もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

カテゴリ:戦史 > ナポレオン戦争

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以前にソロプレイを紹介した「War and Peace」の「解放戦争シナリオ」(1813戦役)。今回はこれを対戦でプレイした。筆者はフランス軍を担当する。

1813年4月

フランス軍がベルリン、ライプチヒ、ドレスデンを同時に攻撃。各地でフランス軍が勝利を収めた。上記3個所は全てフランス軍が占領。フランス軍は3戦力の損失に対して、連合軍はプロイセン軍が6戦力、ロシア軍は5戦力を失った。

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1813年5月

ライプチヒ、ドレスデン方面ではフランス軍が塹壕線を構築して防衛体制を固める。北部戦線ではダヴー将軍麾下のフランス軍8戦力がハンブルクに進撃。ハンブルクを守るプロイセン・ロシア連合軍6戦力を攻撃する。連合軍を指揮するのはプロイセン軍ビューロー将軍。都市に籠る連合軍をフランス軍が強襲。指揮能力と士気に勝るフランス軍が連合軍を圧倒し、連合軍は降伏を余儀なくされる。ビューロー将軍はフランス軍の捕虜となった。

この時点でフランス軍の勝利点は計4点。このまま勝利点を貯めてオーストリアを参戦させないでおきたい。

連合軍はクライスト将軍(プロイセン)、コンスタンティン将軍(ロシア)の両将が率いる計13戦力(約6.5万)でドレスデン前面に攻勢を仕掛けてきた。フランス軍は塹壕線で耐えつつ増援を待つ。ヴィクトール将軍、スールト将軍麾下の部隊が次々と来援して連合軍を迎え撃つ。
結局、フランス軍増援部隊が連合軍を撃破してフランス軍の勝利。しかもこの戦いでロシア軍コンスタンティン将軍が負傷。退場を余儀なくされる。

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1813年6月

フランス軍が損耗フェイズで6の目を出してしまい、大損耗を強いられる。損耗で失った戦力は計15戦力にも及び、これまでで最大の損害を被ってしまう。
それにもめげずフランス軍はオーデル川西岸に残っているプロイセン、ロシア連合軍を追撃する。ヴィクトール将軍麾下の部隊(4戦力)が2倍近い連合軍を撃破。この勝利によってフランス軍の獲得した勝利点は計6点となった。

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連合軍は、バルクレイ将軍率いるロシア軍とブリュヒャー将軍率いるプロイセン軍がベルリンに向けて殺到する。ベルリンを守るフランス軍ウジェーノ将軍は塹壕線に籠って善戦するが、兵力の差は如何ともしがたく、3戦力を失って後退。ベルリンは再び連合軍の手中に落ちた。

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1813年7月

ベルリン方面に向けたフランス軍の反撃が開始される。ナポレオン自ら率いる8戦力(約4万)が、ベルリンに布陣するバルクレイ将軍率いるロシア軍6戦力を攻撃。ダヴー将軍麾下の12戦力がベルリン後方に布陣するブリュッヒャー率いる9戦力を叩く。
後に「ベルリンの会戦」と呼ばれる大会戦でフランス軍は大勝利を収めてバルクレイ、ブリュッヒャー両将は撤退を余儀なくされる。これによりフランス軍の勝利点は8点となり、オーストリア参戦の可能性はいよいよ遠のいた。

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1813年8月

連合軍はドレスデンに向けて反撃を指向してきた。例によってバルクレイ、ブリュッヒャー両将率いるロシア、プロイセン連合軍である。ドレスデンを守るのはフランス軍マーモント将軍麾下の5戦力。塹壕線に籠るフランス軍であったが、兵力に勝る連合軍の猛攻に苦戦を強いられる。しかし後方からヴィクトール将軍麾下のフランス軍9戦力が応援にかけつけると形勢は逆転。フランス軍の反撃によって連合軍は総崩れになる。
この「第2次ドレスデン会戦」の敗北によって対仏同盟は崩壊。プロイセンは単独でフランスとの講和を行い、ロシア軍は遠くロシア本国に向けて撤退していった。

対仏同盟云々というのは作り話で、単にプレイヤーが投了しただけです。

感想及び後日談

フランス軍が勝利点を大量に獲得したのが勝因であった。連合軍が大規模兵力による反撃を数回に渡って企図し、それが悉く失敗したこと。さらに連合軍反撃部隊がフランス軍の逆反撃を受けて敗北したことにより、さらに勝利点を献上することになってしまった。同盟ルールが適用されるシナリオ全てで言えることだが、敵に攻撃される可能性のあるスタックは4戦力以下が大原則。5戦力以上でスタックしていると、敵にそこを狙われる。特に指揮能力や士気値で劣る連合軍の場合は猶更だ。
ちなみにその後同じ立場で同じシナリオを再戦したが、その時はフランス軍が大苦戦した。連合軍は前回の教訓を受けてスタックをバラシてきたので、フランス軍が勝利点を思うように獲得できない。また要域ベルリンの周囲には4戦力スタックによる「壁」を作ってきたので、ベルリン占領のままならない。それでも一度はフランス軍がベルリンを落としたものの、その後の連合軍の反撃でベルリン失陥。しかも損耗チェックで6の目を3回も出してしまったフランス軍が大消耗。

