もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

カテゴリ:戦史 > 海戦

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220210_NavlaGunFire

Naval FirePower Battleship Guns and Gunnery in the Dreadnought Era

Norman Friedman Seaforth Publishing

本書については 以前に紹介 した。ドレットノート以降の戦艦における艦砲射撃を射撃システムから解説した著作である。本書は前半と後半に分かれており、前半では艦砲射撃の原則や方法、その問題点について戦術面や技術面で考察した後、20世紀初頭の前ド級戦艦の時代からWW1、戦間期そしてWW2至るまでの艦砲射撃の発展について主に英海軍の視点で流れを追っている。
後半は世界の主要海軍における艦砲射撃の発展と実戦での評価について国別に記載されている。紹介されているのは、掲載順にドイツ、アメリカ、日本、フランス、イタリア、ロシア/ソ連となっている。この中で一番ボリュームが多いがアメリカで、特に彼らの実戦における艦砲射撃やレーダー射撃の実態を記した部分については日本の研究者にとても十分に有益なものであろう。
戦艦の運用や艦砲射撃、戦艦同士の戦いに興味のある向きには必読書と言って良いと思う。

お奨め度★★★★

5

220127_HowCarrierFight

How Carrier Fought

Lars Celander CASEMATE

既に一度紹介済の書籍 である。今回再読してみたが、やはり面白い。
今回は前回紹介しなかった点について少し触れてみる。
一つは空母艦載機の航法問題だ。我々の常識では、WW2期において専用のナビゲーターを持たない単座機は、単独の洋上飛行が困難となっている。これは決して間違った認識ではない。事実、日本の零戦隊は洋上飛行時には艦攻等の誘導機を必要としたし、英海軍でも航法問題に対応するために空戦性能で不利になることを忍んでフルマーやファイアフライといった複座の艦上戦闘機を採用している。日本海軍の複座以上の機体は、パイロットと航法士が別人物で、航法士が航法計算を担当していた。
ところが、である。米海軍の艦載機は、単座機のみならず複座以上の機体にも専用の航法士は搭乗していない。例えばドーントレスやヘルダイバーの後席は、無線と銃座を担当している。三座のアヴェンジャーもまたしかりで、専用の航法士は搭乗していない。米海軍の艦載機は、単座機だけではなく複座以上の機体でもパイロット自身が航法を担当する。だからスカイレーダーはアヴェンジャーを上回る大型艦攻ながら、何の問題もなく単座化できたのだ。
何故、米海軍の艦載機でこのような「芸当」が実現できたのか。その鍵はDalton氏が開発したE-6B Flight Computerと呼ばれる簡易航法装置だ。E-6B Flight ComputerがどのようなシステムかはWikipediaにも出ているので、参照して欲しい。とにかくこのシステムのおかげで米海軍では単座機の単独飛行が何ら困難なく実施できた。かつてFlatTopというゲームで我々を怒らせた「零戦索敵問題」についても、彼らの常識からすれば左程荒唐無稽な話でもないかも知れない。
そんなこんなで空母戦好きには絶対楽しめるこの本。洋書だということで敬遠せず、是非多くの人に読んで頂きたい1冊である。

お奨め度★★★★★

3

210522_世界の艦船

世界の艦船2020年6月

海人社

特集は「未成戦艦列伝」。定番だが、やはり未成戦艦というのはウォーゲーマーにとっては興味をそそるものであることはもの間違いない。取り上げられているのは、日本の八八艦隊計画艦や米サウスダコタ級、モンタナ級、英インコンパラブル級やライオン級、独H級等である。最新の研究でこれらの未成艦がどのように評価されているかを知ることは興味深い。

お奨め度★★★

210227_Fighters

Fighters over the Fleet

Norman Fredman Seaforth Publishing

戦闘機による艦隊防空の歴史を詳細に綴った著作である。とにかくボリュームが大きく、過去に一度読んでいたにも関わらず、今回読み通すのに2ヶ月近くかかってしまった。
本書は戦前から戦時中、さらに戦後にかけて、主に米英における空母機動部隊が敵機や対艦ミサイルの脅威から如何に生き残るべく努めてきたか、その努力と成果を記している。その全てをここに紹介するのは難しいが、気が付いた点をいくつか述べると、例えば我々が奇異に思える英海軍の複座艦上戦闘機(フルマーやファイアフライ)について、なぜ彼らがそのような選択肢を選んだのか、その一端を伺うことができる。またマリアナ沖海戦では艦隊防空に成功した米空母部隊が、日本のカミカゼ攻撃で新たに直面した課題は何だったのか。さらには戦後の核爆弾と誘導ミサイルの脅威に直面した米英の機動部隊が如何にして生き残りを図っていったのか(あるいは生き残れる確率をどの程度に見積もっていたのか)。そういった点について1つの答えを得られる著作だと思う。

お奨め度★★★★

2

210104_空母100

世界の艦船増刊102集「空母100のトリビア」

海人社

Kindle Unlimittedで公開されているので読んでみた。空母に関するウンチク話を集めた内容で、資料性は低いが読み物としてはそこそこ楽しい。空母に対する知識を広めるという意味では悪くない著作だと思う。ただ。定価を払ってまで読む本かな?。ちょっと違うと思う。

お奨め度★★

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