もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

カテゴリ:戦史 > 第3次世界大戦

表紙


The Battle for Germany(以下、本作)は、2021年に米国Compass Gamesが発表したシミュレーションゲームだ。テーマは1985年8月を想定した西ドイツにおけるワルシャワ条約機構(WP)軍とNATO軍の対決。1Turnは実際の1日、1Hexは12kmに相当し、1ユニットは連隊~師団規模になる。 本作の基本システムは、 以前の記事 で紹介したので、そちらを参照されたい。

今回は、その中からシナリオ3「The Battle for NORTHAG」をVASSAL対戦することになった。これはドイツ北部における開戦から6日間の戦いを描いたシナリオで、WP軍は西ドイツ北部からベルギー、オランダ方面への突破を目指す。私はWP軍を担当した。

Turn00a


1Turn(1985/8/1)

戦略フェイズ

シナリオ開始時点でWP軍は特殊部隊(スペツナズ)を3個使用できる。米軍の事前備蓄基地POMCUSに対して使用。3ヶ所のPOMCUSのうち2か所を破壊し、まずは戦果を達成した。
航空戦では両陣営とも戦闘機を制空任務に投入する。数で勝るNATO軍が航空戦を有利に進め、WP側のSAM陣地に大きな打撃を与えた。WP軍もSAM攻撃を実施するが、こちらは失敗。腹いせ(ではないが)化学兵器を満載したSSM(地対地ミサイル)を英本土のNATO軍基地にバラまき、同方面のNATO航空兵力に多大な損害を与えた。

WPプレイヤーターン

序盤はWP軍としても決して兵力が潤沢な訳ではなく、攻勢に投入できるのはソ連軍2個軍(2GTA=第2親衛戦車軍、3CAA=第3戦車軍)の計8個師団(戦車5個師団、機械化3個師団)と東ドイツ軍1個軍(EGA)所属の1個戦車師団に過ぎない。さらにその主力戦車はT-64で(東ドイツ軍に至ってはT-55)、NATOの新型戦車(レオパルド2、チャレンジャー等)には到底及ばない。そのためにその前進は決して楽なものではなかったが、それでも何とか主要都市であるハンブルグ(Hamburg)とBrunswickを占領し、突破口を啓開した。この時点ではNATO軍の地上部隊は戦闘展開しておらず、そのためにWP軍機械化部隊が何とか進撃できた訳である。

Turn01a


NATOプレイヤーターン

序盤、NATO側の部隊の多くは連絡線切れの状態になっており、組織だった行動が難しい。取り合えず後方に取り残されたスペツナズユニットをオーバーランで撃破しつつ、残りはエルベ川等南北に流れる河川沿いに戦線を敷いてWP軍の突破に備える。

Turn01b


感想

今回は時間の関係でこの時点で終了とした。所要時間は6~7時間である。わずか1Turnでこれだけ時間がかかるのは、慣れの問題もあるが、ゲームシステム自体の問題もある。
今回のプレイでルール等についていくつか疑問点が出てきた。そのいくつかは Board Game Geek で質問しておいたが、そのいくつかを紹介する。

まず最初に疑問に思ったのは河川の効果である。TEC(地形効果表)によれば、「河川越えの移動で敵ZOCには進入できない」とある。ということは例えば下図のように河川の1ヘクス後ろに布陣すると攻撃側は手も足も出なくなる。一応「工兵支援」というルールがあり、それを使えば河川を渡河できるのだが、それは確実なものではなく、成功率は50%以下でしかない。しかも失敗する度に工兵能力が10%ずつ減っていくので、ダイス目が悪いと何もしない間に渡河能力が失われていく・・・。
個人的には「渡河禁止」はZOC to ZOCの場合に限定した方が良いようにも思うのだが、Board Game Geek で質問した所、デザイナーからはハッキリと「ZOCに進入する渡河は禁止」という回答を得た。従ってまずはデザイナーの意向を尊重するしかない。

Hamburg


ちなみにこのデザイナーは水障壁が好きらしく、前作The Fulda Gap(CompassGames)では、水溜まりのような小川であっても戦車の渡河をストップさせる効果を与えていたりして、批判されていた。

