もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

カテゴリ:読書 > 戦史

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230727_歴史群像

歴史群像2023年8月号

学研


特集はマリアナ沖海戦。これまで何度も取り上げられてきたテーマだが、今回は主に米側からみたマリアナ沖海戦について宮永忠将氏が解説している。これまであまり触れられなかった米海軍における飛行機乗りと非飛行機乗りの対立などにも触れ、米海軍はマリアナ戦で勝利するまでの過程を細かく解説している。
あと面白かったのはフランス空軍史。WW1では世界最強の空軍を築き上げたものの、WW2ではドイツの電撃戦を前に脆くも敗れ去ったフランス空軍の歴史とその敗因について古峰文三氏が鋭く解説している。
他にも熊本城攻防戦の後半、徳川と武田の戦いにおける高天神城攻防戦、ウクライナ戦争における作戦術など、興味深い記事が満載であった。

お奨め度★★★★

歴史群像 2024年2月号[雑誌] - 中東戦争航空戦1948-73
歴史群像 2023年12月号[雑誌] - 特集:日本機動部隊
歴史群像 2023年10月号[雑誌] - 特集:ドイツ空軍の東部戦線
歴史群像2023年8月号[雑誌] - 特集:マリアナ沖海戦


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230718_南北戦争

南北戦争-アメリカを二つに裂いた内戦

小川寛大 中央公論新社

本書は南北戦争をコンパクトにまとめた著作である。本書の扱っているのは南北戦争の戦場における戦いが主で、その背景として政治や経済の話も取り扱っている。特にリンカーンとデーヴィスという両陣営の首脳にまでを対象として含めており、リンカーンに対する高い評価とそれに反してデーヴィスに対する低評価が際立っていて面白い
南北戦争における主要な戦いを一通り網羅しているので、南北戦争に興味を持った際の入門書として優れている。また南北戦争を彩る両軍の名将、愚将達の活躍も広く取り扱っており、読んでいて楽しい。単なる趣味本としても、啓蒙著としてみても、楽しく読める1冊であった。


230511_歴史群像

歴史群像2023年6月号

学研

特集は「日本海軍駆逐艦全史」。日本海軍における駆逐艦の歴史について、その創成期からWW2での戦いに至るまでを概説した内容。夕雲型駆逐艦の艦隊防空能力について比較的高い評価をしているのが特徴。
「ホーチミン・ルート」で読み解くヴェトナム戦争。ヴェトナム戦争におけるホーチミン・ルートの果たした役割について分析している。ヴェトナム戦争は、戦略や作戦レベルでの分析があまりされていない戦争と言えるが、なぜ米及び南ヴェトナムが共産側に敗れたのか。その点について示唆を与えてくれる内容になっている。
「最新研究西南戦争、熊本城攻防戦」。熊本城攻防戦を主に戦術面から分析した内容。熊本城攻防戦の実態や熊本城がなぜ落ちなかったに迫る。
「ウクライナ戦争を読む」。作戦術の視点からウクライナ戦争を分析する。今回は主に作戦術についての誤解(作戦術が軍隊の編成上の分類(師団、軍団規模)として扱われている誤解)と、それがウクライナ戦争にどのような影響を与えたかについて述べている。
「機甲戦から見たウクライナ戦争の1年」。主にキーウ攻防戦とイジューム電撃戦に焦点を当てて、機甲戦の立場から勝因と敗因について論じている。現在進行形の戦争なので分析精度はやや疑問がつくが、即時性という観点で貴重な分析である。
その他に、芸予要塞、A-20ハヴォックの記事など、読みどころが多かった。
最後に苦言を一言。
「ヒトラー暗殺計画」は、内容以前に筆者の政治的な意図が透けて見えて不愉快な記事であった。

