もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

カテゴリ: 読書

240206_JWing

J-Wings 2024年2月

イカロス出版


少し軽めの航空雑誌J-Wings。今回の特集は、洋上戦力としての空母と艦載機。海上自衛隊待望の軽空母「かが」がいよいよ実現が見えてきた中、現代の世界各国の空母とその艦載機を多角的にとらえている。元々が軽めの雑誌なので記事もあまり突っ込んだ内容はないが、それでも空母「キティホーク」がコマンド空母として運用されたことや、無人艦上機の最新事情等、興味深い記事もいくつかある。他には築城基地の航空祭情報(空自に女性のファイターパイロットがいたとは・・・)、海自徳島航空基地一般公開の情報等の他、F-22/F-35用の小型誘導徹甲爆弾SDBの情報、シドラ湾事件、フェアリースピアフィッシュの記事などは面白かった。

お奨め度★★★

J Wings (ジェイウイング) 2024年2月号[雑誌]-洋上戦力としての空母と艦載機
J Wings (ジェイウイング) 2024年1月号[雑誌]-F-16解体新書
J Wing (ジェイウイング) 2023年6月号[雑誌]-待ってろ!航空祭
J Wings (ジェイウイング) 2023年3月号[雑誌]-戦闘機の世代図鑑
J Wings (ジェイウイング) 2022年10月号[雑誌]-NATOの翼


4
240116_なぜサイゼリア

なぜ星付きシェフの僕がサイゼリアでバイトするのか

村山太一 飛鳥新社

本書で書かれていることは、個人と組織が成功するためのノウハウである。個人レベルで筆者が主張するのは「サバンナ思考」と「マヨネーズ理論」だ。サバンナ思考とは、強烈な危機意識を持ち、一つでも多くの事に気づき、素早く行動することである。またマヨネーズ理論というのは、自己流では行わず、一流のやり方を徹底的にマネする方法である。いずれも首肯できるが、なかなか実行できないこと。サバンナ思考で行動するほどの危機感を持ち続けることは難しいし、マヨネーズ理論はプライドが邪魔をする。そういうことを言っている間はダメなんだろうな。
さらに本書の凄い所は、個人レベルでのノウハウ本に留まらないことだ。筆者は個人レベルでは星付きレストランのシェフとして成功しながらも、チームとして成功していないことに忸怩たる思いを持つ。そこで筆者はレストランチェーンのサイゼリアでバイトすることを選ぶ。彼はそこでサイゼリア流の優れた組織マネジメントを知り、愕然とする。高校生アルバイトを含むチームながら、彼らの能力を上手く引き出し、組織としての能力を発揮しているサイゼリア。そして収益の面では、サイゼリアが高価格帯レストランの優に2倍以上の時間生産性を発揮していることに愕然とする。そして筆者は、組織を成功させる秘訣が構成員の「幸せ」を追求することにあったことを知る。
非常にわかりやすい本だけど得る所の多い著作で、特に個人レベルや組織レベルでの処世術について大いに参考になった。


4

恐れのない組織

エイミー・C・エドモンドソン/野津智子訳 英治出版

240112_恐れのない組織

心理的安全性という言葉が注目されている。昨今話題のハラスメントという言葉と似たような文脈で語られることが多いが、本書を読めば心理的安全性とハラスメントは全く異なる概念であることがわかる。
心理的安全性とは、エンゲージメント向上が主目的ではなく、むしろ組織の生産性向上やイノベーション創造のための不可欠の手段としてとらえる必要がある。VUCAの時代と呼ばれる不確実で変化の激しい世界においては、組織は常に変化し、新たな試みに挑戦する必要がある。しかしそのためには数多くのアイデアを出し、様々な立場から多様な意見をぶつけ合う必要がある。そのために欠かせない背景が心理的安全性なのだ。