VKK(西ドイツ地域防衛コマンド)に関するルールにも疑問がある。西ドイツの都市ヘクスに隣接する度にVKKユニットの登場有無を判定するルールだが、この判定の実施について何の制限もないことである。一番問題なのはWP側が一度占領した都市ヘクスであってもVKK生成チェックの対象になる所で、折角占領した筈の都市ヘクスがVKKユニットによって再占領されたらWP側としては目も当てられない。単に邪魔になるだけではなく、補給線の障害にすらなりかねない。
個人的には一度WP側が占領した都市ヘクスについては、VKK登場チェックの対象外にするといったハウスルールが必要だと思う。そうでなければ、WP軍の後続梯団は、VKKの再登場を避けるために、西ドイツの都市ヘクスを避けて通ることが必要になるのかもしれない(実はそういう効果を狙ってのことかもしれないが・・・)。

後日、Board Game Geek で確認した所、WP軍が一度占領した都市ヘクスはVKK登場チェックの対象外となるらしい。常識的な解釈が正しかったという訳だ。

あとは細かい話なのだが、何故か英国製のファントムに限って他国(米独)のファントムよりも著しく性能が落ちるとか、ミラージュF1Cには空戦能力があるのに、Mirage 2000Cには空戦能力がないとか、航空機の能力についても気なる点がある。

これについても Board Game Geek で確認した所、西ドイツ本土に配備されているFGR-2(英国製ファントム)は対地支援を主な任務としており制空戦闘は担当していない。だからこういうレーティングになったそうだ。ナルホドね。

そんなこんなで細かいレベルではいろいろ気になる点のある本作だが、細かいルールで1980年代の東西両陣営の戦いを描いた本作が魅力的なのは確かである。いつかキャンペーンシナリオを試してみたいと思う。

RedStorm


Red Storm(以下、本作)は、2019年に米国GMT社から発売されたシミュレーションゲームだ。テーマは1987年における東西ドイツ上空における航空戦闘である。実際に起こらなかった戦争を再現する本作は、一種の「仮想戦」ゲームといえる。ゲームシステムについては、 以前の記事 を参照されたい。

今回は、その中からシナリオRS9:NightHawkをプレイしてみた。プレイスタイルは、VASSALを使ったソロプレイである。

開戦から3日目、NATO軍は厳重に防御されたWP軍の防空ネットワークの拠点を破壊すべく、当時の最高機密機であったF-117A "NightHawk"ステルス攻撃機の投入を決意した。4450戦術航空団に所属するF-117A計12機は、少数の戦闘機に掩護され、世界で最も厳重に防護されたWP軍防空組織へ飛び込むことになる。

前回までの展開は --> こちら

Turn12b


14Turn

RU_SA12_A飛行場に着陸しようとしていた東ドイツ空軍のMiG-21MFが、着陸直前に墜落した。これでWP側の損失は計3機となる。パイロットは無事ベイルアウトに成功した。
F-4G "WildWeasel"の編隊が最後の"HARM"対レーダーミサイルを発射した。狙いは長距離SAMのSA-12である。狙われたSA-12は速やかにレーダーをシャットダウンしたのだが、メモリーに電波源の位置を記録していたHARMはそのまま目標に突入し、SA-12の射撃管制レーダーに直撃した。

Turn14a


15Turn

WP側のSA-11部隊が微かな反応を捉えた。攻撃を終えて帰投する米軍のF-117Aステルス爆撃機である。SA-11は千載一遇の好機。直ちにSAM発射を行うが、弾数は残り僅かであった。最後の数発を微かな反応に向けて発射したが、ミサイルは目標を捕捉できなかった。

Turn15a


16Turn

NATO側の攻撃機が最前線を超えた。SA-4大隊がSEAD編隊に対して最後の斉射を発射するも、ミサイルは命中しなかった。

17Turn

NATO側の攻撃隊が全機安全圏に離脱した。この時点で終了とする。

結果

NATO側の戦果

空中戦の戦果:撃墜3、大破3、小破1
地上攻撃の戦果:侵攻目標完全破壊4(早期警戒レーダー2、司令部1、SA-2サイト1)、侵攻目標重損傷2(SA-2サイト1、司令部1)、侵攻目標以外で早期警戒レーダー1撃破、SA-12サイト1撃破、1重損傷。

