もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

カテゴリ:ゲーム > Panzer/MBTシリーズ

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現代戦車戦を1両単位で再現した戦車戦ゲーム「MBT」。そのエキスパンションキットである「FRG」のシナリオを対人戦で試してみた。
選択したのはシナリオ15「Advance:Northeasten FRG, 28 September 1987」。西ドイツ北東部の森林地帯を進むソ連第16親衛戦車師団所属の機械化部隊を西ドイツ軍第3装甲師団の機械化歩兵中隊が迎え撃つ。新鋭戦車レオパルド2A3が威力を発揮するのか。

下名は西ドイツ軍を担当する。なお選択ルールは、7.8砲塔、7.9発煙弾発射機、7.29ボグ等を採用した。

1Turn

主導権はNATO側である。ソ連軍2個中隊が盤端から進入。全戦線に渡って展開してきている。

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2Turn

主導権はNATO側である。ソ連が歩兵を下車させて前方展開してきた。対戦車ミサイルの脅威が晒される。

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3Turn

主導権をソ連軍に取られた。ソ連歩兵の近接突撃を避けるために左翼からレオパルド戦車隊を後退させる。
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4Turn

主導権はソ連軍。両軍の盤外砲兵による支援砲撃が始まった。戦線右翼ではNATOの砲兵射撃がソ連軍歩兵部隊上空で炸裂する。1個分隊が打撃を受けて戦力半減する。戦線左翼ではソ連軍の発煙弾が降り注ぐ。
右翼戦線で両軍の激突が始まる。西ドイツ軍の最前線で偵察警戒中のマルダー歩兵戦闘車が距離500mでソ連軍BMP歩兵戦闘車を捕捉。ミラン対戦車ミサイルを命中させてこれを撃破した。

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5Turn

NATOが主導権を取り返した。しかしNATO側にも損害が出た。ルクス偵察車両がT-72BAの射撃を受けて炎上したのである。
ソ連軍左翼の機械化歩兵は1.18高地を占領し、さらに前進の機会を伺う。戦線左翼では、ソ連戦車中隊が西ドイツ軍の死角に進出し、突撃の機会をうかがう。
戦線右翼では。先にBMPを撃破したマルダー歩兵戦闘車が、至近距離に迫ったソ連軍歩兵を20mm機関砲で撃退する。

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6Turn

主導権はNATOである。接近して来たソ連軍相手に西ドイツ軍が猛烈な反撃を行う。先ほどより大活躍しているマルダー歩兵戦闘車が至近距離に迫ったBMPに対して20mm機関砲を猛射。多数の命中弾を与えてこれを撃破した。 さらに森の中を前進してくるソ連軍機械化歩兵小隊の上空でFASCAM(Family of Scatterable Mines)が炸裂。地雷原の罠に閉じ込められた機械化歩兵小隊は、その場で動けなくなった。
西ドイツ軍にも損害が出る。左翼の町を守る西ドイツ軍機械化歩兵部隊は、ソ連戦車中隊の猛攻を受け、マルダー歩兵戦闘車1両が歩兵の下車突撃を受けて炎上した。
しかし主導権を取ったNATO側は、ようやくレオパルドの射程内にT-72の1個中隊を捉えた。チャンスである。

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7Turn

ソ連軍が主導権を取り返した。レオパルドが距離1200mでT-72BA 3両を捕捉する。主導権を取ったソ連側戦車が先に反撃を実施したが、狙いが定まらずに命中弾なし。レオパルドの反撃もT-72が展開した煙幕等に阻まれて、1両に命中弾を与えて撃破するのが精一杯であった。
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8Turn

ソ連軍が主導権を維持している。森の中に布陣していたレオパルドの頭上をレーザー誘導砲弾が襲う。戦車対戦車の戦いでは無敵の威力を発揮するレオパルド2A3であったが、正確無比なレーザー誘導砲弾相手には成す術もなかった。砲弾の直撃を受けたレオパルドは炎上する。

1.18高地に進出していたソ連軍機械化歩兵中隊が続々と山から下りてきた。目の前にはソ連軍の攻撃目標であるJuliet-15。西ドイツ軍に危機が迫る。

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結論と感想

ここで時間切れで終了となった。プレイ時間はセットアップを含めて8~9時間。1Turn平均の所要時間は約1時間。とにかく時間がかかる。LOSのチェック、ルールのチェック等で思いのほか時間がかかってしまった。

今回は決着が着く前に終わってしまったが、今後の展開は予断を許さない。ただ、西ドイツ軍の立場で言えば相当厳しいと言わざるを得ない。戦車や機械化歩兵の損害は現時点ではほぼ同等で、質的な違いを加味するとこちらが劣勢と言って良い。しかも残りはまだ12Turnも残っている。このまま防衛線を全うするのは、西ドイツ軍にとってかなり厳しいのではないだろうか。
今回苦戦の原因は、ソ連側機械化歩兵の下車戦闘に上手く対応できなかったことである。BMPが歩兵を乗車させたまま死角から目標に接近。目標の前面で歩兵が下車。下車した歩兵が近接突撃で狭隘地形に潜むNATO戦車を撃破する。このパターンでマルダー2両を食われてしまった。

