もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

カテゴリ: フィクションの世界

3
210725_星系出雲1

星系出雲の兵站1

林譲治 ハヤカワ文庫JA

やや遠い未来における人類と異星生物との戦いを描いたSF作品である。あまり詳しく書くとネタバレになるが、基本的には面白かった。登場人物に対して思い入れができなかったのがやや残念であったが、それは筆者の問題ではなく読者側の問題だろう。それよりも未来戦争の姿やその分析に関する記述が興味深い。未来戦争と言えば故佐藤大輔氏の作品も面白いが、本書はまた違った面白さがある。現実の軍事について詳しい著者の未来戦史は説得力がある。本書は一応1冊で完結の形となっているが、まだまだ解明されていない「謎」が多く残っており、続きを読むのが楽しみだ。

お奨め度★★★

UFO

「グレンダイザー」と聞いて「懐かしい」と思う人は、間違いなく50代以上でしょう。
Wikipediaによると、1975~77年となっていました。私は小学生の時です。
Amazon Primeで無料で見られるので、数日間で全74話を一気見しました。

面白かったです。

一番注目したのはヒロインです。本作のヒロイン=牧葉ひかるは、他の作品とはちょっと立ち位置が違っています。当時の他のロボット作品、例えばマジンガーシリーズやゲッターロボシリーズでは、ヒロインはxx研究所という名の軍事組織の「内部」にいます(分かりやすく言えばに"軍人又は軍属")。例えば「研究所所長の娘がそのまま戦闘機パイロットに」(このパターンが大半かも)とか・・・。これは後の作品で「研究所」が「宇宙戦艦」に変わった後も、基本的には同じです。

ところが、牧葉ひかるは最初は研究所の「外側」にいます(つまり民間人)。主人公とは同居に近い状態なので結構親密なのですが、研究所とは直接関係ありません。時々事件に巻き込まれたりしますが、これも「幼稚園バスに乗っていて偶然悪玉に襲われた保育士さん」と同じような位置づけです。
で、このヒロインが物語の途中で"軍人"になり、さらには主人公たちとチームを組んで悪玉と戦う。つまり早乙女ミチルや森雪の役回りに変わっていきます。最終的にそうなることは今回見直す前から知っていましたが、その経緯を詳しく覚えていなかった(子供の頃だったので、あまりヒロインには着目していなかった)ので、今回そこに着目してみた訳です。

そのあたりの詳しい経緯は省略しますが、物語中盤における主要なテーマの1つが「民間人の女の子が軍人になるまでのプロセス」であることは否定できないでしょう(フラウボウがミライヤシマになるプロセスともいえる、そういえば牧葉ひかるの後半の顔立ちはミライさんもちょっと似ているかも・・・)。
ちなみにWikipediaによるとヒロイン=牧葉ひかるは、マジンガーシリーズでも一番「不人気」だそうです。私的には「田舎の活発な娘さん」という感じで嫌いではなかったのですが、今回本編を見て不人気の理由が少しわかりました。「大介さん好き好き」を前面に出し過ぎで、そのあたりがどうやら不人気の原因らしい。
そもそも"軍人"になりたい動機からして怪しい。やや穿った見方をすれば
「好きな人が軍人さんだから私も軍人になって一緒に戦いたい」
という風にも解釈できる。そのためかどうかはわかりませんけど、軍人になった後も戦闘中に頻繁にパニックを起こします(パニック担当キャラ)。
牧葉ひかるが主人公達のチームに入るのはどうやら番組当初から決まっていたらしいので、その動機付けに苦慮したスタッフが「大介さん好き好き」を前面に出したのでしょうけど、それが少しウザい。まあ、田舎の女の子がいきなり軍人を志す際の動機付けとして、突然人類愛に目覚めたというのどう見ても嘘くさい(まあ「人類愛」とまでは行かなくても「地元愛」に近いものは軍人志願の動機としてあったようですが・・・)。番組スタッフが捻りだした知恵として「大介さん好き好き」を軍人志願の動機にしたのかも知れません。(でも高慢ちきな雰囲気の早乙女ミチルと比べたら、全然良い娘だと思いますが・・・)

ひかるさんの話はこれくらいにして、次に敵方(ベガ星連合軍)の描き方も面白かったです。最初に登場して来た時には、敵方は皆異形で、化け物じみたイメージが強かったのですが(ガンダル司令やブラッキー隊長などはどう見ても妖怪じみています)、ストーリーの後半になると人間的な側面が出てきて面白かったです。
自分の息子や娘と素直にコミュニケーションできずに悩む悪玉たち(ベガ大王、ズリル長官=声は銀河万丈)。親子の間を取り持とうとする化け物ガンダル(結構良い奴)。東京に巨大水爆を仕掛けたり、東京タワーを爆破したり、無差別攻撃をかけたり、自国の子供たちを洗脳して兵士にしたてたりと、悪の限りを尽くすベガ星連合軍なのですが、どこか憎めない感じがしました。
最終回にはグレンダイザーによって全滅してしまうベガ星連合軍(&ベガ星人)なのですが、もし今なら「全滅」というオチではなく、何らかの和解で終わらせていたような気もします。最近の子供向けアニメの傾向は良く分かっていないのですが・・・。

