もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

カテゴリ:戦史 > 第2次世界大戦全般

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Churchill(以下、本作)は、2015年に米国GMT社から発売されたシミュレーションゲームである。ウォーゲームではなく外交ゲームであり、プレイヤーはWW2期の連合国指導者となり、協力しながら枢軸軍打倒を目指す。無論単なる協力ゲームではなく、勝利するためには相手プレイヤーを出し抜いて多くの勝利ポイントを獲得する必要がある。

全体図


もう少し詳しく書こう。
プレイヤーは、ルーズベルト、チャーチル、スターリンの立場となり、他の連合国と協調しつつ枢軸軍打倒を目指す。ゲームは「会談」を中心に進められ、「会談」を通じて様々な政治課題を解決していく。「会談」の回数はシナリオの長さによって異なるが、一番長いキャンペーン・シナリオの場合、10回の「会談」が行われる。この「会談」が、他のゲームで言う所の「Turn」に相当するものである。

「会談」は、会議フェイズと戦争フェイズからなる。
会議フェイズでは、様々な議題をプレイヤー間で話し合い、議題に決着をつけていく。話し合いといっても実際にプレイヤー同士が議論を戦わせる訳ではなく、スタッフカードと呼ばれるものを使うことで解決する。それぞれの議題は、議題マーカーという形で下記の「会議テーブル」に置かれており、それをスタッフカードと呼ばれるカードを使って自陣営に引き込んでいく。スタッフカードには1~5の数値が記載されており、数値分だけ議題マーカーを自分の方へ移動させることができる。

会談表


戦争フェイズでは、スパイ組織を諸国に展開したり、政治的な影響力を行使したり、枢軸軍との戦いを進めたりする。戦争フェイズは、その直前に行われた会議フェイズの結果により大きな影響を受ける。例えばソ連軍プレイヤーが米国の主攻勢目標を東部戦線に配置すれば、米国の戦争努力が東部戦線に振り向けられることになる(それはソ連軍に大きく利することになる)。

とまあ、こんな感じのゲームだが、実際にプレイしてみないとどのようなゲームなのか理解することは困難だろう。機会があればYouTube動画等を使って本作のシステムを詳しく解説してみたい所だが、今回は上記の説明でご勘弁頂きたい。

今回、本作をお試しでプレイしてみたので、その記録を紹介する。

「チャーチル」対戦記録、ルーズベルトの野望

まずはルールを覚えるために全3Turnの練習シナリオをプレイしてみた。それが終わったのが丁度昼頃になっていたので、昼食のために中座し、戻ってきて午後の時間にキャンペーンシナリオをプレイしてみた。プレイ時間

第1回会談:カサブランカ会談

会談ではアメリカが勝利した。そして米軍が太平洋で進攻作戦を行い、マーシャル諸島へ進撃する。一方の英ソ領国はそれぞれ東欧と中東に政治勢力を広めていく。

Turn01


第2回会談:ワシントンD.C.会談

会談はソ連が勝利した。米英軍は西部戦線でボレロ作戦を実施。英本土に上陸部隊を前進させる。さらに我が合衆国は西欧一帯にスパイ網を構築する。

Turn02


第3回会談:ケベック会談

会談は我が合衆国が勝利した。キング提督が太平洋での攻勢を主導し、太平洋での指揮権を米国が掌握する。米第58機動部隊がトラック島を空襲し、カロリン諸島を支配下に置いた。
欧州戦線では早くも米英軍がノルマンディに上陸。第2戦線を構築する。東部戦線ではこれまで停滞していたソ連軍がようやく前進に成功し、ドン川流域に姿を現した。

Turn03


第4回会談:カイロ会談

会談に勝利したのはイギリスであった。その勝利を駆ってイギリスは東南アジアで植民地支配の確立を一気に進めていく。戦場では、米英連合軍がフランスを抜けて低地諸国に進出。早くもドイツ国境に近づいていた。東部戦線では前進が一時停止。太平洋方面では米軍の海兵隊がマリアナ諸島を制圧した。