WP側の戦果

空中戦の戦果:大破2(F-15C,F-4G)
対空射撃の戦果:なし

VPはNATO側が89VP、WP側が4VPで、差は+85。問題にならないぐらいNATO側の圧勝であった。

感想

US_F117_Hailステルス攻撃機は予想通り強かった。SAMで捕捉しようとしても常に"Target undetected"の欄になる上、Defensive Jammerが8もあるので、捕捉するためには最低でも2d10で17以上の出目が必要(確率10%)。さらにスタンドオフジャミングが適用されれば、そこからさらに捕捉成功率が下がる。ただ一度捕捉に成功すると、その後は2d10で10以上の出目(64%)を出せば捕捉が継続するので、一度でも捕捉することがSAM側にとっては重要かもしれない。とはいえ、仮にSAM発射に成功しても、SAMが実害を与える可能性は0%。SAM回避に持ち込むためにも2d10で3以下の目(3%)を出す必要がある。これなら無理をしてステルス機を狙うよりも、非ステルス機を狙った方が遥かに得策に思える。

RU_SA12_A非ステルス機に対するSAM攻撃だが、NATOの欺瞞妨害装置(Deception Jammer)が強力なので、これまたなかなか命中しない。例えばF-15Cに対してSAMで攻撃を仕掛けた場合、最初に2d10で12以上を出して"Possible Hit"の目を得た後、実際に命中を得るためには、2d10で8以下の目を出す必要がある。F-15Cが例えばレベル1のスタンドオフジャマーを得ていた場合、DRM+5が適用されるので、出目3以下が必要(3%)。これがF-4Gの場合は、DRMがさらに1得られるので、命中させるのはさらに困難になる。SA-11、SA-12、SA-15による攻撃に限ってボーナスとしてDRM-1が得られるので、やや命中率が上がるが、それでも命中させるのが困難なことは変わりない。
同じく機動対空砲についても、例えば低空に降りてきたF-15Cに対して好餌とばかりにレーダー装備の2K22で狙い撃ちしても、最初に2d10で12~13以上の出目を出した後、DRM-7(夜間、スタンドオフジャマー1で目標速度が5以上の場合)で11以上の出目が求められる。確率6%。やはり苦しい(とはいえ、スタンドオフジャマーがないとか、夜間ではなく昼間とかなら、そこそこ命中が期待できる値になる)。
ところがWP側に福音がある。NATO戦闘機の守り神「欺瞞妨害装置」は機能停止する場合があるのだ。それは「自由旋回を超える旋回を実施した場合」である。これは次に移動力を消費するまでの僅かな期間なのだが、WP側としてはこれを逃す手はない。NATOの戦闘機が調子に乗ってWP戦闘機を捕捉せんとSAM射程内で急旋回を実施した瞬間、SAMをぶっ放せば良いのだ。あるいはレーダー装備の対空砲火を見舞うという手もあるだろう。逆にNATO側としては、敵SAMの脅威下を飛行する際には、不用意に最大旋回するのは避けねばならない。

次に空対空戦闘について。WP側にとって戦闘機による迎撃は、NATO側ステルス機に対するほぼ唯一の対抗手段となる。US_F15_Cobra逆に言えばNATOとしては何はともあれ、最初にWP側の迎撃戦闘機を排除したいと思う。
今回は夜間戦闘であったため、NATO側によるWP戦闘機排除は昼間よりも困難であった。敵戦闘機を無力化する最良の方法はドッグファイトに持ち込むことだが、夜間はドッグファイトに持ち込める確率が昼間の半分以下まで落ち込む(昼間は64%、夜間28%)。頼みはBVR(視認外戦闘)だが、超低空で息を潜めているWP戦闘機に対してBVR戦闘を仕掛けるのは困難を伴う。安全策をとって高高度から狙い撃ちすると、グラウンドクラッターでミサイルの有効性が下がってしまう。とはいっても超低空に降りると、周囲の対空火器やら中短射程SAMやらがバンバン撃ってくる。またBVRミサイルはWP側戦闘機も持っている場合があり、その場合はWP側のBVR攻撃でこちらが先に撃たれてしまうリスクもある。今回、WP側としては戦闘機を前に出して失敗したが、戦闘機は前に出さずに重要地域付近で温存しておき、SAMでディフェンスラインを張るのが正解であった。いくら命中率が低いといっても数十発のSAMでお迎えすれば、1発ぐらいは当たるかもしれない。なんせNATOの戦闘機は、F-15にしてもF-16にしても、1機落ちただけでもプレイヤーが不機嫌になってゲームを投げ出したくなるほどの骨董品なのだ・・・・。あとは(先にも書いたように)NATOの戦闘機が不要に急旋回を行った瞬間に狙い撃ちする手もある。