何はともあれ、現状のままでは如何に性能に勝るNATO軍といえども、ソ連側の数の暴力を支えるのはかなり厳しそうである。次にNATO側でプレイする際にはせめて「隠匿ユニット」(7.2項)を採用してプレイしたいものである。

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現代戦車戦ゲームの傑作「MBT」シリーズ。その拡張キットである「FRG」のソロプレイである。選択したシナリオは、シナリオ13「Over Hill-and-Date」。森林地帯を進撃するソ連軍増強戦車大隊。それを迎え撃つドイツ連邦軍は、最新鋭のレオパルド2A4戦車4両と歩兵部隊。西ドイツ軍にとっては、数少ない戦車数を歩兵で如何に補うかがポイントとなるだろう。なお、選択ルールは7.1士気ルールを除いて全採用としたが、ルールの適用を忘れている場合があるかもしれない。

前回まで-->こちら 

8Turn

ZM_Turn_NATO主導権は今度もNATOである。主導権ダイスだけは良いNATOなのだが・・・。というよりも、VeteranによるDRM+20の効果が大きいのだが・・・。先手を取ったNATO側はソ連戦車を狙い撃ちする。距離200mから放たれたパンツァーファウスト2発が次々とT-64BVに命中したが、いずれも頑丈な砲塔装甲に命中したため効果なし。別の戦闘でパンツァーファウスト1発がT-64BVの履帯に命中。そのT-64BVは動けなくなった。
ソ連軍に西ドイツ歩兵に対して猛烈な反撃を行ったが、2個分隊が制圧されたのみ。意外なほど頑強な歩兵なのであった。
僅かに生き残ったレオパルド1両は距離900m(9Hex)でT-64BVに対して徹甲弾を車体正面に命中させて、ようやく1両を葬った。動けるT-64BVは残り5両。それらの戦車はレオパルドを追い詰めようと間合いを詰めていくが、またもやレオパルドは巧みに森の中へ下がっていく。

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9Turn

Leopard2A4_186主導権はまたもやNATOである。距離100mの至近距離から発射されたレオパルドの主砲弾。しかし距離が近いと意外に当たりにくい。しかも地形は錯綜している。レオパルドの放った120mm徹甲弾は、空しく地面を抉った。パンツァーファウストも3発が発射されたが、T-64BVに命中した1発は、またもや砲塔装甲に弾かれた。M113A1Gも戦闘に加入しソ連歩兵を機銃で狙い撃ちするが、装甲車程度の火力では殆ど効果がなかった。
ソ連軍の攻撃。西ドイツ軍歩兵1個分隊が自走砲3両からの集中砲火を浴びて壊滅。別の歩兵1個分隊は戦車砲の攻撃で制圧された。奮闘を続ける西ドイツ軍歩兵だったが、徐々に戦闘力を失っていく。

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10Turn

BMP-1P_243ソ連軍はそろそろ突破を意識した行動を起こすことになる。西ドイツ軍の兵力を概ね制圧できたので、後はマップの西橋から突破を果たすのみだ。突破できなかった場合、NATO側に撃破時と同等のVPを与えてしまうので要注意。
主導権は久しぶりにソ連側が握った。ソ連側はレオパルドを撃破できる千載一遇のチャンスが訪れた訳だが、果たして。
ソ連軍はレオパルドの撃破は狙わず、後退していく。レオパルドの両翼に西ドイツ軍歩兵が潜んでいるので、迂闊に近づいてパンツァーファウストの餌食になるのを避けたのだ。既にソ連軍は盤端に向けての突破態勢に入っており、各部隊は突破を成功させることを第一とした行動に移りつつあった。
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11Turn

SO_Inf長かった戦いも残り1/3となった。このTurn、またもや主導権はソ連側である。しかし最早主導権に大きな意味はなくなってきている。レオパルドの徹甲弾がT-64BVを貫いた。T-64BVは爆発炎上。これで移動可能なT-64BVは4両まで減少した。
履帯に命中弾を受けて動けなくなった西ドイツ軍兵員輸送車(M113A1Gに)対してソ連軍歩兵が近接突撃を敢行し、これを撃破した。
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12Turn

WG_InfNATO側が主導権を取り返した。しかしレオパルドの視界にはソ連軍戦車の姿がない。いずれもレオパルドとの交戦を避けて西方へ突破を図っているのだ。残ったのは移動不能になった2両のT-64BVである。レオパルドは距離1200mで擱坐しているT-64BVに対して120mm徹甲弾を放った。しかしどうも今回レオパルドの射撃は出目が悪い。徹甲弾はまたもや目標をそれて明後日の方向に飛び去った。
西ドイツ軍2個分隊がソ連軍1個分隊に突撃を敢行する。数に劣るソ連兵だったが、激しい抵抗を見せ、西ドイツ軍の半固分隊を道連れにした後、自らは玉砕した。
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13Turn

Leopard2A4_186レオパルドが漸く移動不能になっているT-64BVを仕留めた。
ソ連軍の主力は続々と盤端を突破していく。レオパルドはバックしてそれを追うが、もう間に合わない。ソ連梯団の最後尾を移動していた自走砲3両に対し、高地に潜んでいた西ドイツ軍対戦車ミサイルチームがミラン対戦車ミサイルを放ったが、またもやミサイルは目標をそれた。

