もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

カテゴリ:戦史 > 日本奈良、平安、鎌倉、室町

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210411_私本太平記

私本太平記

吉川英治

歴史小説の大家吉川英治氏が著わした南北朝時代を描いた歴史小説。主人公は足利尊氏だが、楠木正成、足利直義、高師直、新田義貞、後醍醐天皇など、南北朝時代で活躍した様々な英傑、武将らが登場する歴史大作である。さらに武将以外でも吉田兼好や明石覚一のような文化人、一色右馬介といった架空の武将も登場し、場面を盛り上げている。
南北朝時代に興味を持って何か良い本はないかと思い探してみたら、最初にヒットしたので読んでみたというのが真相。全13巻をKindleでは一遍にまとめているので、とにかくボリュームが多い。会社のトイレで暇つぶしにKindleでこそこそ読んでいたが、読み終わるまで半年近くかかってしまった。話は面白かったが、やはり北条幕府が倒れる前後あたりから物語が盛り上がり始めてくる。それまではやや冗長な感じがあるのは否めない。

お奨め度★★★

写真00_表紙


旧GJ63号「太平記」は、1990年にSSシリーズの1作として発表されたシミュレーションゲームである。テーマは14世紀における日本の南北朝の騒乱。「太平記」というタイトルは、言うまでもなく同時期を描いた古典文学作品の名前である。先日、NHKの大河ドラマ「太平記」をまとめて見る機会があり、結構面白かったので、ゲーム「太平記」をプレイしたくなった。そこで早速ソロプレイしてみた。

前回まで-->こちら

建武3年春

小笠原貞宗主導権は武家5。大きな主導権を得た武家は新たな戦略に出る。まず北関東にいた足利兄弟が東山へ移動。地侍小笠原貞宗(2-5★)の支援を得て同地の支配を固める。
畿内では、武家方の宇都宮公綱が3千騎を率いて京にすすみ、高師泰は1万2千騎で南畿を攻める。
対する公家は奥州で兵力を再整備した北畠顕家、新田義貞が計9千騎で北関東に進攻する。

京の戦いは、武家方が宇都宮公綱麾下3千騎に対して公家方は結城親光(1-3★)麾下僅かに千騎。勝負はアッサリと決着し、結城親光は討死してしまう。後醍醐天皇は比叡山に避難したのか・・・。ちなみに後醍醐天皇はさすがにユニット化されていない。
北関東では兵力、指揮能力共に勝る公家方が勝利する。
このTurn最大の山場は南畿の戦い。武家方は高師泰麾下の1万2千騎に対し、公家方は稀代の名将楠木正成と名和長年(2-4★)、千種忠顕(1-3★)ら合わせて7千騎である。楠木らは奮戦したが、兵力差は如何ともし難く、山陽方面へ後退するしかなかった。

ターン終了時:公家2VP。京の支配が移ったことにより武家方がVPで盛り返し始めた。

Turn05a


建武3年夏

高師泰主導権は武家2。公家方は状況を打破するため、北畠顕家、新田義貞によって鎌倉を攻める。その兵力は計1万騎。相対する武家方は足利兄弟が東山から鎌倉に舞い戻り、北畠、新田らを迎え撃つ。武家方の兵力は1万2千騎。
兵力に勝る武家方であったが、指揮能力では公家方が遥かに有利であった。軽戦後武家方は東海方面へ撤退を開始。武家方は3千騎を失って東海地方に下がっていく。
南畿にいた高師泰は四国へ渡海。同地の支配を固めて兵力整備を策する。

ターン終了時:武家2VP。遂にVPで武家が優位に立った。

Turn06a


建武3年秋

楠正成主導権は武家4。これで武家が3Turn連続で主導権を取った。公家方は畿内地方で反攻作戦に転じる。楠木正成、菊池俊直らが北畿に進出。同地で旗揚げした洞院実世(1-1★)と合流する。対する武家は足利尊氏が北畿へ進出して楠木正成らを迎え撃つ。足利兄弟の「御舎弟殿」足利直義は東海に残って兵力回復に努める。さらに四国からは高師泰らが瀬戸内海を渡って山陽に進出。楠木らの背後を遮断する。

