もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

カテゴリ:戦史 > 太平洋戦争

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220630_SBDvsA6M

SBD Dauntless vs A6M Zero-Sen

Donald Nijboer Osprey

太平洋戦争の空戦について調べてみると、日本の戦闘機(特に零戦)が意外と爆撃機相手に苦戦しているのに気づく。それもB-17やB-24のような大型機ではなく、SBDドーントレスやTBFアヴェンジャーといった単発艦載機にも苦戦しているのだ。あの「サムライ」サカイが危うく命を落としかけたのもSBDドーントレス編隊との空中戦であった。
本書では、太平洋戦争におけるSBDドーントレスと零式艦上戦闘機の対決にスコープをあてて、その実態を両軍の史料資料を基に分析した作品である。米軍側の史料だけではなく日本側の資料にもあたっているので、比較的精度は高いと言えよう。
両者の対決がどのようなものだったかは本書を読んでいただくとして、その意外な結果に読者は驚くかもしれない。

お奨め度★★★

写真00


「真珠湾強襲」(以下、本作)は、2011年にGame Journal#39の付録ゲームとして発表されたシミュレーション・ウォーゲームだ。テーマは1941年12月に開始される太平洋戦争。3年8ヶ月に及ぶ太平洋戦争を1Turn4ヶ月、計11Turnで再現する。

本作のシステムについては 以前の記事で紹介したので 、参照されたい。

今回、シナリオ4「第2ターンからのキャンペーン」を対人戦でプレイすることになった。このシナリオは文字通り第2ターンからのキャンペーンシナリオで、1942年1~2月頃の状況からゲーム開始となる。
日本軍はマレー半島、フィリピンへの上陸には成功しているが、シンガポール、マニラ等は未だに連合軍が押さえている状況だ。日本軍としては東南アジア一帯を速やかに占領して長期不敗態勢を固めると共に、インド、南東太平洋、ハワイ方面といった連合軍の枢要地域に侵攻作戦を行って勝利を確実なものにしたい。
一方の連合軍は日本軍によるサドンデス勝利を阻みつつ、反攻の糸口を捉えて日本軍に打撃を与えたい。

今回、私は連合軍を担当した。

2Turn



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JP_AF台南まず日本軍は東南アジア一帯を支配下に収めようとする。地上部隊の攻撃によりマニラ、シンガポールを相次いで占領。スラバヤに対しては「急襲作戦」を仕掛けて電撃戦でこれを占領した。ビルマ方面では、日本軍2個師団がラングーンに前進を果たしたが、同地を占領するには至らず。さらにガダルカナルは2個旅団を投入したが、これまた占領には至らない。

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このTurn、日本軍はマニラ、シンガポール(各5VP)、スラバヤ(2VP)の計12VPを獲得し、VPの総量は19VPとなった。

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3Turn

JP_BG川口アメリカ西海岸から米空母機動部隊が出動し、ソロモン諸島南東海域に進出する。米空母から発進した艦載機がガダルカナルの日本軍に対して激しい空襲を加えてこれを制圧するも、日本軍は不屈の精神(単に「補給」カードを使用しただけ)で復活。「急襲作戦」でガダルカナルを守る米軍部隊を撃破し、同地を占領した。

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ビルマ方面では日本軍が航空部隊の支援の元、ラングーンを連続攻撃し、遂にラングーン占領を果たした。他にレイテを日本軍部隊が無血占領している。

このTurn、日本軍はガダルカナル、ラングーン、レイテ(各2VP)の計6VPを獲得し、VPの総量は25VPとなった。他にボーナス1VPがあるので、サドンデス勝利まであと4VPである。

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4Turn



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JP_CV飛龍蒼龍南太平洋で日米の機動部隊が激突した。「空母機動部隊」によって先制攻撃をかけてきた日本機動部隊に対し、米機動部隊は「迎撃機」で反撃。激しい戦いにより日本軍は空母「隼鷹/飛鷹」が沈没、「飛龍/蒼龍」が中破する。一方米機動部隊も空母「ホーネット/ワスプ」が沈没。空母同士の戦いは痛み分けに終わった。
その間、ガダルカナルには米海兵隊2個師団が上陸。同島の奪回を図るも、日本軍守備隊の奮戦によってこれを撃破するには至らず。