14Turn

WG_HalfSQ西ドイツ軍の対戦車ミサイルチームが漸く戦果を上げた。突破するソ連軍自動砲3両の最後尾車両にミサイルを命中させたのである。自走砲は爆発炎上したが、残り2両は対戦車ミサイルチームの視界外に去った。
レオパルド戦車が後退してソ連軍の後尾を追う。最後尾のT-64BVを捕捉可能なポジションまで移動。山の上で突破の援護にあたっていたBMP-1Pがそのレオパルドに向けて対戦車ミサイルを放ったが、当然ながらレオパルドの強靭な装甲は対戦車ミサイルを物ともしなかった。

15Turn

最終Turnである。最終Turnまできっちりプレイできるのが、VASSALソロプレイの良い所だ。対人戦だと時間の都合や大局が決した等の理由でなかなか最終Turnまでプレイできることはない。
レオパルドは狙いを突破していないT-64BV 1本に絞った。突破さえ阻止すれば撃破したも同じ。T-64BVは突破するためにはレオパルドの視界内を横切るしかないのだ。

意を決したT-64BVは、レオパルドの目の前300mを全速力で横切っていく。それを待ち構えていたレオパルドは必中の射弾を放つ。命中率72%。
出目は"61"。ここまで命中判定の出目に泣かされてきた西ドイツ軍は、最後の最後に意地を見せた。そして撃破判定。
出目は"82"。え、"82"?。最初の"8"は命中個所の判定だから問題はない。車体側面の弱っちい装甲を120mm徹甲弾がバターナイフのように切り裂いた。
問題は次の"2"だ。これは撃破判定の出目。"1"ならNo Damage"、"2"ならDamegedだ。いずれにしてもKillしていない。

「まだだ、脱出判定がある」

そう。損傷した戦車で脱出判定に失敗すると、クルーが勝手に自車を放棄してしまうのだ。これに賭ける西ドイツ軍。

出目は"05"。ロシア人戦車兵たちは、戦車を捨てて脱出したのだ。これにより西ドイツ軍は最後の撃破戦果を上げた

結果

ソ連軍の損害

T-64BV 9両(2736VP)
BMP-1P 2両(132VP)
2S1自走砲 1両(90VP)
歩兵分隊 1個(98VP)

西ドイツ軍の損害

レオパルド2A4 3両(1143VP)
M113A1G 2両(114VP)
対戦車ミサイルチーム 2個(218VP)
歩兵分隊 1個(90VP)

突破に成功したソ連軍

T-64BV 3両(810VP)
BMP-1P 7両(330VP)(VP対象は5両)
2S1自走砲 2両(0VP)
ZSU-23 2両(0VP)
歩兵分隊 8個(338VP)(VP対象は6個分隊)

突破に失敗したソ連軍

T-64BV 1両(203VP)
ソ連軍:3043VP、NATO:3259VP
引分け

感想

プレイしている間はNATOの完敗と思ったが、引分けとは意外だった。ただソ連側が突破VPをもう少し効率よく突破していれば(つまり歩兵ではなく戦車、BMPを先に突破させること)、ソ連側の勝利は固かったかもしれない。その辺りも含めてソ連側は慎重な戦い方が必要であった。
それにしてもレオパルド2A4は強い。正面からならT-64BVの125mm徹甲弾ではいかなる距離からも射貫けない。序盤にアッサリやられたのは、運用が不味かったから。その場に停止しているのではなく、動くことで相手の命中率を下げさて、こちらは優秀なスタビライザーの性能を生かして移動射撃で戦う。さらに相手が側面に回り込んできたら、移動によって後退させ、彼我の態勢を有利な状況にするべきだった。

それにしてもMBTシリーズは面白い。最初は米ソ関係の兵器した含まれていなかったが、続編の登場によって西ドイツ、英国が加わった。近々カナダ軍も加わるという。どんどん広がるPanzer/MBTの世界の今後に期待したい。

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1987年9月27日、チェコとの国境に近い西ドイツ領内。ソ連第30親衛機械化歩兵師団の戦車大隊が西に向けて進撃を続けていた。森林地帯に待ち伏せるのは、ドイツ連邦軍(FRG)のレオパルド2A4。ドイツ連邦軍誇る新鋭戦車である。数は僅か4両だが、その威力を発揮できるか。

という訳で現代戦車戦ゲームの傑作「MBT」シリーズ。その拡張キットである「FRG」のソロプレイである。選択したシナリオは、シナリオ13「Over Hill-and-Date」。森林地帯を進撃するソ連軍増強戦車大隊。T-64BV戦車13両、BMP-1P歩兵戦闘車9両からなる。それを迎え撃つドイツ連邦軍は、最新鋭のレオパルド2A4戦車4両と歩兵部隊。西ドイツ軍にとっては、数少ない戦車数を歩兵で如何に補うかがポイントとなるだろう。なお、選択ルールは7.1士気ルールを除いて全採用としたが、ルールの適用を忘れている場合があるかもしれない。

