もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

カテゴリ:世界の軍隊 > イタリア軍

3
211213_Savoia-Marchetti

Savoia-Marchetti S.79 Sparviero Bomber Units

Macro Mattioli Osprey

オスプレイの航空部隊シリーズ。その第122弾は、イタリア空軍の主力爆撃機サヴォイア・マルケッティ S.79(SM.79)飛行部隊を扱っている。先日紹介した"Savoia-Marchetti S.79 Sparviero Torpedo-Bomber Units"の姉妹編とも言うべき作品だが、前作が雷撃部隊を扱っているのに対し、本作は水平爆撃隊を扱っている。イタリア空軍におけるS.79の割合で言えば、水平爆撃隊の方が数は圧倒的に多い。しかし戦果は雷撃隊の方が華々しく、空母「インドミタブル」撃破等の戦果がある。対する爆撃隊は戦果に乏しく、巡洋艦以上の敵艦に対する大破中破といった華々しい戦果はない。そういった意味では本作の記述も地味であり、艦船、港湾、飛行場等に対する爆撃をひたすら繰り返し、時には英軍戦闘機の迎撃によって被害を出す、といった按配だ。ただしイタリア空軍では最も活躍した爆撃機ということもあり、本機の活躍はスペイン内戦から地中海戦線、北アフリカ、中近東、そして東アフリカといった広範な地域に及ぶ。
イタリアを代表する爆撃機の活躍をコンパクトに理解するには好適な著作である。

お奨め度★★★

3
211105_S79

Savoia-Marchetti S.79 Sparviero Torpedo-Bomber Units

Marco Mattioli Osprey

イタリア空軍が使用した3発攻撃機がSavoia-Marchetti S.79(SM.79)である。本機は戦時中に主として雷撃機として運用され、地中海の戦いで連合軍艦船に大きな損害を与えた。戦時中にS.79が撃沈破した戦果は、空母「インドミタブル」を含む20隻の戦闘艦と20隻の商船にも及ぶ。本書は、S.79を装備した飛行隊の活躍を克明に描いている。戦争初期は僅か数機による雷撃戦で大きな戦果を挙げたS.79であったが、戦争が進むにつれて徐々に苦しい戦いを余儀なくされていく。そのあたりは日本海軍の陸攻隊と似ている部分もあり、あるいは異なる部分もあり、そういった観点からも興味深い著作であった。
お奨め度★★★

3
201103_イタリア巡洋艦

Italian Cruisers of World War 2

Mark Stille Osprey Publishing

「第2次大戦におけるイタリア海軍巡洋艦」というタイトルで、そのままだと「世界の艦船」の別冊のよう。イタリア海軍の巡洋艦(重巡3タイプ7隻、軽巡6タイプ18隻)について、設計内容、兵装及び火器管制システム、レーダー装備、戦歴、タイプ別の内容や戦歴が簡潔な文書(英文)で記載されている。英文はシンプルで理解は容易だ。
私が興味を惹いたのはイタリア巡洋艦の砲戦能力。本書によればイタリア巡洋艦の砲戦能力は決して低いものではなく、精度は良かったらしい。ただし散布界が過大になる傾向があるとのこと。理由は連装砲の砲の間隔が狭くて砲弾の相互干渉を引き起こしやすかったとのこと(連装砲の俯仰角が砲別に独立していなかった)。
やや記載がアッサリしている感があるが(Ospreyの一般的な傾向)、WW2におけるイタリア巡洋艦についてシンプルにまとめた好著と言える。

お奨め度★★★

イメージ 1

Savoia-Marchetti S.79 Sparviero Torpedo-Bomber Unit

Marco Mattioli Osprey

ヘタレのイメージが強いWW2のイタリア軍だが、それでも地中海では英海軍と死闘を演じ、英海軍に相応の損害を与えている。その最右翼が人間魚雷だが、このS.79も劣勢の中で善戦している。本書は、そのS.79雷撃機の地中海戦役での戦いを追った著作だ。3発エンジンながら日本海軍の1式陸攻に比べると機体寸法は一回り小さい。性能面では大差がないが、航続距離は陸攻よりも劣り、爆弾搭載量はやや勝っている。
本機の戦歴は本書を読んでいただけば一目瞭然だが、撃沈21隻、撃破17隻という戦果が本機の活躍を示している。撃破艦の中には、空母「インドミダブル」や重巡「ケント」等も含まれており、本機が英海軍にとって大きな脅威だったことを示している。
本書は英語だが、ボリュームは少ないので比較的気軽に読むことができる。イタリア海軍航空隊の活躍について、その一端を知ることができる著作。

お奨め度★★★★

イメージ 1

イタリア軍入門 1939~1945―第二次大戦を駆け抜けたローマ帝国の末裔たち

CMJ68で紹介されていた「イタリア軍」の入門書です。この本については、他でも結構色々な所で紹介されているみたいですね。
WW2のイタリア軍といえば、「弱い」「負け続け」というイメージが一般に流布されています。本書ではそういったステレオタイプなイタリア軍評からは少し距離を置き、WW2におけるイタリア軍の実際の姿を醒めた目で追いかけています。

本書は3章構成となっています。

第1章「イタリア軍の戦歴」では、イタリア軍を陸海空に分けて、それぞれの戦歴について紹介しています。珍しい所では、RSI軍(RSIとは「イタリア社会共和国」のことで、イタリア降伏後の親独政権)の戦いや、南王国軍(バドリオ政権軍)の戦いについても紹介しています。

第2章は「イタリア軍の兵器と装備」ということで、WW2中にイタリア軍が使用した陸海空の代表的な兵器について解説しています。この中で例えば75mm野砲や90mm対空砲等はドイツ軍にも認められた優秀な兵器であったこと。また個々の兵器には優れたものがあったが、これら優秀な兵器も結局は工業力の不足により十分な数量を前線に供給することができなかったこと(まるで極東の某国のようですね)等が記されています。

第3章「イタリア軍の編成・生活・軍装」では、文字通りイタリア軍の編成(陸海空軍)や兵士、士官達の日々の生活、そして彼らの装備や軍装について説明しています。編成、生活についてはそれなりに楽しめましたが、軍装については私自身が全く興味の外なので、読み飛ばしました。

総じてイタリア軍を扱った書籍としては、可もなく不可もなく、といった所ではないかと思います。記述内容についても特に「これは」というような目新しい所はなく、ゲーム雑誌等の「イタリア軍特集」(そんな特集がかつてあったかどうかは知りませんが・・・)とレベル的にはどっこいどっこいではないかと思います。記述も全般に平坦で、読んでいて「面白い」類の書物ではありません。

ただ、今までまともに取り上げられる機会の少なかったWW2のイタリア軍というものに焦点をあたという点は評価したいです。本書の出版を期に、WW2期におけるイタリア軍が広く知られることになれば良いとは思います。

評価★★☆(3つ目の☆はサービス)

P.S. この本を読んだら無性に「アリエテ師団でアフリカ戦線を駆け巡りたい」とは思いませんし、「CR-42でハリケーンを叩き落したい」とも思いませんでした。ただ、「ヴェネト級戦艦でウォースパイトを沈めてみたい」とは少しだけ思ってみたりして・・・。

↑このページのトップヘ