Turn07a


北畿の戦い。公家方は楠木正成以下6千騎、対する武家は足利尊氏麾下1万4千騎である。兵力的には武家方が2倍以上。武家方の楽勝かとも思われたが、楠木正成は強かった。武家が2ラウンド連続でスカを出すという珍事もあったが、武家方が辛くも勝利を収めた時、武家方の兵力は4千騎まで減少していた。実に1万騎もの損害を出したことになる。一方の公家方はほぼ全滅。菊池俊直は命からがら南九州に逃れ、洞院実世は山中に落ち延びたが、楠木正成が壮烈な討死を遂げる。

山陽道では公家方の名和長年、赤松円心が武家方の高師泰らと戦う。倍以上の兵力を有する高師泰は公家方を圧倒。丹波長年は船上山に逃れ、赤松円心も播磨に籠った。

ターン終了時:武家8VP

Turn07b


建武3年冬

佐々木道誉主導権は公家4。久しぶりに主導権を取った公家方。このままでは公家方は敗北必至なので、乾坤一擲の反攻作戦に転じる。まず北関東に布陣していた新田義貞が東山に進出する。また鎌倉からは北畠顕家らが東海を攻める。さらに九州では、南九州に舞い戻った菊池俊直が大宰府を攻める。三面からの攻勢。これらが全て成功すれば、公家方は年越しの可能性が出てくる。 対する武家は北畿にいた足利尊氏を東海に向かわせて北畠顕家らを迎え撃つ。

まず大宰府。兵力的には武家方5千騎に対して公家方4千騎と兵力では武家が優っていたが、指揮能力では菊池俊直の能力が優った。激しい戦いとなったが、最終的には菊池俊直の公家方がギリギリで勝利した。

東山では新田義貞率いる公家方が圧勝。
そして大本命の東海決戦。武家方は足利兄弟と佐々木道誉等計1万2千騎、対する公家方は北畠顕家、脇屋義助以下9千騎。兵力的には武家方が有利であったが、ここで思わぬ事態が発生。なんと佐々木道誉が2千騎を率いて公家方に寝返ったのだ。

「判官殿の悪い癖がまた出たか・・・」

と尊氏が嘆いたかどうかは知らないが、これで兵力差は一気に逆転。しかも指揮能力では公家方に戦上手の北畠顕家がいる。これでは敵わんとばかり武家方は軽戦後撤退を図る。も、形勢不利とみた土岐頼定(2-4★)も公家方に寝返り。足利兄弟は僅かな供回りを連れて関ヶ原から近江に逃げるしかなかった。

ターン終了時:武家10VP

この時点で武家方の勝利が確定した。公家としては大宰府を占領できれば年越しが可能であった所だったが、支配判定に失敗したため敵わぬ夢となった。

Turn08a


感想

足利尊氏公家としては惜しい所であった。もし建武3年の年を越せれば、足利兄弟はガタガタ。仮に主導権を取って北畠顕家で近江を攻めれば、それこそ足利兄弟を揃って捕らえるチャンスもあった。そうなればVP的に再逆転の可能性が見えてくるだけではなく、中核を失った武家方は総崩れになったかも知れない(ただし高師泰が残っていて、赤松円心も武家方に寝返ったので、武家方にもまだまだチャンスはあるのだが・・・)。

プレイ時間はセットアップを含めて約4時間。8Turn分プレイしたので、1Turnあたりの所要時間は30分弱となる。対人戦だともう少しハイペースが予想されるが、それでも1Turnの所要時間は15~30分と言った所か。当然ながら大きな合戦が起こるとプレイに時間がかかってしまう。

ゲームとしてみた場合、かなりパズル的な思考が要求される。また主導権の影響が大きく、主導権が取れないとどうしようもない点がある。そのあたり好みが分かれてくる所だが、中軽量級ゲームなのでこういうのもアリだろう。本作で感心したのは、中世における分進合撃が上手く表現されている点。戦闘では当然ながら兵力の集中が有利なのだが、兵を徴募する際や支配域を広げる際には兵をばらした方が良い。このように相反する対立要素を上手くゲームシステムに組み込んでいるのが上手い。同じことが京に関する扱いについても言えており、京はVP的には3VPと他を圧しているのだが、京にいる武将は兵を徴募できないので弱体化する一方。政治的な重要性から京に固執するのか、あるいは軍事的な有利性を得るために周辺諸国を攻めるのか。プレイヤーに相反する選択を強いる所が上手い。なるほど、いくつもの傑作ゲームを生み出した「太平記システム」。やはり只者ではない。

