もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

カテゴリ:ゲーム > 海空戦!南太平洋1942

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メロンブックスで新たに以下の3作品を取り扱い頂くことになりました

 ・海空戦!南太平洋1942 第2版
 ・ソロモン夜襲戦DX
 ・欧州海域戦

メロンブックスのURLは以下の通りです

メロンブックス
検索欄で「もりつち」と入力し、検索すれば、私の作品が表示されます。

今後ともよろしくお願いいたします。


SPac42_20


欧州海域戦_表紙

SPac42_表紙20サムネ画像用


自作空母戦ゲーム「海空戦!南太平洋1942」(以下、本作)の記事を紹介したい。
今回は練習シナリオのOp.2「空母対空母」をプレイしてみた。
前回 は、私が日本軍を担当したプレイの例を紹介した。時間がまだまだあったので、立場を変えてもう1戦プレイしてみることにした。以下はその記録である。

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「海空戦!南太平洋1942」は自作の空母戦ゲームです。
作品についての詳しくは-->こちらを参照して下さい。
また入手方法は-->こちらを参照して下さい。
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作戦計画

US_CL52a米軍の強みは、艦載機の数、艦爆の性能、艦隊の対空砲火である。一方で戦闘機の航続距離や雷撃機の性能で劣っている。従ってその強みを生かすためには空母の周囲を強力な対空直衛艦でガッチリ固め、可能な限り接近戦で戦う。そして日本軍をプレイした際に利用した囮戦法は米軍では使わない。あくまでも正攻法での勝利を目指す。

写真10


そして艦隊配置も日本艦隊に近づくような位置に布陣する。無論、猪突猛進は危険なので、日本空母の予想海域を攻撃圏内に収めつつ、敵水上部隊との接触は回避できそうな場所を選択した。

写真11


1Turn

US_PBY夜明けとともに索敵機が発進していく。そして早くも「敵発見」の報告が続々と飛び込んできた。敵の発見位置と味方空母との距離は4~7Hex(120~210海里)。結構幅のある数値だが、いずれにしても攻撃可能距離である。先手必勝。2隻の空母からはそれぞれF4Fワイルドキャット1ユニット(8機)、SBDドーントレス3ユニット(27機)からなる攻撃隊が発進していった。さらに第2波攻撃隊も各空母艦上で準備する。

写真12


今回先手を取ったのは米軍であった。日本側の攻撃隊が米空母上空に飛来する前に、早くも第1波攻撃隊が日本空母上空に迫ってきたのである。最初に目標上空に到達したのは「エンタープライズ」の攻撃隊である戦爆連合35機である。上空援護の零戦36機が迎撃してきた。しかし護衛戦闘機の奮戦によって零戦の迎撃は排除され、艦爆隊は無傷のまま日本空母に迫る。

写真13

SBD_CV627機のドーントレスが空母「翔鶴」に向けて急降下する。「翔鶴」は攻撃直前に飛行甲板上の攻撃隊を発進させた後だったので誘爆の危険はない。爆弾2発が「翔鶴」に命中。「翔鶴」は飛行甲板の一部が破壊され、火災を起こしたが、間もなく火災は消し止めらた。「翔鶴」の飛行甲板も応急修理が完了し、航空機運用能力の一部を回復した。米軍の損害は、ワイルドキャット3機、ドーントレス3機の計6機である。零戦は2機を失った。

続いて「ホーネット」隊が来襲した。「ホーネット」隊は日本側警戒網の隙を突いて奇襲に成功。空母「瑞鶴」に4発の1000ポンド爆弾を命中させた。「瑞鶴」の飛行甲板は大破し、航空機運用能力は完全に失われた。「ホーネット」隊の損害はゼロである。

JP_D3A日本側の攻撃隊もようやく米艦隊上空に到達した。零戦2ユニット、艦爆2ユニット、艦攻2ユニットの計6ユニット54機の攻撃隊である。上空援護中のワイルドキャット32機が迎撃に向かう。戦闘機の迎撃、さらには艦隊の猛烈な対空砲火によって艦攻隊は半数を失い、残りも有効な雷撃を実施できずに撤退した。

写真14


一方艦爆隊は対空砲火によって6機を失いながらもほぼ全機が有効な急降下爆撃を「エンタープライズ」に対して実施した。250kg爆弾3発が「エンタープライズ」に命中し、「エンタープライズ」は前部リフトが吹き飛ばされた。