「私はこの中で何を言っても許される」

その安心感がなければ人は組織の中で積極的に発言しようとしない。むしろリスクを回避しようと沈黙を選ぶだろう。思い出してほしい。かつての日本軍が「空気」という沈黙を重視し、そのためいかに数多くの学びの機会を失ってきたかを。ミッドウェー海戦しかり、沖縄戦しかり。
本書は、心理的安全性の本質を理解し、組織の中で活用していくために極めて良質な著作といえる。


3
240216_ミリクラ

Military Classics Vol.84

イカロス出版

特集は「IV号戦車」。パンターやティーガーに比べると地味だが、開戦時から終戦時までドイツ装甲師団の主役の1人として戦い続け、特に長砲身搭載型は連合軍のシャーマンやT-34に対しても十分に対抗できる性能を持っていた。さらに派生型も多く、88mm砲搭載のナースホルンや150mm砲装備のブルムベア、さらに自走砲のフンメル、対空用のヴィルベルヴィント等、バリエーションの多彩さでも他の追随を許さない。本書では、このIV号戦車の魅力を様々な視点で紹介している。IV号戦車のファンのみならず、WW2の欧州戦線に興味のある向きには、一読の価値があるだろう。
第2特集は艦上偵察機「彩雲」。開戦後に開発が始まった艦載機の中では比較的早期に戦力化できた機体である。あ号作戦などの戦歴も豊富であり、戦争末期における海軍航空隊の「眼」となった機体でもあった。
特集記事以外にも連載記事も興味深い内容であった。特に古峰文三氏の「砲兵から見た戦後戦史」は、WW2終了後におけるヨーロッパ正面での東西両陣営の対決を氏独自の視点で分析するもので、今後の内容が楽しみな記事であった。

お奨め度★★★

MILITARY CLASSICS (ミリタリー・クラシックス) Vol.84(2024冬号)-特集:IV号戦車
MILITARY CLASSICS (ミリタリー・クラシックス) Vol.83(2023年秋号)-特集:三式戦闘機/五式戦闘機
MILITARY CLASSICS (ミリタリー・クラシックス) Vol.82(2023年夏号)-特集:丙型・丁型海防艦
MILITARY CLASSICS (ミリタリー・クラシックス) Vol.81(2023年春号)-特集:ドイツ突撃砲・突撃戦車
MILITARY CLASSICS (ミリタリー・クラシックス) Vol.80(2023年冬号)-特集:Fw190/Ta152
MILITARY CLASSICS (ミリタリー・クラシックス) Vol.79(2022年秋号)-特集:高雄型重巡

240107丸

丸2023年12月

光人新社

特集は高速戦艦「金剛」&「榛名」。金剛型ではなく「金剛」「榛名」としたところがミソ。そのためにガダルカナル島への夜間砲撃やサマール沖海戦がクローズアップされる反面、第3次ソロモン海戦や空母部隊の護衛任務の扱いが弱くなっている。メリハリをつけるという意味では良いのではないだろうか。また第2特集は金剛型戦艦の主砲というべき36cm砲を取り上げ、第3特集では金剛型のライバルともいうべき英巡洋戦艦「レパルス」を取り上げているのは、全体の関連性を考えると良いバランスである。なお第4特集がF-22ラプターであり、ここだけが少し浮いている。「丸」誌らしくバックナンバーの中から戦争参加者の手記を取り出して紹介している所も良い。
以前の「丸」誌は特集記事よりも連載記事が多く、特集を読み終えた後の連載記事を読むのが「作業」のようになっていて苦痛であった(最近は興味のない連載記事は読み飛ばしている)。最近は特集記事の割合が多く、そういった意味では最近の傾向の方が好きである。

お奨め度★★★

月刊丸 2023年12月号 (2023-10-25) [雑誌] - 特集:金剛&榛名
月刊丸 2024年2月号 (2023-12-25) [雑誌] - 特集:紫電改
月刊丸 2023年7月号 (2023-05-25) [雑誌] - 特集:天山&流星
月刊丸 2023年4月号 (2023-02-28) [雑誌] - 雪風/74式戦車

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