もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

カテゴリ:読書 > 戦史

191125_歴史群像


特集は「第3次ソロモン海戦」。特に目新しい記述はなかったが、太平洋戦争最大規模の夜間水上戦闘の改めて俯瞰できる記事であった。その他には日本艦上機の発展に関する記事が良かった。特にイラストが秀逸。

お奨め度★★★

4

191020_この命義に捧ぐ


この命、義に捧ぐ

門田隆将 角川文庫

この本は根本博という日本人の物語である。根本博は旧帝国陸軍の軍人だが、戦史ファンの間でも恐らく知名度がそれほど高くない人物だろう(正直な所、私も本書を読むまでは知らなかった)。彼は終戦時陸軍中将で駐蒙軍司令官の地位にあり、大陸方面の日本軍が総崩れしていく中、終戦後もソ連軍相手に戦闘を継続して邦人の帰国を助けたとある。彼は終戦後、国共の戦いが激しさを増す中国に渡って蒋介石と会い、さらにその後の金門島防衛戦では、中国軍を助けて共産軍の金門島攻略を頓挫させた立役者とされている。無論、終戦後の日本で、独断で台湾に渡り、あまつさえ実戦に参加したことについては批判の余地もあるだろう。それでも彼が現在の中華民国の礎となり、台湾の共産化を防いだという点については間違いない。
日本と国境を接する隣国。その多くは反日的な姿勢を崩さない。中共しかり、北朝鮮しかり、韓国しかり。しかし中華民国(台湾)だけは日本に対して友好的である。かの東日本大震災の際、中華民国からは実に200億円もの義援金を日本に送られたのである。未だに福島をネタに根拠のないデマ宣伝を繰り返す某国とは大違いだ。
根本博。彼は日本と中華民国との友好の基礎を築いた。彼の功績が未来に生かされるか、それとも無駄に終わるかは今後の未来にかかっている。

お奨め度★★★★

3

190907_日露戦争史

日露戦争史ー20世紀最初の大国間戦争

横手慎二  中公新書/

本書は日露戦争の通史である。ただし個々の戦闘場面にはそれほどページを割いておらず、それよりは個々の戦闘が日露戦争全体の中でどのような位置づけにあるか。あるいは戦闘の結果が戦争全体の行方にどのような影響を与えたかについて触れている。また本書では日露戦争が開始されるまでの道程に多くのページを割き、日本から見たロシア、ロシアから見た日本という点について考察している。そして日露戦争が起こる前の東アジア情勢が日露戦争の開戦にどのような影響を与えたかについて考察している。
本書は所謂「血沸き肉躍る」タイプの作品ではない。しかし今まで見過ごされがちであった戦争前の外交、とりわけロシアが日本をどのように見ていたか、あるいは日露両国が相手の「意図や能力」をどのように「見誤った」について考えてみるには良い著作である。

お奨め度★★★

3

191014_歴史群像

歴史群像2019年10月号

学研

特集は「アメリカ海兵隊戦車隊」。太平洋を巡る島嶼戦で無敵の印象を持つ米戦車隊であったが、実際には日本側の対戦車戦術の前に苦戦の連続であった。本特集記事は、アメリカ海兵隊と銘打ってはいるものの、島嶼戦を巡る日本側の対戦車戦術とそれに対抗するアメリカ海兵隊の戦術という視点で描かれている。そういった意味で太平洋における島嶼戦に新たな視座を提供してくれる内容であった。
特集記事以外では、WW1におけるドイツ東洋艦隊の記事と、ランチェスターに代表される戦闘モデルに関する記事が面白かった。

お奨め度★★★

4

190818失敗の本質

失敗の本質

戸部良一他5名 中公文庫

十何年ぶりに読んでみた。かなり話題になった著作なので、既に読んだ人も多いだろう。本書は大東亜戦争における日本軍の失敗を体系的に分析した著作である。本書によれば日本軍の戦略面での弱さを「あいまいな戦略目標」「狭くて進化のない戦略オプション」「アンバランスな兵器体系」とし、組織面の弱さとしては「強い属人性」「学習に対する軽視」等を取り上げている。現在の視点から見ると結果論的過ぎるとか、日本軍に対する評価が辛辣過ぎるとか(日本軍をして「学習しない組織」というのはやや極論過ぎ)、様々な批判も可能だろう。
ただ、現時点で本書を振り返ってみると、そのような批判が些事に過ぎないことがわかる。というのも、本書で指摘した日本型組織の弱さは、平成期における日本の停滞によって見事に証明されてしまったからだ。
本書の初版が出版されたのは1984年(昭和59年)である。筆者らはその中で、日本型組織の強みを「ブレークスルーを生み出すよりも1つのアイデアを洗練させていくのに強い」としている。また平成3年出版の文庫版では「今やフォローすべき先行目標がなくなり、自らゲームのルールを作っていかなければならなくなった」と警鐘を鳴らしている。その後約30年、新たなゲームのルールを作れなかった我々は、世界の中で失速している。そのように回顧すると、本書が危惧した日本型組織の弱点は、残念ながら平成期に顕在化してしまったと言って良い。
そういった意味では、今でこそ読み返す価値のある著作といえる。

お奨め度★★★★

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