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1Turn

T-64BV_179このシナリオは、マップの北部が平地、南部が森林地帯となっている。森林地帯の方が視界が効かないため、突破に時間がかかるが、NATOの優れた長距離射撃能力が生かしにくい。その一方で平地は移動が容易だが、NATO側の防御射撃に晒されるリスクがある。

ソ連側は兵力の優位を生かすため、平地を強引に突破することにした。MBT(主力戦闘戦車)を前に立てて、IFV(歩兵戦闘車両)はその後方から前進する。IFVには歩兵を乗車させたままとし、戦車部隊の交戦状況を見ながら、必要に応じて下車戦法を使う予定だ。
進入するソ連軍戦車に対し、高地に布陣する西ドイツ軍のレオパルドが、距離1000m(10Hex)からまず初弾を発射する。命中率70%が期待されたが、初弾は残念ながら外れであった。さらにミラン対戦車ミサイルの分隊が距離1400m(14hex)からミサイルを発射したが、これまた外れである。

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2Turn

Leopard2A4_186お互いに視界内に両軍の戦車が布陣した。数で劣るレオパルドだったが、高度の優位とCIS(車長用独立視察装置)の利点を生かすため「射撃」命令を採用する。対するソ連軍は、数の優位を生かすべく「Shprt Halt」(移動・射撃)命令を採用した。
主導権はNATOが得た。射撃フェイズ。レオパルドが発砲する。距離10hex(1000m)。今度は命中した。120mm滑腔砲から放たれたAPFSDS弾がT-64の車体側面を綺麗に貫通した。しかしあまりに威力が大きかったためか、徹甲弾は車体を貫通した後、反対側から突き抜けてしまい、狙われたT-64は九死に一生を得た。 別のレオパルドが放った120mm徹甲弾も目標に命中。今度は砲塔に誘爆を生じてT-64は炎上。NATOは漸く最初の獲物を得た。
ソ連軍の反撃。8両のT-64が移動しながらレオパルドを狙う。距離1000~1100m(10~11Hex)。強力な125mm徹甲弾がレオパルドを襲う。3発の徹甲弾がレオパルドに命中した。そのうち2発は強固な砲塔装甲が跳ね返したが、3発目が脆弱な車体側面に命中。レオパルドは爆発炎上する。もう1両にも徹甲弾3発が命中したが、こちらは強固な前面装甲が全て跳ね返した。射撃を行ったT-64のうち、2両が早くも弾薬欠乏状態となった。これらの車両には以後-3の命中修正が適用される。
ソ連軍はじわじわと前進してレオパルドとの距離を詰めていく。NATOは森林地帯を守っていたレオパルド2両を北に向かわせると共に、ミラン対戦車ミサイルの1個チームを増援として送りこむ。

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3Turn

T-64BV_179T-64BVの主砲では、重装甲を誇るレオパルド2A4の前面装甲を打ち抜けないことを悟ったソ連軍。「射撃」はレオパルドの前側面に展開した3両のT-64に託し、残りの大半は「移動」を選択した。下手に撃って弾切れになるよりは、有利な場所を得るような機動を実施した方が得策という判断である。 今回も主導権はNATOが得た。増援で現れたレオパルドが距離1200m(12Hex)から徹甲弾発射。T-64BVの左側面に命中して、1両を撃破した。さらにもう1両のT-64BVが撃破され、これでソ連軍の損害は3両となった。しかしT-64BVの反撃によりレオパルド1両が被弾。そのショックでクルーが戦車を捨てて脱出してしまう。 早くも戦車戦力の半数を失った西ドイツ軍に暗雲が漂う。

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4Turn

ZM_Cmd_ShortHalt主導権はまたもやNATOである。NATO側は「Short Halt」を選択。敵の移動に対応できるようにした。レオパルド2両が射撃を実施。1発がT-64BVの履帯に命中。走行不能となったT-64からクルーが脱出する。4両目の戦果。 山を越えてNATOの背後に回り込まんとする2両のT-64に対してミラン対戦車ミサイル2発が発射された。2発とも目標に命中。1両のT-64BVは砲塔に損傷を被ったが、辛うじて撃破を免れた。もう1両は履帯に命中を受けて走行不能となる。
前進してきたソ連軍戦車に対し、生き残った2両のレオパルドが各々移動して新たな射点につく。そこを狙ってT-64BVが1600mの距離から射撃を実施したが、レオパルドの至近距離に土煙を上げただけであった。

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5Turn

WG_HalfSQ始めてソ連側が主導権を握った。先に射撃できることよりも後に移動できるメリットの方が大きい。相手の動きを見てから動けるからだ。
T-64BV 3両が森に潜むミラン対戦車砲チームに対して距離500mから制圧射撃を行う。しかし森に潜むミサイルチームは頑強であり、制圧できなかった。走行不能になったT-64BVからも900m(9Hex)の距離からレオパルドに対して徹甲弾が放たれたが、そのAPFSDS弾はレオパルドの車体前面に命中して空しく弾かれた。
レオパルドからの反撃はT-64BV 1両に命中し、これを炎上させた。5両目の撃破である。動けないT-64が1両あるので、ソ連軍の中で移動可能なT-64は計7両を残すのみとなった(初期戦力が13両)。
ソ連軍の戦車部隊が大きく展開してレオパルドの左右に展開する。レオパルドは少しでも命中率を避けるべく森の中に逃げ込んだが、それでも両翼を取ったソ連軍戦車からの十字砲火は免れない。