Turn04


第5回会談:テヘラン会談

会談に勝利したのは我が合衆国であった。しかしソ連は東部戦線で大攻勢の準備を進めており、状況は予断を許さない。イギリスは東南アジアの植民地支配をさらに進め、遂に東南アジア一帯から他国の情報網を一掃した。
そして東部戦線。圧倒的な軍事資源を投入したソ連軍が大攻勢を実施。白ロシア一帯とウクライナ一帯を完全に奪回していた。

Turn05


第6回会談:ロンドン会談

またもや会談に勝利したのは、我が合衆国であった。しかし南西太平洋での米国軍の攻勢作戦は2回連続で失敗。太平洋の戦場に暗雲が垂れ込める。
欧州戦線でも西部戦線ではドイツ国境付近で進撃停止。その間、ソ連軍は東部戦線で攻勢を強め、遂に東プロイセンまで到達していた。

Turn06


第7回会談:ケベック会談

原爆が完成した。早速日本本土攻撃に原爆を使用する。日本の軍部は原爆の威力に衝撃を受けたが、未だに降伏する気配はない。それもそのはず。日本が降伏する条件は、本土侵攻するか、又は原爆投下とソ連の参戦の両方を満たす必要があるのだ。
ソ連軍は遂にベルリンを指呼に収める地点まで進出。ヒトラーの命運も風前の灯である。ソ連軍の軍事的成功の裏で、米国の政治的活動がバルカン諸国で繰り広げられ、ユーゴスラヴィア、ギリシアに反共政権が樹立する。

Turn07


第8回会談:モスクワ会談

さしものソ連軍もドイツ軍の全力防御を突破することはできず、ベルリン前面で足止め状態である。一方の西部戦線では、西側連合軍がようやくラインラントに到着した。

Turn08


第9回会談:ヤルタ会談

未だに元気なルーズベルト。その間、極東戦線でコソコソ前進を続けていた英軍がいつの間にか香港を超えて台湾に到達していた。そのまま日本本土に迫る英連邦軍。

Turn09


第10回会談:ポツダム会談

最終会談である。不死身のルーズベルト大統領が遂にご逝去。副大統領のトルーマンが急遽大統領に就任した。原爆の威力を背景に猛威を振るトルーマン新大統領。しかし日本本土に侵攻したのは、台湾を出撃した英連邦軍であった。遂に降伏する日本。一方のドイツは、ソ連軍による再三に渡る攻勢を跳ね返し、ゲーム終了まで持ちこたえた。

Turn10


最終的なVP計算では、米79VP、英63VP、ソ連22VPで米国の勝利。10回の会談のうち7回で勝利を収めた「会談の勝利」が勝因であった。ちなみに実際の最終局面での盤面は、以下のようなものであった。

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ちなみに本作の勝利条件は少し変わっていて、通常は獲得VPの大小で勝敗が決まるのだが、もし1位プレイヤーが2位と20VP以上の差をつけて勝つと、「勝ちすぎ」ということで2位以下が勝利する可能性がある。従ってプレイヤーはVP勝利を狙いながらも、「勝ちすぎ」ないように注意して他プレイヤーと協力する必要がある。

感想

勝ったので素直に嬉しい。本作の場合、枢軸軍に対する軍事的な勝利が必ずしも重要ではなく、むしろ自身の政治的な影響力を第3国に如何に広げていくかが重要である。その点、やや極端な気がしないでもないが、それはそれで面白い。3人用ゲームとしてもバランスが取れていて面白かった。

211220_街道上の怪物

街道上の怪物

小林源文 ゴマブックス株式会社

戦史漫画家小林現文が描いた短編戦史漫画。第2次大戦におけるドイツ、イギリス、ソ連、日本等の戦いを短編形式で描いている。また一番最後にベトナム戦争での米兵をも扱っている。個々のストーリーは10ページ前後の短い話なのですぐに読み終えることができ、全体でも1時間弱で読むことができる。