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ビルマ戦線では英東洋艦隊が出撃し、ベンガル湾に進出して制海権を握る。英軍2個師団が、英東洋艦隊と航空兵力の援護の下、ラングーンに反攻作戦を実施。「急襲作戦」によって日本軍を撃破し、ラングーン奪回に成功した。

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このTurn、連合軍がラングーン(2VP)を奪回し、日本軍のVPの総量は23VPに減少した。

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5Turn

日本軍はラングーン奪回のため航空兵力を地上兵力を投入したが、英軍も2個師団を投入し、ラングーンを守り切った。

US_AF南東太平洋方面では、ガダルカナルで日米両軍の睨み合いが続く中、珊瑚海に米機動部隊が進出する。米機動部隊の攻撃によってラバウルの日本軍基地航空部隊が一掃されたため、日本軍は慌てて地上部隊をラバウルに送り込んだ。一方日本軍も空母機動部隊をソロモン海に送り込み、空母機の攻撃で米空母「エンタープライズ/ヨークタウン」を撃沈することに成功する。

米軍はニューギニア北東岸のラエに陸軍2個師団と航空部隊を進出させ、その攻撃によりトラック島に展開する日本軍の航空部隊を撃破した。

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このTurn、VPに変化はなく、日本軍のVPの総量は23VPのままである。

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6Turn

US_CVエセックスバンカーヒル米艦隊の一部がダンビール海峡を越えてビスマルク海に進出。同地の制海権を米軍が確保した。さらに新鋭空母「エセックス/バンカーヒル」、インデペンデンス級軽空母2ユニット(4隻)が艦隊に加わり、珊瑚海に進出。ベテランの空母「サラトガ/レキシントン」と合流する。南太平洋で三度日米の機動部隊が激突。先手を取った米機動部隊は空母「翔鶴/瑞鶴」を撃沈し、ベテラン「赤城/加賀」も艦載機を失ったので日本本土へ後退していった。

トラック島が危ない。
US_DV1MD日本軍はトラック島に1個旅団を送り込んで守りを固める。連合軍は「急襲作戦」を利用して海兵師団1個にてトラック島を攻撃。日本軍の守備隊を撃破してトラックを占領した。

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この時点で日本軍のVP総量は21VPに減少。日本軍は勝利の望みを失ったと判断し、ゲーム終了となった。

プレイ時間=3~4時間

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感想

JP_CV赤城加賀ルールは簡単だが、意外なほど歴史的に忠実な展開になる。ソロモン諸島や東部ニューギニアでVPの高い地域が集まっているため、必然的に同方面が激戦地になる。現実の戦略的な価値を考えた時、ソロモン諸島や東部ニューギニアに高い戦略的価値があったかどうかは疑問だが、ゲーム展開を歴史に忠実になるように誘導するという観点からは有効なデザイン手法と言える。
ルールが簡単な太平洋戦争キャンペーンゲームとして、「太平洋戦史」や「Victory in the Pacific」等があるが、これらの作品に比べると、本作の展開は比較的「大人しい」ものと言える。また上記2作品では陸軍の存在がかなり抽象的に扱われているが、本作では米海兵隊や日本海軍の小規模部隊(一木支隊、川口支隊、南海支隊等)の有用性がしっかりと再現されているので、嬉しい所だ。
本作で気になる所はカードの使い方で、この点についてはある程度の経験値が必要になるだろう。とはいえ一度プレイすればコツが掴めるレベルのものなので、致命的な欠点という訳ではない。
総じていえば、本作はゲーム性やシミュレーション性の両面から万人にお奨めできる太平洋戦争キャンペーンゲームといえる。既に発売から10年近くが経過しているが、豪華版という形で再販が望まれる作品だ。