他のキャラについては、主人公のデューク・フリードは、この手のアニメにありがちな「熱血漢」的な性格はやや弱めで、どちらかといえば大人な設定。猪突猛進な兜甲児とは対照的です。声の担当は富山敬。
兜甲児は、言わずと知れた「マジンガーZ」の主人公。しかし本作での扱いは恐ろしく冷淡で、仕事面(戦闘等)では主人公デューク・フリードに遠く及ばず、さらに恋愛面でもデューク・フリードに完全に負けています。本作での兜甲児があまりに惨めなので、見かねたスタッフが後半にマリアというデューク・フリードの妹を登場させます。このマリアちゃんと兜甲児がちょっと良い感じになるのですが、これって兜甲児に少しでも花を持たせようとするスタッフの温情かな?。

キャラの話ばかりだとあれなので、メカの話も少し。
今さら「ダブルスペイザー」とか「秘密ルート7」とか萌えるかよ・・・、て、すいません。結構萌えました。
特にダブルスペイザーが登場するまでは、「まだ登場しないかな、いつ登場するかな・・・」てな感じで食い入るように見ていました。中盤に登場してくる地球側パワーアップメカ=ダブルスペイザー、マリンスペイザー、ドリルスペイザーは、明らかに番組のテコ入れなのですが、一応成功しているように思えます。この路線って、結局ガンダムのGメカまで続くパターンなんですよね。

メカと言えば、とにかく発進シークエンスが長いし複雑。グレンダイザーの発進にしても、宇門大介が廊下を走っている所から始まり、エレベーター横の緊急避難口に入って滑り台を下りていくと、そこにジェットバイクが待っている。そのジェットバイクに乗って長いトンネルを走っていき、トンネルがようやく終わって格納庫の上に飛び出した所で掛け声一発
「デューク・フリード」
ここで宇門大介からデューク・フリードに変身し、グレンダイザーのコックピットに収まる。
通常ならここで研究所前面のダムの一部が開いてグレンダイザーの発進口が開き、「ダイザーゴー」の掛け声で空中に飛び出す、のですが、途中から「秘密ルート」が加わったので発進シークエンスがさらに複雑になりました。
グレンダイザーを載せたターンテーブルがそのまま下に下がっていき(丁度ウルトラマンタロウに出てくるスカイホエールの逆)、地下にある秘密ルートの発進口まで降りていく。そこでターンテーブルが回転し、お目当てのルート(大抵はルート7)に機首を向けたら、そこからようやく「グレンダイザーゴー」で発進。
しかしそこからがまた大変。ルート7はとにかく長いトンネルで、途中に鍾乳洞とか地底湖の中とか、他にも閻魔大王が住んでいそうな怪しげな所を抜けた所にようやく出口となる滝があって、そこからウルトラホーク3号よろしく空中に飛び出した所でようやく発進完了です。
ちなみに「第18話」で所要時間を測ってみた所、発進完了まで1分57秒かかっていました。エピソード全体の10%弱がグレンダイザーの発進シークエンスに費やされた訳です。もっと長い印象があったのですが、意外とスピーディでした。

なお、番組の最初から登場してきた兜甲児の愛機Tフォーは、発進シークエンスがシンプルで、牧葉牧場の納屋に隠されていたTフォーに兜甲児が飛び乗ってそのまま発進。実にシンプルです。
しかし先に述べたダブルスペイザー以下の地球側メカは、またまた悪癖ともいうべき複雑な発進シークエンスを採用。待機室にいるパイロットが出撃命令を受けると、何やら怪しげな1人乗りのカプセルに乗り込み、いざ出発。長―い透明チューブの中をカプセルはそろりそろりと動いていき、格納庫の上部約20メートルで180度向きを変えて各機のコクピット真上に移動。そこでカプセルの下側が開いてパイロットが各機のコクピットに収まるというもの。いやー、わざわざカプセルで移動する意味もわかりませんが(その間敵の攻撃を受けてカプセルが故障したら、中にいるパイロットが閉じ込められてしまう)、高さ約20mからジャンプで飛び降りるというのもどうだか・・・。デューク・フリードは宇宙人で地球人離れしているから20mぐらいのジャンプは何ともありませんが、地球人で20mジャンプはちょっとヤバイでしょ。
(だけど考えてみると例えば真珠湾攻撃の時に零戦の銃撃を受けながらジープでP-40に乗り込むことに比べれば、カプセル移動の方が実は安全なのかも・・・)