お奨め度★★★

3

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丸2021年6月

光人新社

2年ぶりに購入した。特集は「流星vsスカイレイダー」。形状の美しさでは流星の勝ちだが、それ以外はほぼスカイレイダーの圧勝。そんなの比較してどーすんの、という感じもしたが、特集記事の内容は概ね常識的な説明であった。そういった意味で目新しい記述は乏しかったが、全般的には読む所が多くて楽しめる内容であった。

お奨め度★★★

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Atlantic Chase(以下、本作)は、GMT社が2021年に発売を開始した最新の海戦ゲームである。1ユニットは軽巡以上の艦船1隻(駆逐艦、輸送船は戦隊単位)、ヘクスマップにはヨーロッパ近海の大西洋、北海で、北東端はムルマンスク、南東端はジブラルタル、マップの外には北米と中南米、アフリカ大陸がつながっている。1Hexの大きさは凡そ100海里ぐらいか。

本作はかなり特殊なシステムを採用している。従ってそのシステムを言葉で説明するのは相当困難である。ただし1度プレイしてみると、それぞれのルールの意味がすんなりと理解できるようになる。 本作のシステムで核となるのは、Trajectory(航跡)とStation(展開)である。麾下の水上艦をいくつかのTF(Task Force)に編成して行動させるという点では、本作も他の海戦ゲームと大きく変わる所はない。ただし本作ではTFを表現する方法が特徴的なのだ。それがTrajectoryとStationだ。
(下図はLiving Rule p5より抜粋)

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TFはそれぞれ固有のTrajectoryとStationを持っているが、マップ上に置かれるのはTrajectoryかStationかいずれか一方だけとなる。Trajectoryは細長い木の棒で、Stationは円柱型である。Stationは特定の海域に留まっているTFを現し、移動しない(できない)。TFを移動させる場合には、複数のTrajectoryをマップ上で「繋いで」いく。いわばTFの列があたかも艦隊の航跡を現すようになる。TFは航跡上のどこかに存在している、ということになる。
このTrajectoryを配置するという行為においては、最大15個までのTrajectoryを接続できる。例えばスカパフローからキールまでが3ヘクスしかないので、15個のTrajectoryを使うとマップをほぼ横断することも可能である。このTrajectoryを自由に配置できるというのがまず本作の特徴である(ただし1本の線で繋がっていなければならない)。

ゲームの核となるシステムはアクションである。先に書いた「Trajectoryを配置する」というのも一種のアクションだが、それ以外に索敵、交戦、航空攻撃、ステルス兵器(潜水艦と機雷)による攻撃等が加わる。アクションを実行するためには主導権が必要であり、主導権を保持する限り何度でもアクションを繰り返し実行できる。もちろん一定条件で主導権の交代があり、それによって両方の陣営がアクションを実行できる。本作に所謂"Turn"の概念はないが、この主導権交代が一種の"Turn"のように機能する(主導権交代時期に天候判定も行われる)。

例を説明しよう。ニューヨークから英本土に向かう輸送船団を、ブレストを出撃した独巡洋戦艦が攻撃する場面を想定する。まずニューヨークから英本土までは輸送船団のTrajectoryが既に配置されているものとする。これは輸送船団がTrajectoryの"どこか"に存在することを意味する。 主導権を得た独軍プレイヤーは、ブレストにいるTFのStationをTrajectoryに変換し、ブレストからTrajectoryを伸ばして、船団のTrajectoryと交差させる。Trajectoryを伸ばす行為は自由で、主導権交代のトリガーにはならない。
続いて独軍プレイヤーは、"Naval Search"を選択し、英輸送船団を捜索する。これに成功すると輸送船団のTrajectoryが減少する(いくつになるかは索敵の結果次第)。索敵の効果が高いとTrajectoryが消し去れてStationになる。TrajectoryがStationに変化して時点で、その輸送船団は「そこにいた」ことなる。続いて独軍プレイヤーは"Naval Engagement"を宣言し、輸送船団に対する襲撃を実行する。 こう書くと如何にも簡単に船団攻撃ができそうに思えるが、実は索敵や交戦を実施する毎に主導権交代判定が行われ、主導権が英側に移る可能性がある。一旦英側に移ると、再び英側は輸送船団のTrajectoryを伸ばすことになるので、元も黙阿弥である。