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「マッカーサーの帰還」(以下、本作)は、1994年に米国Avalanche Press社から発売されたシミュレーション・ウォーゲームだ。テーマは1944年秋~冬にかけて戦われたレイテ戦で、1Turn=2日、1Hex=約3kmで、1ユニットは中隊~大隊規模で再現する。
本作の基本システムは「チットプル」で、天候によって決められた枚数のチットをカップに入れて、カップから引いたチットで示された陣営が移動、戦闘を行う。一般的なチットプルシステムでは、特定の司令部等が活性化して、その指揮下にあるユニットが行動するというものだが、本作は違う。チットの種類は「Full」「Half」「Choice」「Move」「Attack」等に分かれている。一番強力なチットは「Full」で、麾下の全ユニットが移動、戦闘ができる。また「Move」「Attack」はそれぞれ移動、攻撃が実施可能。「Choice」は移動か戦闘のどちらかを選択して実行可能。「Half」は移動力半分で移動できる、というもの。だからチットの引きによっては1つのユニットが1Turnに2~3回(又はそれ以上の回数)移動、戦闘できる。
その他、艦砲射撃、航空攻撃(日本機による航空攻撃アリ)、上陸作戦、空挺作戦等のルールもあり、オルモック湾に到着する日本船団とそれに対する米軍の航空攻撃もルールに含まれる。

今回、本作をプレイしてみた。選択したシナリオは一番大きなシナリオ5「レイテ・キャンペーン」。私は日本軍を担当した。

1Turn(10/20-21)

レイテ島東岸に米軍4個師団が上陸を敢行してきた。
北部タクロバン地区には、米第1騎兵師団、第24歩兵師団の2個師団。南部ダラグ地区には第96歩兵師団、第7歩兵師団がそれぞれ戦車、水陸両用戦車や砲兵部隊などを伴って海岸堡を確保したのである。

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不意を突かれた日本軍は海岸で包囲殲滅されそうになったが、辛くも包囲網を脱出し、戦線後方で後退していった。

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2Turn(10/22-23)

天候は3。3アクションである。チットは米軍Full、米軍Full、日本軍Full。つまり米軍が2回動いた後、日本軍が1回動くというパターンだ。米軍は主にレイテ平野の平坦地を内陸部に進んでいき、日本軍を南北に分断していく。日本軍は何とかジャングル地帯まで後退し、防衛ラインを構築する。

写真03


3Turn(10/24-25)

天候3。3アクションだ。チットは米軍Full、米軍Full、米軍Half。つまり米軍が3回連続で移動してきた。米軍はタクロバン~カリガラ街道に進出し、レイテ中央部の山岳地帯と北岸のカリガラ平野の日本軍は分断の危機に陥る。

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海では日本の特攻機が初めて海上の米艦艇を攻撃した。米駆逐艦「ベンソン」が特攻機の命中により沈没。初めて特攻攻撃で撃沈された米艦艇となった。

4Turn(10/26-27)

実はこの時点でルール適用の勘違いがあった。1つは戦闘前退却ルール。ジャングル戦能力を有するユニットは、戦闘前に戦闘前退却を宣言して戦闘回避の可能性があるという。このルールを適用していれば、日本軍の一部は米軍の攻撃の前に撤退できていたかもしれない。
もう1つはチットの運用。日本軍は最低でも2枚のチットをカップに入れることができるのだが、そのルールを忘れていて1枚のチットしか入れなかった。おかげで米軍の一方的な行動をにつながってしまい、日本軍の不利を助長してしまった。そのためこのTurnより日本軍もチットを2枚入れていく。

天候3。3アクションだ。チットは、米軍Full、日本軍Full、日本軍choice。つまり米軍が1回動いた後、日本軍が2回動いたことになる。日本軍チットを2枚入れた効果が早くも表れた感じだ。日本軍は主力部隊を山岳地帯に後退させつつ、最前線に取り残された部隊でレイテ~カリガラへの補給ラインを遮断する。

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海上では重巡「ミネアポリス」と駆逐艦「クラックストン」がそれぞれ特攻機の命中を受けて大破。戦線後方に離脱していく。

5Turn(10/28-29)

天候は5アクション。初めてレイテの空は晴れ上がった。チットは、日本軍choice、米軍full、日本軍full、日本軍move、米軍fullである。日本軍が2Turn連続で米軍を上回ることとなる。日本軍は山岳地帯に後退していったので米軍の有力な機甲戦力が威力を発揮できなくなってきた。そのため個々の戦闘では日本軍が米軍に痛打を与える場面が増えてきた。しかしレイテ北部のカリガラ地区では、米軍部隊がカリガラ平野に迫ってきた。