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そうこうしている間に同盟フェイズで有利なDRMが得られないままオーストリアとスウェーデンが連合軍側に立って参戦したことにより万事休す。さらに「泣き面に蜂」とはまさにこのこと。親仏衛星諸国も次々と寝返る。最後はフランス本土国境まで後退し、地形を利用した巧みな防衛戦で連合軍に一泡吹かせましたとさ。ゲーム自体はボロ負けだけどね、

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第2回目の対戦の方が得るところが大きかったが、詳細な記録を取らなかった(第1回目の勝利で個人的には満足していた)ので概要レベルの紹介でお許し頂きたい。第2回目の対戦で分かる通り、連合軍が適切な初期配置を行えば、フランス軍がベルリンを奪取するのは容易ではなく、結果としてフランス軍の勝利もなかなか難しくなるのではないかと思われる。

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「War and Peace」(邦訳:戦争と平和、以下本作)は、1980年に米国のThe Avalon Hill Game Co(TAHGC)から発表されたナポレオン戦争を扱ったシミュレーションゲームである。デザイナーは、Mark McLaughlinで、本作以外では30年戦争を扱った"Holy Roman Empire"や、太平洋戦争キャンペーン"East Wind Rain"等のデザインでも知られている。
今回、本作をVASSALでソロプレイしてみることにした。選んだシナリオは「解放戦争」。一般には諸国民戦争とも呼ばれる1813年の戦いである。

前回まで-->こちら

シナリオV.解放戦争(承前)

8Turn(1813年11月)

このTurnから冬季になる。冬季は損耗チェックのダイス目にDRM+1が適用される。
フランス軍の手番。損耗フェイズのダイス目は6。フランス軍にとっては最悪の出目である。とはいっても冬季でDRM+1が適用されるので、5も6も変わらないのだが・・・。3戦力以上がスタックしている場所では1戦力、6戦力以上なら2戦力が失われる。損耗によりフランス軍は計10戦力を失った。
フランス軍は主力をエルベ川の西岸に後退させつつ、一部兵力で反撃を試みる。ライプチヒからさらに西へ進んで所謂「西ドイツ」領内まで前線不覚突出していたオーストリア軍別動隊をスールト将軍が攻撃してこれを撃破した。
その北方ではマグデブルグを奪回すべくナポレオン直卒の部隊がスウェーデン軍を攻撃した。指揮官の能力と部隊の士気で勝るフランス軍の勝利に終わり、ベルナドット率いるスウェーデン軍はエルベ川の東岸に追い出された。

連合軍の手番。損耗フェイズのダイス目は2。冬季なので3になる。損耗した兵力はなかった。
連合軍は兵力を結集してエルベ川に向けて進撃。ナポレオンの守るマグデブルグを攻撃する。全力で20戦力近い数を揃えて総攻撃を仕掛けてきた。しかしナポレオンの奮戦でフランス軍はマグデブルグ前面での攻勢を阻止した。なお、この戦いでフランス軍ヴィクトール将軍が負傷・退場していった。
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9Turn(1813年12月)

最終Turnである、フランス軍の手番。損耗フェイズのダイス目は5。冬季DRM+1が適用されるので修正後は6。フランス軍にとっては最悪の出目である。3戦力以上のスタックなら1戦力、6戦力以上のスタックなら騎兵を含む2戦力が昇天する。フランス軍は衛星国の分も含めて計6戦力を失った。
フランス軍は勝利条件を見据えた布陣を敷く。フランス軍にとって本シナリオの勝利条件は、「マップ3にある大都市を1個以上包囲されずに確保すること」とある。マップ3、すなわちドイツ一帯で1つでも大都市を保持すれば良い。フランス軍が目を付けたのは、西ドイツ、エルベ川西岸地区のカッセル。連合軍のスタックを見ると、2戦力以上ならオーバーランを食らう心配がないことがわかる(8戦力以上でスタックしているものはない)。そこで要所はカッセル周辺に2戦力と1戦力からなる5つの部隊を編制し、カッセルに隣接するヘクスにばら撒いた。カッセル周辺に展開したフランス軍の総兵力は8戦力(約4万)。その他の兵力を含めても総兵力は14戦力(イタリア方面除く)に過ぎなかった。これは正面に展開している連合軍兵力の約1/3に過ぎなかった。
対する連合軍。損耗フェイズのダイス目は4で、冬季修正適用後は5となる。連合軍は4戦力を失った。
連合軍は全線に渡って総攻撃を行う。兵力で劣るフランス軍は各所で圧倒され、多大な兵力を失った。しかしエルベ川の地形に拠り、また指揮官の能力に勝るフランス軍もまた善戦した。
結局連合軍はカッセルを取れなかった。勝利条件的にはフランス軍が勝利したことになる。しかし戦いが終わった時、西ヨーロッパに展開していたフランス軍の総兵力は僅か8戦力まで打ち減らされていた。
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結論にかえて

