もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

カテゴリ:読書 > 読書(洋書)

4
210319_InPassage

In Passage Perilous

Vincent P.O'Hara; Indiana University Press

サブタイトルMalta and the Convoy Battle of June 1942が示す通り、1942年6月に実施された連合軍による2つのマルタ島輸送作戦(ヴィガラス作戦、ハープーン作戦)を中心に、マルタ島を廻る枢軸軍と連合軍の戦いを描いた作品である。テーマの中心はヴィガラス、ハープーンの両作戦だが、その前後に行われた作戦や戦い(例えば8月に実施したペデスタル作戦等)についてもそれなりにページを割いている。
本書は事実を淡々の記載していくスタイルであり、数値や艦名が冷静な筆致で書き連ねられている。勇敢な兵士や智謀に溢れる提督たちの姿は描かれておらず、事実関係が淡々と書かれている。従って文章も平易であり、私のような異国人であっても理解しやすい。
また比較的データが豊富なので数値面での検証を行う際には便利であり、なおかつ個々のデータについて元となる資料が示されているのは有難い。
付け加えると、筆者は1942年6月におけるイタリア軍について、「英海軍よりも有能でミスが少なかったことが勝利の要因となった」とし、イタリア海空軍の実力を高く評価している。イタリア軍といえば一般に低い評価がなされることが多いが、本書におけるイタリア海空軍に対する高評価は興味深い。
地中海の海戦に興味のある方であれば、一読して損はないと考える。

お奨め度★★★★

3

210311_SiegeofMalta

Siege of Malta 1940-42

Authony Rogers Greenhill Books

マルタ島。地中海、シチリア島の南部に浮かぶ小さな島である。第2次大戦後に独立するまでは英国の植民地であり、第2次大戦では独伊軍の激しい攻撃に晒された場所でもある。本書は第2次大戦でのマルタ島の戦いをテーマとし、マルタ島内外での写真を紹介した写真集だ。単純な戦場写真集ではなく、マルタ島での島民の生活、例えば島民と軍人との結婚式のような風景も紹介されている。写真集なので文字情報は少ないが、逆に文字では伝わらない戦場の実感を感じさせてくれる一冊である。英語だが、文章が少ないので1~2時間程度で読了できるのも良い。

お奨め度★★★

210227_Fighters

Fighters over the Fleet

Norman Fredman Seaforth Publishing

戦闘機による艦隊防空の歴史を詳細に綴った著作である。とにかくボリュームが大きく、過去に一度読んでいたにも関わらず、今回読み通すのに2ヶ月近くかかってしまった。
本書は戦前から戦時中、さらに戦後にかけて、主に米英における空母機動部隊が敵機や対艦ミサイルの脅威から如何に生き残るべく努めてきたか、その努力と成果を記している。その全てをここに紹介するのは難しいが、気が付いた点をいくつか述べると、例えば我々が奇異に思える英海軍の複座艦上戦闘機(フルマーやファイアフライ)について、なぜ彼らがそのような選択肢を選んだのか、その一端を伺うことができる。またマリアナ沖海戦では艦隊防空に成功した米空母部隊が、日本のカミカゼ攻撃で新たに直面した課題は何だったのか。さらには戦後の核爆弾と誘導ミサイルの脅威に直面した米英の機動部隊が如何にして生き残りを図っていったのか(あるいは生き残れる確率をどの程度に見積もっていたのか)。そういった点について1つの答えを得られる著作だと思う。

お奨め度★★★★

2
201109_英仏戦艦同士の戦い

British BattleShip vs Italian Battleship

Mark Stille Osprey Publishing

オスプレイの対決シリーズで。WW2における英伊戦艦同士の地中海における戦いを描いている。オスプレイシリーズのパターンとして、両軍の戦艦の技術的な特徴、地中海の戦略的状況、実際の海戦、分析等が章立てされている。記述内容は全般的に簡潔で的を射ているが、読者にとって価値があるか否かは読者次第といったところがある。
本書を読んで改めて気づかされたことは、英仏戦艦同士の対決は戦争全期間を通じて3度しかなかったこと。そしていずれのケースでも戦艦同士の戦いは両軍とも殆ど戦果を挙げていないことである。映画「アルキメデスの大戦」で、主人公が「戦艦同士の戦いとは実に効率が悪いですね」と評した正にそのままの情景が展開された戦いと言える。
全般的には特に目新しい情報はなく、余程地中海の戦いに興味がない限り改めて読む価値には乏しい1作と言える。

お奨め度★★

3
201103_イタリア巡洋艦

Italian Cruisers of World War 2

Mark Stille Osprey Publishing

「第2次大戦におけるイタリア海軍巡洋艦」というタイトルで、そのままだと「世界の艦船」の別冊のよう。イタリア海軍の巡洋艦(重巡3タイプ7隻、軽巡6タイプ18隻)について、設計内容、兵装及び火器管制システム、レーダー装備、戦歴、タイプ別の内容や戦歴が簡潔な文書(英文)で記載されている。英文はシンプルで理解は容易だ。
私が興味を惹いたのはイタリア巡洋艦の砲戦能力。本書によればイタリア巡洋艦の砲戦能力は決して低いものではなく、精度は良かったらしい。ただし散布界が過大になる傾向があるとのこと。理由は連装砲の砲の間隔が狭くて砲弾の相互干渉を引き起こしやすかったとのこと(連装砲の俯仰角が砲別に独立していなかった)。
やや記載がアッサリしている感があるが(Ospreyの一般的な傾向)、WW2におけるイタリア巡洋艦についてシンプルにまとめた好著と言える。

お奨め度★★★

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