もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

カテゴリ: 世界の軍隊

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歴史群像2023年12月号

学研


特集は「日本海軍空母機動部隊の誕生」。日本海軍の空母機動部隊について、黎明期からミッドウェーの敗戦までの歩みを日本側の視点から論じたものである。戦前期において日本海軍における空母運用や戦術がどのような進展を見せたのかを知ることができた。
他に面白かったのは、小栗上野介の記事。横須賀に行ってヴェルニー公園に行き、ヴェルニーって何?、という程度の知識しかなかった筆者にとって、ヴェルニーと小栗の関係についての記事は新鮮であった。
さらに旧日本陸海軍における航空機生産を妨げた液冷エンジン生産の記事や現在の空母と対空母戦術や兵器についての記事、さらにはクリミア戦争の記事やナポレオン戦争の連載記事も面白かった。
今回は全般的に読む所が多い内容であった。

お奨め度★★★★

歴史群像 2023年12月号[雑誌]


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丸2023年7月号

潮書房

特集は「天山」&「流星」。日本海軍の後半戦を代表する艦上攻撃機2機種を取り上げている。両機種とも登場が戦争後半だったため、苦戦を強いられ、その高性能を十分に発揮できなかった。今回の特集では、両機種の技術的な解説と戦闘記録に関する記事が取り上げられている。さらに「丸」誌の強みとして、過去の「丸」誌に掲載されていた旧海軍関係者の手記を計5本掲載しており、往時の息吹を感じることができる。
第2特集は海上自衛隊「おやしお」型潜水艦。「そうりゅう」や「たいげい」のようなAIP機関こそ搭載していないが、在来型ディーゼル潜水艦では海自最高峰の「おやしお」型潜水艦を中心に、海自の潜水艦や対潜部隊を多角的に取り上げている。
全般に読む所が多く、読みごたえがあった。
そういえば最近の「丸」誌は以前に比べて連載記事が減ったような気がする。連載記事は個人的に興味がない部分も読まされる(読み飛ばす)ことになるので不要だと思っていたが、そういった意味では連載記事が減ったのは嬉しいことだ。

お奨め度★★★

月刊丸 2024年2月号 (2023-12-25) [雑誌] - 特集:紫電改
月刊丸 2023年7月号 (2023-05-25) [雑誌] - 特集:天山&流星

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空母「赤城」「加賀」「翔鶴」「瑞鶴」完全ガイド

イカロス出版

雑誌「ミリタリークラッシクス」の特集記事を再構成したもので、雑誌を既に保有する読者にとっては購入する価値の乏しい内容と言える。
それぞれの構造や建造の経緯、実戦での活躍、艦載機についての記事がそこそこ詳しく掲載されているので、資料性はそこそこある。この種の本の特徴として、主役となる艦の評価が高くなりがちであり(そりゃ、購入対象者の多くはファンだからね)、本書でもその傾向は否めない。それでもレキシントン級に比べて「赤城」「加賀」が劣っていたとか、「翔鶴」「瑞鶴」もヨークタウン級、エセックス級空母に劣る点が多いとか、ある程度は公平に評価しているようだ。

お奨め度★★★

空母「赤城」「加賀」「翔鶴」「瑞鶴」完全ガイド


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Military Classics Vol.82

イカロス出版

特集は「丙型丁型海防艦」。いわゆるx号海防艦だ。大東亜戦争後期に大量生産され、戦争末期には事実上日本海軍水上部隊の主力となった艦種。言ってみれば現代の海上自衛隊の始祖ともいうべき艦種だ。個人的には好きな艦種で、今回取り上げてくれたことは大歓迎である。記事も充実していて読みごたえがあった。
第2特集はスペイン内戦。こちらも名前が有名だけれども実態があまりよく知られていない戦い。今回の特集では戦争至る経緯は戦争の流れ、諸外国の動きや戦争で活躍した兵棋など、スペイン内戦を知る上で基本となるべきポイントを押さえていた。
他にはWW!期におけるツェッペリン飛行船に関する小説風の記事にも読み応えがあって面白い。飛行船という一見時代に取り残された風に感じる兵器についても、そこで戦った人々の物語があり、喜びや苦悩があることを教えてくれた。
今回も読むところが多く、お勧めである。

お奨め度★★★★

MILITARY CLASSICS (ミリタリー・クラシックス) Vol.83(2023年秋号)[雑誌] - 特集:三式戦闘機/五式戦闘機
MILITARY CLASSICS (ミリタリー・クラシックス) Vol. 82 (2023年夏号)[雑誌] - 特集:丙型・丁型海防艦


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波まくらいくたびぞ:悲劇の提督・南雲忠一中将

豊田穣 講談社文庫


太平洋戦史に興味のある方に南雲忠一を知らない人はほとんどいないと思う。空母6隻を有する第1航空艦隊を率いて真珠湾攻撃を成功させ、半年後のミッドウェー海戦で大敗を喫し、南太平洋で戦い一定の戦果を挙げたものの、最後はサイパン島の地上戦で戦死した、まさに「悲劇の提督」というのが相応しい人物である。
本書は、南雲忠一の太平洋戦争での活躍を彼自身の視点から描いた著作である。また太平洋戦争時だけではなく、戦前における艦隊派と条約派の対立、艦隊派の急先鋒としての南雲の活動(井上成美との対立は興味深い)についても相応のページ数を割いている。さらに本書は人間としての南雲忠一についても触れており、特に家族との関わりについては他書では見られない部分である。
また本書で秀逸なのはストーリーの進め方で、太平洋戦争における南雲の活躍を中心に据えながら、その前後に関連する挿話を埋め込んでいる(「宇宙兄弟」みたいな感じ)。この方式は読者を飽きさせないという点で優れた方法であり、そういった意味で本書は「読んでいて楽しい」著作である。
初版出版が1980年なのでかなり古い著作であり、戦史についての部分では明らかな勘違い(サウスダコタの主砲が36cmとなっている等)や現在では否定されている見解(ミッドウェー海戦での運命の5分間等)も散見されるが、些細な点であろう。

お奨め度★★★★

波まくらいくたびぞ 悲劇の提督・南雲忠一中将 (講談社文庫)


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