こうして捜索、攻撃、そしてそれに対する回避等を繰り返して、両軍とも自身の目的へ向けて邁進することになる。
(下図はLiving Rule p5より抜粋)

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今回、本作のシナリオをいくつかプレイしてみたので、その結果を簡単に報告したい。ただし以下のプレイはかなり重大なルールミスがあったということをお断りしておく。

OP1.Homecoming:August 1939

WW2開戦前夜の1939年8月。ニューヨークから本土へ向かう高速客船「ブレーメン」。その目的はドイツ本国への帰還であった。一方、それを英本国艦隊。果たして「ブレーメン」は英海軍の追跡を逃れて無事ドイツ本国へたどり着けるか。

という設定でのシナリオである。このシナリオは登場ユニット数が少なく、入門用のものである。私はドイツ軍を担当したが、ノルウェー西方海域で英巡洋艦に捕捉されてしまい、任務は失敗に終わった。

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OP2.First Test:November 1939

南アメリカ近海で通商破壊戦を実施中の装甲艦「グラーフ・シュペー」が本国へ向かっている。それを援護し、さらに新たな封鎖作戦を試みるため、新鋭巡洋戦艦「シャルンホルスト」「グナイゼナウ」からなる艦隊が北海へ向けて出撃していった。英本国艦隊の注意を引き付けて、その間に「グラーフ・シュペー」を無事本国へ帰還させるのが目的であった。

このシナリオは英軍を担当した。ドイツ軍の戦力は上記の通りだが、英仏軍(まだフランス海軍が健在!!)は、フォーブス提督麾下の戦艦「ネルソン」「ロドネー」を主力とする機動部隊。「ウォースパイト」「レパルス」、空母「フューリアス」を含む機動部隊。そしてフランスの戦艦「ダンケルク」と軽巡2隻からなる北大西洋艦隊が主力である(他に哨戒用巡洋艦数隻)。ちなみにフランスの「ダンケルク」は本作ではすごぶる評価が高く、砲撃力はドイツの「ビスマルク」と同等、速度はそれよりも速いので、ある意味「欧州最強の戦艦」である(ホンマかいな・・・??)。

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この戦いでは空母「フューリアス」とフランス艦隊が大活躍。「フューリアス」偵察機が本国へ向かう「グラーフ・シュペー」をフランス西岸沖で発見。それを「ダンケルク」以下のフランス艦隊が追撃し、砲力の優位を生かして「シュペー」を半身不随にした後、最後は「フューリアス」の艦載機がトドメを刺した。

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続いてGIUKギャップを突破してきた「シャルンホルスト」「グナイゼナウ」を「フューリアス」の艦載機がアイスランド南方海上で捕捉した。ただちにフォーブス提督麾下の戦艦「ネルソン」「ロドネー」が現場へ駆けつける。「ネルソン」「ロドネー」は主砲火力の優越を生かして「シャルンホルスト」を撃沈し、「グナイゼナウ」を撃破(こちらは「ネルソン」中破)。最後は例によって「フューリアス」の艦載機がトドメを刺した。

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OP3.Norway April-May 1940

所謂ノルウェー侵攻作戦を扱ったシナリオである。独軍を担当した。詳しくは覚えていないが、確か英軍の戦艦「ロドネー」を撃沈し、こちらは「シャルンホルスト」が中破。ノルウェー侵攻自体にも成功したので、ドイツ軍の勝利に終わった。

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つづく

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CMJ108「ノモンハン1939」をプレイする 「ノモンハン1939」(以下、本作)は、あのノモンハン事件を再現するシミュレーションゲームだ。システムは「ドイツ装甲軍団」のものを用いている。つまり移動・戦闘の繰り返し(日本軍は「戦闘」「移動」というパターンも可能だった。忘れていた)。オーバーラン、補給ポイント、モラルなどのルールが加わる。
マップはハーフサイズ。カウンターは80個。1Turnは実際の数日(Turn毎に日数が異なる)、1Hexは1~2kmぐらい?、1ユニットは大隊~旅団に相当する。

