もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

カテゴリ: 読書日記

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戦争論

クライゼヴィッツ 清水多吉訳 中公文庫

18~19世紀にかけてプロイセン、ロシアの軍人として活躍した著者が戦争について記述した著作である。戦略、戦術論に関する古典的な著作だが、内容はかなり難解であり、一読しただけでは大意はつかみにくい。戦争論といっても単に戦争の何たるかを論じているだけではなく、戦争全般から攻撃戦術、防御戦術の細部まで論じている。18~19世紀の戦術論なので現在からみると古い個所もあるが、一般論として通用する部分もあり、なんといっても戦略・戦術について古典としての意味は色あせていない。
クライゼヴィッツの主張の特徴は、戦争を無制限な暴力と捉え、敵戦闘力の殲滅を戦争の目的としている点である。しかし実際の戦争では様々な要因によって戦闘力の無制限な戦闘力の発揮が抑制されている。何故なら戦争は政治の一部であり、戦争は他なる手段を以て行う政治の延長に過ぎないからである。
現在では思想的に古くなっている面もあるが、戦争についての古典的な概念について、理解を深めるには有益な著作である。

お奨め度★★★★

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ちょっと古いのですが・・・

世界の艦船 2012年6月号

特集はエセックス級空母。計24隻建造された史上最も数多く建造された正規空母の技術的な特徴と戦歴を紹介している。戦歴については、太平洋戦争のみならず、朝鮮戦争、ベトナム戦争でも活躍している点が興味深い。また上記に関連し、エセックス級空母の近代化改造についても触れている。

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ソフトウェアエンジニアリング基礎知識体系(SWEBOK)

オーム社

文字通りソフトウェアエンジニアリングの知識を体系化した著作である。本書は知識を体系化しただけなので、本書を読んだだけでは得るものが少ない。だから本書が無価値かというと、そうではない。本書は具体的なソフトウェア知識を得る際の手がかりにもなるし、別の書籍や論文で得た知識を整理する際の基準にもなる。全く整理されていない知識や書物はそのままでは何の役にも立たない。しかし自分が直面している課題を分析し、それに対する解決策を得る上で、本書のような知識体系は問題の整理、分析、対策を効率化してくれる。ソフトウェアに関する業務に携わるのであれば、一通り目を通しておく必要があると感じた(精読の必要はない)。
一点、苦言を呈すると、翻訳本の常なのだが、文章が読み辛かったのが頂けない。

お奨め度★★★★

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ソフトウェア職人気質

ピート・マクブリーン著 村上雅章著 ピアソン・エデュケーション

本書は野心的な著作である。従来のいわゆる「ソフトウェア工学」を真っ向から否定し、ソフトウェアとは職人的気質に基づいて作られなければならない、と説く。考え方から言えばエクストリーム・プログラミングに代表されるアジャイル開発に近いが、アジャイルよりもより人間的側面を重視した内容になっている。
本書ではいわゆるソフトウェアを「管理する」という考え方は否定される。それに代わるものとして職人気質を掲げ、それを実践するための手段として少人数グループ、徒弟制度、継続的学習といった方法を取り入れている。
本書の示すプラクティスには興味深い点も多いが、全面的に首肯することはできない。例えば本書では「親の敵」のように扱われている「ソフトウェア工学」についていえば、混乱の極みにある我が国のソフトウェア開発現場においてソフトウェア工学がその改善に一定以上の役割を果たしていることは明らかである。また本書が理想とする「スーパースターのようなソフトウェアエンジニア」は確かに存在するかもしれないが、一般企業がそのようなスーパースターを多数保有しているとは考えにくい。本書が提示する「職人」のレベルは、一般企業が普通に保有しているソフトウェアエンジニアの技術レベルを遙かに超えているように思える。
「将来このような開発スタイルが定着すれば良いな」という話なら理解できるが、現時点で職人気質的開発手法は、現実的ではないと思えた。

お奨め度★★★★

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ソフトウェア見積り-人月の暗黙知を解き明かす

Steve McConnell著 日経BPソフトプレス

この本を読むきっかけは、私が向上心に溢れているからではなく、ましてや私が好奇心に溢れているからでもない。単に「職務遂行上必要だから」である。
にも拘らずこの本は滅茶苦茶面白い。ソフトウェアを生業にしている人にとっては面白いはずだ。見積り技術は一見地味だが、ソフトウェア開発を円滑に行う上で不可欠の技術である。実際、世の中のソフトウェアプロジェクトはその半分以上が「失敗プロジェクト」であると言われている昨今、見積りの重要性は増すことこそあっても、減ることはないだろう。
本書は見積り手法を厳密に数学的な手法に基づく「サイエンスとしての見積り」と、人間的な分析を重視した「アートとしての見積り」の2つに区分し、後者を重視して見積りについての考え方を紹介している。見積り誤差は何故起こるのか。数えること、計算すること、判断することの違いとは。過去データの重要性。成功する見積りのためのフロー。そして会社幹部に対して見積り結果を理解させるためのコツについて書かれている。本書ではFPが良いのか、あるいはFFPが良いのか、はたまたCOCOMOⅡが良いのか、といった議論とは無縁である。見積りの対象は何でも良い。ソフトウェアに関するものであれば、それが工数であっても、行数であっても、期間であっても、バグの予測値であっても何でも良い。何を見積るのか、ではなく、どのような方法で見積りのか、その時の留意事項は何なのかを、特定の見積り手法に依存することなく解き明かしている点が本書の特徴である。
ソフトウェア見積りについて何らかの理解を得たい人にとっては、必読の書籍であろう。

お奨め度★★★★★

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