何はともあれグレンダイザー。日本だけではなく世界各国で絶大な人気を誇った作品とのこと。半世紀前に見た時とは違った視点で見るのも面白いかもしれません。



「今は良いのさ、全てを忘れて・・・」

これって「シャアが来る」という曲らしいのですが、一人称(俺)と二人称(奴)がコロコロ入れ替わるので、一体誰の視点で歌っているのかな、と、つまらないことを考えてしまいました。

普通に解釈すれば、「奴」も「俺」も同一人物=シャアのことになるのですが、例えばこれをシャアの敵対勢力(WBクルー)の立場からの歌と解釈するとも可能です。そうすると、「俺」というのは、シャアではなくアムロ達となり、「一人残った屍の俺」はアムロ達のこととなります。

逆にシャア自身の視点からの歌と解釈すると、「奴」というのはシャアの敵対勢力、つまり連邦軍、その中でも最強のガンダム=アムロということになります。つまり「ビーム輝くフラッシュバックに」影を映すのはシャアではなくガンダムのことです。
「シャアが来る」という曲のタイトルから考えるとやや不自然な解釈になりますが、この曲が流されていた頃のシャアはアムロ相手に負け続けており、まさに「赤い彗星も地に落ちた」状態でした。そう考えると、ガンダムに勝てないシャアの焦りをシャアの視点から歌った歌という解釈も可能になります。

まあどうでも良いことなのですが、関西方面で山歩きをしているとき、ふとそんなことを考えてしまいました。


シャア


イメージ 1

こちらに続いてホワイトベースネタの続きです。
ホワイトベースの実力を検証するにあたり、気になるのが同艦の戦歴。
実の所ホワイトベース単独での戦果は非常に小さく、戦果の大半は搭載機、特にRX-78ガンダムによる戦果が殆どであることに気づきます。

例えば前半戦。
ホワイトベース初の反撃戦となった第3話「敵の補給艦を叩け」では、ホワイトベースは敵パプア級補給艦に対して主砲射撃を加えたものの命中せず(うろ覚えです)、補給艦を仕留めたのはガンタンクによる砲撃でした。

その後地上に降りてからも対空砲火で数機のドップを撃墜したことはありますが、大物は唯一ガルマザビ搭乗のガウ攻撃空母撃墜のみ。これもガンキャノン、ガンタンクと共同ですが・・・。

ジャブロー戦を経て宇宙に上がった後のホワイトベースはようやく本来の実力を発揮。第31話ではシャア大佐座乗のザンジバル級機動巡洋艦を主砲射撃で中破せしめ、第32~34話では砲戦で2~3隻のムサイ級軽巡を撃沈しています。
その後第38話ではGファイターと共同でチベ級、ムサイ級各1隻を撃沈。第41話でもザンジバル級1隻、ムサイ級1隻を主砲射撃で撃沈しています。

こう考えると、ホワイトベース単独又は主要な役割を演じて挙げた戦果は以下の通り。

 ザンジバル級機動巡洋艦 1隻撃沈、1隻中破(実は同じ艦)
 チベ級重巡洋艦 1隻撃沈
 ムサイ級軽巡洋艦 3~4隻撃沈
 ガウ攻撃空母 1機撃墜
 ドップ戦闘機 数機撃墜

戦果の大半が宇宙に上がった後で、地上編では殆ど戦果を残していません。練度不足もあったかもしれませんが、やはり宇宙艦を大気圏内で使用するという運用方法に問題があったと言えそうです。

追記:そうそう大事な戦果を忘れていました。第4話「ルナツー脱出作戦」で味方のマゼラン級戦艦1隻を主砲射撃で撃沈しています。これがホワイトベース初の大戦果となるのですが、皮肉と言えば皮肉ですね。

ウィキペディアによると、ガンダムの総監督の富野由悠季氏は、
「ホワイトベース対宇宙戦艦ヤマト、どちらが強いか?」
という質問に対し、
「波動砲さえかわせばホワイトベースが強い」
と答えたそうです。

しかし・・・。

そもそも基本となるテクノロジーレベルが違い過ぎるような気がするのですが・・・。
片や恒星間航行を基本とする宇宙戦艦。
片や惑星間航行すら覚束ない強襲揚陸艦。

イージス巡洋艦と織田信長の鉄甲船でどちらが強いか、と言っているようなもので、勝負にならないような気がしますが・・・。

まぁ、どっちでも良い話ですが・・。

↑このページのトップヘ