もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

カテゴリ:戦史 > 日清日露戦争

写真1


以前に紹介したが、盆栽ゲームズの「Red Sun Blue Cross」は、日露戦争の海上戦闘を戦略レベルで扱ったシミュレーションゲームだ。A3マップで日本周辺の海域が描かれ、エリア方式で6つのエリアが描かれている。1ユニットは1隻の艦船(主要な艦がユニット化されている)、1Turnは数ヶ月で、日露戦争の全期間を再現する。

ゲームの雰囲気は、War at Sea(又はVictory at Sea)に似ている。強力な日本軍は陸軍の護衛や海域の支配等、守るべきものが多い。もちろん「全てを守ろうとするものは全てを失う」ので、そこはメリハリをつける必要がある。対するロシア軍は日本軍の弱点を突けば良いので比較的やりやすい。ただし、戦闘力自体は日本軍の方が強力なので、まともに撃ち合えば不利である。

取り敢えずお試しでソロプレイしてみたが、日本軍がムツカシイ。3度試してみて3回とも日本軍のサドンデス負けであった。しかしこれは決してバランスが悪いという訳ではなく、慣れの問題であろう。日本軍プレイヤーにある程度の熟練が必要なことは確かなようだ。

ルールは簡単で口頭説明でもすぐにプレイ可能である。1回のプレイが本当に1時間以内で終わる所が凄い。ただしプレイ時間が短い割に考える所が多いので、所謂「パズルチックな」感じがする。その辺り、好みの分かれる所だろう。
ゲーム例会などで時間が余った時にプレイするには好適なゲームだと思う。

全景



写真09


Great War at Sea(GWaS)シリーズは、第1次世界大戦前後における海上戦闘を作戦レベルで再現するシミュレーションゲームシリーズだ。ユニットスケールは原則として1隻1ユニット、ただし駆逐艦以下の小型艦は複数艦で1ユニットを構成する。マップは作戦マップと戦術マップに分かれ、作戦マップは段差型スクエア(TAHGCの"Bismark"と同じ)で、1スクエアは実際の36海里に相当する。戦術マップはヘクス方式で1Hex=8000yd。1Turnは実際の4時間に相当する。
"1904-1905"(以下、本作)は、GWaSシリーズの1作品で、テーマは日露戦争。同戦争における日本とロシア両海軍の対決を8本の戦闘シナリオ、11本の作戦シナリオ、2本のキャンペーンシナリオで再現する。今回はその中から作戦シナリオの1本であるOperationnarl Scenario#9 "Breakout and Pursuit"をプレイした。これは1904年8月10日の黄海海戦を作戦レベルで再現するシナリオである。私は日本軍を担当する。

前回まで-->こちら

1904年8月13日

AMC01朝鮮半島南西端の木埔木浦沖で東郷艦隊は旅順艦隊主力を捉えた。艦橋で小躍りする秋山参謀。しかしロシア艦隊は日本艦隊の追撃を巧みに回避し、再び霧の中に姿を消していった。切歯扼腕して悔しがる秋山参謀。
その頃、下北半島の東方沖から急電が飛ぶ。ロシアの仮装巡洋艦が下北半島沖に現れたのだ。蜘蛛の子を散らすように逃げる日本の商船。日本海を東に進む第2艦隊の分遣隊(装甲巡洋艦2、防護巡洋艦3、出羽少将麾下)は津軽海峡へ向けて急進する。

1904年8月14日

木埔沖で再び日露の主力艦隊が相まみえた。ロシア艦隊は戦艦6、巡洋艦3の計9隻。日本艦隊は戦艦4、装甲巡洋艦6、防護巡洋艦2の計12隻である。日本艦隊は先に対馬を出撃した上村艦隊との合流を既に終えていた。

写真06


IJN_AC08Nisshin隻数で優る日本艦隊であったが、戦艦の隻数で優るロシア艦隊に苦戦を強いられた。戦艦「敷島」が多数の命中弾を受けて損傷する。装甲巡洋艦「常磐」も集中砲火を受けてその搭載火砲全てが使用不能になる。一番集中攻撃を受けた装甲巡洋艦「日進」は、多数の命中弾を受けて沈没していった。
日本艦隊も負けてはいない。戦艦「セバストポール」は日本戦艦の放つ大口径砲弾を受け、弾薬庫に命中を受けて爆沈した。装甲が弱いために日本側中口径砲に狙われまくったロシアの巡洋艦「パラーダ」「アスコリド」「ディアナ」も多数の命中弾を受けて沈没していった。それでも重装甲を誇るロシア戦艦は、中口径砲の砲撃を受けても良く耐えていた。

