もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

カテゴリ:ゲーム > 作戦級ゲーム

AGC表紙

Barbarossa Army Group Centerは、1998年に米国GMT社から発売されたシミュレーション・ウォーゲームで、2022年に第2版が発表された。本作品はBarbarossaシリーズと呼ばれるゲーム群の1作品である。Barbarossaシリーズは、初期のArmy Group Center、Army Group North、Army Group Southの3作で1941年のバルバロッサ作戦初期を再現し、その後モスクワ攻防戦を再現するTyphoon、ウクライナの戦いを扱うKiev to Rostov、そしてクリミア半島の戦うを扱うCrimeaで1941年後半から1942年初頭までを扱う。
Barbarossaシリーズは、全ての作品に共通する標準ルールと、各ゲーム固有ルールからなる。標準ルールには、通常の陸戦ルールの他、空戦ルール等も含んでおり、ルール量はかなり多い。ルールが多い理由は、ゲームの手順が複雑なことと、司令部、砲兵、等のルールが多いことがある。ゲーム手順については、枢軸側とソ連側で非対称なものとなっている。枢軸側は移動、戦闘、自動車化移動、自動車化戦闘という一般的な2次移動システムだが、ソ連側は自動車化移動、戦闘、移動という変則的なものになっている。ソ連側は移動の前に戦闘フェイズがあるので、自動車化部隊以外は積極的な攻撃任務には使いにくいようになっている。さらにそれに対する回避策(司令部を使えば歩兵部隊が自動車化移動フェイズに動ける等)がルール化されているため、ただでさえ多いルールがさらに多くなっている。

写真01
写真02


先日、Barbarossa Army Group Centerの再版を機にVASSALで対戦してみた。選択したシナリオはシナリオ4「スモレンスク包囲戦」をプレイしてみた。参加者は3名で枢軸軍2名、ソ連軍1名である。私はソ連軍を担当した。
正味プレイ時間は6時間程であったが、実質的には1Turn分しかプレイできなかった。プレイヤーが不慣れなこと、増援などの場所が分かりにくかったことが原因である。慣れればもう少しペースアップが可能だが、そのためには増援の内容や補充ルールの理解を深める必要があるだろう。

BCS-LastBlitzKrieg-BoxArt

LAST BLITZKRIEG(以下、本作)は2016年に米MMP社から出版されたシミュレーションゲームである。テーマはあのアルデンヌ攻勢。いわゆるバルジの戦いである。1Hex=1km、1Turn=1日、1ユニットは1個大隊を現している。

本作はBCSと呼ばれる一連のシリーズ作品の1つである。BCSとは、Battalion Combat Seriesの略称で、その名の通り大隊規模ユニット同士の戦闘を描いたシリーズで、作戦戦術級のゲームである。今回は、BCSシリーズの練習ということで本作の南方シナリオを4人でプレイしてみることにした。

BCS-LastBlitzkriegMap1
BCS-LastBlitzkriegMap2
BCS-LastBlitzkriegMap3


まずBCSの基本システムについて紹介したい。
BCSはその名の通り大隊規模の戦闘を扱ったシステムである。大隊は単一兵科で構成される最大規模の編成であり、兵器間の性能の違いを表現できる規模としては最も大きな規模の単位といえる。従って大隊規模のゲームは作戦級のカテゴリーに属しながらも戦術級の色合いを強く残した作品となる。

BCSの特徴は、戦術級の色合いを強く残した戦闘システムにある。
戦闘システムは歩兵科同士の戦闘(Regular Attack)と、機甲科同士の戦闘(Engagement、所謂「戦車戦」)に区分されており、別々の戦闘結果表を使う。また歩兵と戦車の戦闘は、歩兵からの攻撃では通常の戦闘結果表を使うが、戦車からの攻撃の場合は直接射撃表(Attack by Fire)を使う。さらにオーバーラン攻撃的なShock Attack、砲爆撃を示すBarrageがあり、戦闘のタイプは5種類もある。戦闘自体は基本的には1対1で解決され、通常のゲームでよくあるような「10個のユニットで1個のユニットをタコ殴りにする」というスタイルの戦闘は実施できない。
戦闘の形式はかように複雑だが、戦闘解決自体は比較的シンプルである。例えば戦車戦(Engagement)はBCSでは「燃える」部分だが、その解決法は攻撃側と防御側の能力差をDRMとし、2d6で下表を参照して結果を求めるだけ。表を見れば理解できると思うが、攻防で能力差がなければ勝敗の可能性は五分五分である。

