もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

カテゴリ:戦史 > 太平洋戦争

4
220317_USNavyvsIJNAF

US Navy Ships vs Japanese Attack Aircraft;1941-1942

Mark Stille Osprey

オスプレイの対決シリーズで、太平洋戦争前半期における日本海軍航空隊と米艦隊との対決を描いている。真珠湾攻撃やマレー沖海戦、ジャワ島攻略戦の頃までは日本海軍航空隊が優勢であったが、早くも1942年2月のニューギニア沖海戦では、護衛を伴わない陸攻隊が空母「レキシントン」の防空戦闘によって壊滅的な打撃を被る。その後、珊瑚海海戦、ミッドウェー海戦、ガダルカナル島の攻防など、日に日に強化される米海軍の防空能力に対して、日本海軍航空隊は多大な犠牲を強いられていく。
本書では、両者の対決に焦点を当てて、その実情について数値データに基づいて記している。真珠湾攻撃時の急行か爆撃隊は命中率20%以下であったこと。雷撃隊も命中率が50%に届かったことなど、日本人にとって意外なデータも含まれており(インド洋における命中率80%の真相や如何に?)、数値を見ているだけでも興味深い。さらに1942年まで日本機にとって最も脅威度の高い対空火器が実はxxxであったことは、一連の空母戦での勝敗とも絡んできて興味深いものであった。
例によって我々にとっても分かりやすい英文で書かれており、太平洋戦争における空母戦に興味のある向きには一読をお奨めしたい1作だ。

お奨め度★★★★

4
220313_A6M2vsP-40E

P-40E Warhawk vs A6M2 Zero-sen: East Indies and Darwin

Peter Ingman Osprey Publishing

1942年前半におけるジャワ上空及び豪北地区における零戦と米陸軍航空軍のP-40Eの対決というやや異色のテーマである。日本側の主役は第3航空隊。ポートダーウィン上空でスピットファイア相手に大勝したことで知られる零戦部隊だ。対する米軍は第49戦闘グループ。これまた戦争全期間を通じて667機の撃墜を記録した歴戦部隊だ。本書は上記の戦いを簡潔かつ的確に記載している。Ospreyの他の作品と同じく文書量は少ないが、英文は平易で読みやすい。また事実関係も押さえてあり(零戦とP-40Eのキルレシオも記載されている)、資料性もそこそこある。ジャワ及び豪北方面での戦いといったこれまであまり焦点が当てられなかった戦いについて知ることができる良書。

お奨め度★★★★

4
220309_JavaSea

Java Sea 1942: Japan's conquest of the Netherlands East Indies

Mark Stiile Osprey Publishing

サブタイトルが「日本軍によるオランダ領東インド征服」とあるが、実際には1942年に蘭印地区で発生した日本と連合国との水上戦闘を扱ったものである。バリクパパン沖海戦、バリ島沖海戦、スラバヤ沖海戦、バタビヤ沖海戦が主なテーマで、これらの戦いの戦術的、技術的な面での調査と考察を記している。Ospreyの他の作品と同じく簡潔で読み易く、非英語圏の人間でも苦も無く読める。細かいレベルでの記載は弱いが、ポイントは押さえてあり、例えばスラバヤ沖海戦で日本重巡の8インチ砲弾が何発命中したか、等の所説入り混じっている事項についてもしっかりと記載されている。
洋書なので値段がやや高いという難点はあるが、洋書としては廉価であり、しかも読みやすいので、コストパフォーマンスは十分に高い。

お奨め度★★★★

3
220305_HeldtheLine

The Ship That Held the Line

Lislie Rose Naval Institute Press

「戦線を支えた艦」。本書は米空母「ホーネット」の太平洋戦線での活躍とその最期を記した著作だ。「ホーネット」の戦歴としては、ドゥーリトル空襲、ミッドウェー海戦、南太平洋海戦等が良く知られているが、それ以外に1942年10月初旬、米太平洋艦隊唯一の艦隊空母として日本軍の増援部隊阻止に活躍した。本書はそれら「ホーネット」の戦いぶりを詳細に紹介している。
本書は大きな戦史を追うというよりは、「ホーネット」に乗り組んだそれぞれの人々に焦点を当てて、彼らの活躍を追いながら全体の流れを構成している。やや強引に例えるなら、「ボトム・アップ・アプローチ」とでもいうべきか。そのために我々のような英語が苦手な人間にとっては、やや全体像が掴みにくかった。今回も流し読みであったので、結構重要な部分を読み落としている可能性が高い。そういった意味では再読してみたい1冊ではあるが、資料性はそれほど高くないので、果たして再読する価値があるかどうか・・・。

お奨め度★★★

4

220216_コミンテルン

コミンテルンの謀略と日本の敗戦

江崎道朗 PHP研究所

戦前の日本は右翼全体主義国家であった。連合国はそのように認識し、そのために戦後右翼全体主義者に対して厳しい対応を行った。たしかに日本を戦争に引きずり込んだのは、陸軍を主体とする右翼全体主義であった、という認識は正しい。しかし右翼全体主義の陰に隠れて、あるいは右翼全体主義の名を借りてコミンテルンによる敗戦革命工作が行われていたことも我々は知らねばならない。本書は、戦前戦中期に実施されていたコミンテルンによる対日工作の実態を記した著作である。
本書はまずコミンテルンによる敗戦革命論について説いている。それによれば帝国主義国同士で戦争を起こして敗戦に導き、その混乱の中で革命を起こして共産主義政権を樹立するというものだ。だから彼らは日本をして資本主義国である米英を敵にするように仕向け、それに乗せられたのが軍部などの右翼全体主義であったとしている。確かに当時日本で共産主義は敵視され、その組織は弾圧されていたが、そのために共産主義に対する「免疫」が乏しかったことがコミンテルンの謀略を容易にした大きな理由としている。
本書では民本主義で有名な吉野作造らを高く評価している。彼らは保守主義者であったが、自由主義者であり、それは明治憲法の精神を受け継いだものであると。彼らのような保守自由主義者こそ大事にしなければならない所を、左右の全体主義者が保守自由主義者に対して「国賊」のレッテルを貼った所が日本の大きな過ちだとしている。
筆者によれば共産勢力による謀略は現在でも続いており、それに対して我々が為すべきことは共産主義を毛嫌いするのではなく、彼らの「作戦・戦術」を理解し、その謀略に乗らないようにすることが大事だとしている。そして我々は五箇条の御誓文に連なる保守自由主義の系譜を再発見すべきであるとしている。

お奨め度★★★★

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