B5N_CV6日本軍の第2波攻撃隊は、戦闘機の護衛を伴わない艦爆4ユニット、艦攻2ユニットの計6ユニット54機である。艦攻隊は魚雷ではなく800kg爆弾を抱いた水平爆撃であった。その意図は、大編隊で攻撃によってグラマンの防衛ラインを飽和させようとしたものだったが、それならば雷爆同時攻撃の方が有効ではないかと思うのは筆者だけだろうか?。

写真15


F4F_CV6何はともあれ、日本側攻撃隊に対してワイルドキャット32機が迎撃。艦爆隊の3/4を撃退した。米戦闘機の防衛ラインを突破した日本機は「エンタープライズ」に対して果敢な攻撃を実施した。艦爆の投じた250kg爆弾1発、艦攻の投じた800kg爆弾1発が命中。「エンタープライズ」の飛行甲板は大きく破壊され、航空機運用能力は完全に失われた。

一方日本艦隊上空には、米軍の第2次攻撃隊が迫ったきた。しかしこちらは航法ミスがあって「エンタープライズ」隊のみが日本艦隊を発見した。しかも攻撃隊は戦闘機の護衛を欠いたため零戦の好餌となって攻撃に失敗する。



2Turn

US_CV6b先のTurn、ほぼ攻撃兵力を全力投入したので、すぐに再攻撃を仕掛けるのは難しい状況となった。さらに「エンタープライズ」が航空機運用能力を失ったので、艦載機の全てを収容できず、仕方がないからSBDドーントレスを優先的に「ホーネット」に収容したが、それでも着艦出来ずに海に不時着する機体が続出した。
米艦隊も一旦南方へ後退し、態勢の立て直しを図る。索敵機の報告によれば、日本の水上部隊が強気に南下して来たが、その一方で空母部隊は北上して逃げを図る。「ホーネット」と日本空母との距離は10Hex(300海里)まで開き、ドーントレスの攻撃範囲外となってしまう。仕方がないので何とか準備したSBDドーントレス18機で前方の日本水上部隊を攻撃するも、ここで航法ミスをしてしまい攻撃に失敗。小癪な日本艦隊に打撃を与える機会を逸してしまう。

写真16


3Turn

Jp_Cont例によって最終Turnである。小癪な日本艦隊が突っ込んできているが、速力が衰えない限り日本艦隊に捕捉される危険性はまずないだろう。こちらの動きを読み切って水上部隊を移動させて来ることがあれば、それはそれで脱帽である。

米艦隊は日本側の裏をかいて北上。日本空母を追う。これまでの攻撃で日本空母2隻に損傷を与えていたが、折角の機会なので敵空母撃沈の栄誉を得たい。空母戦ゲームをプレイする目的の1つが「敵空母撃沈」にあることは間違いない。

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SBD_CV8索敵機が北上する日本空母艦隊を発見した。距離は「ホーネット」の北北西8Hex(240海里)。護衛戦闘機の随伴は困難だが、このチャンスを逃す手はない。SBDドーントレス艦爆3ユニット27機が日本空母を求めて北の空へ向かって飛び立っていく。

写真18


JP_D3Aしかし日本艦隊も黙ってやられるつもりはないらしい。恐らく「翔鶴」を発進したと思われる艦爆2ユニット計18機が、「ホーネット」機動部隊上空に姿を現した。護衛戦闘機の姿は見えない。F4Fワイルドキャット機がこれを迎撃し、半数を撃退した。

写真19


残り半数、約9機の艦爆が「ホーネット」に対して急降下爆撃を敢行したが、投弾前にその殆どが対空砲火に食われて撃墜され、生き残った機体も被弾してヨロヨロと離脱するしかなかった。投下した爆弾はいずれも「ホーネット」に命中せず。至近弾すら与えられなかった。

しかし日本軍は諦めない。今度は艦爆、艦攻各1ユニットの攻撃隊が「ホーネット」隊上空に姿を現した。ワイルドキャット戦闘機がこれを迎撃。艦攻の全機を撃墜破。艦爆隊は被撃墜機こそ出さなかったものの、ワイルドキャットの防衛ラインを突破できなかった。こうして日本機による攻撃は終わった。