BCS-EngagementTable

戦闘システムでもう1つの特徴は「支援」の概念である。これは例えば対戦車砲や駆逐戦車といった兵科をフォーメーション(師団や旅団、戦闘団等の上部組織)に直接割り付けることができる。こうしておくと、これらの特殊兵科を各部隊に割り付けることができる。現実に当てはめると、例えば1個大隊の対戦車砲を小隊規模に分割し、各歩兵大隊に付属させるというイメージである。この部分の概念がルールの読みやすさを妨げているが、ルールが目指している概念が理解できると合理的な考え方に思えてくる。そもそも対戦車砲のような特殊兵科を大隊規模で集中運用しても、あまり効果はなく(敵から見れば集中配備個所を避けて通るなり、砲兵火力を集中して制圧してしまえばよいだけ)、それよりも分散配置した方が効果は高い。

BCS-Activation

話が前後するが、BCSでのゲームの流れを紹介したい。
BCSはフォーメーション単位で活性化し、敵味方が交互に活性化する。各フォーメーションは1Turnに1回ずつ活性化でき(他に追加活性化の概念があるが、話が複雑になるのでここでは省略する)、両軍全てのフォーメーションが活性化するとTurn終了となる。
フォーメーションが活性化すると、最初にSNAFUチェックを行う。このSNAFUチェックというのが我々から見ると少し馴染みにくい言葉だが、「活性化チェック」という言葉の方がしっくりくる。何をするかと言えば、2d6を振り、出目2で活性化失敗、3-6で部分活性化、7以上で完全活性化となる。普通の出目なら完全活性化できそうだが、出目が悪いと部分活性化になる。また補給状況が悪いとか、疲労が溜まっているとかで不利なDRMが適用されるので、状況によっては活性化に失敗する可能性が高まる場合もある。
活性化に成功すれば、ユニット1個ずつ移動する。移動途中で戦闘をするが、条件によっては移動終了になる。あるユニットの移動が終了すると、次のユニットが移動することになり、全部のユニットの移動が終われば、フォーメーションの活性化が終了する。

BCS-SNAFURoll

補給ルールもユニークである。後方から司令部に補給線をつなぎ、司令部から各部隊に補給線をつなぐのは一般的なゲームと同じだが、BCSにはCombat Train(補給段列)と呼ばれる専用の補給部隊が登場する。Combat Trainはフォーメーション別に与えられており、理想的には司令部の後方5~15Hexに位置している。また複数の司令部からなる補給ラインが交錯していると補給状況が悪化するという凝りよう。ルールはシンプルながらも補給線を分離して管理する重要性をさりげなく表現している。
下図はドイツ第7軍の各部隊への補給線を示している。画面右側に展開する276VGと212VGは補給線が個別に設定されているので補給線の交錯はないが、352VGと5FJは補給線が交錯しており、SMAFUロールで不利なDRMが適用される。

BCS-MSR

その他にも複数のフォーメーションが戦闘地域が重なっていれば不利な修正が適用されたり、司令部の指揮範囲からの自主的な逸脱は認められていないなど、いわゆる「ゲーム的な運用」を抑制する仕掛けが散りばめられており、好感が持てる。
ルールの量が多く、ルールブックの書き方も決して良いとは言えないためルールを読んだだけでは良く分からないゲームではあるが、一度プレイしてみるとシステム自体が自然に組まれているので理解できる。


さてここまでBCSのゲームシステムを紹介してきた。ここからは実際にプレイした内容を紹介してみたい。とはいえ、今回のプレイは練習プレイであったため僅か3Turn程度しか進まなかった。以下はセットアップ時の状況である。