今回はステルス攻撃機という要素の他に、夜間戦闘だとかNATOによる侵攻作戦とか色々と面白かった。展開はやや一方的であったが、得ることの多いプレイだったと思う。この次はやはりNATOによる長距離侵攻を扱った別のシナリオ(RS11又はRS12等)をプレイしてみたいものである。

MiG29

RedStorm


Red Storm(以下、本作)は、2019年に米国GMT社から発売されたシミュレーションゲームだ。テーマは1987年における東西ドイツ上空における航空戦闘である。実際に起こらなかった戦争を再現する本作は、一種の「仮想戦」ゲームといえる。ゲームシステムについては、 以前の記事 を参照されたい。

今回は、その中からシナリオRS9:NightHawkをプレイしてみた。プレイスタイルは、VASSALを使ったソロプレイである。

開戦から3日目、NATO軍は厳重に防御されたWP軍の防空ネットワークの拠点を破壊すべく、当時の最高機密機であったF-117A "NightHawk"ステルス攻撃機の投入を決意した。4450戦術航空団に所属するF-117A計12機は、少数の戦闘機に掩護され、世界で最も厳重に防護されたWP軍防空組織へ飛び込むことになる。

前回までの展開は --> こちら

Turn04c


5Turn

F-15の編隊がMiG-29に一矢報いんとして正面からスパローミサイルを発射するも、またも外れである。NATO側攻撃本隊がWP側の防空圏に入ってきた。F-4G "WildWeasel V"がハーム対レーダーミサイルを発射して早期警戒レーダーを狙うも、レーダーは速やかにシャットダウンしたので被害なし。

F-4G_Phantom_II_wild_weasel


6Turn

US_F15_CobraイベントでWP側の指揮混乱が発生。このTurn、WP側は空中戦を仕掛けることができない。一方で先にMiG-23を撃破したF-15C "Cobra"小隊が前方に別の敵機を発見した。東ドイツ軍のMiG-21である。Cobra小隊はアフターバーナーに点火。高高度を飛行したままMiG-21の前方に回り込むと、2発のスパローミサイルを発射した。ミサイルは見事に目標を捉えて1機のMiG-21を四散させ、さらに別の1機は至近弾により損傷した。両軍通じて初の撃墜戦果である。撃墜されたMiG-21のパイロットは脱出することができず、機と運命を共にした。さらにSAM部隊もF-15の編隊をロックオンしたまま追いかけるが、近くにWP側戦闘機が位置しているため、味方撃ちを恐れたWP側のSAMは射撃できない。

Turn06a


NATO側の攻撃本隊が続々と最前線を飛び越えてくる。主力のF-117Aはステルス攻撃であり、WP側のレーダー網はなかなかこれを捕捉できない。

7Turn

RU_MiG29_StepanovイベントでWP側に戦闘機が登場した。MiG-21MF "Fishbed"。東ドイツ空軍の旧式機だが、護衛が潤沢とは言えないNATO側攻撃隊を攪乱する意味はある。
先にF-15 1機を撃破したMiG-29の2機編隊が再び戦果を挙げた。SEAD任務のF-4G"WildWeasel" 2機編隊に対して10マイルの距離からミサイル攻撃を実施。1発がファントムの至近距離で炸裂して大破せしめた。この攻撃によってSEAD編隊は爆装を投棄する。貴重なSEAD戦力の1/3を無力化したMiG-29の大殊勲であった。

Turn07a


ZZ_RadarShutdownこのMiG-29に対してF-4E "Phantom"2個編隊4機が次々とミサイル攻撃を仕掛ける。中距離ミサイル計16発を撃ち尽くす攻撃でもMiG-29の1機を小破させたのが精一杯。しかもこのMiG-29は未だに戦闘能力を維持している。
NATO側の残ったF-4G"WildWeasel" 2個編隊は、WP側のSAM発射を掻い潜って"HARM"対レーダーミサイル攻撃を仕掛ける。も、ミサイル攻撃を受けたWP側レーダーサイトは巧みにレーダーシャットダウンを実施し、"HARM"の攻撃を躱していく。

Turn07b


8Turn

US_F117_HailF-15C "Cobra"小隊が漸く厄介なMiG-29を制圧した。最後のスパローミサイル2発の攻撃で1機を大破、もう1機を小破させ、MiG-29の小隊を無力化したのである。
F-117A "NightHawk"の1個小隊が攻撃目標上空に到達した。早期警戒レーダーサイトである。2発のレーダー誘導爆弾がレーダーサイトを正確に貫き、これを完全に撃破した。

