ボン岬沖海戦とは、1941年12月13日にチュニジア北部のボン岬沖で英伊の高速艦艇同士が戦った夜間水上戦闘である。

このボン岬沖海戦を「欧州海域戦」( 「ソロモン夜襲戦」 の欧州戦線版)でシナリオ化してみたい。地中海における夜間戦闘シナリオは初めてである。
戦闘序列
兵力は両軍とも史実通りで、英海軍が駆逐艦が4隻。伊海軍が軽巡2隻と水雷艇1隻である。英海軍の駆逐艦は、砲力に優れたトライバル級が2隻、砲力と雷撃力のバランスが取れたL級が1隻、そしてオランダ海軍の駆逐艦1隻である。比較的新型艦が多いため、砲力が優れている。
対する伊海軍は軽巡「アルベルコ・ダ・バルビアーノ」と「アルベルト・ディ・ジュッサーノ」。 スパダ岬沖海戦 に登場した「バルトロメオ・コレオーニ」らと同型艦である。また水雷艇「チーノ」はスピカ級の水雷艇で、排水量600t強。小型駆逐艦ともいうべき艦である。
状況及び特別ルール
この戦いは史実がかなり一方的な戦いなので、勝利条件はそれを反映したものとしている。すなわち伊海軍は2隻の軽巡のうち1隻をマップの北側に離脱させなければならない。対する英海軍はその阻止と自軍の損害軽減。英海軍は自身が被った損害の3倍以上の損害を伊艦隊に与える必要がある。また特別ルールその他であるが、まずイタリア側の稚拙な戦闘を反映するため、伊艦隊の指揮値を最低の"1"とし、さらに初期CP値を"0"として英側の奇襲を再現した。これで第1Turnに英海軍は一方的な奇襲攻撃を仕掛けることが可能になる。
また伊軽巡はガソリン等を満載しているため、脆弱であることを再現する特別ルールを導入した。すなわち伊軽巡が砲撃や魚雷で特殊損傷を食らった場合、自動的に追加1損害と火災発生が適用されるものとした。
テスト
1Turn
伊海軍はCP(指揮ポイント)が0だから、変針・変速できない。ただ真っすぐ走るだけ。英駆逐艦は伊軽巡の前面でT字の形を取り、魚雷計8本を発射する。2Turn
英駆逐艦の放った魚雷8本のうち、1本が伊軽巡「バルビアーノ」に命中した。ガソリンの誘爆その他によって「バルビアーノ」は轟沈。早くも伊軽巡は残り1隻となる。伊艦隊の右舷側に回り込んだ英駆逐艦4隻は、残った伊軽巡「ジュッサーノ」に砲火を集中。駆逐艦「レギオン」の放った主砲弾2発が「ジュッサーノ」に命中。同艦に軽微な損傷を与えた。「ジュサーノ」も「レギオン」に向けて砲撃を行うが、無情にも外れ。3Turn
英駆逐艦は優速を生かして伊軽巡の前面に再展開。4隻が十字砲火を浴びせる。駆逐艦の射撃とはいえ、伊軽巡は次々と命中弾を受けたことで最大速度は20ktに低下した。4Turn
伊艦隊は右へ舵を切って英駆逐艦から離隔を図る。勝利条件を考えれば真っすぐ北上したい所だが、このまま北上し続けても英駆逐艦のT字戦法による十字砲火を浴びるだけだ。それなら一旦右へ躱して並行砲戦で再起を図りたい。伊艦隊の変針を見た英駆逐艦も少し慌てて120度回頭で伊監隊を追う。5Turn
英伊両艦隊は距離6km(4Hex)で並行砲戦を行う。「ジュサーノ」の砲撃が漸く威力を発揮し、英駆逐艦「レギオン」に1発の命中弾を与えた。「レギオン」の損害は軽微であった。対する英駆逐艦4隻が「ジュサーノ」に砲撃を集中。今度は並行砲戦だけに命中率が高く、3発の12cm砲弾が「ジュサーノ」に命中した。「ジュサーノ」は大破、戦闘力を失う。
感想

シナリオの出来具合だが、悪くないと思う。序盤に英側の奇襲が約束されているので、この時の当たり具合で全て決まってしまう感も無きにしも非ずだが、短時間でプレイできるシナリオなので、極端な結果になればやり直せば良い。イタリア側で勝利するのは難しいと思うが、その分やりがいはあると思う。不利なイタリア側を率いて英駆逐艦の脅威を躱すことができれば、大いに自慢して良いと思う。
という訳でこのシナリオは完成とする。次はどのシナリオにしようか・・・。一応K部隊の活躍を描いたシナリオを考えているのだが、はてさて・・・。