もりつちの徒然なるままに

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カテゴリ:読書 > 歴史

3
220413_歴史問題は解決しない

歴史問題は解決しない:日本はこれからも敗戦国でありつづける理由

倉山満 PHP文庫

本書はなぜ日本において歴史問題は解決しないかを記した著作である。本書は歴史問題の解決方法を記した著作ではない。そうではなくて歴史問題の解決が困難な理由を記したものである。本書曰く、ウェストファリア体制によってヨーロッパで確立した限定戦争の思想。それはヨーロッパ人によって都合の良い身勝手なものであったが、明治以降の日本はその思想(「文明」を言い換えることもできる)を受け入れ、模範生となった。しかしウェストファリア体制を受け入れないアメリカ、ロシア、中共が世界の大国を占めた時、限定戦争は無制限戦争に変わった。そこには敵を犯罪者と捉え、戦闘員と非戦闘員を区別しない野蛮な戦争(「聖戦」と呼び変えることもできる)を引き起こした。そこに戦時と平時の区別はなく、そのことは日本に対するアメリカの戦後政策がそれを如実に著わしてる。
本書の主張がどこまで正しいかは判断に迷う所だが、歴史問題の本質を考える際に参考となる著作とはいえるだろう。

お奨め度★★★

4
220210_朝鮮戦争と

朝鮮戦争と日本・台湾「侵略」工作

江崎道朗 PHP新書

第2次世界大戦が終わった後もアジアでは戦乱が続いていた。中国大陸における国共内戦とそれに続く台湾紛争、そして朝鮮戦争、さらにインドシナ戦争など。さらに日本国内でも日本共産党による革命工作が活発に行われていた。さらにアメリカでもGHQ内部に共産党シンパと言われるグループが支配権をにぎり、陰に陽にアジアの赤化に力を貸していた。まさに日本は赤化革命寸前の状態であった。
本書ではそのように混乱した戦後期の東アジアを舞台に、スターリン、毛沢東、金日成、そして日本共産党の面々がどのような形で赤化革命を成し遂げようとしたのか。またそれに対して日本政府、日本の民間人(元軍人達)はそれを阻止しようとしたのか(そして阻止したのか)。本書はそのことを追った著作である。
内容は本書をお読みいただきたいが、以下の筆者の言葉は現在の我々も肝に銘じるべきだろう。
「敗戦後、日本の命運をアメリカ任せにするような愚かな判断をしなかった日本の政治家、軍人たちが存在したからこそ、日本は敗戦後の「危機」を乗り越えることができた。たった1回、戦争に負けたぐらいで、独立国家としての誇りを失うような情けない人ばかりではなかったのだ」

P.S. 本書を読んで現在の日本の政治状況に当てはめると、例えば立〇党などは単に「愚か」なだけだが、共産党は真に「狡猾で恐るべき」脅威であると考えうる。

お奨め度★★★★

3
211228_東海道五十三次

東海道五十三次が超おもしろくなる本

街道の旅を楽しむ会 扶桑社文庫

江戸時代に整備された五街道。その中でも最も有名な東海道の旅について、当時の旅のスタイルを交通、宿泊、食事、娯楽等の観点で描いた小ネタ本である。当時の旅行スタイルを知ることができ、東海道を歩いてみようと思わせてくれる著作である。

お奨め度★★★

4

220122_銃病原菌上

銃・病原菌・鉄

ジャレド・ダイアモンド/倉骨彰訳 草思社文庫

上下巻からなる大作。人類の歴史をマクロに捉えた著作で、「コロンブスがアメリカ大陸を発見した」的な西洋中心の世界観とは一線を画す著作である。タイトルの「銃・病原菌・鉄」は、ある部族が他の部族によって滅ぼされたケースの要因を示しているが、すなわち軍事力と病原菌が部族が滅んだ主要な要因である。
我々の世界を支配しているものがヨーロッパ系人種であることは論を待たないが、筆者はその理由として食糧自給による非生産人口の確保を上げている。また何故そうなったか、については、「ヨーロッパ人種が優れていたから」ではなく、「ヨーロッパの地形的な特徴が食糧自給促進と技術の健全な進歩に適していたから」だとしている。なぜアフリカ人が世界を支配できなかったのか。何故中世に世界をリードしたイスラム圏がヨーロッパ勢に後れを取ったのか。何故世界で最も早く統一国家を形成した中国がヨーロッパの支配を甘んじていたのか。そういった点を本書は明らかにしている。
人類の歴史について新たな知見を与えてくれる著作である。

お奨め度★★★★

211225_人種差別

人種差別から読み解く大東亜戦争

岩田温 彩図社

以前に WGIP(War Guilt Information Program) というGHQが行った犯罪的プロパガンダについて触れたが、その影響なのか、日本では大東亜戦争の原因について未だに「軍部や軍閥が国民を騙して戦争に引きずり込んだ」という見方が根強い。無論、当時戦争を反対した日本人もいただろうし(例えば海軍の山本五十六等)、軍の強硬派が対米戦争を望んでいた面も否定できない。しかし幾多の先行研究が既に明らかにしているが、当時多くの日本国民が対米戦争を望んでいたし、戦争熱を煽ったのは軍部だけではなく国民やマスコミも同じであった。仮に対米戦争が「誤り」とするなら、それは日本国民全員で犯した「誤り」ともいえるのである。
さて、本書についてである。本書は対米戦争そのものの是非を問うているのではない。その発生原因を考察した著作である。筆者は大東亜戦争の発生原因の1つに当時の根深い人種差別の問題があるとしている。そのために筆者は本書の約2/3を費やして当時の凄まじい人種差別の実態を明らかにしている。さらに本書では、大日本帝国がいかに人種差別撤廃に尽力し、それが白人勢力の妨害によって頓挫する様が克明に描かれている。これらは歴史の教科書では殆ど触れられていない事実であり、本書の中でも最も読み応えのある部分の1つだ。
肝心の大東亜戦争については、大東亜会議を取り上げ、その中で日本はアジア諸国の独立、人種平等を大義として掲げたとしている。無論大日本帝国による東南アジア支配に問題がなかったわけではなく、日本人によるいくつかの犯罪的行為が行われたのも事実である。しかし少なくとも我々の先祖が、たとえ大義に過ぎなかったとしても、その戦争目的に「人種平等」を唱えたことは紛れもない事実である。そして(あくまでも結果論ではあるが)、戦後アジア諸国の多くが植民地支配から解放されたことも明記しておきたい。
無論筆者は前大戦における日本の行為全てを肯定している訳ではない。日本人による許されざる戦争犯罪がいくつも起こっていた事は筆者も否定していない。しかしだからといって大東亜戦争における日本の大義そのものが完全否定されるものではないということを筆者は主張しているのだ。
我々は往々にして歴史を結果からのみ評価する。なるほど結果のわかっている立場から言えば対米戦争は「間違った決断」だったと言えよう。しかし当時の人々(そして現在の我々もだが)は決して未来を予見できない。だからその時点で与えられた情報の中から最善と思われる判断をするしかない。

「なぜわれわれは戦争を選んだのか」

犠牲者の視点ではない、主体者としての視点。肯定的な視点で戦争の発生経緯を考えることが戦争の真因を考える上で重要、というのが筆者の主張であり、私も全面的に賛同したい。
そしてそのことが前大戦における日本の立場を全面的に肯定するものではない、ということも併せて強調したい。

お奨め度★★★★

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