Turn08a

9Turn

ZZ_SAMLaunchWP側迎撃戦闘機が後退していったため、今度はSAMが激しくNATO機を迎え撃つ。このTurnだけで10発以上のSAMが発射され、そのうちの何発かはNATO側戦闘機、攻撃機に危険なほど接近してきたが、被弾した機はなし。NATO側攻撃機の強力な欺瞞式電子妨害装置とスタンドオフジャミングによってSAMが目標に近づいても、悉く欺瞞されてしまうのだ。一部のWP側SAM部隊は、ステルス攻撃機であるF-117Aに対してLOAL(Lock On After Launch -- 発射後ロックオン)方式で射撃を試みたが、ミサイルは明後日の方向に飛んで行った。

Turn09a


10Turn

US_F4_Dodge最後に残っていた東ドイツ軍のMiG-21MFに対して、米空軍のF-4E"Phantom"小隊が空戦を挑んだ。夜間における格闘戦は視界が効かないので実施が難しい。しかしこの"Dodge"小隊は、運良くこれを捕捉した。既にAIM-7Fスパローミサイルは撃ち尽くしていたので、頼りになるのはAIM-9L"SideWinder"と20mmVulcan砲だけである。さらにMiG-21の機動性は、この高度ではF-4Eに匹敵する。技量だけが頼りの米空軍パイロット達だが、鍛えられた彼らはMiGを圧倒した。1機のMiG-21にはサイドワインダーが直撃。空中に四散した。パイロットは機と運命を共にした。もう1機のMiGは20mm機関砲の斉射を浴びて煙の尾を引きながら撤退していく。米軍側の損害は皆無であった。

Turn10a


F-117Aの攻撃編隊のうち2個目の小隊が目標上空に到達した。彼らはLOAL方式で発射されたSAMや散発的な対空射撃を無視してレーザー誘導爆弾を投下。目標のレーダーサイトを完全に破壊した。

Turn10b


11Turn

RU_SA4_E1両軍とも戦闘機同士の戦いが終わったので、それぞれ引き上げに入っている。未だに戦っているのは、WP側のSAM部隊とNATO側のSEAD機やF-117Aステルス攻撃機だ。NATO側のSEAD機がそれほど大戦力ではなかったことや、MiG-29の攻撃でNATO側SEAD機の1/3が無力化されたため、WP側のSAM部隊はその大半が未だに健在であった。
F-117Aの攻撃部隊が次々と目標上空に進入する。主攻撃目標の1つである防空司令部はレーザー誘導爆弾の直撃を受けて完全撃破。また別の目標であるSA-2SAM大隊は、やはりレーダー誘導爆弾の攻撃により機能停止した。
NATO側攻撃編隊のうち、非ステルス機はこのTurnも激しいSAM攻撃を受けた。ミサイルの何発かは目標の近距離に近づくのだが、米軍機の欺瞞式妨害装置とスタンドオフジャマーに阻まれて有効弾はない。米軍機の電子装備の優秀さが際立った感があるが、もし狙われたのが他のNATO諸国の戦闘機なら、無事では済まなかった可能性が高い。ベルギーやオランダのF-16なんて、外見は米軍のF-16と同じだけど、電子装備はダウングレードされた「モンキーモデル」なのだから・・・。

Turn11a


12Turn

ZZ_DestroyedF-117Aが最後の攻撃を実施した。防空司令部は重損害、SA-2 SAM大隊は完全撃破。これによってF-117Aによる攻撃は終了。攻撃目標6個のうち、完全撃破4個、重損害2個である。攻撃に参加したF-117Aは計12機。この時点でF-117Aの中で撃墜されたものはおろか、被弾損傷した機体も1機もなかった。さあ、後は引き挙げるだけだ。

Turn12a


つづく

F-117_Nighthawk

RedStoem全体


Red Storm(以下、本作)は、2019年に米国GMT社から発売されたシミュレーションゲームだ。テーマは1987年における東西ドイツ上空における航空戦闘である。実際に起こらなかった戦争を再現する本作は、一種の「仮想戦」ゲームといえる。ゲームシステムについては、 以前の記事 を参照されたい。

今回は、その中からシナリオRS9:NightHawkをプレイしてみた。プレイスタイルは、VASSALを使ったソロプレイである。

シナリオの背景

開戦から3日目、NATO軍は厳重に防御されたWP軍の防空ネットワークの拠点を破壊すべく、当時の最高機密機であったF-117A "NightHawk"ステルス攻撃機の投入を決意した。4450戦術航空団に所属するF-117A計12機は、少数の戦闘機に掩護され、世界で最も厳重に防護されたWP軍防空組織へ飛び込むことになる。