写真00
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第1Turnは1944年12月16日。バルジの戦いと呼ばれるアルデンヌ攻勢の初日である。
ドイツ軍はオウル川(Our.R)にかかる橋が全て落されているため、戦車を渡河させることができない。しかし歩兵はゴムボートで渡河できる。しかも奇襲効果でボート利用による余分な移動力消費が発生しない。自然、最初の1日目は歩兵部隊が川を渡り、渡河点を確保して橋の修理完了を待つことになる。
ドイツ軍は南部右翼から第352国民擲弾兵師団がオウル川を渡河して西方へ前進。米軍の第28歩兵師団と第4歩兵師団の間を分断する。その左側面は第276、第212国民擲弾兵2個師団も前進するが、練度の低い国民擲弾兵なので左程激しくは前進できない。

写真02

第2Turn、オウル川の橋の修理が終わると、ドイツ軍第2装甲師団、戦車教導師団が歩兵部隊を超越して前線へ躍進する。部隊同士が混淆すると厳しいペナルティが適用されるBCSでは、装甲部隊が友軍歩兵部隊を超越して前進するのは容易ではない。それでもドイツ軍装甲部隊は友軍歩兵部隊を躍進して前進。クレルボー(Clervaux)付近で米第28歩兵師団の一部を拘束したのち、さらにその後方約20kmの要域バストーニュ(Bastogne)に突入する。
最終的には第3Turn(12月18日)に戦車教導師団の先鋒部隊がバストーニュに到達。急遽増援に現れた米第101空挺師団の部隊を攻撃するも、これを撃破できなかった。

写真03

そんなこんなで今回の練習プレイは終了である。プレイ時間は約9時間。しかし途中の半分以上は無駄なお喋り時間だったので、プレイに専念すればもっと進んだと思う。

感想については既に何度か述べているが、BCSのシステムが非常に合理的なものなので感心した。確かにルールは多いが、決してプレイ不可能という訳ではなく、十分にプレイ可能な難易度である。またプレイ時間についても、1日のプレイで3~4Turn、2日間プレイなら6~8Turnぐらいは進みそうだ。同テーマの傑作であるシモニッチ・デザインの「Ardeness'44」でも2日間プレイなら精々10Turnぐらいなので、それよりもこちらの方が進みが良さそうだ(BCSは1Turn1日で、Ardeness'44は1Turn半日)。

今回は練習プレイということでホンの触りの部分をプレイしただけであったが、次回はキャンペーンシナリオに挑戦してみたい。



表紙

「長元記」(以下、本作)は、Game Journal#80の付録ゲームだ。テーマは日本の戦国時代で、四国での戦いを作戦レベルで描いている。
本作のシステムは所謂「戦国群雄伝シリーズ」で、1Turnは実際の1週間、1Hexは実際の約6kmに相当し、マップには四国全域と淡路島の南端、山陽地方の沿岸地帯の一部が描かれている。1ユニットは500~1000人程度の兵力を表している。

今回、本作に挑戦してみた。

前回までの展開 --> こちらく

シナリオ4.中冨川原

十河存保 前回のシナリオ3は仮想戦だったが、今度はヒストリカルシナリオである。本能寺で織田信長が討たれたことで小康を得た長宗我部勢は、この機会に一気に四国平定を図る。本シナリオは長宗我部元親の四国平定戦、その一部である讃岐・阿波方面での長宗我部元親と十河存保の戦いを描いたものである。私は劣勢の十河勢を担当した。

長元記06


長宗我部元親 兵力は、長宗我部元親率いる長宗我部勢は計46ユニット。対する十河存保勢は16~17ユニット。長宗我部勢が約3倍の優勢を得ている。まともに戦えば長宗我部勢の優位は動かない。が、今回は勝利条件にハンディキャップが付けられており、長宗我部勢は相手方よりも6点以上多いVPを獲得しなければ勝てない。

この状況で十河方の戦い方を考察すれば、自らの失点をできる限る押さえつつ、遅退戦術で時間稼ぎをする。まともに戦えば勝てないので、長宗我部勢の時間切れで勝機を見出す。

実際の展開を簡単に記す。
長宗我部勢は二手に分かれて阿波領内に攻め込んでくる。その主力は白地城から吉野川沿いに東へ向けて進んでくる。十河方の防衛ラインは吉野川中流域にある岩倉城。岩倉城前面に攻め込んできた長宗我部勢と十河勢が大規模な合戦を戦う。後の世に言う「岩倉の戦い」である。

