もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

カテゴリ:読書 > 政治外交

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230821_核武装

被爆三世だから言う-日本は核武装せよ!

橋本琴絵 ワック

「被爆者=反核」ではない!、という煽り文句につられて購入した。筆者の橋本氏は、祖母が広島で被爆した被爆3世である。被爆三世でありかつ女性でもある筆者が、「核保有」という極めて「過激な」主張をするところが本書の見どころの1つと言って良い。ただ本書は単なる国防論を語った著作ではなく、経済政策や対外政策、皇室の扱い、難民政策などを主張している著作である。
筆者の主張について、私は概ね合意できた。特に核保有を「議論させない」という現在の潮流には疑問を感じる。ただ核保有自体については、私は筆者と違って日本の取るべき道ではないと思っている。理由は、安全保障上のメリットよりも国際関係で失うものの方が多いと思うからだ(北朝鮮の真似をする必要はない)。まあ核シェアリングについてはもっと議論した方が良いとは思う。

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230725_政治学者

政治学者ユーチューバーになる

岩田温 ワック株式会社

私の好きな政治学者でありユーチューバーである岩田温氏の著作である。これまで様々な著作や動画により左派勢力の欺瞞性や危険性を世間に知らしめてきた岩田氏。氏の著作はこれまでは全体主義や共産主義、エセ「リベラル」勢力それぞれについて記載した著作が多かった。本書はこれまでのやや「堅苦しい」著作とは異なり、筆者がユーチューバーになった経緯やユーチューバーとしての葛藤や難しさ、そしてユーチューブの今後の可能性について触れた著作になっている。著者は言う。ネット全盛になってオールドメディアは衰退の一途を辿ると。そしてその反動からかオールドメディアは益々左傾化していっていると。さらに筆者はユーチューブの教育への適用についても可能性があるとし、ユーチューブの活用が陰湿なイジメたモンスターティーチャーに対する対応手段となるとしている。
本書の主張に首肯できるかどうかは読者次第だが、少なくとも私は筆者の主張に大いに共感できた。比較的読み易く一気に読み通すことができるので、万人にお奨めしたい1冊である。

お奨め度★★★★


政治学者、ユーチューバーになる


3
230121_歴史戦の真実

歴史戦の真実

マイケル・ヨン 育鵬社

慰安婦問題、徴用工問題、旭日旗問題など、韓国による不当な日本たたきが続いている。本書は、元グリーンベレー隊員である筆者が、上記の実情を踏まえて歴史戦の実態やそれに対する日本の取るべき道を記した著作である。本書は、南京大虐殺や慰安婦問題など、中韓が仕掛ける反日キャンペーンを取り上げる。そしてこのような反日キャンペーンが単に日本とこれらの諸国間だけの問題ではなく、全世界を巻き込んだ「歴史戦」であると筆者は説く。そして筆者は、日本に対しても「歴史戦」を戦う必要があり、いつまでも謝り続けてはいけないとしている。
筆者の主張に大いに賛同したい。ただ本書の難点として、日本語としてはややわかりにくい文章であること(筆者がネイティブではないので仕方がない所だが)、またSNSに投稿した文章を再掲載したのでややまとまりがない印象を受けるのが残念な所だ。

P.S. 日本の政治家で「歴史戦」という言葉を使う人物は殆どいない。故安倍晋三元首相は「歴史戦」を取り上げた数少ない政治家の1人だが、そう考えると今更ながら安倍元首相の早すぎる死が惜しまれる。

お奨め度★★★

歴史戦の真実 米国人ジャーナリストがただす本当の歴史と日本 (扶桑社BOOKS)


2
230107_日本人だけが知らない戦争論

日本人だけが知らない戦争論

苫米地英人 フォレスト出版

本書の内容を一言で言えば「陰謀論的世界観」である。筆者曰く
「二度に渡る世界大戦はヨーロッパの大銀行家が金儲けのために起こしたものだ」
「2014年にウクライナで親ロ政権が倒されて西側寄りの政権になったのはヨーロッパの銀行家がロシアを追い詰めるためだ」
「日本と中国との対立を煽り、戦争を起こそうとしているのは米国の金持ち達だ」
ということらしい。
本書は、本来複雑で数多くの人々の考えや行動で動いている国際社会や歴史というものを極めて単純なモデル化し、それに当てはめて説明しようとしている。しかし人間社会はこの筆者の言うように単純なものではないし、戦争が起こる理由もそんなに単純なものではないと私は考える。無論、筆者の言う「金持ち」の意向が働いたこともあるかもしれないが、そのほかの様々な宗教や政治思想等が絡み合って歴史が形作られていることを忘れてはならない。
さらに本書の危険な所は読者に思考停止を強いる点である。例えば中国や北朝鮮の脅威、安全保障に関する議論に対して、この筆者は言う「またお金儲の話ですか」と。筆者がそう思うのは自由だが、そのような単純化した議論を読者に強いるのは、危険な考えだと私は思う。



3
221229_ロシアの

ロシアのウクライナ侵略で問われる日本の覚悟

グレンコ・アンドリー 扶桑社


ロシアによるウクライナ侵略は、21世紀の現代にあっても覇権主義的な国家が自らの目的を達成するために軍事力行使を厭わないことを明らかにした。本書は、ウクライナ国籍の筆者が今日のウクライナの事情を踏まえたうえで今後日本が目指すべき安全保障政策について提言したものになっている。
まず筆者はウクライナと日本の類似性について指摘する。筆者曰く、ウクライナは「平和ボケして」「国益を損ねる売国政権を生み出し」「愛国者にファシストのレッテルを貼り」「軍事力の価値を否定し」「弱腰外交を展開した」とする。そして筆者は、これらの多くが現在の日本と類似しており、2014年と2022年にウクライナを襲った悲劇が、決して日本にとって無縁ではないことを指摘する。
その上で筆者は、ウクライナを襲った悲劇に日本が見舞われないためには、核武装を含めた日本の軍事力強化を説き、軍事力強化こそが戦争を回避する手段だとしている。さらに単に軍事力を強化するだけではなく、歴史認識や人口問題などの課題と真摯に向き合い、これらに立ち向かって真に世界のリーダーとなることが日本の進むべき道だとしている。
評者である私自身は、筆者の主張を全面的に首肯するものではないが、日本と近隣諸国との関係を見るにつけ、「ウクライナ問題は決して他人事ではない」という部分については同意せざるを得ないと考える。そのためには、実効性のある安全保障政策を行い、日本に敵対的な諸外国の脅威に対抗する必要があることは全面的に合意したい。



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