もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

カテゴリ:読書 > 歴史

230317_日本を創った

日本を創った12人

堺屋太一 PHP文庫

聖徳太子、源頼朝、織田信長、大久保利通など、筆者が選ぶ「日本を創った12人」についてその理由を含めて紹介している。ここで紹介されている12人の中には、架空の人物や外国人も含まれているが、それが誰なのかは読んでみてのお楽しみ(表紙を見れば一目瞭然だが・・・)。また筆者がどうしてこの12人を「日本を創った人物」としているのかも興味深い。本書を一読すると、筆者がなぜこれらの人物を選んだのかがよくわかる。さらに彼ら行動や考え方が現在の我々に与えた影響も考えると、より興味深い。

お奨め度★★★



3
230218_鬼と人と1

鬼と人と

堺屋太一 PHP文庫

織田信長と明智光秀が織田家の後半生を巡って思惑をぶつけ合う歴史小説。上下2巻構成になっており、スタートは織田勢が武田勝頼を追い詰めてその首実検をする場面から始まる。この後、本能寺の変から山崎の合戦に至る約3ヶ月間の流れを、織田信長、明智光秀双方の視点から描いている。扱っている時期は、「信長最後の3ヶ月」だが、信長、光秀それぞれの独白の中で、尾張平定戦、桶狭間の戦い、美濃攻略戦、浅井朝倉との死闘、延暦寺焼打ち、本願寺との戦い、そして武田との戦い等が出てきて、それぞれの場面における信長、光秀それぞれの考え方の違いを浮き彫りにしている。
歴史小説なのでどこまで史実に正確は不明だが、面白い捉え方だと思う。

お奨め度★★★



3
221027_日米戦争の真実

フーバー大統領が明かす日米戦争の真実-米国民をも騙した謀略

加藤英明他3名 勉誠出版

本書の主人公であるハーバート・クラーク・フーバーは、1929年から32年まで第31代の米国大統領を務めた人物である。その次の第32代米大統領が有名なフランクリン・ルーズベルトである。本書はフーバー氏の回顧録を纏めて2011年にフーバー研究所から刊行された「Freedom Betrayed」(裏切られた自由)に基づき、フーバー氏が語った第2次大戦像やルーズベルト、チャーチルといった戦争当時の連合国首脳を論じた著作である。本書(及びフーバー氏)によれば、日米戦争を引き起こしたのはルーズベルトと同政権に入り込んだ共産主義者であり、日米戦争はそもそも必要なかったとのこと。さらにヤルタ体制は米国にとって完全に誤った政治判断で、共産主義者を利するだけであったとしている。
本書はあくまでもフーバー氏という個人の感想を日本人の編者達が論じただけのものだ。従って本書に書かれていることを100%鵜呑みにするつもりはない。しかし東京裁判史観に一石を投じる著作であることは間違いなく、一読の価値はあると思う。

お奨め度★★★

3
220725_松岡洋右

松岡洋右-悲劇の外交官(下)

豊田穣 新潮文庫

前回紹介した続きである。国際連盟を脱退して松岡が日本に帰国してから、戦後まもなく松岡が病死するまでを描いている。本書の見所は何と言っても外務大臣となった松岡が1940年に訪欧する場面で、この訪欧によって松岡は三国同盟を締結し、さらに日ソ中立条約の締結に成功する。現在の視点で見れば、この2つが太平洋戦争への道を開き、さらに日本の敗戦へと繋がっていった訳だが、当事者の松岡がどう考えていたのか。本書によれば、松岡は対米戦を主張していたのではなく、対米戦を止めるためにこれらの条約を締結したのだという。しかし訪欧から帰ってきた松岡を待っていたのは、日米了解案という松岡の意に沿わない日米合意であった。そして近衛文麿との対立などもあり、松岡は次第に孤立を深めていく。近衛によって外務大臣を追われた松岡は、政権から遠のき、そして運命の日米開戦を迎える。
本書は松岡を主人公にしている関係上、松岡に対しては好意的であり、また日米交渉における米側の行動に対して批判的である。本書の内容が妥当かどうかは読者それぞれが判断すれば良いと思うが、松岡洋右という人物について考えるきっかけにはなると思う。

お奨め度★★★

3
220531_松岡洋右

松岡洋右-悲劇の外交官(上)

豊田穣 新潮文庫

戦時中に艦爆に乗ってソロモン諸島で撃墜され、捕虜になった後帰国した筆者=豊田氏は、戦史モノのフィクション、ノンフィクション作家として知られている。本書は豊田氏が国連脱退、日ソ不可侵条約等で活躍した外交官である松岡洋右について描いたノンフィクション作品である。上下2巻構成の上巻では、松岡の生い立ちから満州時代の働き、そして満州事変を受けて国際連盟で日本の立場を守るために奮闘する姿を描いている。テーマの割にページが多いので、やや余談じみた話でページ数を稼いでいる感があるのが気になる所だ。下巻ではいよいよ松岡が国際舞台で活躍することになるので、楽しみである。

お奨め度★★★

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