写真07


IRN_B11Tsesarevitch劣勢のロシア艦隊は雷撃戦に活路を求めた。ロシア戦艦、巡洋艦が次々と魚雷を発射する。その1本が日本の戦艦「富士」に命中。機関部に損害を受けた「富士」は航行不能に陥ってしまう。日本艦隊は敢然と敵に突撃。至近距離から雷撃を敢行する。戦艦「ポルタワ」には1本の魚雷が命中。こちらは「ポルタワ」に大浸水を引き起こして「ポルタワ」は航行不能となってしまう。戦艦「ツェサレーヴィチ」には魚雷2本が命中。こちらも大破したが、航行能力には未だ支障がなかった。

写真08


この時点でロシア軍には5隻の戦艦が残っていた。うち1隻「ポルタワ」は航行不能、もう1隻「ツェサレーヴィチ」は大破してほぼ戦闘不能、「レトヴィザン」が中破し、残り2隻は無傷であった。一方の日本軍は、戦艦「富士」が航行不能、戦艦3隻が中破。装甲巡洋艦は1隻「常磐」が大破して戦闘不能、2隻「浅間」「八雲」が中小破、2隻「春日」「磐手」が無傷であった。未だに両軍の戦闘は予断を許さない状況であった。この戦いはどちらか一方が完全に倒れるまでは決して終わることがないだろう。

感想

この時点で単なる殲滅戦の様相を呈してきたので、一旦お開きにすることにした。ここまでで25Turnが終了。全体の約42%で所要時間は約6時間である(セットアップ含む)。仮に最終Turnまでプレイするとしても1日でかなり良い所まで行けそうだ。
感想としては、 前回にも書いた が、戦術戦闘のルールが面倒だ。殆ど戦術的な選択肢がないのにやたらと手間がかかり、しかも結局はダイス勝負である。しかも決してリアルではない(何か変な海上戦闘になる)。手間がかかる理由は、射撃の機会が多い(1ラウンドあたり5回もの射撃機会がある)上、命中判定の後に損害判定で2D6を振る必要があるからだ。これが結構面倒だ。さらに損傷艦が出れば火力減少が発生するので、各艦ごとに現時点での火力をチェックする必要がある。これらの手間が「楽しい」行為ならまだ許せるが、決して楽しい訳ではなく、単に面倒なだけである。
また水上戦闘の「死ぬまで戦う」システムにも問題を感じる。一旦水上戦闘に入り、両者が射程距離内に入った場合、余程の視界不良や夜間ではない限り戦場離脱は殆ど不可能になる。結局水上戦のダイス目勝負になり、戦略・戦術的な面白さはなきに等しい。

とまあ、ここまで悪口を書いたが、評価できる点もある。まず作戦機動の部分は極めて面白い。マップ1枚で艦隊を動かすタイプのゲームであるが、事前に航路をプロットしておく必要があり、海上作戦の「ままならなさ」は上手く表現されている。しかもシチュエーション的な切り取り方も見事で、今回の黄海海戦について言えば、旅順方面から出撃する旅順艦隊とウラジオストクから出撃するウラジオ艦隊。その両面に対処しなければならない日本軍の戦略など、それなりに複雑な状況を楽しめる。戦術戦闘部分さえ無視すれば、それ以外の部分は結構面白い作品といえる。

作戦級の海戦ゲームといえば、空母戦ゲームは結構あるものの、空母が出てこない時代の作戦級海戦ゲームは意外と少ない。今回紹介したGWaSシリーズはその数少ない例外だが、システムを見る限り決定版とは言えない。そういった意味では未だ未開拓の分野であり、今後の発展が期待できる分野ともいえる。作戦級で描く日露海戦。