写真20


JP_CV6aさあ米軍による攻撃である。SBDドーントレス27機が日本艦隊上空に姿を現した。日本側のCAP機による迎撃は失敗に終わり、ドーントレス隊は無傷のまま日本空母艦隊上空に到達する。対空砲火が激しく打ち上げられ、一部の機体は被弾して撃墜された。しかし殆どの機体が爆弾投下に成功。「瑞鶴」には1000ポンド爆弾4発以上が命中し、数時間後同艦は沈没する。さらにこれまで航空機運用能力を残していた「翔鶴」にも爆弾2発が命中。飛行甲板を完全に破壊されて航空機運用能力を失った。

さらに別の攻撃隊が日本側の水上部隊を攻撃。重巡「鈴谷」に爆弾2発を命中させて、これを中破に追い込んだ。

ゲームはこの時点で終了。プレイ時間はセットアップを含めて約3時間であった。



結果

日本軍の損害

・沈没=空母「瑞鶴」、駆逐艦1隻
・大中破=空母「翔鶴」、重巡「鈴谷」
・航空機損失:21ステップ(184機)

米軍の損害

・大破=空母「エンタープライズ」
・航空機損失=13ステップ(56機)

米軍の勝利

感想

勝敗は兎に角、VASSALモジュールでの対戦が無事実施できたのが成果だった。VASSALモジュールの中でいくつか改良した方が良い点も見つかったので、それについては別途報告させて頂きたい。また今回は1日で2回の対戦を行ったが、所要時間が1戦あたり約3時間というのも収穫だった。VASSALプレイの場合、ペーパーワークが不要になるので、リアル対戦よりも確実にプレイは楽になる。またリアル対戦でありがちな索敵報告の意図しないエラー(プレイヤー自身のエラー)もVASSALモジュールならかなり抑制できる。何故ならマップ上に直接TFマーカーが置かれているので、発見マーカーの置き間違えが起こり難くなる。

今回のプレイでVASSALモジュールを使った本作のプレイに目途がたったので、次回は本格的な対戦シナリオに挑戦してみたい。


写真00


「海空戦!南太平洋1942」のVASSALモジュールを更新しました。新しいバージョンは2.01版になります。
こちらくからダウンロード可能です。

今回の改定点は、主に細かな操作性に関する部分です。

発見マーカー除去ボタンの追加

マップの上の発見マーカー、発見除去マーカーを同時に除去するボタンを追加しました。

写真01


ユーティリティーマーカーの追加

マップ上に配置してリファレンスに使うためのマーカーを追加しました。日米両軍それぞれ用に用意し、必要に応じて相手プレイヤーから見えなくすることもできます。

写真02


その他

ショートカットキーを一部見直しました。典型的なものが爆弾マーカーと航空機ユニット。今までは両方とも「CTRL + F」で反転できたのですが、この方法だと爆弾を魚雷に入れ替えた時に気づかずに航空機のユニットを反転させてしまい場合がありました。そこで爆弾マーカーのショートカットキーを「ALY + F」に変更し、誤って航空機を反転させることがないようにしました。




230611_SPac42_Op2b

自作の空母戦ゲーム「海空戦!南太平洋1942」(以下、本作)の対戦動画を紹介します。
今回は練習シナリオのOp.2「空母対空母」をプレイしてみました。

「今さら練習シナリオ?」

と思われるかもしれませんが、今回は生まれて初めてVASSALによる遠隔対戦に挑戦してみました。

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「海空戦!南太平洋1942」は自作の空母戦ゲームです。
作品についての詳しくは-->こちらを参照して下さい。
また入手方法は-->こちらを参照して下さい。
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230611_SPac42_Op2a


久しぶりに自作空母戦ゲーム「海空戦!南太平洋1942」(以下、本作)の記事を紹介したい。
今回は練習シナリオのOp.2「空母対空母」をプレイしてみた。

「今さら練習シナリオ?」

と思われるかもしれないが、今回は生まれて初めてVASSALによる遠隔対戦に挑戦してみた。

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「海空戦!南太平洋1942」は自作の空母戦ゲームです。
作品についての詳しくは-->こちらを参照して下さい。
また入手方法は-->こちらを参照して下さい。
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作戦計画

JP_CV5このシナリオ日米の空母部隊同士が対決するという仮想戦シナリオである。時期的には南太平洋海戦頃を想定しており、日本側が「翔鶴」「瑞鶴」、米軍側には「エンタープライズ」「ホーネット」が登場する。