セットアップ手順

今回は久しぶりのプレイなので、厳密に手順を追って準備していきたい。
最初に天候フェイズ。このシナリオでは、「晴天」と決まっており、天候チェックは省略される。
次に地上計画フェイズである。両陣営、またはいずれか一方の陣営が地上部隊を配置する。本シナリオではWP側のみ地上ユニットを配置する。司令部を3ヶ所、早期警戒レーダーを4ヶ所、固定式の長射程SAM(SA-2、SA-12)が5個である。これらは全て固定配置となる。それ以外に中短射程のSAMが合計23個、さらに対空火器やFire Can(レーダー誘導方式の防空火器)を配置する。これらは隠匿配置になる。まあソロプレイなので「知らないふり」をするだけだが・・・。
次にISRフェイズである。諜報・監視・偵察の意味で、このシナリオでは自動的に"NATO Exceptions"(優良)という結果になっている。NATOにとっては最良の結果で、50%の隠匿SAM、40%のFire Can、25%のAAAが発見状態で配置となる。6個のSAM、3個のFire Can、1個のAAAが発見状態となった。
次は地上展開フェイズ。固定配備のSAMや対空火器を配置する。
次に侵攻計画フェイズ。NATO軍の攻撃目標を決定する。今回のシナリオでは、NATO側は3個編隊のF-117A攻撃編隊を有し、それぞれが2個所ずつの目標を割り付けられる。目標の種類は固定SAMや早期警戒レーダー、司令部等である。ダイスを振って目標を決定する。目標は3,4,5,7,8,9。すなわち、早期警戒レーダー2個所、司令部2個所、そしてSA-2サイト2個所となった。攻撃編隊は3つに分かれてそれぞれの目標を狙う攻撃針路を策定する。ちなみに進行高度は高高度。ステルス機ゆえにSAMの脅威は比較的小さく、対空火器の脅威が大きいための選択である。さらにいえば、このシナリオでは晴天が決定しているため、高高度から正確な投弾が可能なレーザー誘導爆弾が使用できることも理由である(夜間攻撃では命中率が低下するのだが、F-117AにはFLIR(前方監視赤外線装置)が搭載されているため、夜間攻撃のペナルティはない)。
次がSEADフェイズ。NATOが固定SAMに対して事前攻撃を実施できる。NATO側プレイヤーがダイス(2D10)を振り、結果は"9"。ISRによる+1のDRMが適用されて結果は"Average"。SAM3個とAAA2個を事前攻撃できる。NATO側は脅威度の高い新型SA-12サイト2個と長射程を誇る古典的なSA-2サイト1個を攻撃。攻撃結果はSA-12サイト1個を完全破壊し、SA-2サイトに重大損傷を与えた。
次が早期警戒フェイズ。迎撃側(このシナリオではWP)の準備状況を判定する。2d10で出目は"9"。時期による+2のDRMを適用して結果は"Minimal Warning"。WP側にとってはあまり嬉しくない結果である。迎撃戦闘機1小隊を上空に挙げて、高高度から侵入するNATO機は発見状態になる。
次が航空機展開フェイズ。セットアップ時に配置される航空機を盤上に配置する。WP軍には3個の迎撃編隊が登場するので、それぞれ機種を決定する。ダイス判定の結果、MiG-23MLD(ソ連)、MiG-21SPD(東独)、MiG-29A(ソ連)となった。MiG-29が登場してきたのは、WP軍にとってはラッキーであった。
NATO側はCAP任務の4個編隊とQrbit Point及びRally Pointを配置する。
最後にレーダーフェイズ。第1TurnにレーダーONにする場所を選択する。WP軍は序盤相手の出方を見るので、レーダーは全てOFFにした。

これでようやく準備完了である。準備手順に手間がかかるのが本シリーズの特徴だが、手続きは整理されているので、手順を追ってプレイすれば問題はない。

Turn00a


1Turn

ではゲームを始めよう。NATO側はEC-130H "Compass Call"がスタンドオフジャミングを実施。CAPを担当するF-15CとF-4Eの編隊がそろそろとWP軍領内に近づいていく。WP側はNATO側に探知を避けるため迎撃機を超低空に逃がす。またSAMによる迎撃を行うべく、射程距離の長いSA-12、SA-4、SA-2と早期警戒レーダー(EWR)のスイッチをOnにする。