誰か作ってくれないかな・・・。

写真10


写真00


Great War at Sea(GWaS)シリーズは、第1次世界大戦前後における海上戦闘を作戦レベルで再現するシミュレーションゲームシリーズだ。ユニットスケールは原則として1隻1ユニット、ただし駆逐艦以下の小型艦は複数艦で1ユニットを構成する。マップは作戦マップと戦術マップに分かれ、作戦マップは段差型スクエア(TAHGCの"Bismark"と同じ)で、1スクエアは実際の36海里に相当する。戦術マップはヘクス方式で1Hex=8000yd。1Turnは実際の4時間に相当する。
"1904-1905"(以下、本作)は、GWaSシリーズの1作品で、テーマは日露戦争。同戦争における日本とロシア両海軍の対決を8本の戦闘シナリオ、11本の作戦シナリオ、2本のキャンペーンシナリオで再現する。今回はその中から作戦シナリオの1本であるOperationnarl Scenario#9 "Breakout and Pursuit"をプレイした。これは1904年8月10日の黄海海戦を作戦レベルで再現するシナリオである。 前回紹介した"Battle of the Yellow Sea"のソロプレイ では、黄海海戦の戦術的側面だけを再現するシナリオであったが、本作はもっと広い範囲を扱っている。すなわち旅順口からのロシア艦隊の出撃とそれに対する日本艦隊の迎撃。ウラジオストックから出撃するウラジオ艦隊とそれを捕捉撃滅せんとする日本側第2艦隊。これら日本海と黄海を舞台とした一大海上作戦を全10日間で再現するものだ。

前回 の紹介では漏れていた本作の作戦部分について説明する。GWaSシリーズ共通のシーケンスは以下の通りだ。

1.天候フェイズ
2.命令フェイズ
3.艦隊移動フェイズ
4.接触チェック
5.戦術フェイズ

上記のシーケンスから予想できる通り、基本システムは非常にシンプルだ。しかも海戦ゲームにも関わらずダミーもブラインド方式もない。艦隊は(一部例外を除いて)全てマップ上に置かれ、プレイヤーからその位置が判明している(ただし艦隊番号はわからないように裏返しに置かれる)。肝は艦隊任務と命令ルールで、輸送や対地砲撃等の任務を実施するためにはそれぞれ「輸送」「砲撃」と任務を与える必要がある。任務の種類によって何turn先まで命令をプロットしなければならないかが決められており、例えば「輸送」「砲撃」といった任務の場合は出港時に全ルートをプロットしておかなければならない。一番柔軟性の高い「襲撃」「迎撃」といった任務の場合も2Turn先までプロットしておく必要がある。しかも航空機は未だ発展途上である20世紀初頭の海戦では、航空機による偵察にも多くを期待できない。従って両軍とも手探りでお互いの動きを探るような展開になる。移動途中に彼我の艦隊が同一スクエアを占めた場合に戦闘が発生し、戦術マップを使った戦術戦闘になる。

という訳で次に今回プレイする「黄海海戦」シナリオについて考察する。本シナリオの勝利条件は敵艦船の撃沈・撃破によるもの、商船襲撃によるもの、そして本シナリオ固有のものとしてロシア第1太平洋艦隊のウラジオストクへの突破がある。最後の条件は、旅順口に初期配置されているロシア艦のうちウラジオストクまで回航できた艦船は、沈没時と同等のVPをロシア側が受領する。従って旅順艦隊が突破に成功すれば、ロシア側が勝利を獲得できる。ただし突破に失敗してもロシア側がVPを失うことはないので、突破する姿勢を示しつつ日本艦隊を牽制する手もある。その間にウラジオ艦隊が日本船団を攻撃してVPを獲得するのが狙いだ。ちなみに旅順とウラジオストクとの海上距離は41スクエア。ゲームの長さは60Turnで艦船は原則1Turnに1スクエアしか移動できない。従って旅順艦隊は遅くても20Turnまでには出航しなければならない。逆に言えば20Turnまでに旅順艦隊が出港しなかった場合、日本艦隊は旅順港封鎖を解除し、全力でウラジオ艦隊撃滅に向かっても良い。
写真01


今回、私は日本軍を担当することになった。日本軍としては旅順艦隊のウラジオストクへの突破を阻止しつつ、ウラジオ艦隊による日本船団への襲撃阻止を画策することになる。そこで日本艦隊は東郷提督率いる第1艦隊(戦艦4、装甲巡洋艦4、その他)を旅順方面を哨戒させて旅順艦隊の出撃に備えつつ、上村提督(*1)率いる第2艦隊(装甲巡洋艦4、防護巡洋艦5)を朝鮮半島に待機させてウラジオ艦隊の出撃に備える。さらに上村艦隊から兵力の半数を割いて津軽海峡方面へ移動させ、太平洋で通商破壊を図るであろうロシアウラジオ艦隊の退路を断つ位置に進出せしめる。