この戦いでは兵力に勝る長宗我部勢が十河勢を圧倒。出目の悪さも手伝って十河勢は全軍崩壊して後退していく。不幸中の幸いは一方的な敗北にも拘らず十河勢の失ったユニット数は2ユニットのみ。何とか回復の可能性を残した敗走であった。

ここで十河側は馬鹿正直に合戦に応じたが、自城のヘクスに位置していた場合、合戦を拒否することができる。ただし通常の野戦は拒否できない。合戦ではなく野戦の場合、1部隊同士の戦いになるので、長宗我部勢の数的優勢をある程度緩和できる。また地形効果や指揮官の能力で十河側が勝っているので、今回のような惨めな大敗を喫することなく遅退戦術が可能であったと思われる。

新開実綱その後、十河勢は本城である勝端に後退。十河方の武将で牛尾城を守る新開実綱は、長宗我部勢の奸計により暗殺されてしまい、牛尾城は長宗我部の元へ。先に合戦が戦われた岩倉城も長宗我部勢が奪取した。さらに長宗我部勢は、主力の長宗我部元親と同信親の部隊が十河氏の本城である勝端城に迫る。勝端城危うし。

その時、十河氏は奇策を取った。勝端城をワザと解放状態にして長宗我部勢を誘い出す。そして折からの大雨で吉野川の水嵩が増したことを見計らって十河勢主力を長宗我部勢の背後に集結させる。先の「岩倉の戦い」で敗北した十河勢であったが、合戦から約1ヶ月経過した後ということもあり、十河方の兵力は決戦が可能なレベルまで回復していた。
士気-1大雨による増水で連絡線を断たれた長宗我部勢は浮足立つ(士気-1)。そこへ立ち直った十河勢が猛攻撃を加えた。後に言う「中富川の合戦」である。今回も兵力では長宗我部勢が優位にたっていたが、前回とは違って兵力の半数が城攻めに回っていた長宗我部勢に対し、十河勢は稼働兵力のほぼ全部をこの合戦につぎ込んだ。その結果兵力比は前回の「岩倉の戦い」よりも十河勢に有利になっていた。

指揮能力の違い(十河存保は長宗我部元親よりも野戦能力が1つ高い)と連絡線切れによる混乱により長宗我部勢は十河勢の猛攻を阻止できなかった。さらに戦場が敵地であり背後を押さえられていることから、長宗我部勢はこの戦いで大敗北を喫した。これにより継戦能力を失った長宗我部勢は阿波の国内から下がるしかなかった。

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感想だが、小粒ながらも色々と考える所の多いシナリオである。兵力的には長宗我部勢が圧倒的に優勢だが、吉野川沿いの急峻な地形、十河勢の指揮能力の高さなどを加味すると、十河勢にも付け入る隙はありそうだ。実際、今回のシナリオで十河勢が勝利を収めたように・・・。

全体の感想

小粒ながらも良くまとまった作品である。練習用のシナリオである1,2はとにかく、その他のシナリオはいずれも遊べそうな内容だと思う。兵力差が結構ハッキリしている上、質的な優劣が少ないため、兵力の大きい側が一方的に押す展開になりがちだ。しかし内線と外線の使い分け、シナリオでのハンディキャップの設定等もあって劣勢側でもある程度は戦えるようになっている点は評価したい。さらに言えば、各シナリオの長さが最大でも20Turnと短く、登場するユニット数も手頃なので、1日あれば十分にフルターンをプレイできる。
四国の戦役自体はややマイナーだが、登場する武将たちは、長宗我部元親、羽柴秀吉、丹波長秀といったメジャー所なので、そういった意味からでも楽しめる作品だ。

長元記00


「長元記」(以下、本作)は、Game Journal#80の付録ゲームだ。テーマは日本の戦国時代で、四国での戦いを作戦レベルで描いている。
長宗我部元親本作のシステムは所謂「戦国群雄伝シリーズ」で、1Turnは実際の1週間(当時1週間という単位はなかったと思うのだが・・・)、1Hexは実際の約6kmに相当し、マップには四国全域と淡路島の南端、山陽地方の沿岸地帯の一部が描かれている。1ユニットは500~1000人程度の兵力を表している。
本作には6本のシナリオが用意されており、それぞれ1569年から1585年までの特定の期間を扱っている。6本の内訳は、ショートシナリオが3本、大型シナリオが3本だが、一番大規模なシナリオ5にしても長さは20Turnが最大なので、1日あれば十分プレイし終えることができる。