Turn01a


2Turn

WP側が早期警戒レーダーをONにしたため、高高度を飛行中のNATO編隊が次々と探知された。SAMのレーダーがNATO戦闘機を捉える。後方からはNATOの攻撃本隊が盤上に進入してきた。

3Turn

NATO編隊の先頭を進むF-15C "Eagle"の2機編隊が速度を上げた。前方25マイルに一瞬探知した敵機に対してミサイル攻撃を仕掛けるためである。そのF-15Cを狙って地対空ミサイルが発射されたが、ミサイルは目標を大きく逸れた。

Turn03a


4Turn

NATOにとって嫌なイベントが出た。"NATO Comms Failure"。NATO側の指揮混乱である。これ以降、NATO側の探知レベルはCからDへ低下する。 F-15Cの"Cobra"小隊が前方15マイルに敵機を捉えた。不用意に高度を上げたMiGがF-15Cの機上レーダーAPG-63PSPで捕捉されたのだ。Cobra小隊を狙ってSAM数発が発射されたが、Cobra小隊は難なくこれを回避。正面の敵機に対してスパローミサイルによる攻撃を試みる。しかし攻撃タイミングが得られず、敵機の側面に回り込んで格闘戦を挑む。夜間の格闘戦だったが、練度の高いCobra小隊は敵機を捉えた。敵機はMiG-23MLA "Flogger"。機数は2対2であったが、練度や性能で大差があった。1機のMiGが20mm機関砲の命中を受けて損傷。ヨロヨロと戦場を離脱していく。

Turn04a


RU_MiG29_Stepanov先に「不用意に高度を上げたMiG」と書いたが、これを判断ミスとするかどうかは難しい。ベトナム戦争の時期のようにNATO戦闘機のルックダウン性能が低い時期であれば、WP側は超低空に潜むことでNATO戦闘機との交戦を回避する可能性もあった。しかし1980年代後半のこの時期であれば、NATO側新鋭機の多くは優秀なルックダウンレーダーを持っている。ルックダウンレーダーから逃れることは難しく、いずれは捕捉されてしまう可能性が高い。ならば「座して死を待つ」よりも積極的に迎え撃ってBVRミサイルによる先制攻撃をかけるという選択肢は、必ずしも間違いではない。

何はともあれ、WP側のギャンブルはこの時点では失敗に終わった。しかし別の編隊が超低空でNATO側ルックダウンレーダーに捕捉された。
「座して死を待つよりは・・・」
そのMiG-29A "Fulcrum"2機編隊はアフターバーナーに点火。正面25マイルを飛行するNATO戦闘機に対して果敢に挑んでいく。距離17.5マイルから正面のF-15Cに対して数発のR-27(AA-10)空対空ミサイルを発射した。その1発が1機のF-15Cの至近距離で爆発。そのF-15は大破して戦闘力を失う。F-15側も距離15マイルからスパローミサイルで反撃を行ったが、ミサイルは外れた。

Turn04b


つづく

F15C

写真00

写真01


システム紹介

The Battle for Germany(以下、本作)は、2021年に米国Compass Gamesが発表したシミュレーションゲームだ。テーマは1985年8月を想定した西ドイツにおけるワルシャワ条約機構(WTO)軍とNATO軍の対決。1Turnは実際の1日、1Hexは12kmに相当し、1ユニットは連隊~師団規模になる。

本作は非常に難解かつユニークなシステムを採用している。ルールブックを読んだだけでは全体の概念が理解できないだろう。ルールの概略を理解し、数名で実際に駒を動かしてプレイしてみて、さらに疑問点を確認し、解消するというプロセスの中で少しずつルールを理解していくという地道な作業が不可欠になる。

基本的なシステムは、移動、戦闘の繰り返しとなる。全てのユニットは1Turnに1度移動、戦闘ができる、というのは他の一般的なウォーゲームと同じ。また1つのTurnが同じ手順からなる2つのプレイヤーターンからなる、というのも、多くの陸戦ゲームに見られる基本的なスタイルだ。
本作のシステムをしてユニークたらしめているのは、移動、戦闘の手順だ。多くのウォーゲームでは、移動可能な全てのユニットが移動した後、戦闘を1ヶ所ずつ解決していく。あるいはユニットやスタック単位で移動・戦闘を逐次解決していくようなシステムもある。本作はその両方の特徴を取り入れたものになっている。
手番プレイヤーは活性化する司令部を選択し、その麾下にあるユニットの中から規定数以下のユニットを活性化させる。活性化させられたユニットは、一斉に移動し、戦闘を解決する。それが終わればまた別のユニットたちを移動、戦闘させる。そのようにして希望する全ユニットの活性化が完了するまで繰り返す。その間相手プレイヤーも望めば未活性のユニットを活性化させて予備移動を実施できる。

