もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

カテゴリ:読書 > 歴史

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230930_論争関ヶ原

論争関ヶ原合戦

笠谷和比古 新潮選書

関ヶ原の合戦と言えば日本史上でも一二を争うほど有名な戦いだが、何分にも400年以上も前の戦いなので、真相が十分に分かっている訳ではない。戦いの様相は主に文献情報に基づいているが、文献によっては矛盾する記載があり、さらに徳川による勝者バイアスがかかっているので、文献情報を100%鵜呑みにできない。だから次々と新設、珍説が披露されることになる。
本書は、関ヶ原の戦いに関する様々な説を紹介しながら、筆者なりの持論を紹介している。筆者によれば、関ヶ原の戦いは決して一瞬で決着が着いたような戦いではなかったし、小山評定はあったし、徳川本隊による問鉄砲もあったとしている。筆者は関ヶ原の戦いのポイントを「二段階蜂起」にあるとしている。つまり西軍による軍事蹶起は当初、石田三成と大谷吉継の2名による小規模なものであった。しかしその後三成の活動で淀殿や毛利を西軍に巻き込むことに成功。最終的には徳川vs豊臣といった大規模対決につながっていくとのこと。
問題は小山評定で、その時の会津征討軍はまだ三成らの小規模反乱といった情報しかなく、そのために小山評定に参加した豊臣系大名達が「三成討つべし」で一致したのも当然であった。しかしその後三成の工作が奏功し、三奉行による「内府ちかいの条」が発せらるに及び、豊臣vs徳川の様相を呈してきた。これが家康が江戸に戻った時期に相当する。江戸に戻った家康がしばらく江戸から離れなかった理由は、小山評定における前提条件がここにきて大きく変化したことによると筆者は論じている。
筆者の主張が正しいのか、それとも他の論者が主張する説が正しいのか、判断するのは難しいが、こういった論争はタイムマシンが発明されるその時まで続けられることになるだろう。

お奨め度★★★

論争 関ヶ原合戦(新潮選書)
関ヶ原合戦 家康の戦略と幕藩体制 (講談社学術文庫)
新視点 関ヶ原合戦: 天下分け目の戦いの通説を覆す


230810_漫画三国志1

漫画三国志【2】:赤壁の戦いと三国の攻防

飛鳥新社

前作に引き続き、赤壁の攻防から五丈原での諸葛孔明の死までを描く。赤壁での勝利とその後蜀と呉の対決。諸葛孔明と周瑜の戦い。劉備の皇帝即位、関羽、張飛そして劉備の死。諸葛孔明の北伐と司馬懿との対決等が本書の主なテーマとなる。本格的な三国時代となり、諸葛孔明がストーリーの中心になっていく。その一方で曹操や孫権の出番が少ないのは少し寂しい気がするが・・・。
第1巻目と合わせて三国志の流れを端的に理解するには良い著作と思える。

お奨め度★★★


マンガ 三国志Ⅰ 劉備と諸葛孔明
マンガ 三国志Ⅱ 赤壁の戦いと三国の攻防
マンガ 三国志Ⅲ 諸葛孔明亡き後の三国の興亡
マンガ 三国志X 諸葛孔明

230730_漫画三国志1

漫画三国志【1】:劉備と諸葛孔明

飛鳥新社

三国志の世界を2冊の漫画で再現しようとする第1冊目である。ベースは吉川英治氏の「三国志」で、桃園の誓いから黄巾の乱、董卓、呂布の活躍と最期あたりを描き、その後は劉備を中心に曹操との対決を描きながら、諸葛亮との出会い、諸葛亮の活躍などを描いている。本書は赤壁の戦い直前で終わっており、つづきは第2巻目となっている。
ページ数が500ページ以上もあり、普通の漫画よりはボリュームがある。それでも扱っている時期が長い(本書の中で20年以上が経過している)ので、いきなり展開が飛んでしまう感もある(いつの間にやら劉備が妻子持ちになっていた)。全体的な流れはわかりやすく、私のような「三国志音痴」が三国志の概要を理解するには適切な書籍といえよう。
第2巻も是非読んでみたい。

お奨め度★★★


マンガ 三国志Ⅰ 劉備と諸葛孔明
マンガ 三国志Ⅱ 赤壁の戦いと三国の攻防
マンガ 三国志Ⅲ 諸葛孔明亡き後の三国の興亡
マンガ 三国志X 諸葛孔明

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マンガ 三国志1 劉備と諸葛孔明 [ 吉川 英治 ]
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230508_三国志

何を隠そう、私は三国志音痴である。三国志の三国が何かとか、魏蜀呉の違い、そもそも主人公は誰なのか、あるいは有名な諸葛孔明はどこの国の軍師なのか。そんな基本的な事もつい最近までは知らなかった。
最近、横山光輝氏の漫画を少し読んだり、中国製ドラマを見たりしたので、桃園の誓いとか、張飛・関羽がどんな人物とか、曹操ってどんな人物なのか、ぐらいは理解できるようになった。しかしお話が余りに長いので、後半部分はサッパリ。特に劉備が死んだ後の話とか、街亭の戦いとか、泣いて馬謖を斬るとか、死せる孔明生ける仲達を走らすとか、サッパリ知らなかった。
本書は、その壮大な三国志のお話を、時代別に区切ってわかりやすく解説した著作である。挿絵や地図も豊富に含まれているので、その点も有難い。私のような「三国志音痴」にとっては、入門書として有難い著作であった。ただしあくまでも入門編なので、その点はお間違いなきよう。

お奨め度★★★

図解 三国志 [三国志徹底マスター]


230423_応仁の乱

応仁の乱と言えば、戦国時代の始まりとなった大乱で、中学校の歴史の教科書にも出てくる有名な戦いだ。しかし名前は有名だが、その実情は殆ど知られていない。思えば関ヶ原や桶狭間のような劇的な展開がなく、主役となった細川氏、山名氏とも人気があるとは言えない。当時の将軍足利義政についても、人気のある政治家ではない。
本書を読もうと思ったきっかけは、少しでも応仁の乱について理解を深めようと思ったからだが、果たしてその目的が達成できたかどうかは怪しい所。意外だったのが応仁の乱の原因が大和にあったという点。畠山氏という我々が見れば「誰それ?」的な一族がキーパーソンを演じたこと。さらに大和が興福寺によって支配され、その中心にいたのは大乗院経覚という僧侶であったという点は本書を読んで気づかされた。
いずれにしも応仁の乱は極めて政治色の強い戦いであり、敵味方を簡単に区別できないところが理解を難しくしている。ただし、裏返せばそんな複雑な政治的背景を上手くゲームシステムに取り込むことができれば、意外と面白いウォーゲームになりそうかな、とも思った次第。


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