今回、本作をVASSALによるソロプレイで試してみた。以下はその記録である。なお選択ルール等は全て非採用とした。

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1Turn

本作では、戦線が2つに分かれている。ハルハ川の西岸と東岸だ。史実ではハルハ川西岸の日本軍は早々に撃破されてしまい、戦場は東岸部に移ったが、本作では仮想設定によってハルハ川西岸に日本軍有力部隊が存在することになっている。それが小林支隊だ。またハルハ川東岸地区には安岡支隊が展開している。

その安岡支隊。序盤に戦車を中心とする部隊で752高地に対してオーバーラン攻撃を仕掛けた。しかし出目は最悪の"1"。結果はEXでまんまと戦線突破のチャンスを逸しした。それでも彼らが啓開した突破口を抜けた歩兵2個大隊がソ連軍装甲車部隊を包囲攻撃し、これを殲滅した(でもEXだよー)。
ソ連軍はハルハ川西岸にはスタックによる強固な防衛ラインを構築する一方、ハルハ川東岸は戦線を後退させて日本軍によるオーバーランの圏外に逃げる。

ターン終了時のモラル値、日本=23、ソ連=26

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2Turn

日本軍はハルハ川東岸の安岡支隊がなおも攻撃を加える。しかし相変わらず出目が悪い。4-1攻撃でEXを出してしまい、またもやステップロス。これで安岡支隊に所属する歩兵大隊は全てステップロスしてしまう。安岡支隊の攻撃力は早くも破断界を迎えたか・・・。

ハルハ川西岸では小林支隊がオーバーラン攻撃を仕掛けるが、比率が1-1程度ではソ連軍の頑強な防衛ラインを抜けない。徒に損害(モラル低下)を重ねる。

ソ連軍は早くもこのTurnに強力な戦車旅団2個を投入してきた。そのうちの1個、第6戦車旅団はハルハ川西岸で小林支隊の歩兵スタックに対してオーバーラン攻撃を仕掛ける。戦闘比1-2という不利な比率であったが、結果は見事に"DR"で、小林支隊の前進を少しだけ押し返した。

ターン終了時のモラル値、日本=22、ソ連=23
ソ連軍は死守を多用したことにより、モラルを多く失ってしまった。

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3Turn

ハルハ川東岸の安岡支隊は攻撃を中止してホルステイ湖付近の高地帯まで後退した。この一帯で増援部隊を待って防衛ラインを構築する。

ハルハ川西岸の小林支隊はオーバーランと通常攻撃でなおも南へ向けて前進を図る。オーバーランは失敗に終わったが、戦闘比4-1による通常攻撃は"DD"の結果を出して成功。ソ連軍の死守宣言によってソ連軍は1部隊を失った。

ソ連軍はSP不足のため敢えて攻撃を実施せず、戦車によるオーバーラン攻撃もこのTurnは封印した。

ターン終了時のモラル値、日本=21、ソ連=23

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4Turn

ハルハ川西岸の小林支隊は最後の力を振り絞って攻撃を仕掛けた。今回はダイス目が良く、ソ連軍1個スタックが"DD"の結果を得て後退しつつ混乱。ソ連軍の背後を伺うチャンスを得た。しかしスタックでガッチリ固めるソ連軍の戦線は頑強で、日本軍は遂にソ連側戦線を突破できなかった。

ソ連軍はこのTurn、初めてSPを蓄積。それにより通常攻撃を仕掛けた。狙ったのは日本軍小林支隊の歩兵大隊。5-1の戦闘比で結果はDE。日本軍はステップロスを強いられたが、なおも現地点に踏みとどまる。

ターン終了時のモラル値、日本=19、ソ連=22

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5Turn

日本軍は最早限定的な攻勢によってソ連軍に出血を強いるぐらいしか作戦はない。一方ソ連軍は豊富な補給物資に物を言わせてハルハ川の両岸で猛烈な攻勢を仕掛けてきた。日本軍は時には土地を犠牲し、時には死守命令によって、ソ連軍の猛攻を凌いでいたが、そろそろ破断界に達しようとしていた。それは次のモラル値を見ればよくわかるだろう。