1904年8月10日

IRN_DD44旅順口を警戒する東郷艦隊は、防護巡洋艦3隻を分離させて旅順口を包囲する態勢とする。そして主力の戦艦部隊は旅順口の南方60海里に布陣し、旅順艦隊の出撃に備える。
巡洋艦「高砂」が勇敢にも旅順口の入口まで出撃。港口にてロシア艦隊と小競り合いをしつつ南方へ撤退する。それを追うロシア駆逐艦隊は日本側の敷設した機雷原に踏み込み、駆逐艦1隻が触雷沈没する。

写真03


IJN_C08Takasago夜になって俄かに旅順口が慌ただしくなり、ロシア艦隊が相次いで出港したとの報が入った。俄然緊張する日本艦隊。旅順口港南方を警戒中の「高砂」がその艦首を旅順口に向けた刹那、追撃してきたロシア駆逐艦と不意遭遇戦になった。複数の駆逐艦による追撃を受けた「高砂」は勇敢に戦い、駆逐艦2隻を撃沈した。しかしロシア駆逐艦の放った魚雷1本以上が「高砂」に命中。火薬庫に火が回った「高砂」は大火焔を上げながら旅順口外にその姿を没した。

写真04


1904年8月11日

IJN_B03Shikishima ロシア艦隊出撃を報を受けて日本艦隊は哨戒網を広げつつロシア艦隊の南下に合わせて南下していく。威海衛沖でロシア側小艦隊と遭遇した東郷麾下の日本主力艦隊は猛然と追撃戦を実施し、3隻のロシア砲艦を悉く撃沈した。しかしその過程で日本の戦艦「敷島」が魚雷1発を受けたのは不覚であり、「敷島」の被害が軽微だったのは全くの僥倖であった。

1904年8月12日

旅順口を出撃したロシア艦隊は朝鮮半島西岸沖に向けて前進していく。それを包囲する日本艦隊は、ロシア艦隊の視認距離外を付かず離れずで追っていく。また対馬海峡を警戒中の上村提督麾下の第2艦隊分遣隊(装甲巡洋艦2、防護巡洋艦2)が対馬の基地を出港。黄海に向けて針路を取る。
午後に入り、朝鮮半島南部群山沖まで後退してきた東郷提督麾下の主力艦隊は、ロシア水雷艇8隻と不意遭遇戦を演じた。この戦いで砲力の優越を見せつけた東郷艦隊がロシア艦隊を一方的に殲滅し、二度目の勝利を得た。

写真04
写真05


(つづく)

3
写真0


Great War at Sea(GWaS)シリーズは、第1次世界大戦前後における海上戦闘を作戦レベルで再現するシミュレーションゲームシリーズだ。ユニットスケールは原則として1隻1ユニット、ただし駆逐艦以下の小型艦は複数艦で1ユニットを構成する。マップは作戦マップと戦術マップに分かれ、作戦マップは段差型スクエア(TAHGCの"Bismark"と同じ)で、1スクエアは実際の36海里に相当する。戦術マップはヘクス方式で1Hex=8000yd。1Turnは実際の4時間に相当する。
"1904-1905"(以下、本作)は、GWaSシリーズの1作品で、テーマは日露戦争。同戦争における日本とロシア両海軍の対決を8本の戦闘シナリオ、11本の作戦シナリオ、2本のキャンペーンシナリオで再現する。その中で「戦闘シナリオ」(Battle Scenario)というのがあるが、これは戦術マップだけを使用する戦闘場面に特化したシナリオで、黄海海戦や日本海海戦といった著名な艦対艦戦闘を本作の戦闘システムを利用して再現するものだ。単独のシナリオとしても楽しめる内容だが、練習用シナリオとしての側面もある。
IJN_B06Mikasa今回、その1本であるBattle Scenario#5 "Battle of the Yellow Sea"(黄海海戦)をソロプレイしてみた。これは1904年8月10日に行われた日本聯合艦隊とロシア第1太平洋艦隊との対決を再現する史実シナリオである。去る5月15日に触雷によって2隻の戦艦(「初瀬」「八島」)を失った聯合艦隊は、戦艦数で4:6の劣勢であったが、装甲巡洋艦では4:0、防護巡洋艦でも7:4で優位に立っていた。総合的な戦力では互角か又は日本側がやや優位であったと言えよう。
本シナリオの勝利条件は、上記の兵力バランスとロシア側の質的不利を考慮し、ロシア側が保有する戦艦6、巡洋艦4のうち7隻以上を盤外に脱出させればロシア側の勝利としている。