お奨め度★★★★

歴史群像 2024年2月号[雑誌] - 中東戦争航空戦1948-73
歴史群像 2023年12月号[雑誌] - 特集:日本機動部隊
歴史群像 2023年10月号[雑誌] - 特集:ドイツ空軍の東部戦線
歴史群像2023年8月号[雑誌] - 特集:マリアナ沖海戦
歴史群像 2023年6月号 [雑誌] - 特集:日本海軍駆逐艦全史


230324_黒騎士物語

黒騎士物語

小林源文 日本出版社

かつてHobby Japanに連載され、今でもミリオタ界隈ではバイブルともいうべき漫画である。ストーリーは1943年秋、ロシア南部の名もない村から始まる。第8戦車中隊、別名「黒騎士中隊」。10両前後の戦車を保有するその戦車中隊とその将校、兵士達が物語の主役だ。ストーリーは地獄のような東部戦線での黒騎士中隊の戦いを追う形で進められていく。圧倒的な兵力を持つ敵軍、理不尽な上官、戦意の疑わしい友軍等、様々な困難に直面する黒騎士達の運命や如何に・・・。
ミリオタ界隈では評価の高い作品だが、正直な所、絵の質は高いとは言えない。例えば新谷かおる氏の戦闘場面と比べると、場面の描写が分かりにくいのだ。キャラクターの顔も特徴がなく、主人公のバウアー中尉にしても隻眼だから目立つだけ。それがなければ他のキャラクターと区別がつかなかっただろう。
本作が氏の作品群の中でも際立って有名なのは、主人公の「わかりやすさ」が際立っていたから、というのは言い過ぎだろうか?。
とはいえ、そんなウンチク話ができるのも、本書の魅力の1つともいえる。

お奨め度★★★★

黒騎士物語 外伝 (ゴマブックス×ナンバーナイン)
黒騎士物語 愛蔵版 (ゴマブックス×ナンバーナイン)


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230324_歴史群像

歴史群像2022年4月号

学研

特集は「海上護衛戦」。大東亜戦争時における日本海軍による海上護衛戦について、長南政義氏が分析している。海上護衛戦という性格上、個別の戦いではなく全体を追う形になっているのは仕方がない所。どちらかと言えば大井篤氏の「海上護衛戦」に対する再検証という内容が主になっている。大井氏の著作が現在に我が国における海上護衛戦のイメージの土台になっているは否めないので、そういった意味において今回のような記事は価値が高いと言えよう。ただ、そこで語られている結論は、通説から大きく離れたものではないことは、通説の正しさを改めて実証したとも言えそうだが・・・。
また特集記事に対比する形で書かれた「アメリカ海軍潜水艦の戦い」(神野英雄氏)も面白い。写真が中心で文章が少ないので、概要的な記事なのは否めないが、特集記事と合わせてこういった記事の載せる所が「歴史群像誌」の上手い所だろう。
他には、前号がの続きとなっている有坂純氏によるウクライナ戦争の分析記事も面白い。現在進行中の時事ネタをランチェスター理論を用いて分析するという内容だが、納得感はとにかく「なるほど、こういった考え方もあるのか」という知的興味を満足させてくれる内容であった。
日本軍機に関する記事が得意な古峰文三氏は、今回は日本兵器の部品互換性というテーマに挑戦。「基礎工業力の低さ」という一言で語られがちな旧日本軍の兵器生産技術について氏がどのように分析したのがが見所。
今回も読む所の多い内容であった。

お奨め度★★★★

歴史群像 2024年2月号[雑誌] - 中東戦争航空戦1948-73
歴史群像 2023年12月号[雑誌] - 特集:日本機動部隊
歴史群像 2023年10月号[雑誌] - 特集:ドイツ空軍の東部戦線
歴史群像2023年8月号[雑誌] - 特集:マリアナ沖海戦
歴史群像 2023年6月号 [雑誌] - 特集:日本海軍駆逐艦全史
歴史群像 2023年4月号 [雑誌] - 特集:海上護衛戦


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