もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

カテゴリ:読書 > 戦史

4
220325_P47vsKi43

P-47D Thunderbolt vs Ki-43-II Oscar

Michael John Claringbould Osprey Publishing

ニューギニア戦線におけるP-47サンダーボルトと一式戦の対決を描いたオスプレイの一作。まず扱っているテーマがマイナーで良い。P-47サンダーボルトと言えば、欧州戦線での活躍が有名である。しかし太平洋戦線ではP-38ライトニングやP-51マスタングの活躍が目立っているので、P-47はそれほどメジャーな存在ではない。また一方の一式戦についても、ソロモン方面での海軍航空隊の活躍に比してニューギニア方面での陸軍航空隊の知名度は今一つというのが実情だ。
本書はこのようなマイナーな戦いに焦点をあて、日米双方の資料を丹念に調べ上げて、個別の空戦についてその実態を明らかにしている。Osperyの作品ということでボリュームにはやや不満が残るが、その分ポイントは確実に押さえているので好感が持てる。また我々の立場から見ると、ニューギニアで戦っていた米陸軍航空軍の姿を目にすることができ、そういった点でも有益な著作であった。

お奨め度★★★★

2
220320_日本潜水艦

日本海軍潜水艦図鑑

古田和樹

これもKindleUnlimitedで読んだ本。日本潜水艦の技術的な内容や戦歴がコンパクトにまとめられている。特に目新しい記述はなく、無料という点以外にあまり価値はないと感じた。

お奨め度★★

4

220319_歴史群像

歴史群像2022年4月号

特集はミッドウェー海戦。これまで語りつくされてきた感のテーマだが、今回はいつもの大塚好古氏ではなく宮永忠将氏による分析記事となっており、氏独特の視点があって面白かった。
他にはイギリス空母の戦後史の記事も面白い。戦後、世界第2位の戦力を有していた英国海軍空母部隊が、戦後どのような道を歩んで現在に至ったのか。対潜用の小型空母すら一時は全廃するまで弱体化したその流れを追うのは興味深い。
他には陸軍工廠制度、カクタス航空隊のカラー写真等、全体的に読む所が多く、今回も「当たり」であった。

お奨め度★★★★

3
ビスマルク海海戦

戦史叢書第46巻-海上護衛戦

防衛省戦史室

前大戦時に旧海軍が海上護衛を軽視し、そのことが敗戦の大きな原因となった、とは巷でよく言われている。では、その実態はどうだったのか。そのことを防衛省戦史室の立場で論じたのは本書である。
本書は戦前から、開戦時、そして戦争中における海上護衛戦の実態について、史料に基づいて記した著作である。戦史叢書の類にもれず、本書は主に日本軍における組織や人事、兵器整備といった観点を中心に描いている。また海上護衛戦という性格上、具体的な護衛戦について記述はやや乏しく、強いてあげるなら1944年前半に実施された中部太平洋方面兵力輸送作戦「松作戦」と1945年1月に起こった米機動部隊艦載機による「ヒ86船団」の壊滅が取り上げられているに過ぎない。そういった意味で海上護衛戦の現場がどのようなものだったかを知るにはやや寂しい内容であった。
最初に取り上げた「前大戦で旧海軍が海上護衛戦を軽視した」という命題について、本書は否定的な見解を示している。本書によれば旧海軍でも海上護衛の重要性は認識していたが、予算上の制約からより重要度の高い決戦兵力整備に重点を置かざるを得ず、結果的に海上護衛に対しては手当てが遅れたとしている。また旧海軍が戦前に想定した対米1国戦では、護衛の範囲はせいぜい台湾までで、前大戦のように全世界を相手に西太平洋全域で戦うような戦争は想定していなかったという。また決戦兵力重視という批判についても、そもそも決戦兵力が敗れて制海権が失われてしまえば海上護衛そのものが成り立たない。だから決戦兵力への重点を置くという兵備も間違いではなかった。事実、レイテ海戦で聯合艦隊の決戦兵力が事実上壊滅するまでは、米機動部隊といえども南西航路の海上交通線を攻撃できなかったではないか。
本書の主張に同意するか否かは読者の判断に委ねたい。

お奨め度★★★

3
220129_東條

東條英機-「独裁者」を演じた男

一ノ瀬俊也 文藝春秋

東條(東条)英機。ヒトラーやムッソリーニと並んで連合国側からは日本の独裁者と思われていた人物である。彼が独裁者であったことは恐らく一度もなかったが、日本があの戦争を行うことになった際の総理大臣であったことは間違いなく、俗な言い方をすれば「日本を戦争に引きずり込んだ人物」という言い方は可能だ。
本書はそんな東條に焦点を当てて、彼の生い立ちや戦前、戦中、そして戦後での言動やその考え方を追った著作である。なぜ東條が「日本を戦争に引きずりこんだ」のか、東條は何に期待し、何を恐れたのか。東條が目指したものは何だったのか。等について筆者なりの考察を加えている。
私はといえば、別に東條英機という人物に左程興味はなく、牟田口廉也や富永恭次のようないわゆる「評判の悪い人」の一人という認識であった。そういった人物を筆者がどのように評価しているかに興味があったが、結論はいたって平凡であり、そういった意味ではやや肩透かしを食った感があった。

お奨め度★★★

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