一連の戦いによる両軍の損害(戦闘、損耗、強行軍による)は以下の通りである。

フランス軍:正規兵64戦力、騎兵10戦力、親衛歩兵9戦力、親衛騎兵1戦力:合計84戦力

フランス衛星国軍:イタリア軍9戦力、ナポリ軍2戦力、バヴァリア軍5戦力、ライン同盟軍2戦力、サクソニー軍2戦力、ウェストファリア軍1戦力、ヴュルテンブルグ5戦力、デンマーク軍2戦力、ポーランド軍3戦力:合計31戦力

プロイセン軍:正規兵21戦力、騎兵2戦力、民兵10戦力、同盟国(ヘッセン)軍2戦力:合計35戦力

ロシア軍:正規兵27戦力、騎兵4戦力、親衛歩兵3戦力、親衛騎兵1戦力、コサック騎兵5戦力、同盟国(スウェーデン)軍4戦力:合計44戦力

オーストリア軍:正規兵7戦力、民兵7戦力、騎兵4戦力:合計18戦力

上記を合計すると、フランス軍は115戦力(約57.5万人)を失い、連合軍は97戦力(48.5万人)を失った。想像を絶する数である。

感想

今回、序盤は連合軍にとって苦しい展開となったが、その原因は序盤に勝利点と都市点をフランス軍に多く取られてしまったことにある。特に第1Turnに3個所の決戦に敗北し、ドレスデン、ライプチヒ、ベルリンといった拠点3個所を失ったのが痛かった。第6Turnの同盟フェイズで6の目を出してオーストリアの参戦を呼び込んだが、それがなかったらオーストリアの参戦を引き寄せることが最後までなかったかも知れない。
この戦いの後に振り返ってみたのだが、連合軍にとって第1Turnでのドレスデン、ライプチヒの陥落はほぼ不可避であると考える。そしてそれらの攻防戦で2点の勝利点をフランス軍に献上することもほぼ決定事項と言えよう。
しかし問題はベルリン攻防戦である。第1Turnにベルリンをフランス軍に明け渡す必要はないし、勝利点を与える必要もない。具体的言えば、ベルリンの周辺1ヘクスに3~4戦力からなるスタックで「壁」を作ってベルリンへのフランス軍の接近を阻止する。「壁」は1Turnしか持ちこたえられないが、フランス軍に勝利点を与えることはないし、ベルリンの占領も阻止できる。その結果、ベルリンとブレスラウは連合軍の手中に残るので、連合軍は都市点2点を手にする。フランス軍としてはベルリンに拘らず、Lubeckに集結している連合軍を叩いた方が有効であると感じる。これによってフランス軍は3点目の勝利点を獲得し、北方に対する連合軍の脅威を排除できるようになる。
この段階でフランス軍は勝利点3点、連合軍は都市点2点を獲得。DRMが-1なので、その状態を維持できればフランス衛星国の参戦が期待できる。しかし6月以降は同盟フェイズで連合軍に有利なDRMが適用される。そのためフランス衛星国の参戦は怪しくなる。2Turn以降は同盟フェイズで有利なDRMを得るため、都市点や勝利点を巡るフランスと連合軍との戦いが続くことになるだろう。
とまあ色々考えていると、このシナリオは結構バランス的にも面白く(連合軍が有利か)、かつ史実に近い展開になる面白いシナリオではないだろうか。

本作全体の感想だが、システム的にはシンプルで分かりやすい。テクニカルな面では、同盟ルールが適用される場合とされない場合(シナリオによっては同盟ルールを無視するものがある)で若干異なってくる。しかしそれも難しい内容ではない。要するに適度な「分進合撃」を心がけておけば良い。そういった意味では、本作はナポレオン戦争を扱った古典的な作品ながら、同時代の戦争をシンプルかつ的確に再現した良作だと評価できよう。

ただし損耗ルールがダイス一発で決まるのは如何なものかと思う。6の目を出して10戦力以上が瞬時に昇天したことには唖然とした。

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Photo by Wikipedia

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「War and Peace」(邦訳:戦争と平和、以下本作)は、1980年に米国のThe Avalon Hill Game Co(TAHGC)から発表されたナポレオン戦争を扱ったシミュレーションゲームである。デザイナーは、Mark McLaughlinで、本作以外では30年戦争を扱った"Holy Roman Empire"や、太平洋戦争キャンペーン"East Wind Rain"等のデザインでも知られている。
今回、本作をVASSALでソロプレイしてみることにした。選んだシナリオは「解放戦争」。一般には諸国民戦争とも呼ばれる1813年の戦いである。

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シナリオV.解放戦争(承前)