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6Turn

BMP-1P_243主導権決定に先立ってレオパルドはスモークディスチャージャーを作動させる。これは自身を隠す煙幕だ。100%の効果は期待できないが、それでも相手からの射撃の命中率を少しでも低減できる。こちらの射撃も妨害されるので諸刃の剣ではあるが・・・。
NATOが主導権を奪い返した。狙いすましたレオパルドの主砲弾が、目標に命中・・・、ではなく、目標前面に空しく土煙を上げた。さすがのレオパルドでも、自身と相手の両方が動いている状況下でしかも煙幕の効果があっては百発百中とはいかない。
ソ連軍の反撃、主体はレオパルドの右前方に回り込んだ3両のT-64BVである。距離800mは現在の戦車にとっては至近距離と言って良い。しかし煙幕の存在、地形障害、さらにはレオパルド自身の回避行動により命中率はかなり低下している。3両の戦車からの射撃は悉く外れ。レオパルドの周囲に空しく着弾するだけであった。さらに正面から3両のT-64BVが600m以内の近距離から射撃を加えたが、これも命中しない。
戦車戦の間隙を縫って歩兵を乗車させた数両のソ連軍BMP-1P歩兵戦闘車が西に向けて走る。それを待ち構えていた西ドイツ軍ミラン対戦車ミサイルチームが2発のミサイルを発射。両方ともBMPに命中し、2両のBMPが一瞬にして燃え上がる残骸と化した。乗車していた歩兵たちは辛くも地獄から脱出に成功する。もっともその西ドイツ軍対戦車ミサイルチームの方も、発射を捉えたソ連軍自走砲反撃を受けて、1チームが壊滅してしまうのだが・・・。生き残ったBMP-1の4両がさらに前進を続ける。

写真07


7Turn

Leopard2A4_186主導権はNATOである。ソ連軍はレオパルドに対して間接射撃を実施した。もとより装甲車両相手に間接射撃の効果は期待薄だが、着弾煙によって少しでも相手の射撃を妨害しようとする腹である。
NATOの射撃。レオパルドから放たれた徹甲弾はT-64BVの前面装甲を貫いたものの、運悪く反対側に突き抜けてしまって効果なしだった。別のレオパルドが停止中のT-64BVを狙ったものの、こちらは運悪く外れである。
ソ連側の射撃。3両のT-64BVが森に潜むレオパルドを狙う。2両は狙いを外したが、最後の1両(既に走行不能となっている車両)が放った125mm徹甲弾がレオパルドの車体側面に命中した。弱点を撃ち抜かれたレオパルドは爆発炎上。遂に残った西ドイツ軍戦車は僅か1両となってしまう。
最早ソ連軍としては残敵掃討に近い状態である。歩兵戦闘車は歩兵を降ろして下車戦闘。戦車部隊は左右に展開して残り1両のレオパルドを刈り取るべく布陣する。西ドイツ軍歩兵の放ったミラン対戦車ミサイルがBMP-1P目指して発射されるが、ミサイルは目標を逸れた。
そのミサイルチームもT-64BVからの反撃を受けて壊滅してしまう。
不用意にケツを晒したT-64BVに対してドイツ軍歩兵が200m(2Hex)の距離からパンツァーファウストを発射したが、これまた惜しくも狙いを外れた。

西ドイツ軍は生き残ったレオパルドで現地点を死守させつつ、機械化歩兵を後方に再展開し、敵戦車の側面や後面からパンツァーファウストで狙い撃ちすることにした。

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(つづく)


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Panzer


GMT「Panzer」(以下、本作)は、WW2東部戦線における戦車同士の戦闘を扱った戦術級ゲームである。スケールは1ユニット=戦闘車両1両、1Hex=100m、1Turn=15秒~15分である。時間スケールにかなり幅があるのが特徴である。
テーマはWW2東部戦線と書いたが、基本セットでは1943~44年の東部戦線に焦点を絞ったつくりになっている。戦車戦的には両軍の新型戦車が登場してくる「美味しい」時期を扱っている。また拡張キットには、1942年や45年の東部戦線、1944~45年の西部戦線を扱った作品も存在している。

今回、本作を久しぶりにプレイしてみた。いずれも基本セットのシナリオである。

シナリオ1.The Crossings: Ukraine, late 1943

1943年後半における独ソ戦車隊同士の典型的な遭遇戦である。戦場の中央付近に小川が流れており、その橋梁と浅瀬の確保が両軍の目的になるが、結局は戦車戦での勝敗がシナリオ自体の勝敗を決すると言っても良い。そういった意味で橋梁や浅瀬は「両軍を戦わせるための餌」といっても過言ではないだろう。
登場兵力はソ連軍はT-34/76 M43が10両。ドイツ軍は4号戦車G型が11両である。ドイツ軍の方が1両多いが、戦車の性能や練度で極端な差がないので、両軍の間にゲームバランス上の有利不利は殆どない。