同時代を扱ったゲームが他に少ないという理由もあるが、そういった消去法だけではなくても本作をプレイする意義はあると感じた今回のプレイである。


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写真00_表紙


旧GJ63号「太平記」は、1990年にSSシリーズの1作として発表されたシミュレーションゲームである。テーマは14世紀における日本の南北朝の騒乱。「太平記」というタイトルは、言うまでもなく同時期を描いた古典文学作品の名前である。
「太平記」の基本システムは、所謂「太平記システム」と呼ばれるものを採用している。その全体像を一言で説明するのは難しいが、あえて一言で言えば「ダイスで判定した主導権に基づく交互移動とその後の逐次戦闘」とでもいうべきか。その他に武将の地縁に着目した支配システムとか、状況が急転する派手な裏切りシステムとか、他にも色々な特徴はあるのだが・・・・。SSシリーズの1作として出版された際にはライト系のゲームであったが、現時点ではさらにライトなゲームが普通に出版されているので、本作は「やや軽めの中量級ゲーム」という位置づけが現在では適切かもしれない。
先日、NHKの大河ドラマ「太平記」をまとめて見る機会があり、結構面白かったので、ゲーム「太平記」をプレイしたくなった。そこで早速ソロプレイしてみた。

セットアップ

赤松円心(3-5★)は公家方に、佐々木道誉(2-6★)は武家方についた。

Turn00a


建武2年春

新田義貞主導権は公家3。京にいた楠木正成(4-3★★)は南畿へ、北畿にいた新田義貞(2-6★★★)は弟の脇屋義助(2-5★★)と共に北陸に移動する。さらに奥州にいた北畠顕家(3-6★★★)は、結城宗広(2-3★)と共に北関東へ攻め込む。
対する武家方。高師泰(3-5★★)、高師直(2-8★★)兄弟を鎌倉から東山(甲信地方)へ進出させ、足利尊氏(2-7★★★)、直義(1-6★★★)兄弟は、東海地方へ進出する。
戦いがあったのは北陸地方。しかし同地を守る武家方の斯波高経(2-4★)は圧倒的兵力を持つ新田義貞に怖気づいてしまい、あっさり降伏。公家方に寝返ってしまう。

ターン終了時:公家3VP

Turn01a


建武2年夏

高師直主導権は公家2.北畠顕家が鎌倉に攻め込む。足利兄弟は東海より取って返して鎌倉で北畠顕家を迎え撃つ。さらに新田義貞、脇屋義助が北陸から東山に攻め込む。
戦いが始まる。まずは東山地方。公家方は新田義貞、脇屋義助麾下の1万騎(1戦力=1千騎で計算、以下同じ)。対する武家方は高師泰、師直兄弟麾下の6千騎である。能力的には武家方の方が有利(高師泰が3-5、新田義貞が2-6)だったが、兵力では公家方が2倍近く優勢。しかも悪いことに武家方は同地で蜂起した北条時行(2-5★★)(北条高時の遺児)を麾下に置いたため、撤退することもできない。戦いの結果、高師直と北条時行は討死。高師泰は東海地方へ落ちていく。

武家方としては北条時行を出陣させたのは失敗だった。撤退できなくなる上、★★なので討取チェック時にVPを献上してしまうからだ。

鎌倉でも大きな戦いがあった。武家方は足利尊氏、直義麾下の計1万6千騎。公家方は北畠顕家麾下の6千騎である。名将の誉れ高い北畠顕家であったが、3倍の兵力差は如何ともし難い。北畠顕家は奮戦したものの結局は敗退。北畠顕家自身は僅かな供回りを率いて北関東へと落ちていった。