本作の戦闘システムについて紹介する。本作の戦闘システムは、「インパルス」という単位を基準にして進められる。1インパルスは以下の手順で進められる。

1.主導権の決定
2.主導権プレイヤーの速度2の艦艇の移動
3.両プレイヤーの砲撃戦等の解決
4.両プレイヤーの雷撃戦闘の解決
5.非主導権プレイヤーの速度2の艦艇の移動
6.主導権プレイヤーの速度2又は速度1+の艦艇の移動
7.両プレイヤーの砲撃戦等の解決
8.両プレイヤーの雷撃戦闘の解決
9.非主導権プレイヤーの速度2又は速度1+の艦艇の移動
10.主導権プレイヤーの速度1S を除く全艦艇の移動
11.両プレイヤーの砲撃戦等の解決
12.両プレイヤーの雷撃戦闘の解決
13.非主導権プレイヤーの速度1S を除く全艦艇の移動
14.主導権プレイヤーの全艦艇の移動
15.両プレイヤーの砲撃戦等の解決
16.両プレイヤーの雷撃戦闘の解決
17.非主導権プレイヤーの全艦艇の移動
18.主導権プレイヤーの全艦艇の移動
19.両プレイヤーの砲撃戦等の解決
20.両プレイヤーの雷撃戦闘の解決

一見するとややこしいが、要するに「非主導権側の移動」「主導権側の移動」「両軍の砲撃・雷撃」という プロセスを5回繰り返す。注意するのは主導権の存在とその利点で、主導権側は「1回余分に動ける」「常に相手よりも後に動ける」という利点を持っている。主導権は毎インパルス開始時にチェックし、 また1インパルスで計5回もの砲撃・雷撃機会があるのもポイントで、一旦撃ち合いになると、かなり派手な展開となる。なお、主砲級(25cm以上の砲)の射程は2ヘクス、副砲級(15cm以上の砲)の射程は1ヘクス、それ以下の射程は0ヘクスである。だから射程に入るまではサクサクとゲームが進む(と思われる)。
射撃システムは、TAHGCの"Bismark"の初級ゲームに近い。火力分だけダイスを振り、命中の有無を判定した後、命中したら損害判定をする。損害は主砲や副砲といった兵装への被害、船体や機関への被害等で再現される。兵装への損害は火力の損失につながり、船体ボックスを全て失うと艦は沈没する。ただし"Bismark"では艦の向き(艦首方向)を定義するルールがあるが、本作にFacingに関するルールはない。

という訳で早速ソロプレイを初めてみた。

第1インパルス

追う日本艦隊と逃げるロシア艦隊。彼我の距離はやや近づくも未だ射程距離に入らず。

写真1


第2インパルス

主導権は日本側。逃げるロシア艦隊と追う日本艦隊。その距離は3ヘクスまで近づいた。あと1歩で射程距離内に入る。

第3インパルス

IRN_B11Tsesarevitch主導権はロシア軍。このまま逃げる手もあったが、それでは面白くない。頃合いを見たロシア軍は針路反転。日本艦隊との距離を詰めてきた。距離2ヘクス。射程距離内である。両軍の戦艦同士が砲火を交えた。ロシア艦隊は日本艦隊旗艦「三笠」に砲撃を集中した。命中弾は1発のみであったが、それが船体を貫いて内部で爆発。機関部が損傷を受けた「三笠」は速度低下となる。
日本艦隊の砲火もロシア側旗艦「ツェサレーヴィチ」に集中。こちらは3発の命中を得たが、主砲と副砲の一部を破壊したのみで、「ツェサレーヴィチ」の航行能力に支障はなかった。

写真2


IRN_C02Pallada日本軍は速度の低下した「三笠」を分離。残った主力艦隊でロシア艦隊を追う。接近戦で不利なロシア艦隊は距離を離隔しようとするが、ここで痛恨の「士気チェック失敗」。これは5隻以上のロシア艦隊グループが移動する際にチェックし、"6"の目が出たら移動失敗というもの。この肝心な時に・・・。
ロシア艦隊は主砲で日本の戦艦を狙い、副砲で装甲巡洋艦を狙う。「敷島」「春日」「日進」が命中弾を受けたが、いずれも軽微な損傷に留まった。
日本艦隊の反撃。「ツェサレーヴィチ」が2発の命中を受けて船体浸水。速度が低下する。巡洋艦「パラーダ」は4発の命中弾を受けて沈没する。

