もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

カテゴリ:ゲーム > Fighting Wingsシリーズ

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AtO#29 Buffalo Wings (LPS)

イメージ 2魅力的なテーマの作品を次々と発表しているAgainst Odds誌ですが、またまたやってくれました。
「空戦ゲームをボードでやるなんてもう古い」とか
「空戦ゲームの時代は終わったね」とか言っているアナタ。
この作品を見よ。
このデジタル全盛の時代にあって、なおも新作空戦ゲームを発表し続けるJ.D.Webstar氏、そしてAgainst the Odds誌の姿勢には拍手を送りたいです。

イメージ 3前置きが長くなりましたが、この作品は、1940~41年にかけて、フィンランド空軍とソ連空軍の戦いを航空機1機単位で描いたシミュレーションゲームです。基本的なシステムは、J.D.Webstar氏の前作「Whistling Death」を簡略化したものになっています。またデータカードは「Whistling Death」と互換性があり、両者を比べて見るのも面白いかもしれません。

イメージ 4基本的なシステムは「Whistling Death」やかつて日本でも発売されていた「Air Superiority」の流れを組んでいますが、移動ルールは僅かに6ページで、1時間もあれば読みとおすことは容易です。対地攻撃を全てオミットし、空戦のみに絞っていることも、ルールの簡略化に一躍買っているのかもしれません。

イメージ 5登場機種は、こんな感じかな。
・ブリュスター・バッファロー
・フィアットG50
・フォッカーD21(固定脚)
・グロスターグラディエーター(複葉固定脚)
・ホーク75A
・モランソルニエMS406
・ポリカルポフI-153"チャイカ"(複葉引込脚)
・ポリカルポフI-16
等等です。残念ながらBf-109G-2等は入っていません。

「Whistling Death」に登場してくる日本機との性能比較なんかも面白いかもしれません。



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最近私の中では注目度上昇中のLPS社「Against the Odds」シリーズですが、またまたやってくれました。
AtO#29のタイトルは"Buffalo Wing"。
デザイナーはJ.D.Webstar
とくれば、これはもうあの「Fighting Wings」システムに相違ありません。

Against the OddsのHPによると、冬戦争と継承戦争におけるフィンランド軍とソ連軍の空中戦を扱ったゲームになるそうです。システムは勿論「Fighting Wing」システム。本作をプレイすると「バッファローが何故「空飛ぶ真珠と呼ばれていたか」がわかるとかわからないとか・・・・。

Fighting Wingsシステムを一言で説明すれば、
「ボード上で行われる空中戦を可能な限り精密に描いたゲームシステム」
です。私もかつて挑戦したことがありましたが、結果は惨憺たるものでした。

(詳しくは-->こちら)


元々のFighting Wingsシステムは上記の通り極端に精密なルールを採用していましたが、今回の"Buffalo Wing"ではQuick Startルールという簡易版のルールが中心になるようです。ルールブックも16ページと標準的なサイズに収まっていて、LPS社の評価でも"Comlexity - Medium"になっています。これならプレイ可能のみならず、今まで押入れに眠っていた「Whistling Death」もプレイ可能になるかもしれません。

ちなみにFighting Wingsシリーズの前作「Whistling Death」はルールブック75ページ、シナリオブック70ページ、チャート集28ページ、データカード65ページという「化物」でした。

発売時期等は知りませんが、期待したい作品です。



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(写真)「五式戦vsヘルキャット」の一場面

Fighting Wings をプレイする

先日紹介した精密空戦ゲーム"Fighting Wings"についてですが、ようやく空対空戦闘ルールまで到達しました。早速空戦シナリオをプレイしました。以下はそのレポートです。

第1回戦 "End of Samurai , 7 May 1942"

