もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

カテゴリ:読書 > 政治外交

4
220824_ソ連帝国の崩壊

ソビエト帝国の崩壊-瀕死の熊が世界であがく

小室直樹 光文社

本書は1980年に初版が発売された書籍だ。本書の凄い所は、1980年という段階でソ連の崩壊を見事に予言している点にある。今でこそソ連の崩壊は歴史的事実だが、1980年の段階で世界最強の国家であるソビエト連邦が崩壊すると予想する人間は殆どなかった。事実、1980年代のテレビアニメ等では、21世紀になっても米ソ両大国による対立構図が続いているという図式が多く見られた。
本書では階級論や組織論、そして経済の観点から当時のソビエト連邦が断末魔の状態にあることを見事に看過している。そしてこれらの矛盾が噴出した時、ソ連が崩壊するとしている。結果を知っている我々が本書を評価するのは些かズルいような気もするが、逆に後知恵でも凄さを感じるのが本書の凄さだ。
さらに本書の凄いのは単なる未来予測に留まらない点だ。本書は当時の日本における安全保障政策に鋭い批判を加えている。筆者の主張が、当時と異なる安全保障環境下にある現在の日本に当てはめても、十分に首肯できるものだ。
現在の視点で見れば歴史に対する認識等でやや「古い」と思える記述も伺えるが、それでもソ連の崩壊という予言を見事に的中させたという点で本書の価値は大きい。

お奨め度★★★★

3
220814_リベラルの正体

「リベラル」の正体

茂木誠/朝香豊 WAC

日本で「リベラル」といえば、左派勢力を指す場合が多い。しかしこれはおかしな話だ。リベラリズムとは自由主義と訳されるが、日本でいう「リベラル」には、自由主義とは全く相容れない共産党が含まれているからだ。
それはさておき、本書では、日本で言う「リベラル」な人たちが、どのような考えを持っているのか。そして彼らは保守勢力をどのように捉え、どのように嫌悪しているのかを記した著作である。
さらに本書では、共産主義が形を変えていまでも世界を蝕んでいる有様を語っている。なるほど、旧ソ連は崩壊し、共産主義陣営は自由主義陣営に敗れた。しかし共産主義そのものは、ある時は人権運動に姿を変えて、またある時は環境保護運動に姿を変えて、今でも自由主義社会を蝕んでいる。そして自由主義の総本山であるアメリカ合衆国も、今やこのような「隠れ共産主義」によって瀕死の状態にあるという。
本書の主張をどのように受け取るのかは読者次第だろう。かくいう私も本書で書かれていることをそのまま額面通りに受け取るつもりはない。しかし昨今の世界情勢を見た時、本書の主張があながち絵空事でもないな、とは思っている。

お奨め度★★★

4
220324_日本共産党の正体

日本共産党の正体

福冨健一 新潮新書

タイトル通り日本共産党の実態について批判的な分析を行っている著作である。本書の内容は、共産主義の実態、日本共産党の歴史、日本共産党の歴代指導者の略歴、現在の日本共産党の方針、そして最後の章でなぜ共産主義、共産党が民主主義と相容れないのかについて記述されている。
2021年の衆議院選挙でも明らかになったが、共産党は絶対に自身の誤りを認めない。選挙に勝とうが負けようが常に「党の方針は正しい」。これが共産主義の本質であり、自由や民主主義と相容れないのだ。だから同じく敗戦国であった西ドイツは、自由と民主主義を守る立場から共産党の存在そのものを違憲とし、議席を認めなかった。それに比べて共産党が堂々と国会内で議席を持つ現在の日本について「日本民主主義の脆弱さを示すものだ」とする筆者の主張には、首肯せざるを得ない。
短い本で2時間程度で読むことができる。日本共産党について突っ込んだ解説が成されている訳ではないが、共産主義や共産党の危険性を知るという意味では有益な著作と言えよう。