まず艦隊編成を考える。このシナリオでの日本軍戦力は、空母2隻、高速戦艦2隻、重巡4隻、軽巡1隻、駆逐艦12隻。駆逐艦のうちの1隻は新鋭の秋月型防空駆逐艦である。まず最初に麾下の艦艇をどのように配分するかを決定しなければならない。因みに全艦艇を1個のTFに組み込むという選択は勿論可能である。
今回は空母と戦艦を分離するプランで挑むことにした。すなわち空母2隻、重巡4、駆逐艦3隻でTF1を編制し、残りの戦艦2隻、軽巡1隻、駆逐艦9隻でTF2を編制する。TF2の任務は、空母部隊の前衛に展開して敵機の攻撃を吸引することと、機会を見つけて敵水上部隊に砲撃戦を仕掛けることにあった。この布陣の弱点としては、空母を守る高速戦艦が別行動となるため、対空防御がやや弱体化してしまうこと。ただし、この編制では空母部隊が速力4を発揮できるので、僅かながら敵機による被攻撃率を減らすことが期待できた。

写真00


JP_D3A空母艦載機の編制も悩ましい。零戦6ユニット、艦爆6ユニット、艦攻4ユニットの計16ユニットが空母艦載機の全戦力である(ちなみに1ユニット=約9機)。そのうち艦攻1ユニットは索敵に出し、零戦2~4ユニットが艦隊の上空援護に就くとして、残りの兵力で攻撃隊を編制する必要がある。仮に零戦3ユニットを上空援護に回すとすると、攻撃隊に回せるのは、零戦3ユニット、艦爆6ユニット、艦攻3ユニットとなる。それにしても零戦隊の戦力が足りない・・・。
一応攻撃隊の編制としては以下のように考えてみた(数値はユニット数)。

 ・第1波:零戦x2,艦爆x4,艦攻2
 ・第2波:零戦x1,艦爆x2,艦攻1

JP_CVL3a第2波攻撃隊の兵力不足が気になる所で、できれば第2波も零戦2ユニット、攻撃隊4ユニット程度で編制したかった。もし零戦x2、艦攻1を搭載した軽空母1隻が加わっていれば、攻撃隊の編制もCAP隊の編制も遥かに楽だったのに・・・。このゲームをプレイしていると、つづく「龍驤」や「瑞鳳」といった小型空母の有難さが分かってくる。

全般的な戦術については、日本側の強みは米側よりも比較的長い攻撃距離。特に零戦の戦闘行動半径の広さである。その強みを生かすため、序盤はあまり敵中深くに踏み込まず、やや距離を置いて布陣することにしたい。

1Turn

E13A当初の予定に従い、エリアEの外縁部付近に布陣した。そして索敵機を放つ。
最初に米軍の索敵機が飛来し、前衛艦隊が早くも発見された。ただしこちらの機動部隊本隊はまだ見つかっていない。
その後、こちらの索敵機からも続々と「敵艦隊発見」の報告が飛び込んできた。しかしその位置はサンタクルーズ諸島周辺海域で、こちらの空母からの距離は14~16Hex(420~480海里)である。これはいくらなんでも遠すぎた。このTurnは航空決戦を諦め、決戦は次Turn以降に持ち越された。

写真01


2Turn

予想よりも米艦隊が「引いて」きたので、こちらは間合い詰める。敵の動きによってはこのTurnに航空決戦となるが、果たして米艦隊にそれだけの戦意があるかどうか・・・。
はたせるかな、敵発見の位置は、前Turnから殆ど動いていなかった。こちらの空母と敵発見位置との距離は、11~12Hex(330~360海里)である。徐々にではあるが、両艦隊の距離は縮まりつつあった。

写真02


3Turn

A6M2_CV6このシナリオは僅か3Turnのショートシナリオなので、このTurnが早くも最終Turnになる。我が空母部隊はさらに南下し、サンタクルーズ諸島の北北東約200海里まで接近した。ここからなら敵艦隊がサンタクルーズ諸島付近に位置していても、艦隊機による攻撃は十分可能である。戦機は熟したのだ。

索敵戦で先手を取った日本軍は、機動部隊本隊から見て南南西7~8Hex(210~240海里)の位置に敵艦隊発見を報じた。敵艦隊の位置は十分に攻撃圏内であった。ただ戦爆連合での大規模攻撃を仕掛けるにはやや距離が遠かった。そこで第1次攻撃隊として、零戦2ユニット、艦爆4ユニットからなる攻撃隊が発進。敵空母の推定位置に向かった。