4Turn(1813年7月)

フランス軍の手番。損耗フェイズのダイス目は4。6戦力以上スタックしているヘクスが損耗対象となる。フランス軍は衛星諸国2戦力を含む計3戦力を失う。
同盟フェイズは例によってスキップ。
増援フェイズ。マインツ(Mainz)に計22戦力(約11万)の大量増援が登場する。しかもそのうち6戦力は親衛隊だ。
移動フェイズ。フランス軍は戦線南方のドレスデン方面に兵力を集めつつ、戦線北方のベルリン方面では機動戦を展開する。オーバーラン攻撃によってプロイセン軍3戦力を撃破したフランス軍は、オーデル川河畔に陣取るブリュッヒャー将軍麾下のプロイセン軍4戦力を攻撃する。戦闘比は1-1だが、士気差によりフランス軍が有利な筈であった。そして結果は予想通りフランス軍の勝利。ブリュッヒャー軍はオーデル川から東に向けて撤退した。、

連合軍の手番。損耗フェイズ。出目は1。連合軍にとっては最良の目だ。16戦力以上のスタック又は補給切れで11戦力以上のスタックなら損耗が発生するが、そのようなヘクスはない。
同盟フェイズは例によってスキップ。
移動、戦闘フェイズ。ロシア軍の騎兵を中心とする部隊が、バルクレイ将軍とコンスタンティン将軍に率いられてベルリンとマグデブルグを急襲する。それを迎え撃つのは、フランス軍スールト将軍とウジェーヌ将軍。ロシア軍にとっては勝機のある戦いであったが、またもや戦闘のダイス目が振るわずにロシア軍は敗退し、ベルリン、マグデブルグはフランス軍ががっちりと抑えている。

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5Turn(1813年8月)

フランス軍の手番。損耗フェイズのダイス目は4。6戦力以上スタックしているヘクスが損耗対象となる。フランス軍は衛星諸国1戦力を含む計4戦力を失う。
同盟フェイズは例によってスキップ。
増援フェイズ。マインツ(Mainz)に計4戦力(約2万)の増援が登場する。
フランス軍は連合軍最後の要域ブレスラウ(Bresrau)に攻撃を加える。ネイ(Ney)将軍麾下の4戦力がプロイセン軍ヨルク将軍麾下の4戦力を攻撃。その後方からそれぞれナポレオン直率の10戦力とブリュッヒャー将軍麾下の5戦力が後詰として控える。
戦いはフランス軍優位に進んだが、増援に現れたナポレオン軍の士気が低かったのが裏目(同盟軍が大半であった)。彼らは一戦戦っただけで戦意を失った後退してしまう。かくしてフランス軍のブレスラウ攻略作戦は失敗に終わった。

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連合軍の手番。損耗フェイズ。出目は5。連合軍にとっては宜しくない目だ。しかし連合軍は兵力が少なかったため、失ったのはプロイセン軍1戦力で済んだ。
連合軍はベルリン方面に総攻撃をかける。プロイセンとロシアの合わせて20戦力(約10万)以上の戦力がベルリンに向けて殺到。スールト、ダヴー両将率いる計12戦力(約6万)のフランス軍と交戦する。兵力に勝る連合軍と兵の士気と指揮官の能力に勝るフランス軍の戦い。決着は連合軍の勝利。クライスト将軍麾下のプロイセン軍がベルリンに入城し、ベルリンは約3ヶ月ぶりにプロイセン軍の手中に帰した。
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6Turn(1813年9月)

フランス軍の手番。損耗フェイズのダイス目は1。フランス軍にとっては最良の出目である。フランス軍の損耗はなしだった。
同盟フェイズ。連合軍がベルリンを奪回したので、連合軍の都市点は2点になった(ベルリンとブレスラウ)。フランス軍は勝利点が3点あるが、シナリオ特別ルールでオーストリア参戦まではDRM+3がつくので、最終的なDRMは+2となる。修正後の出目が7以上ならオーストリアとスウェーデンが連合軍側に立って参戦することになる。
出目は6で修正後は8。これでオーストリアとスウェーデンの参戦が決まった。フランス軍としては一気に苦しくなる。
フランス軍はベルリンを奪回し、加えて同方面に集結しつつあるロシア軍に打撃を与えるため、主力部隊をベルリン方面に向かわせた。ナポレオン、ダヴー両将率いるフランス軍が総勢22戦力。さらに後詰としてスールト将軍率いる8戦力が待機。総兵力30戦力(約15万)でベルリン方面に攻勢を仕掛けた。連合軍はロシア軍のバルクレイ将軍、プロイセン軍ビューロー将軍らが率いる総戦力23戦力。兵力、士気、そして指揮官の能力のいずれの面でもフランス軍が有利。フランス軍の勝利は約束されていた筈であったが・・・。
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親衛隊を率いたナポレオン直率の部隊が、ロシア軍のバルクレイ将軍に大苦戦(出目が悪かった)。慌てて後方からスールト将軍麾下の増援部隊が増援に向かったが、これまたスールト将軍の到着が何故か遅れてしまう(アンタはグルーシーかい・・・)。結局ナポレオン軍はバルクレイ軍に敗れて後退。ナポレオンに勝利した連合軍は貴重な勝利点3点を獲得した。フランス軍としては、ダヴー将軍麾下の部隊がベルリンを奪回したのが唯一の慰めである。なお、プロイセン軍のクライスト将軍がこの戦いで負傷。戦場を退くことになる。