CMJ「Tanks」では、ドイツ製戦車とソ連製戦車の間で命中率(特に中距離以上)に極端な差を設定することで両者の質的な差異を際立たせようとしている。その点、本作ではそのような意図はあまり見られず、純粋にハードウェアの違いだけを評価しているように思える。どちらが正しいのか(あるいはどちらが好ましいのか)は人それぞれ評価が分かれると思うが、同じ戦車戦でもデザイナーによって視点が異なってくるのは興味深い。 

T34_76M43戦車性能を比較してみる。
まず火力だが、4号G型が装備する75mmL43は、T-34/76が装備する76.2mmL43と比較して射程距離と貫通力の両面で優越している。しかし装甲防御ではT-34/76の方が4号G型を凌駕しているので、4号戦車の火力面での優越はある程度相殺されている。具体的に言えば、4号G型はT-34の正面装甲を1200m(12Hex)以内で貫通可能だが、T-34/76は4号G型の正面装甲を1000~1700m以内で貫通可能(車体の方が砲塔よりも装甲が強い)である。実際の戦闘局面では、両者の装甲が敵の射弾に耐えうる可能性は余り高くない。そういった意味では射程距離に優れ、命中率でやや優越しているドイツ軍戦車が心持ち有利かもしれない。
一方の機動力では逆にT-34/76が有利で、クロスカントリーでの移動力が4対5である。
総合的には火力で4号戦車、防御力と機動力でT-34/76が有利という結果になり、総合的に両者は殆ど同等と評価できる。

DC_G-1B_PZKpfw4G


本シナリオはほぼ同兵力の独ソ両軍が歩兵や砲兵を含まない純粋に戦車同士で撃ち合う内容である。そういった意味では本作のシステムと戦車戦の基本を学習する上では好適なシナリオと言える。実際の展開を見ても、制高点の制圧、兵力の集中、敵の側面への攻撃といった戦車戦の基本戦術を使いこなした側が有利に戦える。とはいえ戦車戦なので運の介在する要素も多く、戦術面での優越が必ずしも結果に結びつかない所がある。そのような場合「それが戦車戦」だと思って楽しめるかどうかが、本作を楽しめるか否かの岐路になると思われる。

このシナリオは計2回プレイし、お互いにルールを理解できた時点で次のシナリオに進んだ。

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シナリオ2.The Village: Poland, late 1944

1944年後半における独ソ戦車同士の戦いである。シナリオ1と似ているが、時期が違うため両軍の戦車がバージョンアップしている。ドイツ軍の兵力は5号戦車「パンター」が6両、4号戦車H型が5両、3号突撃砲が1両の計12両。ソ連軍は85mm砲装備の新型T-34/85M44が10両、SU-85自走砲が2両、SU-100自走砲が1両の計13両である。シナリオ1と同様、兵力的には両者に殆ど差はない。

DC_G-2B_PZKpfw5_Panther


T34_85M44シナリオの勝利条件は、敵戦車の撃破の他、マップの左上にある村落Stravrhevoyの支配である。これもシナリオ1と同様に両軍に「戦うための理由」を付与しているに過ぎない。
両軍戦車の比較に移る。ソ連軍の主力はT-34/85である。まず「軍馬」4号戦車H型との比較である。機動力ではT-34/85が圧倒的に有利。4号H型は機動力の面では最低クラスである。4号H型の75mmL48では、T-34/85の正面装甲を距離700~1300m以内で貫通可能。T-34/85の85mmL55は、1300~2100m以内で4号H型の正面装甲を貫通できる。4号H型は、G型に比べると装甲・火力共に強化されているが、それでも新型のT-34/85に比べると劣勢は否めない。

Pz5次にドイツ軍の新型パンター戦車と比較した場合、機動力ではT-34/85が心持ち有利だが、ほぼ同等。火力と装甲では言うまでもなくパンターが有利である。パンターの75mmL70は距離2000m以内でT-34/85の前面装甲を貫通可能なのに対し、T-34/85の85mmL55は距離400mでパンターの正面装甲を貫通できるに過ぎない。従って射距離500m以上の距離ならパンターはまず安全である。ただし側面に回り込まれなければだが・・・。


SU100M44ちなみにパンターの正面装甲に有効打を与える手段は1つだけ存在する。SU-100自走砲だ。SU-100自走砲の搭載する100mmL56は、最大射程距離である2600mまでパンターの正面装甲を貫通可能だ。つまり戦闘距離ではほぼ全てのドイツ軍戦車に有効打を与え得るのだ。逆にSU-100の装甲防御力は、パンターに対してはほぼ無力、4号H型に対しては距離1400m以上で安全距離である。実際の戦闘場面では、SU-100は中距離以内の戦闘でドイツ軍戦車に対して安全距離を得られていない。従ってドイツ軍としては最優先でSU-100の撃破を図るべきであろう。

DC_S-4B_SU-100_M44


このシナリオは、様々な特性を持つ独ソ両軍の戦闘車両が登場する。戦車同士の遭遇戦なのでシナリオ1で述べた戦車戦の基本をマスターしておくのが望ましいが、それに加えて彼我の戦車の特性(パンターは正面を向けていれば中距離からのソ連戦車からの射撃に対してほぼ安全とか、SU-100が一番脅威になるとか)を理解しながら戦う必要がある。

