに来た」

ハンニバルの言葉を受けて、イタリアの北部の2都市、アルミニ(Ariminum)とフィエーゾレ(Faesulae)がカルタゴ側に寝返った。
一方のローマ陣営はガリア沿岸の諸都市に工作を行い、ローマ陣営を広げていく。戦場でのハンニバルとの対決は避けながら…。ローマ陣営もローマ北部の中立地帯を制圧していく。

ローマ軍は最後に「ヌミディアの反乱」カードで西ヌミディアのカルタゴ陣営の支配マーカーを取り除く。

第1Turn終了時の状況は以下の通り。イタリア半島に侵攻してきたハンニバルは、ファレリイの戦いでローマ正規軍を撃破して北イタリア一帯を制圧した。一方のローマ陣営は、ガリアの地中海沿岸都市に支配域を広げつつ、西ヌミディアで反乱を扇動してカルタゴ本国に揺さぶりをかけた。

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2Turn(BC217)

ローマ軍は毎Turnにその年の執政官(コンスル)をランダムに選択する。これがローマ軍の楽しみの1つで、ローマ軍の中では比較的優秀な「ローマの剣」マルクス・クラウディウス・マルケッルス(Marcellus)とか、「ローマの盾」クィントゥス・ファビウス・マクシムス(Fabius Maximus)を引くのが大スキピオ登場以前のローマ陣営プレイヤーの楽しみになる。

Roma_G_Nero今回引いて来たのは、ガイウス・クラウディウス・ネロ(Gauis C Nero)と、ガイウス・テレンティウス・ウァロ(G Terentius Varro)。いずれも特に傑出した能力を持っているわけではないが、いずれも戦略値(Strategy Rating)が1というのが嬉しい所。戦略値というのは、この将軍が活性化するために必要な作戦カードの作戦値で、戦略値1ということは作戦値1以上の作戦カードで活性化できるということを意味する。全てのカードは1以上の作戦値を持っているので、彼らはどのカードでも活性化できるということだ。

今回はカルタゴ軍の選択でローマ軍が先攻になる(カルタゴ軍は自身で先攻後攻を選択できる)。ローマ軍は西ヌミディアの港湾都市イコシウム(Icosium)と、カルタゴ本国の港湾都市タカーペ(Tacapae)を支配する。これでカルタゴ陣営に揺さぶりをかけるのが目的だ。

SC_35その後、ローマ、カルタゴ両陣営はガリアの中立地帯にPC(政治支配)マーカーを配置していく。PCマーカーは何も置かれていないスペースにはある程度自由に配置できるが、一旦何らかのマーカーが置かれたスペースには、そのマーカーを排除しない限りそのスペースに支配マーカーを置くことはできない。一部のイベントカードでは支配マーカーをひっくり返して自陣営にすることができるが、例外的な方法となる。

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3Turn(BC218)

Roma_Marcellus先ほどコンスルに就任した2人のうちネロを副執政官(プロコンスル)として留任させ、新たなコンスルをランダムに選ぶ。今回引いて来たのは、ファビウス・マクシムスとティベリウス・センプロニウス・ロングス(Titus S Longus)の2人。ファビウス・マクシムスは史実では「ローマの盾」と呼ばれた名将。後者は第2次ポエニ戦争開戦時にコンスルを務めていた人物である。



SC_42コンスルに選ばれた「ローマの盾」ファビウス・マクシムスは、アドリア海沿岸都市アルミニに布陣するハンニバル軍に攻撃を仕掛ける。ハンニバルは象隊を突撃させたが、ローマは「象の恐慌」カードで象の突撃を無効化する。ハンニバルの猛攻を「ローマの盾」ファビウスは耐え、逆にカルタゴ軍の右翼を攻めて遂にそれを突破。カルタゴ軍の側面を撃破してハンニバルを敗走せしめた。後に「アルミニの戦い」と呼ばれる戦いで、ローマはハンニバルに初めての勝利を収めた。

BC_Re勝利に勢いを得たファビウスは、イタリア北部に撤退したハンニバルを追う。手負いのハンニバルは、進撃してきたローマ軍を地中海沿岸の港湾都市コーサ(Cosa)で迎え撃った。兵力ではローマ軍8戦力、ハンニバル軍3戦力で圧倒的にローマ軍が有利である。ハンニバルは切り札象隊を使ってローマ軍に先制攻撃。今回はハンニバルの象隊が威力を発揮し、ローマ軍を蹂躙する。兵力に劣るハンニバルは、ローマ軍右翼を集中攻撃する。兵力に勝るファビウスはカルタゴ軍の攻撃を耐え続けたが、ハンニバルの猛攻から主導権を奪い返すことができない。遂にハンニバルがローマ軍の右翼を突き崩して勝利を得た。
後に「コーサの戦い」と呼ばれる戦いで奇跡的な勝利を得たハンニバルは新たな伝説を作った。

一方南部イタリアでは、プロコンスルのガイウス・クラウディウス・ネロが、南部イタリアのブルティウム(Bruttium)に居座る親カルタゴ部族を攻撃。これを鎮圧しつつあった。

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つづく



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ハンニバル戦記──ローマ人の物語[電子版]II

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