フランス軍としては、これまで決戦での出目が良かった分をここで取り返された感がある。 

連合軍の手番。損耗フェイズのダイス目は2。オーストリア軍の大スタックが解消していない状況なので、損耗ダイスの目が小さいのは連合軍としては有難い。
オーストリアが参戦したため、南部戦線で連合軍が攻勢に出た。ドレスデンに向けてはシュヴァッツェンベルグ公(Schwarzenberg)率いるオーストリア軍がロシア軍、プロイセン軍と共にドレスデンに侵攻する。連合軍の兵力は32戦力。その半数以上がオーストリア軍だ。
ドレスデン周辺に展開するフランス軍は20戦力弱。戦力に劣るフランス軍はそれでも奮戦したもののドレスデンを守り切れずに後退する。 さらにその南方では、オーストリア軍がイタリアやバヴァリアに侵攻、ミュンヘン、トリエステ等の都市を次々と占領していった。

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7Turn(1813年10月)

フランス軍の手番。損耗フェイズのダイス目は1。フランス軍にとっては(またもや)最良の出目である。フランス軍の損耗はなしだった。
同盟フェイズ。連合軍は都市点5、勝利点3。フランス軍は都市点1、勝利点3。その差はDRM+4で最大値だ。出目は5で修正後は8。フランス軍にとっては不幸な出目である。フランスの同盟国であったバヴァリア、ライン同盟、サクソニア、スイス、ヴュルテンブルクが離反し、連合軍側につく。幸か不幸か、これら同盟国の部隊はスイスを除いてこれまでの戦闘で概ね壊滅していたので、フランス軍の被った損害は最小限で済んだ。
なお、これによって以後同盟フェイズはなくなる。
フランス軍は3個軍を編成。それぞれナポレオン、ダヴー、スールトに指揮させる。ナポレオンはライプチヒの防衛、ダヴーはベルリン防衛、スールトは南方から来るオーストリア軍への対応だ。各部隊はそれぞれ正面の連合軍を撃破し、当面の任務は達成した。
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連合軍の手番。損耗フェイズのダイス目は2。損耗した兵力はなかった。
同盟フェイズについては、シナリオ特別ルールにより2回連合軍に有利なイベントが発生すると以後同盟フェイズはスキップする、となっている。
反攻に出たい連合軍ではあったが、連合軍側も決して潤沢な兵力を有している訳ではない。そこで全面攻勢は仕掛けず、部分的な攻勢作戦を実施した。目標はベルリン。フランス軍のダヴー将軍麾下の9戦力が守りを固めている。そこへシュヴァッツェンベルグ公率いるオーストリア軍計14戦力とバルクレイ将軍率いるロシア軍5戦力が共同で攻撃を仕掛けた。兵の質で優るフランス軍であったが、悪い目を出して士気阻喪してしまい、士気での優位が失われた。こうなってしまえば後はただの消耗戦になるので、長居は無用とばかりにフランス軍は撤退する。しかし無事戦場を離脱した時には、その兵力は当初の9戦力から5戦力に打ち減らされていた。さらにフランス軍にとって痛かったのは、フランス軍の名将ダヴー将軍が、戦闘中に負傷し後送を余儀なくされたことである。

本作では、戦闘に参加した指揮官は全員負傷チェックを強要される。そして6ゾロで負傷し、さらに1d6Turnお休みとなる。この時、負傷期間を決めるダイスで6を出すと戦死となる。つまり戦闘に参加したら216分の1(0.5%弱)で戦死となる訳だ。これはたとえ皇帝ナポレオンであっても例外ではない。最大120Turnのグランドキャンペーンシナリオの場合、ナポレオンが途中で戦死・退場の可能性は結構高い。
 
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(つづく)

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「War and Peace」(邦訳:戦争と平和、以下本作)は、1980年に米国のThe Avalon Hill Game Co(TAHGC)から発表されたナポレオン戦争を扱ったシミュレーションゲームである。デザイナーは、Mark McLaughlinで、本作以外では30年戦争を扱った"Holy Roman Empire"や、太平洋戦争キャンペーン"East Wind Rain"等のデザインでも知られている。
今回、本作をVASSALでソロプレイしてみることにした。選んだシナリオは「解放戦争」。一般には諸国民戦争とも呼ばれる1813年の戦いである。

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シナリオV.解放戦争(承前)

1Turn(1813年4月)