写真3


IJN_AC07Kasuga日本艦隊はなおも距離を詰め、遂に0ヘクスまで近づいた。対するロシア艦隊はまたもや移動に失敗してしまう。同一ヘクスでの激しい撃ち合い。「敷島」「春日」に命中弾が発生する。
日本艦隊の砲撃。「ツェサレーヴィチ」がさらに2発の主砲弾を受けて遂に沈没する。戦艦「ポルタワ」にも2発が命中して速度低下。巡洋艦「アスコルド」は火薬庫に直撃を受けて轟沈。巡洋艦「ディアナ」「ノーウィック」も命中弾によって砲力を失う。
ロシア艦隊の放った魚雷が戦艦「朝日」に命中したが、惜しくも損害を与えるには至らなかった。(不発魚雷か?)。

感想

ここまでプレイした所で先が見えてきた(多分日本側がロシア艦隊を壊滅させて勝利するだろう)ので一旦お開きにした。感想だが、結構面倒くさい。命中判定は火力分だけD6を振ってチェックするだけなので比較的シンプルだが、それでも接近戦になって毎回全艦が全火力で撃ち始めると、命中判定だけでも手間がかかる。さらに命中した後は2D6で損害判定をするので、面倒くさい。一部に「作戦級海戦ゲームで細かい水上戦ルールは嫌い」という意見もあるが、首肯できる面もある。ただし、20世紀初頭の海上戦闘における艦隊決戦は、関ヶ原合戦ゲームにおける「関ヶ原の決戦」的な意味合いもあるので、ダイスを振るだけというのも些か寂しい。そういった意味で、作戦シナリオをプレイしてみた上で本作の戦術戦闘システムについて再検討してみたいと思う。

余談だが、「作戦級海戦ゲームでの水上戦ルール」の扱いは難しいと思う。拙作海空戦!南太平洋1942をデザインした際にも、「水上戦ルールをもっとシンプルにしてほしい」という意見を複数の方から頂いた。空母戦ゲームと戦艦戦ゲームでは水上戦ルールに対するニーズが違うので一概に論じることはできないが、関連はあるだろう。

「水上戦ルールをシンプルに」という要求には複数の側面があると思っている。1つは単純に「面倒だから」という面だ。空母戦ゲームの場合は確かに航空決戦がメインのテーマでクドクド水上戦をプレイするのは疲れるというも理解できる。しかしGWaSのような戦艦主体のゲームだとまた違った側面があるのではないかと思う。
思うに水上戦ルールは「虐殺になりやすい」という面があるのではないかと思う。例えば史実でのスリガオ海峡海戦のようなワンサイドゲームは水上戦専門の戦術級ゲームではシナリオ化されることはあまりない。何故なら史実がワンサイドなのでゲームにしても「つまらない」からだ。ところが作戦級海戦ゲームの場合、スリガオ海峡海戦のようなワンサイドゲームがしばしば発生する。しかもその解決にかなりの労力を要する。このような作業は「殺られる」側にとっては苦痛以外の何物でもないが(「殺すのなら一思いにお殺し」と言いたいだろう)、「殺る」側にとっても(余程のサディストではない限り)決して愉快な体験ではない(「できるならやっている。貴様に言われるまでもなくな」)。このことが作戦級海戦ゲームで細かい水上戦ルールが忌避される理由なのかもしれない。

とはいえ、苦労した挙句艦隊決戦に持ち込んで、その結果が「ダイス一振り」というのもまた寂しい。さてさてどうしたものか。

写真4

3

190907_日露戦争史

日露戦争史ー20世紀最初の大国間戦争

横手慎二  中公新書/

本書は日露戦争の通史である。ただし個々の戦闘場面にはそれほどページを割いておらず、それよりは個々の戦闘が日露戦争全体の中でどのような位置づけにあるか。あるいは戦闘の結果が戦争全体の行方にどのような影響を与えたかについて触れている。また本書では日露戦争が開始されるまでの道程に多くのページを割き、日本から見たロシア、ロシアから見た日本という点について考察している。そして日露戦争が起こる前の東アジア情勢が日露戦争の開戦にどのような影響を与えたかについて考察している。
本書は所謂「血沸き肉躍る」タイプの作品ではない。しかし今まで見過ごされがちであった戦争前の外交、とりわけロシアが日本をどのように見ていたか、あるいは日露両国が相手の「意図や能力」をどのように「見誤った」について考えてみるには良い著作である。

お奨め度★★★

↑このページのトップヘ