もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

カテゴリ:読書 > 小説

4
231123_夢をかなえるゾウ

夢をかなえるゾウ3

水野敬也 文響社

ベストセラーの第3弾。今回は主人公が若い女性で、仕事と恋愛が本作の主なテーマとなる。基本的にはこれまでの同シリーズ作品と同じく、ガネーシャが様々な課題を設定し、主人公がそれを克服していくという流れ。しかも今回はガネーシャのライバルとなる黒ガネーシャが登場。これまでの登場人物たちが再登場し、よりエンタメ性がアップしている。これまで「夢をかなえるゾウ」シリーズを未読だった読者だけではなく、同シリーズを読んできた読者にもお奨めできる内容になっている。

このシリーズの素晴らしい点は、単なるノウハウ本ではなく、エンタメとして良く出来ており、読んでいると楽しい作品ということ。「読んでいて楽しいし為にもなる」というまさに理想的な小説である。是非続編を読んでみたい。

お奨め度★★★★

夢をかなえるゾウ0(ゼロ) ガネーシャと夢を食べるバク
夢をかなえるゾウ1
夢をかなえるゾウ2
夢をかなえるゾウ3
夢をかなえるゾウ4 ガネーシャと死神


3
230210_こころ

こころ

夏目漱石 文響社

夏目漱石の有名な小説。今まで読んだことがなかったので、この機会に読んでみた。内容はよくある恋愛小説だが、明治という時代背景と当時の世相を感じることができて面白かった。たまにはこういう「名作」を読むのも良いものだと思った次第。

お奨め度★★★

漫画 こころ
こころ


3
220808_小隊

小隊

砂川文次 文藝春秋

1990年生まれの元自衛官が書いた現在兵士の物語。3編の小編からなり、主人公はいずれも自衛官又は元自衛官である。舞台は、ロシア軍の侵攻に晒された根室~釧路地区で遅退戦闘を行う陸自第5旅団。イラク又はアフガニスタンに派遣された元自衛官の傭兵が行う警固任務。そして最後は自衛官の監部候補生達が経験する過酷な行軍演習である。いずれも主人公は前線に立つ1人の下級指揮官であり、彼らの目から見た「戦場」の赤裸々な姿が描かれている。
個人的に一番面白かったのは、表題作「小隊」で、現代戦の猛烈な火力戦闘に巻き込まれた主人公達の葛藤や苦しみがリアルに再現されている。小隊規模の歩兵戦闘がどのような形で行われているか、そしてその中で個々の幹部や曹士たちがどのように考え、行動したのかが克明に描かれている。
他の2作品は、より主人公の内面に入っていくような作品である。ちゃんと「読める」人には面白い作品だとは思うが、字面を丹念に追いかけるのがやや苦手な私にのっとては、やや面倒臭く感じる作品であった。

お奨め度★★★

3

210322_たかが殺人

たかが殺人じゃないか

辻真先 東京創元社

たまには、と思い推理小説読んでみた。どこかの真田さんみたいに「俺は推理小説の良さはわからない」とでも書こうと思ったが、意外と面白かった。どちらかといえばじっくり読むのが苦手で早く読みたくなる私。推理小説でもじっくり読まないで流し読みなので、トリックをじっくり考えながら読むことができない質である。そんな私でも本書は結構楽しめた。
本書の設定は昭和24年の名古屋。GHQの命令によって無理矢理男女共学にさせられた高校生たちを主人公とする推理小説だ。高校生たちの描き方も秀逸だが、それよりも戦争直後の名古屋周辺の描写が楽しい。さらにいえば、戦争と敗戦によって価値観の急激な変化に直面して戸惑う登場人物たちがリアルに描かれていて、フィクションながらも当時の息吹を感じることができる。そして日本人にとって戦争や敗戦は何だったか、といった点についても考えさせてくれる作品であった。

お奨め度★★★

4
190825高熱隧道


近代史における様々な事件を小説の形でまとまた吉村昭氏。彼の作品の1つが「高熱隧道」である。1936年から開始された黒部川第3発電所の建設は、難渋を極め、実に300名以上が犠牲になるという日本土木史上最悪レベルの難事業であった。特に仙谷谷と阿曽原の区間は、摂氏100度を超える高熱の岩盤を有する灼熱地帯で、そこを突破するトンネル工事は過酷そのものであったという。さらに泡雪崩と呼ばれる現象によって冬季宿舎が2度に渡って大損傷し(一度は雪崩対策を施した筈の鉄筋コンクリートの建物が約600m吹き飛ばされた)、それによって100名以上が命を落としている。
本書はそのような困難を極めた工事を小説の形を借りて表現したものである。本書の登場人物は架空の人物だが、そこで繰り広げられた出来事は史実に基づいたものであり、戦前期における土木工事の過酷な実態を我々に示してくれている。
読み物として読んでも勿論一級品だが、史実を考えるきっかけとしても良いだろう。

お奨め度★★★★

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