このシナリオは2回プレイし、最初はソ連軍のSU-100が威力を発揮してパンターを次々と撃破。2回目は逆にドイツ軍が序盤でSU-100を潰した後、パンターの性能優位を利用してソ連軍を一方的に撃破していった。
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シナリオ9.Hube's Pocket: Ukraine, April 1944

Inf_SQ歩兵が登場するシナリオである。ただし砲兵や航空兵力が登場しないので、本作の中では比較的シンプルなシナリオと言える。歩兵については、実質的な戦闘力が小さくオマケ的な位置づけといえる。シナリオの勝利条件は、マップにある2つの制高点を制圧することにある。
例によって登場戦車を見てみよう。ソ連軍はT-34/85M44が10両、SU-85自走砲が3両の計13両。ドイツ軍は4号戦車H型9両、6号戦車「ティーガー」2両、3号突撃砲2両の計13両である。これらの車両は先のシナリオ2で登場したものが殆どで、大物はティーガー重戦車である。
Pz6Eティーガーとソ連側の主力であるT-34/85M44を比較すると、ティーガーの88mmL56は、T-34/85の正面装甲を砲塔は1300m以内、車体は2100m以内で貫通可能である。対するT-34/85の85mmL55は、ティーガーの正面装甲を700~1300m以内で貫通可能である。心持ちティーガーが有利だが、その優位性は小さい。そして機動力ではT-34/85M44が圧倒的に優勢である。従って本シナリオについて戦闘車両のハードウェア比較においては、ソ連軍優位となる。練度面でも両軍に差異はないので、本シナリオについてはソ連軍有利と言えるのではないか。

DC_G-3A_PZKpfw6E_Tiger1


本シナリオは1回プレイした。本シナリオでドイツ軍を担当した筆者は、ティーガーの意外な脆さに愕然としながらも、高地効果を利用してソ連軍に対応。ソ連軍戦車の一部がドイツ歩兵と遊んでいる間を利用して兵力の優越を確保。「量で質を補う」作戦で優位に立ったドイツ軍が何とか勝利を掴んだ。
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感想

戦車戦ゲームの常だが、戦闘結果がブラッディである。本作のように主導権によって射撃順が決まるゲーム(戦車戦ゲームではよくあるシステムだ)では、主導権ダイスの結果によってゲームの流れがかなり左右される。とはいえ「主導権ダイスが良ければ常に勝てる」という訳ではなく、結局は戦車運用に長けた側が有利に進めることになる。
結局の所、

「Panzerは戦車好きのためのゲームである」
「Panzerは上級者向きゲームである」
「Panzerはプレイヤーを選ぶゲームである」

といった感想につきる。

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MBTは、GMT社が2016年に発表した戦術級シミュレーションゲームだ。テーマは1987年の中欧戦線。当然ながら仮想戦である。登場するのは、在欧米軍と旧ソ連軍。米ソの機械化部隊同士の通常戦闘を、1Hex=100m、1ユニット=1両、1門、1個班~分隊で再現する。
システムの詳細は、こちらの記事を参照されたい。

シナリオ紹介

今回プレイするのは、シナリオ3「The Gap:GDR Western Border,27 September 1987」である。タイトル通り1987年9月27日を想定したシナリオだ。フルダ峡谷にてソ連軍第8親衛軍に所属する第79親衛戦車師団(当然カテゴリーA級の最強部隊)に対し、米第11機甲騎兵連隊(ACR)が遅退戦術を展開するというもの。
登場兵力は米軍が機甲騎兵中隊1個で、改良型M1戦車(M1IP「エイブラムス」)が5両とM3A1「ブラッドレー」が5両の計10両。他に歩兵や自走迫撃砲が登場する。
対するソ連軍は、増強戦車中隊1個で、T-80BV戦車が13両とBMP-2歩兵戦闘車が8両。他に支援砲兵、偵察車両、乗車歩兵等も登場する。単純計算で米軍の約2倍といった所か。

勝利条件を見ると、両軍の撃破得点以外にソ連軍の盤外突破に失敗したユニット1個につき、その価値ポイントに相当するVPが米軍側に入ってくる。対して盤外突破したソ連軍ユニットについては、最初の16ユニット限定だが、価値ポイント相当のVPがソ連軍に転がり込む。この事から、米軍としては可能な限りソ連軍の盤外突破を妨害するように戦うのが得策だ。

今回はソ連軍2名、米軍1名の計3名でプレイした。私はソ連軍の半分、戦車10両と機械化歩兵1個小隊(BMP-2 3両)を指揮する。

1Turn

米軍の主力は戦線左翼の3.20高地に布陣している。特に2両のM1IPエイブラムスがハウダウン姿勢で待ち構えている。こちらを突破するのは困難であることは明らかだ。

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攻撃の先鋒を承った我が混成戦車中隊は、戦線右翼の1.18高地の、さらに右側裾野を迂回し、そこから1.18高地を攻略することにした。1.18高地上には米軍のM3A1ブラッドレーが1両と1個分隊の歩兵しかいない。力で押しつぶせるはずだった。