ターン終了時:公家6VP

Turn02a


建武2年秋

北畠顕家主導権は武家2。初めて武家が主導権を握った。公家方最良の武将である北畠顕家を葬るべく、武家方は足利兄弟を北関東へ向けて出撃せしめる。公家方は北畠顕家を守るべく、東山にいた新田義貞、脇屋義助を北関東へ向けて進発。北関東で両者の合戦が起こる。両軍の兵力は、武家方が1万4千騎、公家が9千騎。兵力的には武家方が優位にあったが、公家方には名勝北畠顕家がいるため簡単に負けることはない。

Turn03a


公家方は奮戦し武家方は半数の兵力を失ったが、兵力差は如何ともし難く、北畠顕家、新田義貞は奥州方面へ落ち延びていった。

ターン終了時:公家6VP

Turn03b


建武2年冬

赤松円心主導権は公家2。公家方は決着をつけるべく、大宰府進攻を行う。山陽方面から赤松円心が3千騎を率いて、南九州からは菊池俊直(2-4★)が2千騎を率いて大宰府へ進攻する。大宰府を守る武家方は、一色範氏(1-4★)麾下の4千騎。兵力的には大差がなかったが、指揮能力の差は圧倒的であった。武家方は文字通り壊滅。一色らの武将は山中に逃げ込む。

武家方は立ち直った高師泰が東海から北畿(近江)へ攻め込む。武家方の兵力は8千騎、公家方は宇都宮公綱(2-4★)麾下5千騎。しかし宇都宮公綱があっさりと武家方に寝返ったため、戦いhアッサリと決着。もう1人の公家方武将三浦高通(1-2★)も武家方に降りた。

ターン終了時:公家7VP

盤面の状況を見ると武家方が有利に見える。ただし公家方は京を押さえているので、その結果として毎Turn3VP得られるのが大きい。これによってVP的には公家方が有利に立っている。あと3VPで公家方の勝利が確定するので、武家方としては反撃したい所だ。

Turn04a


つづく
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応仁の乱 - 戦国時代を生んだ大乱

呉座勇一 中公新書

中世史にはあまり興味が無いのだが、ベストセラーということで読んでみた。「超絶面白い」という程でもないが、応仁の乱についてその発生から進展、そして終焉とその後の影響についてコンパクトにまとめている。本書を読んでいて面白かったのは、戦後の歴史学を支配した「マルクス主義的歴史観」(要するに歴史とは弱い立場の民衆が権力者を倒すことによって発展してきた)に対して真っ向から意義を唱えている点である。その点、「マルクス主義的歴史観」で歴史を学んできた私のような世代の人間にとっては、十分に興味深い内容であった。
筆者は若手(1980年生)の歴史研究家で中世史を専門にしているらしい。本書が面白かったので他の作品にも目を向けてみようと思っている。

お奨め度★★★

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「大戦略、白村江の戦い」は、Game Journal誌第15号の付録ゲームです。歴史の教科書には頻繁に登場する有名な戦いですが、詳しいことは知りません。唐・新羅の連合軍と百済・倭(日本)の連合軍が戦い、前者が勝利した、ぐらいは知っていますけど。時期は663年とあるので、日本では奈良時代に入る少し前ぐらいかな。結果として朝鮮半島における倭の権益は失われ、新羅による朝鮮半島支配が確立されたとか・・・。

システム紹介

私の知る限り、本作について紹介されたことは殆どなかったと思うので、簡単なシステム紹介おば。マップはポイント・トウ・ポイント。行動の基本はアクションチット性です。両軍共通のアクションチットを毎Turn6枚ずつランダムに取得し、そのうちの1枚を密かに選んで同時に公開します。アクション数の多い側が最初にアクション数だけ行動し、続いて少ない側が同様に行動します。このようなアクションを計6回(アクションチット数とイコール)繰り返し、1Turnが終了します。
ここでもし両軍の選んだアクションチットが同じものなら(基本的にアクションチットは同じ内容のものが2枚含まれています)、その瞬間にTurnが終了します。従って守りに立っている倭・百済側は同じアクションチットを狙ってTurn終了を狙う戦術も成り立ちます。
アクションチットの中には「疫病」「内乱」もあり、それぞれ相手に不利な影響を与えます。
戦闘はファイアパワー。防御側の射撃後に生き残った攻撃側が反撃するというシステムです。部隊(将軍)の中には、命中率が他よりも高いユニット、敵に先んじて射撃を実施できるユニット、その逆に敵側から先に射撃を受けるユニット等があります。
他には支配の概念が厳しく、敵国の支配を得るためには、そのスペースに自軍ユニットを配置しておく必要があります。支配下スペース以外は補給線を通さない上、補給切れでTurn終了を迎えると、厳しい消耗チェックが待っています。従って侵攻側である唐・新羅連合軍は、後方連絡線の確保に腐心することになります。

