もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

カテゴリ: 世界の軍隊

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Military Classics Vol.84

イカロス出版

特集は「IV号戦車」。パンターやティーガーに比べると地味だが、開戦時から終戦時までドイツ装甲師団の主役の1人として戦い続け、特に長砲身搭載型は連合軍のシャーマンやT-34に対しても十分に対抗できる性能を持っていた。さらに派生型も多く、88mm砲搭載のナースホルンや150mm砲装備のブルムベア、さらに自走砲のフンメル、対空用のヴィルベルヴィント等、バリエーションの多彩さでも他の追随を許さない。本書では、このIV号戦車の魅力を様々な視点で紹介している。IV号戦車のファンのみならず、WW2の欧州戦線に興味のある向きには、一読の価値があるだろう。
第2特集は艦上偵察機「彩雲」。開戦後に開発が始まった艦載機の中では比較的早期に戦力化できた機体である。あ号作戦などの戦歴も豊富であり、戦争末期における海軍航空隊の「眼」となった機体でもあった。
特集記事以外にも連載記事も興味深い内容であった。特に古峰文三氏の「砲兵から見た戦後戦史」は、WW2終了後におけるヨーロッパ正面での東西両陣営の対決を氏独自の視点で分析するもので、今後の内容が楽しみな記事であった。

お奨め度★★★

MILITARY CLASSICS (ミリタリー・クラシックス) Vol.84(2024冬号)-特集:IV号戦車
MILITARY CLASSICS (ミリタリー・クラシックス) Vol.83(2023年秋号)-特集:三式戦闘機/五式戦闘機
MILITARY CLASSICS (ミリタリー・クラシックス) Vol.82(2023年夏号)-特集:丙型・丁型海防艦
MILITARY CLASSICS (ミリタリー・クラシックス) Vol.81(2023年春号)-特集:ドイツ突撃砲・突撃戦車
MILITARY CLASSICS (ミリタリー・クラシックス) Vol.80(2023年冬号)-特集:Fw190/Ta152
MILITARY CLASSICS (ミリタリー・クラシックス) Vol.79(2022年秋号)-特集:高雄型重巡

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歴史群像2024年2月号

学研

特集は「日本陸軍のロジスティクス」。日露戦争紀における日本陸軍の兵站に着目し、通説に反して日本陸軍が同戦争せ兵站を重視していたことを実例を挙げて説明している。中でも児玉源太郎や大山巌、あるいは軍事面ではあまり高い評価を得ていない山県有朋といった重鎮たちは兵站を重視し、若手参謀たちが主張するような急進撃を制止する側に回っていたことは興味深い。
第2特集の中東戦争航空戦1948-73も興味深い内容であった。中東戦争といえば、米ソの代理戦争といったイメージが強く、特に当時最新鋭の装備が優先的に送られて実戦使用されていた感がある。本特殊記事では、その中でも航空戦に着目し、アラブ・イスラエル両陣営がいかにしてこの戦争を戦い抜いていったかを解説している。中でもエジプト軍のスカッドミサイルを核攻撃用と誤認してイスラエル軍が空爆したというエピソードは、常に国家存亡の淵に立たされているイスラエルの本気度を見た思いだ。
他には美保関事件やF6Fヘルキャット夜戦型、アメリカの戦争映画に関する記事も面白かった。特に美保関事件については、本来なら平時における艦隊演習時における安全確保について重大な教訓を得る場面であったにもかかわらず、「士気に関わるから」という理由で聯合艦隊司令部の責任を不問にしたり、(同情の余地があるとはいえ)当事者艦長の自殺によって問題点が分析されなかった点は、現代の日本組織にも通じる病根ではないかと感じている。そのような中、聯合艦隊の強い意向に逆らる形で本件を「過失による事故」とし、当事者全員を起訴した海軍法務局の判断は実に立派であり、法を曲げることを善しとしなかったその態度には学ぶべき点が多いと考える。

