もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

カテゴリ:世界の軍隊 > 旧日本陸軍・海軍

2
220320_日本潜水艦

日本海軍潜水艦図鑑

古田和樹

これもKindleUnlimitedで読んだ本。日本潜水艦の技術的な内容や戦歴がコンパクトにまとめられている。特に目新しい記述はなく、無料という点以外にあまり価値はないと感じた。

お奨め度★★

3
220302_MC

Military Classics Vol.76

イカロス出版

特集は「金剛型高速戦艦」。結構細かい所まで調べてあって、モデラ―にとっては有益な内容だと思う。モデラ―ではない私にとっても眺めているだけで面白かった。本文記事も目新しい所こそ少なかったものの、ボリュームは十分で読み応えがあった。
第2特集はホーカーハリケーン。バトルオブブリテンではスピットファイアに劣ると言われ、太平洋戦線では零戦、一式戦なりにボロ負けしたというイメージが強いハリケーンだが、実際には優れた点も多く、それなりに重宝されたとのこと。面白かった上に、大いに参考になった。

お奨め度★★★

3
220129_東條

東條英機-「独裁者」を演じた男

一ノ瀬俊也 文藝春秋

東條(東条)英機。ヒトラーやムッソリーニと並んで連合国側からは日本の独裁者と思われていた人物である。彼が独裁者であったことは恐らく一度もなかったが、日本があの戦争を行うことになった際の総理大臣であったことは間違いなく、俗な言い方をすれば「日本を戦争に引きずり込んだ人物」という言い方は可能だ。
本書はそんな東條に焦点を当てて、彼の生い立ちや戦前、戦中、そして戦後での言動やその考え方を追った著作である。なぜ東條が「日本を戦争に引きずりこんだ」のか、東條は何に期待し、何を恐れたのか。東條が目指したものは何だったのか。等について筆者なりの考察を加えている。
私はといえば、別に東條英機という人物に左程興味はなく、牟田口廉也や富永恭次のようないわゆる「評判の悪い人」の一人という認識であった。そういった人物を筆者がどのように評価しているかに興味があったが、結論はいたって平凡であり、そういった意味ではやや肩透かしを食った感があった。

お奨め度★★★

4
211225_国産護衛艦

国産護衛艦建造の歩み

香田洋二 海人社

「世界の艦船」誌の増刊127集。戦後初の国産護衛艦である「はるかぜ」型から、八八艦隊の中核となった「はつゆき」型、「あさぎり」型、そして最後の非イージス型DDGとなった「はたかぜ」型や最後のDEクラスとなった「あぶくま」型まで、約30年間に渡って建造された国産護衛艦の建造について記載した著作である。筆者は海上自衛隊で自衛艦隊司令官を務めた船乗りで、本書で扱っている様々な護衛艦に乗り込み、実務に携わっている。そういった意味で本書には、船乗りだからこそ書ける現場感覚にあふれている。
筆者はこれまで海上自衛隊が建造してきた様々な護衛艦について、単にカタログスペックを並べるだけではなく、その背後にある運用方針や戦術思想、さらには現場での苦悩や問題点等、情報保全に留意しながらも可能な範囲で赤裸々に述べている。特に海上自衛隊が目指していた対潜戦の戦術や、「はつゆき」型護衛艦の予想外の欠陥といった記述については、これまで知らなかったことだけに興味深かった。
本書は雑誌形式にも関わらず写真類が殆どなく、大半が文章である。その分読み応えがあり、資料的価値は高い。海上自衛隊の艦艇に興味のある向きには是非お勧めしたい1作である。

お奨め度★★★★

5
211218_日本軍兵士

日本軍兵士-アジア・太平洋戦争の現実

吉田裕 中公新書

「太平洋戦争で日本軍は善戦した」「連合軍は日本軍兵士の戦いぶりを驚嘆した」等とはよく言われる。自国民や戦争に参加した人たちだけではなく敵である連合軍側からも同様の評価がなされることがある。陸海軍を問わず旧日本軍にある種の「精強さ」を評価する向きがあることは否定できない。しかし「精強さ」の裏でどのような悲惨な死があったのか。そしてそれらを生み出した日本軍の組織的な欠陥とは何だったのか。本書はそのような事実に着目し調査した著作である。
本書はまず日本軍兵士の「死に方」に着目する。個々の兵士がどのような「死に方」をしたか、については、細かいデータが存在していないため実数は不明である。しかしいわゆる純粋な意味での「戦死」の割合は極めて少なく、その大半が戦病死、つまり病死であったとする筆者の主張は衝撃的だ。例えば日中戦争の段階(1941年12月まで)のデータでも戦病死の割合は50%以上となっており、中国戦線を戦い抜いたある連隊の場合、戦病死の割合が73%にのぼるという。補給面で比較的恵まれていたとされる中国戦線ですらこの数値なのだから、補給の断たれた太平洋の島嶼戦や悲惨の代名詞とされるインパール戦等はもっと割合が増えるであろう。その原因は日本軍の衛生観念の低さや衛生対策の遅れ等が挙げられているが、戦闘力至上主義の弊害と読み取ることもできる。
さらに純粋な病死以外にも、例えば自殺者や事故死(軍隊内のイジメにより死亡に至ったもの)、さらに輸送中の海没、さらには特攻による強制自殺等も含めると、日本軍における「名誉の戦死」の実態が実は陰惨なものであったことが浮かび上がってくる。
またこのような悲惨な実態を生み出した背景には、日本陸海軍の急速な規模拡大を挙げることができる。「精鋭主義」を打ち出していた日本陸海軍の規模は、1930年の段階で陸軍20万人、海軍5万人の計25万人。それが太平洋戦争終結時の1945年には陸軍550万人、海軍170万人の計720万人まで膨れ上がり、実に30倍規模に膨れ上がった。このような「大衆化」した軍隊で「精鋭主義」が通用する訳がないのだが、そのような事態を直視して本質的な対策を打たなかったことが悲惨な事態を招いたと言えよう。
日本軍の「強さ」について改めて見直してみるには良い著作だと思う。

お奨め度★★★★★

余談だが、戦後に所謂「戦記」物の著者はほとんどが「25万人」のグループに属しており、その中でもさらに一部のエリート層であったことは覚えておいて損はない。そしてエリート達の作文が、「残り720-25万人」の思考に全く及ばなかったことは、大岡昇平、山本七平らの作品を見れば明らかである。

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