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その頃、日本軍の増援部隊がオルモックを目指して進んでいたが、オルモック湾に入る手前で米軍機の攻撃を受けた。船団は散開して攻撃を回避。オルモックには向かわずに近くの港湾であるパロンポン(Palompom 2733)に入港した。第30師団、第102師団から選抜された部隊がパロンポンの地を踏んだ後、直ちにカリガラ平野へ向かった。

6Turn(10/30-31)

このTurn、序盤に米軍が2回連続でチットを引いたのでカリガラを占領した。パロンポンから前進してきた日本軍増援部隊は、その先鋒がようやくリモン峠に到達。防衛ラインを敷く。

写真07


この時点で時間切れでゲーム終了。所要時間はセットアップを含めて約8時間であった。

写真08


感想

第6Turnはショートシナリオの終了時点となる。この時点で米軍はカリガラを占領しており、北部地区を扱ったショートシナリオであるシナリオ2「第10軍団の上陸」では米軍の勝利となる。
一方、南部地区を扱ったシナリオ3「第24軍団の上陸」では、勝利条件はレイテ島西岸のバイバイ(Baybay 5120)又はレイテ山中のヘクス3718を米軍が占領していれば米軍の勝利となるが、今回は両地とも日本軍が掌握していたので、日本軍の勝利となる。トータルして考えれば今回は痛み分けといった所か・・・。まあ「戦闘前退却ルール」や「チットの枚数」を間違えていなければ、もう少しマシな戦いが出来たと思うので、個人的には上出来だと思っている。

ゲーム自体の感想だが、最初日本軍のステップロス処理が面倒に思えたのだが、プレイしてみるとそれほどでもなかった。また日本軍のダミールールについても、兵力に劣る日本軍にとっては有難いルールであり、ゲーム自体の緊張感も盛り上げる効果があったように思う。チットプルによるシステムは最初はやや面食らったが、実際にプレイしてみるとそれほど違和感はなかった。通常の「IGO-UGO」ルールにちょっと変化を加えたものという感じである。

ただし古いゲームなので、改善して欲しい点はいくつかある。一番改善して欲しいのはセットアップ情報。部隊名しか書いていないので該当するユニットを見つけるのが大変なこと。できれば最近流行りのセットアップシートが欲しい所。それが無理ならせめてユニットのステップ数を併記して欲しい。米軍はとにかく、ステップ毎に別ユニットが用意されている日本軍の場合、どのユニットが「デフォルト」なのか判断に迷う。まあユニット側に「デフィルト」ユニットと「交換用」ユニットを区別できるようなマーキングを入れてくれるというのもありだが・・・。いずれにしても現在の目から見れば、コンポーネントには改善の余地が大いにありそうだ。

まあ色々書いたが、レイテの陸戦を扱った作品自体が珍しいので、そういった意味で本作の意義は大きい。ゲームとしても決してつまらないものではなく、さらに十分にプレイ可能なレベルである。できれば今日のレベルにグレードアップしたコンポーネントで再販して欲しい作品である。

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220706_海空戦宣伝
自作の空母戦ゲーム、 「海空戦!南太平洋1942」
その第2版発売日が決定しました。

2022年8月18日(木)

入手方法については こちら をご参照下さい。

さらに紹介動画も作成しました。



それでは「海空戦!南太平洋1942」を今後ともよろしくお願いいたします。

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Carrier Clash

Eric Hammel Pacifica Military History

The Guadalcanal Battles Series Bookの第3弾。連合軍のガダルカナル上陸戦と第2次ソロモン海戦における日米両軍の航空戦を扱う。英文でボリュームは大きいが、Kindle版だと値段が800円以下という安価さが魅力。とはいっても中身はすっからかんではなく、日米の戦史を丹念に調べてあり、特に第2次ソロモン海戦の場面では作戦レベルから戦術レベル、戦闘レベルまで両軍の動きをかなり細かく追っている。ソロモン方面の海空戦に興味のある方にとっては読んでみて損のない著作と言えよう。

お奨め度★★★★

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