もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

カテゴリ:読書 > 読書(洋書)

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190814MALTA

MALTA 1940-1942

Ryan K.Noppen Ospley

マルタ島を巡る航空戦をキャンペーンレベルで分析した著作である。イタリアの参戦から始まってイタリア軍のマルタ島への爆撃開始と英ハリケーン戦闘機の迎撃。ドイツ軍の介入。英スピットファイア戦闘機の投入。マルタ侵攻作戦の中止などが記されている。オスプレイの書籍らしく、単純な戦記ではなく、両軍の兵力やハードウェア比較等にページを割いており、特に英独伊各国の航空部隊についての戦闘序列は資料的に価値が高い。
全般的な記述量は少なめだが、それだけに読みやすく、また数値的な記述も比較的豊富なのが嬉しい。

お奨め度★★★

3

Tank Killers: A History of America's World War II Tank Destroyer Force

Harry Yeide Casemate

WW2期における米駆逐戦車大隊の戦いを俯瞰的に記した著作である。個人的にM10、M18、M36等の駆逐戦車は好きだし、値段(500円弱)の割にボリュームがあったの(英文357ページ)で購入した。北アフリカからイタリア、ノルマンディ、西部防壁、アルデンヌ、ライン川等での米駆逐戦車大隊とドイツ装甲部隊の戦いを描いている。駆逐戦車大隊といっても所謂駆逐戦車だけではなく、自走式の対戦車砲やハーフトラック、装甲車等を改造した機動自動砲にも触れている。米駆逐戦車の戦いについて概要を知るには良い著作。巻末の大隊別の概略には一軒の価値あり。ただ、なぜ戦後駆逐戦車が消えてしまったかについては、もう少し突っ込んだ考察が読みたかった。

お奨め度★★★

190527_TheTankKillers

5

Midway Inquest: Why the Japanese Lost the Battle of Midway

Dallas W. Isom Indiana University Press

「ミッドウェーの検証 - なぜ日本軍はミッドウェー海戦で敗れたのか」。本書のタイトルを和訳すると、こうなるだろう。本書はミッドウェー海戦における日本軍の敗因を主に日本側の視点から検証した著作である。従って本書は洋書ながらも日本側の史料を多く引用している点に特徴がある。「戦史叢書」や「滄海(うみ)よ眠れ」(澤地久枝著)からの引用が数多く見受けられる。
本書から得ることは大きい。外国人が見た日本側の事情という点でも見るべき点が多いが、米国人特有の定量的な分析手法を使った日本海軍や日本空母部隊に対する評価という点というでも興味深いものがある。
筆者は「なぜ南雲部隊は米艦爆の爆撃を受ける前に艦攻隊を発進させることができなかったのか」という疑問から始まり、南雲司令部の決断で何が誤りであったのか、について考察している。
ミッドウェー海戦における様々な疑問、例えば・・・、

 ・南雲中将はなぜ聯合艦隊司令部の指示に反して第2次攻撃隊を対空母攻撃用に温存しなかったのか
 ・利根4号機が敵を見つけた後、南雲司令部が兵装転換の指示が遅れた訳は
 ・利根4号機は敵を発見した後、敵ハ後方ニ空母ラシキモノヲ伴ウを報じるまでなぜ1時間近くを要したのか
 ・利根4号機の敵発見から3空母被爆まで3時間近くの時間がありながらなぜ攻撃隊を発進させることができなかったのか

等について、本書は日本側の資料に基づき、アメリカ人らしいクールな分析を繰り広げている。
もう1点、本書の魅力はミッドウェー海戦での個々の戦術戦闘についての考察である。日本側ではあまり知られていない南雲機動部隊の防空戦闘について(日本側の資料ではだいたい「ドーントレスの奇襲を受けるまでは零戦が完璧な防空戦闘を行った」としている)も本書は詳しく記載している。そして空母を守る零戦隊が実はかなりの苦闘を強いられていたこと、特に最後に飛来してきた「ヨークタウン」の艦攻隊に対しては零戦隊は殆ど有効な防空戦闘を行い得なかったこと(これにはサッチ少佐の活躍による所が大きい)等、日本では殆ど知られていない事実も紹介されている。

とにかくミッドウェー海戦を扱った書籍の中でもこれほど面白い著作も珍しい。英語という点を差し引いても、ミッドウェー海戦に興味のある向きには必読書といっても良いだろう。

お奨め度★★★★★

190702_Midway

3
Battle of the Coral Sea 
Peter Dunn Australia@War
珊瑚海海戦について調べてみたくなり、購入した著作。出版が2017年と比較的新しいにも関わらず、内容的にはそれほど目新しさはない。日本側の記録については特に不正確で、基本的なデータ(両軍の損害)についても、不正確な点が見受けられる。
このように書くと本書が全く価値のない著作のようにも思えるが、必ずしもそうではない。本書はサブタイトルが"The Battle That Saved Australia"となっており、オーストラリアの目から見た珊瑚海海戦の有様が克明に描かれている。さらに巻末の付録には、ポートモレスピーやオーストラリアから発進した米豪の
航空隊についての戦闘記録が詳細に記載されており、それだけでも本書の価値はあると言える。

お奨め度★★★

190502_珊瑚海

3
B-52 Stratofortress vs SA-2 "Guideline" SAM
190509_B52vsSA2

本書はベトナム戦争における米空軍B-52と北ベトナム軍のSA-2"Guideline"地対空ミサイルの対決を描いた著作である。オスプレイの他の対決シリーズと同じ構成になっており、まず対決するそれぞれの主役B-52とSA-2の開発経緯が技術的特徴に触れた後、対決の背景となる戦略的状況に触れ、最後に両者のライバッカー作戦における対決場面を描いている。素人の目に見ると、あの巨大なB-52がどうやって精巧なSAMを回避するのか、想像することすら難しいが、B-52はSAMにとっては「難敵」であったようだ。まず爆撃針路には巨大なチャフコリドーが形成され、その中を飛ぶB-52はSA-2の"Fan-Song"レーダーから守られる。さらにチャフの雲の中からB-52をレーダーで捕捉しても、B-52自体の持つ強力なECMがミサイルの誘導を妨害する。さらにレーダーを使った瞬間、護衛についているワイルドウィーゼル機がSAMをハントする。米軍の報告によると882発のSA-2がB-52に向けて発射され、有効弾(直撃又は至近爆発)が24発、15機が撃墜されたという。しかし米軍の見積もりによるSA-2の発射数評価はやや過大な傾向があり、実数は200~300発という説もある。後者を採用すれば命中率は10%前後になる。
いずれにしてもB-52とSA-2の対決は、大規模防空システムとジェット爆撃機の対決という類のもので、他の類を見ない興味深いものだ。

お奨め度★★★

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