写真03


続いて零戦1ユニット、艦爆2ユニット、艦攻3ユニットからなる第2次攻撃隊が各空母の艦上で進められた。しかし第2次攻撃隊が発進する前にレーダーが南方から接近する敵機らしき編隊を捉えた。

「危ない!!」

SBD_CV6各空母艦上には爆弾や魚雷を満載した攻撃隊が所狭しと並んでいる。ここで1発でも被弾したらミッドウェー海戦の二の舞だ。各空母では攻撃隊の発進準備が急ピッチで進められたが、早くも敵機の一部は機動部隊上空に姿を現した。

写真04


最初に飛来してきたのはSBDドーントレス4ユニット(36機)である。護衛の戦闘機は見えない。上空援護の零戦3ユニット(27機)がドーントレスに襲いかかる。零戦隊は奮戦しドーントレスの約半数を阻止したが、残り半数は零戦の阻止線を突破して日本機動部隊上空に迫る。
激しい対空砲火がこれを迎え撃つ。数機のドーントレスが炎に包まれて落ちていく。猛烈な対空砲火に嫌ったドーントレスの約半数が、目標を外周駆逐艦に変更して攻撃を行う。駆逐艦を狙った爆撃は外れた。
最後まで空母を狙ったドーントレスは当初の約1/4に相当する約9機であった。狙ったのは空母「翔鶴」。1000ポンド大型爆弾数発は、「翔鶴」の至近距離に落下したが、奇跡的に命中弾はなかった。まさに「翔鶴」は危機一髪であった。

SBD_CV8別の攻撃編隊が南方から近づいて来た。各空母では、漸く準備の完了した攻撃隊が、ブリーフィングする時間ももどかしく慌ただしく発進していく(「緊急発進」に成功した)。本来なら空中で合同して敵艦隊に向かう所だが、時間を惜しんで空母毎にバラバラの編隊で目標へ向けて飛行していく。

その直後、米軍の第2波攻撃隊が日本機動部隊上空に姿を現した。空母「ホーネット」を発進したSBDドーントレス36機よりなる攻撃隊である。上空援護の零戦18機がドーントレスに襲いかかる。またもや零戦隊が奮戦し、ドーントレスの約半数を上空で阻止した。護衛のない爆撃機ほど脆いものはない。
それでも残りのドーントレスは空母「瑞鶴」に目掛けて急降下爆撃を敢行した。しかしドーントレス艦爆隊は零戦の迎撃によって照準を狂わされて「瑞鶴」に対する爆撃は数メートルの至近弾を与えたにとどまり、秋月型駆逐艦「照月」に爆弾1発を命中させてこれを中破せしめたに留まった。

写真05


B5N_CV6一方、日本軍の第1次攻撃隊は米機動部隊の予想海域に到着した。しかし敵空母は見つからない。実は日本側攻撃隊は攻撃針路に数度のズレがあり、そのために敵空母を発見できなかったのである。この攻撃隊は航法能力に優れた三座艦攻の随伴していなかったことが仇となってしまう。

さらに第2次攻撃隊も緊急発進で十分なブリーフィング時間が確保できなかったことが仇となり、「瑞鶴」隊は接敵に失敗。「翔鶴」を発進した艦爆、艦攻各1ユニットが辛うじて米機動部隊上空にたどり着いた。しかし彼らはグラマン戦闘機の猛烈な迎撃を受けて艦攻隊は全滅。艦爆隊は半数が機動部隊に投弾したものの爆弾は全部外れ。そして生き残った艦爆の大半が対空砲火の餌食となってしまった。

写真06


結果

JP_DD7a日本軍は駆逐艦1隻が中破、航空機5ステップを失う。米軍は艦船の損害はなし。航空機は4ステップを失う。得点差は僅差であったが、シナリオの勝利者は米軍であった。
日本軍の敗因としては、主力攻撃隊が相次いで目標捕捉に失敗したのが痛かった。攻撃隊の規模を重視して艦爆のみの編隊で攻撃を仕掛けたのが最大の敗因で、攻撃隊の規模が小さくなっても雷爆連合編隊で攻撃を仕掛けるべきだった。



感想

プレイ時間はセットアップを含めて約3時間であった。空母戦ゲームはVASSAL向きだと改めて感じた次第である。VASSALモジュールについていくつか改善すべき点が見つかったが、それは次回にまとめて報告する予定である。いずれにしてもVASSALによるプレイが比較的うまく出来たことが収穫であった。

零戦


つづく


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