もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

カテゴリ:読書 > 戦史

210314_Ju87

北アフリカと地中海戦線のJu87シュトゥーカ部隊と戦歴

ジョン・ウィール/手島尚  大日本絵画

オスプレイの軍用機シリーズの1冊。タイトル通りJu87部隊の北アフリカ・地中海戦線での戦いを描いている。Ju87部隊といってもドイツ軍だけではなく、イタリア軍のJu87部隊(ピッキアテリという名前らしいけど、あまり知られていない)についても書かれている。
オスプレイのシリーズ本であるが、他の同シリーズと同じくどちらかと言えばエピソードが中心で数値的なデータは少ない。あまり知られていない地中海の戦いなので、資料的な内容を期待したが、やや期待外れであった。

お奨め度★★

210213_家康の東部戦線

家康の東部戦線

福田誠 歴史ソウゾウ文庫

Kindle Unlimitedで入手可能なので読んでみた。20分弱で読み終わる内容で短いが面白い。長年疑問に思っていた高天神城に関する疑問がこの一冊で氷解した思いがする。この本をネタにして武田と徳川の戦いをゲーム化してみるのも面白そうだ。

お奨め度★★★★

4
210115_海軍大学教育

海軍大学教育

実松譲 光人社NF文庫

海軍大学校の誕生から終焉まで。約60年の歴史を綴った著作である。筆者である実松氏は戦時中に大本営参謀として活躍した人物(終戦時海軍大佐)で、海軍関係で多くの著作がある。筆者は海軍大学の歴史やそこで活躍した人々について触れながら、その視点はあくまでも冷静である。旧軍人にありがちな「仲間ボメ」はあまりなく、海軍大学教育についても教育上の問題点についても厳しい視点を向けている。
本書を読んで我々が興味を引くのは、やはり図上演習や兵棋演習についてのくだりだろう。特に開戦前に実施したハワイ作戦特別演習のあたりは本書の白眉ともいうべき場面で、ウォーゲームが歴史上重要な役割を果たしたことが読み取れる。
単に海軍大学校という組織の変遷だけではなく、日本海軍におけるドクトリンの変遷についても学ぶことができる著作といえる。

お奨め度★★★★

4

210108_海軍航空隊始末記

海軍航空隊始末記

源田實 文春文庫

源田實氏といえば、旧海軍で航空主兵を唱え、真珠湾攻撃やミッドウェー海戦において日本海軍機動部隊の中心的な役割を果たした人物である。本書は源田氏が自身の視点から描いた太平洋航空戦史で、当事者ならではのる貴重な証言と言える。本書を読めば、氏が日本海軍航空隊や敵対する米英航空部隊に対してどのように評価し、どのように考えて対応したかを読み取ることができる。
批判的な内容でかつ後知恵で恐縮なのだが、本書を読むと「未だにこんなことを言っているのか」と批判的に思ってしまう点が多く気になってしまう。例えば筆者は1944年の戦いに関する記述で「レーダーを駆使した米空母の防御能力がすごぶる大になった」的なことを書いている。しかし米空母が強くなったのは、ゴジラのように勝手に成長した訳ではない。彼らは様々な試行錯誤と技術的挑戦、そして戦訓によって強くなったのだ。米空母が強くなっている間、日本空母は何をしていたのか。筆者はその点については全く触れず、まるで他人事のように「米空母の防御力はすごぶる大になった」と言いながら、その一方で「零戦は戦争中期までは文字通り無敵であった」とか「日本空母の攻撃至上主義は正しかった」等、根拠の薄弱な自己礼賛である。零戦の弱さや日本空母の攻撃至上主義の限界は、別に戦後になってわかったことではなく、戦時中既に分かっていたというのに・・・。
氏が日本海軍を代表する航空機の専門家であったことは疑いなく、それは氏の先見性を示すものといって良い。しかしそんな氏であっても「この程度」の手記しか残せない点、日本海軍の限界を見る気がする。

お奨め度★★★★

4
210106_幻の東部戦線

幻の東部戦線

古峰文三 アルゴノート社

タイトルが一見誤解を生みそうだが、本書は東西冷戦下でのドイツ再軍備について随筆風に記述した著作である。本書はかつてインターネットで公開されていたが、数年前から読めなくなっていた。
内容はとにかく面白い。ドイツ再軍備と言いながらも、そこには当然米ソ両国とドイツ周辺の東西諸国の思惑が複雑に絡み合う。WW2直後から始まる東西冷戦。冷戦というタイトルから我々はそこに本当の危機を読み取り辛いが、東西両陣営が国境を接する東西ドイツでは本物の危機がWW2直後から冷戦終結まで続いていたのである。本書を読めばそのことがよくわかる。
本書を読んで衝撃的なのは、東西両陣営、特に東側の核戦略である。よく「ソ連軍は核兵器を「大きな大砲」としか見ていない」と言われているが、まさにその通り。60年代から80年代まで旧ソ連が描いた戦略は、「開戦劈頭の大規模な核攻撃」で、しかも彼らは西側諸国が「核反撃に躊躇するだろう」とまで予想していたから、彼らの「本気度」がわかろうというものだ。東側の戦略は、大規模な核攻撃で西側の指揮系統を混乱させ、その間隙を突いてライン川突破を図るというもの。彼らは西側の避難民を追い立てながら前進するから、西側は戦術核兵器を撃てないだろう。彼らはそう考えていた。所謂「反核平和運動」もソ連側から見れば「西側に核兵器を使わせないため核兵器に対する罪悪感を植え付ける」ための手段だと考えれば、空恐ろしくなる(反核運動の対象は常に西側の核兵器であり、共産圏の核兵器はその対象ではない)。
本書を読んで興味深いのは、核兵器の使用を前提としながらも、その中で通常兵器の運用について詳しく書かれていることである。核兵器の存在が通常兵器を無効化するのではなく核攻撃下で如何に通常兵器を運用していくのか。本書の読みどころの1つだと思う。
核兵器の存在が常に念頭にあった冷戦時代だが、冷戦を終わらせる決定的な要因は核兵器ではなく通常兵器であった。西側の優れた通常兵器が冷戦を勝利に導く鍵であったという本書の指摘は的を射ていると思う。
本書を読むと、MMPの「Iron Curtain」等がプレイしたくなる所だ。

お奨め度★★★★

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