お奨め度★★★★

5
220205_亡国の環境原理主義

亡国の環境原理主義

有馬純 エネルギーフォーラム

まず本書で紹介されているデンマークの政治経済学者、ジュロン・ロンボルク氏の主張(要約)を紹介したい。
「気候変動は現実に生じており、その大半は、人類の化石燃料利用によるCO2に起因する。この問題に知的に対処しなければならないが、そのためには、「今やらねば人類は滅亡だ」といった議論をやめ、気候変動が唯一の問題とは考えないことだ」「気候変動とは、地球に衝突しようとしている小惑星ではなく、長期の治療を要する糖尿病だ」

そして筆者は最初に気象変動も問題の「ファクト」を取り上げ、例えば今から100年前は年間約50万人が気候変動に起因する災害で死亡していたが、現在は2万人以下である、等、気候変動の実態を分かりやすく説明している。
本書は、いわゆるグレタ・トウーンベリを巫女として担ぐ「環境原理主義」を批判した著作である。「環境原理主義」は現在世界で起こっている多様な問題を無視し、とにかく環境問題のみを最重要視する考え方だ。極端な言い方をすれば、経済成長も病気も貧困も飢餓も戦争もその他諸々の問題を全て無視して、とにかく環境問題だけに取り組むべしと主張する一派のことである。一見すると馬鹿げた考えなのだが、欧州を中心に急速に勢力を拡大しつつあり、日本でも勢いを増しつつあるように思える。
本書は環境原理主義の実態やその問題点、さらには京都議定書やパリ協定といった国際的な温暖化防止策の問題点について鋭く論じた著作である。筆者は決して地球温暖化問題を否定しているわけではない。しかし環境原理主義とは別の立場から世界各国や我々が環境問題についてどのように向き合っていくべきかを記している。
賛否両論があるとは思うが、是非多くの人に読んで頂きたい著作であり、特に国政を預かる立場の方々には是非とも読んで頂きたい著作である。

お奨め度★★★★★

5

220122_日本学術会議

日本学術会議の研究

白川司 ワック株式会社

2020年10月、コロナ禍の日本。当時の菅義偉首相が日本学術会議の会員任命で、同組織に推薦された105名のうち6名について任命に拒否したことがマスコミによって大きく取り上げれた。所謂「日本学術会議問題」である。それまで殆ど注目されていなかった日本学術会議という組織が大きくクローズアップされることになった。
本書は、日本学術会議という組織について、同組織に対して批判的な視点から記した著作である。本書によれば日本学術会議は左派系学者の巣窟であり、国家の税金が投じられているにも関わらず国益に資することは殆ど行っていないという。さらに言えば、日本を苦しめている慰安婦問題や徴用工問題について韓国側の主張に則った研究を行うなど、むしろ国益を損なう活動ばかりしている。さらには自衛隊のための研究は「軍事研究は行わない」という美名の下に執拗に妨害しておきながら、中国の「千人計画」には積極的に参加し、人民解放軍の軍事技術向上に貢献しているというのだから、一体どこの国の人間なのか、と言いたい。このように我々の常識からは余りにかけ離れた「日本学術会議」なる組織がどのような歴史を辿り現在に至ったのか、さらにその活動が如何に日本国や日本国民にとって「有害」であるかを筆者の主張を交えながら記している。
私は本件については門外漢なので、筆者の主張がどこまで正しいのかは検証できていない。しかし以下の筆者の主張については私も大いに同意する所である。またこの「日本学術会議」なる怪しげな「赤い貴族」達の実態を世に知らしめたという点において、菅義偉内閣の功績は大きい。余談だが、比較的短命に終わった菅義偉内閣だが、コロナ対策、東京五輪開催等、その成果は決して小さくないと私は考える。
「「学問の自由」を叫びながら国家の軍事研究を邪魔する一方で中国とは進んで共同研究をいとわず、人民解放軍とつながる研究機関で良心の呵責もなく働ける学者など日本にとって不要である」
「日本学術会議が国益に役に立つなら残せばいいし、改革して役立てられるなら改革すれば良いし、役に立たないなら廃止すればよい」
「財務的には甘やかされた組織であって、その上さらに反政府的提言まで許されているというのは、どう考えてもおかしなことである」
「共産党の牙城そのままであれば国費を投入すべきではない」

お奨め度★★★★★

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