お奨め度★★★

歴史群像 2024年2月号[雑誌] - 中東戦争航空戦1948-73
歴史群像 2023年12月号[雑誌] - 特集:日本機動部隊
歴史群像 2023年10月号[雑誌] - 特集:ドイツ空軍の東部戦線
歴史群像2023年8月号[雑誌] - 特集:マリアナ沖海戦
歴史群像 2023年6月号 [雑誌] - 特集:日本海軍駆逐艦全史
歴史群像 2023年4月号 [雑誌] - 特集:海上護衛戦
歴史群像 2023年2月号 - 特集:日本巡洋艦
歴史群像 2022年12月号-比島攻略作戦


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丸2023年5月別冊-日本海軍航空母艦蒼龍&飛龍

光人新社

空母「蒼龍」「飛龍」についてまとめた別冊本である。両艦のカラー写真や搭載機の側面図カラーイラスト、さらに青写真や白黒写真など見どころは豊富。本文記事は、両艦の設計&建造に関する記事。両艦の戦歴。さらに海外での同クラス艦との比較記事。艦上機のラインナップ記事など、読みどころも多い。さらに「丸」誌の別冊ということで、実際に両艦に乗って戦った人たちの手記が多数掲載されている点も魅力である。特にミッドウェー海戦で大炎上した両艦から生還した人たちの手記は戦慄モノである。

月刊丸 別冊 5月別冊 (2023-04-20) [雑誌]

お奨め度★★★

月刊丸 2024年2月号 (2023-12-25) [雑誌] - 特集:紫電改
月刊丸 2023年7月号 (2023-05-25) [雑誌] - 特集:天山&流星
月刊丸 2023年4月号 (2023-02-28) [雑誌] - 雪風/74式戦車


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Imperial Japanese Navy Aircraft Carriers 1921-45

Mark Stille Osprey Publishing

例によってオスプレイの1冊である。New Vanguardシリーズの1冊で、旧海軍が整備した25隻の空母について記している。冒頭に日本空母の発展史、航空艤装、兵装、搭載機、レーダー等について一通り説明した後、「鳳翔」から始まる日本空母25隻について、1隻1隻説明している。
オスプレイの1冊なので英語が極めて平易であり、我々にとっても読みやすい。ボリュームについてはやや不満があるが、その分短時間で読破できるのは良い点ともいえる。記載されている内容は我々にとって常識レベルだが、海外の識者が日本空母についてどのような評価を下したのかは興味深い。また日本空母のダメコンや「翔鶴」型空母に対する評価については興味深く読めた。

Amazon.co.jp : Imperial Japanese Navy Aircraft Carriers

お奨め度★★★


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Essex Class Aircraft Carriers, 1943-1991

Leo Marriott Pen & Sword Maritime

Images of Warシリーズというミリタリー関係の書籍群の1冊である。タイトル通りエセックス級空母の登場から退役までを写真を中心に解説した著作である。エセックス級空母といえば、我々にとっては太平洋戦争時期での活躍を思い浮かべるが、エセックス級空母の活躍はそれだけに済まない。朝鮮戦争やベトナム戦争での活躍は勿論、宇宙開発への貢献など、米海軍における貢献度は計り知れない。活躍期間の長さや隻数の多さに比例する形で、エセックス級空母は様々なバリエーションがある。一番ベーシックな短船体型と、その後改造型である長船体型があるが、太平洋戦争で日本海軍と戦ったのは殆どが短船体型。長船体型の中で対日戦で活躍したのは「ハンコック」「タイコンデロガ」「ランドルフ」「シャングリラ」ぐらい。
その後の改造型もサイドエレベーターと改造型のカタパルトを装備したSCB-27、アングルド・デッキを装備したSCB-125、さらに強襲揚陸艦に改造されたモデルもある。本書ではこれらの改造型についても写真付きで説明している。
ボリューム的にはそれほどでもないが、その分気楽に読めるので、英語が苦手な私のような人にもお奨めできる著作である。

Essex Class Aircraft Carriers, 1943–1991: Rare Photographs from Naval Archives (Images of War) (English Edition)

お奨め度★★★


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