ターン終了時のモラル値、日本=15、ソ連=21

写真06


6Turn

日本軍にとって待望の増援部隊が登場した。第23師団の主力である。彼らはハルハ川東岸に展開し、安岡支隊を援護する形で布陣した。それを見たハルハ川東岸のソ連軍は、攻勢態勢を解いて防御の布陣を敷く。今やソ連軍は勝っているので、無理をする必要は全くないからだ。

一方ハルハ川西岸ではソ連軍の猛攻が続いている。低比率のオーバーラン攻撃が悉く成功して戦線に穴が空き(日本軍に最早「死守」を命じるだけのモラル値に余裕はない)、そこを突いたソ連軍が突出してくる。敵中に孤立した日本軍歩兵スタックがソ連軍の包囲攻撃を受けて後退路を断たれて壊滅。このTurnだけで日本軍の歩兵、自動車化歩兵、合わせて3個大隊が昇天した。

ターン終了時のモラル値、日本=3、ソ連=22

写真07


7Turn

日本軍に最早勝ち目がない。最後の活路を見出したい日本軍は、増援部隊を得たハルハ川東岸でオーバーランによる包囲戦を仕掛けていく。しかし結果は無情にも2回連続の"AS"。モラルが崩壊している日本軍はいずれもモラルチェックに失敗。さらに最後の3-1攻撃でもソ連軍の「死守」によって結果は"EX"。この時点で日本軍のモラルはゼロになった。
最後はハルハ川西岸で小林支隊の2個自動車化歩兵大隊を包囲下に置いたソ連軍。小林支隊は事実上壊滅状態に。こうしてノモンハン事件は史実通り(あるいは史実以上の)ソ連軍の勝利となった。

ターン終了時のモラル値、日本=0、ソ連=20

写真08


感想

ルールは比較的シンプルでクセのあるルールはない。日本軍が「移動・戦闘」の代わりに「戦闘・移動」の順番を選択できるというのが特徴的なルールだが、今回は使用する場面はなかった。
今回はかなり一方的な展開になったが、序盤の日本軍の戦闘ダイスが悪すぎた。序盤でハルハ川東岸でソ連軍に痛打を与えることができれば、ソ連軍も同方面の戦線保持に苦労するだろう。日本軍としてはせめてホルステン川付近までは進めておきたいところだ。
小林支隊は、川又まで進めるか否かが鍵となりそう。川又付近の橋梁を日本軍が押さえれば、ソ連軍はハルハ川の東岸と西岸で部隊を融通できなくなる。そういった意味でハルハ川西岸を攻めた関東軍の戦略は、(あくまでも純軍事的な観点では)正解だったと言えよう。

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プレイする際の注意点として、オーバーランが有効だということ。特に低比率による敵のオーバーランには要注意だ。オーバーラン失敗のリスクが事実上モラルチェックだけで、逆にオーバーランに成功すると敵の戦線に大穴を空ける可能性がある。オーバーランの脅威に対抗するには「死守」命令が有効だが、「死守」命令を行うと自動的にモラルが1段階低下する。結局の所、オーバーランは「ローリスクハイリターン」なので「やりたい放題」である。それが悪いという訳ではなく、そういうゲームだと割り切ってプレイする必要がある。(小兵力ながらも夜襲切込みでソ連軍を悩ませる日本軍、という構図を表現したかったのかも・・・)。

ゲームとしてみた場合、シンプルなルールでマイナーな戦い(ノモンハン事件は名前こそ良く知られているが、戦いの実相はあまり知られていない)を上手くゲーム化したと感じる。最初のプレイでは少し戸惑うが、2~3回プレイすれば感覚をつかめる。一度ゲームの感覚を掴めると、あとはサクサクとプレイできる。プレイ時間は2~3時間ぐらいだろうか?。慣れれば2時間を割るかもしれない。

余談だが、本作をプレイしていると、似たようなシステムで日露戦争の奉天会戦がゲーム化できるのではないかと思えてきた。誰か作ってくれないかな。奉天会戦はまだ決定版がないことだし・・・。

写真99


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