最初に挑戦したのは「入門用空戦シナリオ(Introductory Level Air Combat Scenarios)」の第2弾、"End of a Samurai, 7 May 1942です。このシナリオは、珊瑚海海戦真っ只中の1942年5月7日、軽空母「祥鳳」を守っていた1機の零戦が3機のワイルドキャットと交戦。ワイルドキャットの1機が零戦を撃ち落としたという史実を再現するシナリオです。撃墜したのはVF-42のEns Walter Haasという人。撃墜されたのは日華事変以来のベテラン今村氏です。ネットでこの両者を調べた所、Ens Walter Haas氏についてはそれらしき人物を発見しましたが(撃墜4.83機?)、今村氏は見つけることができませんでした。どなたか、珊瑚海で撃墜されて戦死した今村氏について、ご存知でしたら教えて下さい。
結果は史実通り零戦が撃墜され、ワイルドキャットの1機が軽微な損害が出ました。1対1ではワイルドキャットは零戦相手に勝ち目は乏しいのですが、3対1ではさすがに零戦で勝つのは難しいみたいです。このゲームは単機の場合は非常に不利で、1対1の場合はとにかく、2対1以上になると少々の性能差は覆されてしまうようです。

第2回戦 "五式戦vsヘルキャット"

双方2機同士で戦いました。高度は約2万フィート(6千メートル)。中高度域とです。
結果は五式戦1機が撃墜され、五式戦1機とヘルキャット1機が軽微な損害を被りました。ヘルキャットの強靭な機体がものをいった感はありますが、それに加えて全般的にエネルギー空戦でヘルキャットが優位に立っていた点が大きかったようです。以前に「五式戦vsヘルキャットでは機動性で五式戦有利」と書きましたが、今回のような中高度戦闘では必ずしもそのように断定できないようです。急旋回時のエネルギーロスでは互角かあるいはヘルキャットが心持ち有利なのです。無論瞬間的な機動性では機体の軽い五式戦が圧倒的に有利なのですが、このクラスの戦闘機になるとエネルギーのロスが激しいので性能限界の急旋回を長時間継続することは不可能です。敵を追い詰める一瞬とか、敵から逃げる一瞬だけに急旋回を行えれば良く、あとはその瞬間まで如何に効率よくエネルギーを管理するかが勝敗を分けるようです。
とはいってもヘルキャットの重さには参りました。速度320km/h未満では殆ど舵が効かなくなるし、失速速度も高めなので、無理な機動をするとすぐに失速してしまいます。ゲーム中にも2度ばかり失速しましたが、なんとか回復して態勢を立て直すことができました。こういった点は機体の軽い日本機は有難いです。

感想

とにかく時間がかかります。第2回戦の「五式戦vsヘルキャット」は2対2の空戦で30ターンまでプレイしましたが、所要時間は10時間近くかかってしまいました(^^;。リアルタイムで2分間の戦いに10時間もかかるとは・・・、残念ながら今回のソロプレイはボード空戦ゲームの限界を思い知らされた感もあります。対人戦でプレイしたらまた少し違った楽しさがあるのかもしれませんが。

空戦ゲームの楽しみの1つとして、機体同士の性能比較があります。これだけ精密なゲームになると詳細なデータがゲーム上の性能にどのように反映されているのかが楽しみの1つになります。しかし結果的にはあまり性能差を実感できませんでした。機体の性能差は確かにあるのでしょうが、ゲーム上での時間進行が遅すぎて(まるで超スローで空中戦を見ているみたい)、性能差を感じるには至らないのです。機体間の性能差を感じるためにはある程度プレイのテンポが必要なのかも知れません。

しかしこれだけの大作だけにこのまま押入れ直行させるのは惜しい限りです。このゲームを生かすためにはどうすれば良いのでしょうか?。いくつか方法を考えてみました。

爆撃機を加える

いずれかの陣営に爆撃機を加えるというのはゲームを活性化させる良い方法かも知れません。爆撃機を加えれば、任務にメリハリが出てきて面白くなる可能性があります。そもそも実際の空戦でも、戦闘機同士の戦いでは双方共なかなか飛行機が落ちるものではありません。そういった意味から爆撃機を混ぜるというのは活性化させる上で効果が期待できます。問題は両軍の機数ですね。攻撃側が戦闘機2、爆撃機2~4、防御側が戦闘機2~4(彼我の性能差を考慮して決定)ぐらいが適当なのでしょうが、機数が増えるとプレイ時間がかかってしまうのので難しい所です。

対人戦

ソロプレイではつまらないゲームでも、対人戦で生き返るのはよくある話です。お互い知恵を絞ってプレイすると、ソロプレイでは見えなかった面白さが見えてくるかも知れません。問題は「相手が見つかるか?」ということかな。どこかのゲームクラブで対戦をお願いしてみましょうか?