勝利条件については、唐・新羅連合軍は朝鮮半島全域の支配、対する倭、新羅、高句麗連合はその阻止です。ゲーム開始時、唐・新羅連合は、朝鮮半島の約1/3を支配しています。残り2/3は北半分を高句麗が支配し、南半分を百済が支配しています。今の地理で言えば、新羅は韓国の東半分(日本海側)+ソウル周辺、百済はソウルを含まない韓国西半分、高句麗は北朝鮮です。百済と高句麗が連合していますが、その間を新羅によって分断されているため、唐・新羅連合は高句麗、百済の各個撃破を狙うことになります。

ゲーム展開

最初のプレイでは私は倭、百済、高句麗連合(以下、日本軍)を担当しました。最初に唐・新羅連合(以下、中国軍)は高句麗の平定を目指します。中国軍、中でも唐の軍事力が圧倒的で、高句麗の日本軍は対抗できません。日本軍は交戦を避けて首都平壌に向けて撤退していくのみ。中国軍はそれを追って朝鮮半島奥深くに侵攻していきますが、補給ルールが厳しいので各スペースに守備隊を残す必要があり、徐々に先細りになっていきます。
結局中国軍は補給問題解決の糸口がつかめずに投了。
「このゲーム、どうしたらええねん」
と言う意味の呟きを残していました。

第2回戦。今度は本作の経験者が中国軍を担当。私は前回同様日本軍を担当します。
中国軍は唐軍主力が前回同様鴨緑江から朝鮮半島に進入。しかし補給問題があるので、大きくは前進せず機会を伺います。また新羅軍を使って百済領内にゲリラ的な侵攻を仕掛けます。対する日本軍は、北部戦線(高句麗)では、唐軍に対して高句麗軍を朝鮮半島核心部に待機させてこれに対峙。また南部戦線(百済)では、先撃ち可能な指揮官(日本の阿倍比羅夫、百済の道探、鬼室福信)を使って先制攻撃により新羅のゲリラ侵攻部隊を各個撃破します。
第4Turnに強力なチットを得た中国軍は大攻勢を開始。一気に高句麗領内に侵攻します。後方連絡線は顧みない全力攻撃。このままではTurn終了時に大消耗する筈でしたが、第6ラウンドまで戦って遂に高句麗全土を制圧。高句麗群を撃破しました。その結果、新羅領内経由での補給線が確保できたため、唐の大軍は辛くも補給切れによる大損耗は免れました。
しかし高句麗攻略戦は唐の侵攻軍に対してもかなりの出血を強いました。そのため唐の軍勢は一旦本土に撤退。再編成に努めます。唐の軍隊は、唐の本国で完全戦力に復帰できるのです。しかし唐の主力が不在の状況で、日本軍は新羅領内に侵攻を実施。新羅の軍勢が残り3ユニットになったので、中国側が敗北を認めて終了となりました。

感想

システムはシンプルで解りやすく、ルールを理解している人がいれば、その場でインストしてプレイできます。勝利条件的には中国軍が難しいように思います。兵力面での優位を利用して一気に高句麗を攻め落とし、そのまま倭・百済の連合軍を撃破するのが良いかと思います。

残念な点としては、(このゲーム自体の問題ではないのですが)白村江の戦い自体が余り歴史的な興味を惹くテーマではないこと。まあマイナーテーマであっても料理の仕方如何では傑作と化ける事例もなきにしも非ず(例えばHere I Stand等)ですが、そういった「隠れた魅力」を発掘するには至っていない作品と言えます。

いずれにしてもマイナーテーマを積極的にゲーム化する制作姿勢には敬意を表したいと思います。

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