まずはフランス軍のプレイヤーターンである。
第1Turnは損耗フェイズと同盟フェイズはスキップする。従っていきなり移動フェイズから始まる。フランス軍は全戦線で総攻撃を仕掛ける。ここで決戦に勝利すれば、勝利点を獲得できるからだ。
まず北部ベルリン方面では、ヴィクトール(Vicror)将軍麾下のフランス軍4戦力(約2万)がベルリンを守るプロイセン軍1戦力(約0.5万)を強襲。これを陥落せしめていた。またその西方では、ダヴー(Davot)将軍麾下のフランス軍8戦力(約4万)が、ヨルク(York)将軍麾下のプロイセン軍7戦力(約3.5万)とウィトゲンシュタイン(Witgenstein)将軍麾下のロシア軍4戦力(約2万)と交戦。兵力に勝る連合軍をダヴー麾下のフランス軍が完膚なきまでに撃破した。
南部戦線ではナポレオン自ら率いる9戦力(約4.5万)が、ライプチヒを守るプロイセン軍ブリュヒャー(Blucher)将軍麾下の6戦力(約3万)と交戦。兵力、士気、そして指揮官の能力に勝るフランス軍がプロイセン軍を難なく撃破した。
またドレスデンでは、都市に籠るロシア軍5戦力(約2.5万)をフランス軍スールト(Soult)将軍麾下の8戦力(約4万)が強襲。激しい戦いの末、町からロシア軍をたたき出した。

一連の戦いでフランス軍の損害は衛星諸国も含めて僅か3戦力。それに対して連合軍は、プロイセン軍6戦力とロシア軍4戦力の計10戦力を失った。さらにフランス軍は勝利点3点をゲットした(3個所の戦いに勝利したため)。さらにベルリン占領で都市点もゲットした。それに対して連合軍は都市点の対象がブレスラウのみとなり、いきなり苦しい立場となったのである。

連合軍としては直ちに反撃したい所だが、十分な兵力が整わない状況でフランス軍と正面から戦うのは自殺行為を考える。そこで兵力を4戦力以下に分散させて決戦を避ける態勢とし、フランス軍の攻撃に対して柔軟な形とする。またステッテンを包囲中のクライスト(Kliist)将軍麾下プロイセン軍4戦力(約2万)が総攻撃を実施し、ステッテンを奪回した。

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これまで見てきた通り「戦争と平和」は極めて素直なシステムを採用している。1Turn1ヶ月で基本的には損耗、移動、戦闘の繰り返し(損耗の移動の間に同盟と増援フェイズが挟まる)。戦闘も比率方式でラウンドを繰り返すというシンプルさだ。指揮官や親衛隊、騎兵や後備兵といった要素を含んでいながらもこのシンプルさは芸術的と思える程である。こういうシンプルなシステムで太平洋戦争キャンペーンを作ってみたい気がするが・・・。無理だろうなぁ・・・。

2Turn(1813年5月)

フランス軍の手番である。損耗フェイズのダイス目は2。フランス軍にとっては嬉しい出目だ。11戦力以上集まっていて、かつ友好国以外のスタックのみが損耗の対象となる。そんなスタックはない。
同盟フェイズ。出目は1。これもフランス軍にとっては有難い。DRMがフランス軍勝利点3点と都市点1点で-4。連合軍都市点1で+1。トータルでDRM-3だ。1-3=-2(0未満)なので、フランス軍によって有利なイベントが発生する。ババリア、ナポリ、サクソニア、スイスがフランス側に立って参戦する。
フランス軍は戦線後方ハノーヴァーに回り込んだビューロー(Bulow)将軍麾下プロイセン軍4戦力(約2万)をフランス軍ダヴー将軍麾下の8戦力(約4万)が反転追尾。兵力、士気、そして指揮官の能力に勝るフランス軍が圧勝し、プロイセン軍はハノーヴァーから後退していく。その頃、ナポレオンはドレスデンに本拠を構えて動かない。

連合軍の手番。損耗フェイズのダイス目は3。まあまあである。連合軍も失った兵力はない。
同盟フェイズ。ダイスを振っても何も起こらないのでスキップする。 連合軍はベルリン方面で限定的な反撃を実施した。連合軍随一の名将ブリュヒャー将軍麾下の4戦力(約2万)が、ベルリンを守るウジェーヌ(Eugene)将軍麾下のフランス軍4戦力(約2万)を強襲。ほぼ互角の戦いであったが、運を味方につけた連合軍がフランス軍を撃破。連合軍がベルリンを奪い返した。
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3Turn(1813年6月)