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2Turn

戦線左翼から友軍の機械化歩兵中隊が登場した。こちらは3.20高地正面に布陣し、建物を利用して姿を隠しながら3.20高地に迫る。
一方、私が指揮する戦車中隊は、じりじりと1.18高地に迫っていく。

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3Turn

ソ連戦車中隊が1.18高地に到達した。しかし高地に上がった瞬間、谷を挟んで反対側の3.20高地に布陣したM1IPが、距離1200mから徹甲弾を放った。エイブラムスの105mmライフル砲から打ち出されたAPFSDS弾はT-80BVの正面装甲を易々と貫通し、同車を擱坐させた。
高地の背後ではBMP-2から歩兵が下車。突撃態勢に入る。

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4Turn

1.18高地を占領したT-80BV戦車隊が報復の砲火を浴びせる。3両の戦車が谷を挟んだ向こう側の3.20高地に布陣した1両のエイブラムスを集中射撃。車体後面に命中したAPFSDS弾が、1両のエイブラムスの息の根を止めた。初戦果。しかしもう1両のエイブラムスはしぶとい。3発の125mmAPFSDS弾がエイブラムスの砲塔正面に命中したが、エイブラムスの強靭な装甲は徹甲弾を悉く跳ね返した。予想はしていたが、エイブラムスの重装甲に舌をむくソ連軍なのであった。

ソ連側の対戦車射撃が今一つ冴えない理由は、エイブラムスの重装甲と、もう1つ。両者の位置関係にある。待ち構えている米軍が制高点を押さえているので、ソ連側の射撃は下から撃ちあげる形になり、米軍の射撃は上から撃ち降ろす方になる。「MBT/Panzer」シリーズでは、上から撃ち降ろす射撃が有利になっているので、逆の位置関係だとなかなか装甲を射抜けない。

その間、1両のT-80BVがM1IPの105mmAPFSDS弾を受けて爆発炎上する。ソ連軍の損失は戦車2両となった。ソ連軍戦車隊は、3.20高地から撃ってくるエイブラムスとの交戦を避けるため、山頂からやや降りた所に陣地変換を行った。ここなら3.20高地との間に木々が生い茂っているので視線を遮っている。

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5Turn

後手に回ったソ連軍だったが、1.18高地を押さえたことで優位に立った。高地斜面に陣取るT-80BVが、1200mの距離から麓の果樹園に布陣するM1IPを射撃。2発の125mmAPFSDS弾を命中させた。1発は砲塔に命中して弾かれたが、1発が車体に命中して貫通。内部で爆発してM1IPを擱坐せしめた。
さらに別のT-80BVは、200mの近距離からM3A1ブラッドレーに対して徹甲弾を発射。これが目標に命中して撃破した。

強敵を倒してホッと一息のソ連軍戦車小隊。そこにいきなり2発のミサイルが飛来した。有線誘導のTOW-2対戦車ミサイルだ。1発のTOW-2は僅かに目標を逸れたが、もう1発のTOW-2はT-80BVの砲塔正面に命中した。最大800mmの装甲貫徹力を誇るTOW-2は巨大なエネルギーをT-80BVの正面装甲に叩き込む。しかしT-80BVの爆発反応装甲が戦車を救った。爆発反応装甲の爆風はHEAT弾のメタルジェットを拡散させため、TOW-2のHEAT弾はT-80BVの複合装甲を貫くだけの力を失ったのである。

歩兵部隊は米軍歩兵に対して近接突撃を実施し、これを撃破した。

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6Turn

先手を取ったソ連軍。1.18高地斜面に布陣した3両のT-80BVが、麓に布陣する1両のM1IPと2両のM3A2を狙った。その悉くが目標に命中。1両のエイブラムスと2両のブラッドレーを残骸に変えた。高地から撃ち降ろす射撃の場合、装甲がその効果を完全には発揮できないのである。
この段階でエイブラムス3両、ブラッドレー3両を失った米軍プレイヤーが投了。ソ連軍の勝利に終わった。

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感想

プレイ時間はセットアップを含めて約4時間であった。1Turn30~40分である。全Turn数は15Turnなので、完全にプレイしようと思えば8~10時間程度かかる計算になる。
時間がかかった理由は、元々が手順の多いゲームであったこと(例えばT-80BVが主砲射撃すると、弾切れ判定、命中判定、撃破判定の3段階を踏む必要がある)もあるが、その他細かいルールが多いので一々ルール確認をする必要があったこともある。そう考えると、慣れればもう少しペースアップが期待できる。

確かにMBTは簡単なゲームではない。手順は多いしルールも多い。手軽にできるゲームではないことは確かだ。しかし現在戦車戦をこれほど精密に、かつプレイ可能なレベルでまとめ上げた作品は他にはない。また冷戦終結によって遂にその優劣を実地で確かめることがなかった西側戦車と旧ソ連の新鋭戦車との対決をゲームという舞台で再現できるのも大きい魅力である。私自身、他にシナリオをプレイしたくてウズウズしている。

戦車好き、現在戦好きなら、お奨めできる作品である。

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