写真05


WG_11PG_32PG戦闘ルールもユニークだ。一言で言えば「お互いにダイスを振り合って大きい目を出した方が勝つ」というもの。ただしこのダイス目に様々な修正が加わる。彼我の戦闘比も地形効果もダイス目修正要素に過ぎない。 様々な支援は自軍のダイスを有利にするものだが、主要なものは、AFVによる支援、砲兵支援、航空支援等がある。特にユニークなのがAFVによる支援である。ユニットには、それぞれのユニットが装備するAFVが2種類記載されており、主装備(primary)と副装備(secondary )とされている。装備はAFVの車種名(レオパルド2とかBMPとか)が記載されている。戦闘の際には、攻撃側、防御側がそれぞれ支援に投入するAFVを宣言し、D10を振る。その出目がAFVの支援値以下なら支援が成功で戦闘時に有利なDRMが得られる。支援値の大小が装備の優劣を現しており、優秀な装備は支援値が高い。さらに支援値の高いAFVは、相手の支援値を減らすこともできたりする。
先にも述べたように、戦闘には様々な支援があり、その成否を判定する必要があるので、1度の戦闘で両軍が合わせて10回以上ダイスを振り合うことも珍しくない。そんなこんなで戦闘自体は非常に時間がかかる。戦闘ルール自体も大ボリュームで、陸戦ルールを示す7.7項だけでルールブック全体の20%弱を占めている。

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BE_Air_Group1_F16航空戦ルールについては、基本的にはGDW社の名作「The Third World War」(以下、TTWW)に近いシステムで、双方が任務を割り振った後(AWACS優勢を持つ側が後で任務を決定できる)、まず制空戦闘を解決。制空戦闘が終わった後で、条件を満たせば、他任務の航空機を戦闘機で射撃できる。制空戦闘は、空戦力の高い機体が順番に射撃していき、空戦力が同じならAWACS優勢を占めている側が先に射撃できる。空戦力はF-15の9が最強で、F-18とMiG-29が8、F-16が7・・・となっている。ちなみにTTWWと違う所は、制空戦闘で一方が全滅しない限り、他任務に投入している敵機を攻撃できない。従って航空戦で劣勢なWP側も、爆撃任務機を守るために制空戦闘機を上げておく必要がある。逆に制空戦に勝利して敵機を一掃すると、宣伝効果で1VPを獲得できる。
航空機による攻撃任務には、近接支援、飛行場攻撃、インフラ攻撃、SAM制圧がある。SAM制圧が任務化されている点、21世紀のゲームらしい所。SAMはかなり強力(何もしなければ攻撃機を40%で撃墜、撃退できる)なので、自軍航空兵力の損失を低減するためには、SAM制圧任務の実施が必要となる。

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取り敢えずプレイしてみた

今回は練習ということで、シナリオ3「THE BATTLE FOR NORTHAG」(北部軍集団の戦い)をプレイした。北ドイツ平原を巡る戦いを扱ったシナリオで、開戦から最初の6日間を描く。今回は4人でプレイし、私はNATO軍の一部を担当した。

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今回は約8時間のプレイで最初の2Turn分をプレイした。WTO軍はハンブルグを攻めて西ドイツ軍を拘束しつつ、その南ではハノーヴァー前面で英ライン軍団(BAOR)がWTO軍と激闘を交えている。そんな所で今回はお開きとなった。

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時間がかかった原因は、細かいルールが多くその確認に時間がかかったこと。さらに1ユニット1ユニットで選択肢が多く、何をするかで迷った事等が時間のかかった要因である。ルールに慣れればもう少し時間を短縮できると思うが、1Turnあたり2~3時間はかかると思う。

結論

今回はホンの「触り」をプレイしただけなので、ゲーム展開についての論評は差し控えたい。システム的には細かいルールが多く手間がかかるが、決してプレイ不可能ではない。細かいルールも現代戦の雰囲気を感じさせるものであり、手間に見合う価値はあるように感じた。機会を見つけて再戦してみたい作品である。

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