フランス軍の手番。損耗フェイズのダイス目は5。フランス軍にとってはあまり良い目ではない。6ユニット以上がスタックしているヘクスでは騎兵を含む2戦力を失う。損耗によるフランス軍の損失は計8戦力。その中には騎兵3戦力も含まれている。
同目フェイズは例によってスキップ。
増援フェイズでフランス軍は新たに12戦力を得た。 移動、戦闘フェイズ。フランス軍はベルリン奪回作戦を発動。スールト、ダヴー両将が率いる計22戦力(約11万)をベルリン方面に向けさせた。同方面にはプロイセン軍計9戦力、ロシア軍計15戦力の合計24戦力(約12万)が展開していたが、広く散開していた彼らはフランス軍の重点攻撃に抗し得ず後退。ベルリンは再びフランス軍の手中に戻った。

連合軍の手番。損耗のダイス目は最悪の6が出てしまった。それでも広く散開していた連合軍は、自国内戦闘ということもあり、プロイセン軍には損耗なし。ロシア軍6戦力を失うに留まった。
大規模な増援部隊がロシア本国で編成されつつある。しかし彼らが前線に到着するまではまだ少し時間がかかりそう。その間連合軍は限定攻勢を仕掛けて状況の改善を画した。 ロシア軍バルクレイ(Barcray de Tolly)将軍率いるロシア、プロイセン連合軍計4戦力が、ベルリン北方に展開するウジェーヌ(Eugene)将軍麾下のフランス軍6戦力を急襲する。数の上での劣勢を指揮能力の差で補うといった戦いであったが、連合軍にとってはダイス目に恵まれなかった。また後方に展開していたスールト将軍麾下の7戦力も速やかに応援に駆け付けたこともあって、バルクレイは兵をまとめて後退していった。
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(つづく)

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「War and Peace」(邦訳:戦争と平和、以下本作)は、1980年に米国のThe Avalon Hill Game Co(TAHGC)から発表されたナポレオン戦争を扱ったシミュレーションゲームである。デザイナーは、Mark McLaughlinで、本作以外では30年戦争を扱った"Holy Roman Empire"や、太平洋戦争キャンペーン"East Wind Rain"等のデザインでも知られている。
本作は1Turn=1ヶ月、1Hex=40マイル(約64km)、1戦力は約5000人の兵員を表している。またリーダーもユニット化されており、ナポレオン、ネイ、ウェリントン、ブリュヒャー、カールといった有名どころは名前入りで登場する。
シナリオは9本で、一番シンプルなのは計5Turnの「アウステルリッツ」。長いものでは6年間に渡るスペイン半島での戦争を描いた「半島戦争」がある。一般的なシナリオでは、半年から1年未満の特定の戦役を描いている。
他にナポレオン戦争全体を計120Turnで描くグランドキャンペーンシナリオがある。このシナリオは多人数プレイを前提としており、同盟や降伏、海軍ルール等が登場する。一般のシナリオとグランドキャンペーンは全く別ゲームと言って良い。

今回、本作をVASSALでソロプレイしてみることにした。選んだシナリオは「解放戦争」。一般には諸国民戦争とも呼ばれる1813年の戦いである。その前に本作の基本システムをおさらいしておこう。

基本システム

SoP(ゲームの手順)

先攻はフランス側。それぞれのプレイヤーターンにおける手順は以下の通り。
  • 損耗
  • 同盟
  • 増援
  • 移動
  • 戦闘
(補給フェイズがない)

損耗ルール

・ヘクス単位で判定するが、ダイスは1回振ってその目を全てのヘクスに適用する。
・第1Turnは損耗しない

損耗のダイス目が悪いと酷い目に遭う。特に6の目を出した日には、10戦力(約5万人)以上の兵力が一瞬で昇天することもある。
 

同盟

  • ダイスを振って0以下ならフランス側に有利、7以上なら反フランス側に有利なイベントが発生する。イベントの内容はシナリオによる。
  • 自軍の勝利点と都市点でダイス目に有利にできる。フランス軍が有利ならマイナス修正、連合軍ならプラス修正が適用される。
  • シナリオで指定された勝利都市を占領すると指定された都市点を得る。
  • 敵5戦力を撃破又は後退させると勝利点を1点得る。
  • ナポレオンを含む5戦力を撃破又は後退させると勝利点3点得る。
  • 第1Turnは同盟チェックなし

移動

  • 移動力はリーダーが10、騎兵が4、歩兵が0
  • 1人のリーダーは10戦力まで引率可能
  • 歩兵はリーダーに引率されると3移動力、さらに強行軍で最大3移動力まで増加可能(ダイスチェックあり)
  • リーダーは、歩兵を「置いていく」のはアリだが、「拾う」のは禁止
  • 4:1以上でオーバーラン可能。オーバーラン実施時は敵側全滅。移動力1消費(TECに加えて)。6:1以上なら追加1移動力は不要。

補給

  • 補給源は自国又は自国の衛星国の大都市
  • 補給は損耗、移動、戦闘の開始時に補給判定
  • 補給線は補給源から3移動力の範囲
  • 補給線は「同じ色のユニット」で接続できる。