極端な性能差でゲームをする

例えばI-15対零戦とか、コルセアvs隼とか、最初から性能差がハッキリしている機体同士の戦いを設定し、「何ターン粘れるか?」という観点でプレイしてみると面白いのかもしれません。

"Whistling Death"とは、米国"Clash of Arms Games"が2003年に出版したボード空中戦ゲームです。タイトルの"Whistling Death"(死の口笛)とはコルセア戦闘機の俗称です。
1ユニットが1機の航空機、1隻の艦船を表し、1ターン=4秒、1ヘクス=100ydというスケールで空中戦闘を再現します。テーマは太平洋戦争。零戦、ワイルドキャット、コルセアといった戦闘機や一式陸攻、ドーントレスといった爆撃機、さらには「大和」「エンタープライズ」といった艦船が登場します。デザイナーはJ.D.Webster。我が国では"Air Superiority"シリーズのデザイナーとして有名です。


"Whistling Death"(COA)への挑戦

前回はようやく水平機動をマスターしました。そこで今回は上昇、降下といった垂直運動に挑戦します。垂直運動についてはルールが一層複雑になり、例えば「強制的な高度変更」「急上昇時に伴う自由旋回」「マイナスG旋回」・・・、あーあ、もういい加減にしてくれえ・・・。

とまあこんな具合でなんとかルールブックを20ページ目まで読みました。それから練習シナリオ#2に挑戦しました。このシナリオはF4F-4で直進飛行するTBF-1を追いかけるシナリオなのですが、予めシナリオの中でF4Fの飛行経路を示されていて、プレイヤーはそれに従って飛ぶだけです。簡単といえば簡単なシナリオなんですが、何か物足りない気がしないでもありません。

その後前回行った練習シナリオ#1を再度プレイしてみました。このシナリオは水平旋回する零戦を米戦闘機で追いかけるものです。前回は水平旋回だけだったので水平面機動に優れた零戦を追いかけるのに苦労しました。今度は高度変更ルールを組み合わせて再び零戦に挑みます。
最初はP-40Eでチャレンジしてみました。前回同様右へ急旋回を切って逃げる零戦に対してP-40Eは上昇と右旋回を組み合わせて追撃を図ります(ハイスピードヨーヨー)。前回に比べるとかなり善戦したのですが、急上昇、急旋回、さらには切り返しを繰り返すことによって急激なエネルギーロスを招いてしまい、ようやく零戦を鼻先に捕らえた時にはもうフラフラ状態でした。
この後F4U-1Dでもチャレンジしてみました。やはり零戦相手に善戦したものの、最後はエネルギー不足でダウンしました。
以下はF4U-1Dで零戦21型を追尾した際の記録です。

(1) 零戦の後方200ydにF4Uが付いた状態でゲーム開始。
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(2) 零戦は右へバンクをかけた後に5Gの急旋回を行う。F4Uは4G旋回でそれを追う。
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(3) 零戦はなおも5G旋回を持続。速度を増したF4Uは急上昇を行いつつ5G旋回を続けて零戦を追う。
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(4) 零戦はなおも5G旋回を持続。F4Uは4G旋回。機動終了後のF4Uは機速が160km/hまで低下していた。失速寸前の速度で、最早急旋回を持続することはできない。一方零戦はなおも4Gで旋回が可能である。この後F4Uは降下しつつエネルギーの回復に努めることなろう。
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Whistling Death (死の口笛)をやってみました

昨年やり残したゲームで紹介したWhistling Death(Clash of Arms Games)をプレイしてみました。このゲームは"Fighting Wings"と呼ばれるシリーズゲームの第3作です。デザイナーはJ.D.Webster。我が国では"Air Superiority"シリーズのデザイナーとして有名です。
このシリーズは1936年から1945年にかけての戦術航空作戦を再現するためのゲームシリーズで、過去に"Over the Reich"(WW2 Air Combat Over Europe 1943-1945)と"Achtung - Spitfire"(WW2 ~ 1940-1941)が出ています。ちなみに"Over the Reich"の方は、メーカーのサイトでも、クロノーツさんのサイトでも、見つけることはできませんでした(絶版かな?)。あと両者ともPC版のゲームが出版されているようですが、詳細は不明です。


