米坂線は山形県の米沢と新潟県の坂町を結ぶ全長90.7kmのローカル線だ。
米坂発1030発の坂町行きはキハ110系の2両編成だ。かつてはキハ47系の旧式ディーゼルカーが走っていた路線だが、今やキハ47やキハ40といった旧式のディーゼルカーは新潟地区からは完全に姿を消してしまったらしい。残念な事である。
米沢を出ると列車は右にカーブしていく。米沢の町の南半分を時計回りに約180度の半円を描いた後、針路を西に向けて日本海を目指す。最初のうちは米沢盆地の肥沃な田園地帯が広がっている。先の 左沢線 でもそうであったが、秋を迎える頃の東北の農村風景は美しい。豊かに実った稲穂が平野一帯に広がる景観は圧巻である。
やがて列車は山間部に入っていき、荒川に沿って走る。小国を過ぎると県境に入り、山を越えると新潟県だ。
坂町に着いたのは1230頃。約2時間の旅であった。それにしてもこの時期の東北地方の景観がかくも美しい事にこれまで全く気が付かなかったのは迂闊であった。
その後は羽越線に乗って新発田経由で新潟へ向かう。羽越線から見る景観もまた美しいものであったことを付け加えておこう。