戦闘

  • 戦闘は原則として1ヘクスvs1ヘクスでいずれかが全滅又は撤退するまで戦闘ラウンドを繰り返す。
  • 戦闘ラウンド終了時に攻防いずれかに隣接しているスタックは増援として投入可能。1d6+指揮能力≧5で増援投入に成功
  • 戦力の大きい方と小さいほうで比率を出す。
  • 戦闘比が4-1以上なら自動的に大きい側が勝利
  • 指揮官の能力差、部隊の士気差、地形でDRMが発生する。
  • 戦闘結果はなし、1、D1、D2、D3の5種類
  • 指揮官の能力を使うためには、その指揮官と同一ヘクスに戦闘参加戦力の1/2以上が展開しており、かつ戦闘に参加するユニットの半数以上が指揮官と同色でなければならない。
  • 士気阻喪のスタックに対して同数又はそれ以上の戦力の士気阻喪していない増援を得た場合、士気阻喪マーカーは除去される。
  • 後退時方向は自由。分散後退も可。ただし補給源から離れるような後退は禁止
  • 戦闘に参加した指揮官は全員負傷チェック。6ゾロで負傷する。

ルールはざっとこんな感じである。
それでは早速プレイしてみた。

シナリオV.解放戦争

作戦研究

ウォーゲーマーの間で1813年の諸国民戦争が有名な理由の1つに、初期のTactics誌での名物連載「大陸軍の光と影」で最初に取り上げられたのがこの戦いであったことを取り上げても良いかもしれない。今とは違って戦史やウォーゲームに関する文字情報が貴重であった時代、Tactics誌はウォーゲーマー青少年たちにとっては憧れの雑誌であった。その中で「ナポレオン戦争」という当時としてはマイナーと言って良いテーマが紹介されていたことに、多くのウォーゲーム青少年たちは驚いたことであろう。そしてその中の何割かがナポレオニックゲームの魅力に引き込まれていったのだろう。

今回、AH社の名作ナポレオニックゲーム「War and Peace」(邦訳「戦争と平和」、以下本作)をソロプレイするにあたり、私が選んだのが諸国民戦争を扱うシナリオ「解放戦争」であった。モスクワ戦役における惨憺たる敗北を喫したナポレオンであったが、魔術としか思えない速さで麾下の軍を再編成し、連合軍を迎え撃った。かつての精強さこそ失われたものの、指揮官の質と部隊の練度で未だに優位に立つフランス軍。それに対して量的な面で優位に立つ連合軍。ドイツの支配をかけた戦いが始まる。

恐らく苦しいと思われるフランス軍の作戦から考えてみよう。フランス軍の勝利条件は、ゲーム終了時までにマップ3における大都市を1つでも包囲されずに支配下に留めれば良い。マップ3というと、当時のプロイセン、オーストリア、そしてハノーヴァーやサクソンといったライン河諸国の一部も含んでいる。マップ3の大都市の中には、ベルリン、ドレスデン、ライプチヒといった旧東ドイツ諸都市の他、ハンブルク、ハノーヴァー、カッセルといった旧西ドイツ諸都市も含まれている。フランス軍としてはこれらの都市の1つでも守り切れれば良い。
写真01


フランス軍にとって重要なのは同盟関係である。フランス軍にとって有利なイベントを出すことは勿論重要だが、それ以上に連合軍にとって有利なイベント(例えばオーストリア参戦等)を出させないためにも重要だ。それを達成するためには、フランス軍が都市点を獲得し(その候補はベルリンのみ)、連合軍に都市点を与えない。前者はフランス軍がベルリンを占領すれば達成できるので不可能ではない。しかし後者は連合軍をベルリン、ライプチヒ、ドレスデン、ブレスラウから全て叩き出さなければならない。そしてフランス軍にはもう1つ、別の手段が存在する。それは「決戦」に勝つことだ。ここで言う「決戦」とは、5戦力以上の敵との戦いである。つまり5戦力の敵を撃破すれば、勝利点1点を獲得できるのだ。指揮官の能力及び兵士の士気で連合軍を凌駕するフランス軍にとって「決戦」は魅力的な選択肢である。

なおHobby Japanの和訳ルールブックには「2度目の"0"の目が出たら、以後同盟フェイズは省略する」となっているが、これは「2度目の"7"の目が出たら」の間違いである(英文ルールブック及び公開されている英文第4版ルールブックには「2度目の"7"が出たら」と書かれている)。この点、結構重要なポイントなので、プレイ開始前に確認しておくのが良いだろう。

対する連合軍はフランス軍の裏返し。ベルリンは守る必要があるが、ベルリンだけに拘らずライプチヒ、ドレスデンを守る。またチャンスがあれば西方へ進撃し、ハノーヴァー、ハンブルク等を狙う。連合軍の強みは兵力の優越。従ってその兵力の優位を生かすのみである。この戦いで有名になったライヘンバッハプランに従い、ナポレオンのいない所で攻勢を仕掛けて有利な状況を作っていく。オーストリアが参戦すれば政治的な状況は一気に有利になるので、あとは力押しあるのみだ。

(つづく)

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