「プレイした」とはいっても、このゲーム、元々が英文ルール約80ページという超精密空戦ゲームです。ルールをすべて読むだけでも大変なのに、プレイするのはもっと大変です。今回は「とにかくやってみよう」ということで、「練習シナリオ1」まで必要なルールを読みました。これだけだとルールブックは12ページ。ルールの内容も水平面での旋回、横滑り、加速減速に関するものだけなので、なんとかプレイできそうです。また私がかつてプレイしたことがある「Air Superiority」シリーズに類似したルール構成になっているのも理解を助けてくれました。とはいえマニアックなことで有名なこのシリーズ。例えば「燃料注入ポンプなしエンジン」(零戦を含めた大多数の日本機がこれに相当)ルールなどは。

「マイナスGの旋回を行うと燃料注入が止まるのでエンジンがアイドリング状態になる」

って、オイオイそこまでルール化しなくても・・・。

あるいは

「零戦は右方向より左方向の方がバンク性能が良い。だから消費FP(飛行ポイント)が左バンクの方が少ない」

って、このルールって零戦だけかよ、オイ。それにしてもよく調べたなあ・・・。

さらに驚くべきことに、このゲームは単なる空戦ゲームではありません。作戦ゲーム、戦術ゲームといった別スケールのゲームも同時に含まれていて、すべてのルールを組み入れると「発進から攻撃、そして帰還、着陸まで」といった航空作戦全てを再現できるみたいです。

これらのルールを取り入れた大型シナリオ、例えば「ラバウル要塞1943」では、日本側からは253空、204空、そして空母「瑞鶴」所属の零戦(22型、32型、52型の混成)計39機、空母「瑞鶴」所属の艦攻艦爆合計21機(「彗星」3機含む)、そして751空所属の一式陸攻6機の合計66機が参加します。対する連合軍は大型空母「バンカーヒル」を基幹とする空母機動部隊(「バンカーヒル」他、防空軽巡1、駆逐艦3)が参加し、その搭載機として、ヘルキャット12機、ヘルダイバー12機、アヴェンジャー9機が参加します。さらに日本軍の反撃から米空母を守るために、海兵隊所属のコルセア12機も上空警戒のためにはせ参じます。日米両軍はラバウル上空の攻防戦、さらには米空母機動部隊に対する反撃とその邀撃の為に闘うことになりましょう。


練習シナリオをプレイする

ところで肝心の練習シナリオの方ですが、これは零戦の2ヘクス真後ろにP-40を配置し、急旋回で逃げる零戦をP-40が何ターン追尾できるかを競うシナリオです。予想していたことですが、水平面の旋回戦でP-40が零戦に敵うはずもなく、1ターン追尾するのがやっとで、その後は軽々と引き離されてしまいました。その後コルセアの最新型(F4U-4)でも試してみましたが結果は同じ。コルセアでは零戦の低速運動性に歯が立ちません。
色々と他の機種も調べてみたのですが、唯一なんとか零戦の急旋回について行けそうなのは、以下の3機種でした。
 F2A Buffalo
 F4F-3 Wildcat
 FM-2 Wildcat
うーんさすがは空母艦載機。低速運動性はお手のモノですね。特にFM-2の運動性には目を瞠りました。零戦相手に水平面の旋回戦で唯一互角に戦える米軍機ではないでしょうか。
ちなみにクルクル回るだけなら零式観測機が最高!!。コイツ相手なら零戦でも振り切られます。ちなみに紫電改も旋回性能だけを見れば「恐るべき」戦闘機です。連合軍からみた場合、むしろ「疾風」の方が(水平面での旋回性が劣る分)組し易いみたい。この辺りの評価は「Zero」(GMT)とは違う所ですね。

実はプレイする前に少し不安に感じていたのがこの「水平旋回性能」の表現でした。というのも、"Air Superiority"シリーズ(現代ジェット機)の場合、「旋回率は全機種同じ。旋回性能の違いは旋回時の速度減少の違いで表現」という手法を採用していました。この手法が果たしてWW2期のレシプロ機の旋回性能差をどこまで上手く表現できるか、という点に少し疑問を感じていたのです。
今回練習シナリオをプレイしてわかったことは、「旋回時の最小速度」というルールが上手く効いている感じでした。これは急激な旋回を行う際に必要な最低速度を規定したものなのですが、このルールのおかげで旋回性能の違いがリアルに表現されているように思います。例えば零戦のように翼面荷重の小さい機体は必要最小速度が小さく(つまりクルクル回る)、逆にヘルキャットのような重戦闘機の場合はそれが大きく設定されています。これは物理的にみても納得できる処理方法で、低翼面荷重の機体は低速でも翼が十分大きな揚力を発生させることができるために高Gの旋回が可能で、対する高翼面荷重の機体は翼の生み出す揚力が小さいために高G旋回するためには高速を出す必要があります。いわゆる「コーナー速度」の概念ですね。これはとても面白い処理で、例えばこの方法で「烈風」やF8F "Beracat"を表現したらどんなデータになるんだろう、と興味は尽きません。

練習シナリオをプレイしただけでも「傑作」の雰囲気を感じさせてくれる作品でした。


Whistling Deathの魅力を(少し)語る

このゲームの魅力について語ります。1つは「精密空戦ゲーム」としての魅力。先ほど紹介した細かすぎるルール(例えば「燃料注入ポンプの有無」等)は、あるいはプレイする際には邪魔なものかも知れません。しかし面倒なルールを駆使し、1つ1つの手作業を経て再現される「零戦vsワイルドキャット」あるいは「零戦vsヘルキャット」といった世界。このゲームで提示されたこの「スローモー」な世界。もしこの世界が非常に「優れた再現性を持つ」ものであるのなら、あるいはそのような「再現性を提示するかも知れない可能性」を秘めているとすれば、このゲームはそれだけの手間隙をかける価値があるのかもしれないな。そんな気がします。そして例えばGMTの"Zero"のようなゲームが示す「簡略化された世界」とこのゲームが示す「超精密な世界」との対比を味わうことができるのであれば、それはこのホビーの楽しみ方の1つかも知れないな、と、そんな気がしたりもします。

もう1つはキャンペーンゲームの魅力。先ほど紹介した「ラバウル要塞1943」などは実際には多分プレイ不可能でしょう。しかしそのシステムは極めて可能性を秘めた、そして魅力的なシステムではないかと思います。
あの日(1943年11月11日)にシンプソン湾上空を埋め尽くした米艦載機の大編隊、港内から打ち上げられる対空砲火。ラバウルの各基地から邀撃のために飛び立って行く零戦隊、さらには遠く洋上に浮かぶ米空母部隊に対して決死の反撃を行った艦爆艦攻隊とそれに対して立ちふさがったコルセア戦闘機。艦隊上空を真っ黒に染めたVT信管装備の対空砲火。全滅した艦攻隊の物語。等等。
史実の「第3次ブーゲンビル島沖航空戦」で演じられた数々のドラマを実際に盤上で、しかもリアルに再現できるゲームを私は他には知りません。確かに現実にはプレイ不可能かも知れませんが、自分の頭の中で盤上で再現されるであろう航空戦を想像するだけでもワクワクしてきます。それがこのホビーの魅力の1つではないかな、と、そんな風に大げさに考えてみたりもしています。

無論、今の所ようやくルールの一部を読み終えた所です。全ルールを読破し、さらには全てのルールを使いこなせるようになるまで、あとどれだけの時間が必要かわかりません。またこのゲームが実は「クソゲー」で、実際には一文の価値すらないゲームである可能性も完全には否定できません(今の所その可能性は極めて低いですが)。そして仮にこのゲームが期待通り(あるいはほぼ期待に近い内容)であり、さたには私が全ルールを読破することに成功したとしても、私自身がソロプレイ以外でこのゲームをプレイする機会は多分ないでしょう。

それはそれで構いません。このホビーの魅力は対人戦だけではないのですから。対人戦は「Zero」のような「軽いゲーム」に任せておき、もっとディープな世界を堪能するときにこのゲームの世界に浸ってみるのも楽しいことではないでしょうか。

おっと、少し長くなってしまいました。屁理屈を並べる暇があったら、ルールブックを少しでも読んでいきましょう。こいつは久しぶりに「手応えのある」ゲームになりそうですから・・・。雨の日曜日はまだまだ終わりませんよ。

(つづく)


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