今回、本作に挑戦してみた。


シナリオ3.天魔王襲来

神戸信孝このシナリオは、本能寺の変の時期を扱ったシナリオだが、「もし本能寺の変が起こらずに織田信長が当初の予定通り四国平定戦を行っていたならば」という仮想設定を描いたシナリオである。四国平定を目指す長宗我部と、長宗我部を撃破してやはり四国平定を目指す織田・反長宗我部連合軍の戦い。私は織田・反長宗我部陣営を担当した。

長宗我部信親 長宗我部陣営は、長宗我部、金子、香川、羽床の各氏からなる。ユニット数は長宗我部27、その他11の計38ユニット。対する織田・反長宗我部陣営は、神戸信孝率いる織田本隊と三好、十河、奈良、香西ら東部方面軍が30ユニット、河野、西園寺の西部方面隊が20ユニットで、合計50ユニット。兵力的には織田・反長宗我部陣営が約30%優位に立っている。
では指揮官の能力はどうか。長宗我部陣営は、総大将の長宗我部元親は3-2-3。また長宗我部家の武将は、長宗我部信親(3-3-2)、香宗我部親康(3-2-3)、久武親直(3-2-3)等、さらに中小大名は金子元宅(3-2-3)、羽床資戴(3-3-2)等、それなりに有力な顔ぶれである。

丹波長秀 対する織田・反長宗我部連合の方。総大将の神戸信孝は2-1-3と少し寂しいレーティングだが、副将格の丹波長秀が2-2-4で両軍通じて数少ない行動力4を誇り、さらに阿波を支配する十河存保は3-3-3と全ての面でバランスが取れた能力を有している。一方で伊予方面の地侍である河野道直が2-2-2、西園寺公広が3-1-2でちょっと寂しい一方、西園寺家の土居清良は3-4-3と突出した能力を誇っている。

長元記01


両軍の配置を見ると、織田・反長宗我部方は東四国の讃岐・阿波方面に神戸信孝、丹波長秀、十河存保ら計30ユニット。伊予方面には河野氏と西園寺氏の20ユニットである。対する長宗我部氏は、金子氏、香川氏、羽床氏といった小大名が西讃岐から東伊予にほぼ固定配備されているが、主力である長宗我部は自陣営領内でかなり自由配置が認められている。従って兵力的には劣る長宗我部が本シナリオでは主導権を握っていることが理解できよう。

今回の展開を簡単に触れておく。
西園寺公広長宗我部は主力を西伊予へ投入。西園寺、河野氏といった中小大名に対して攻勢を仕掛ける。一方、織田方主力が登場する讃岐・阿波方面には香宗我部親康、久武親直らが数ユニットを率いて出陣し、羽床、香川らと共に遅退戦術を行う。長宗我部の意図は、西伊予方面で攻勢を仕掛けて城を落してVPを稼ぎ、讃岐・阿波方面では遅退戦術で時間を稼ぐ、というものであったと推測する。

西伊予では、まず黒瀬城(現在の西予市付近)を本拠とする西園寺氏が長宗我部主力による攻撃を受ける。指揮能力や兵力に劣る西園寺氏は城郭を盾に抵抗する。しかし長宗我部も兵力をバラしたため、城攻めをするだけの兵力はない。

長元記02


十河存保 一方の讃岐・阿波方面は、淡路島を拠点とする織田方は、神戸信孝、丹波長秀らが率いる主力部隊が渡海してくる。そして阿波一帯と東讃岐に地盤を持つ十河存保と合流し、讃岐・阿波方面の長宗我部勢を追う。
讃岐に攻め込んだのは十河存保。同方面には長宗我部方についている香川信景(2-1-2)、羽床資戴らが布陣している。十河存保は反長宗我部方についた地侍の香西佳清(2-1-2)と共同で長宗我部勢を攻撃する。羽床資戴は能力に優れた武将であったが、それでも能力と兵力の両方で勝る十河存保に抗すべくもなく、野戦の末壊滅する。

長元記03


香宗我部親康一方、吉野川沿いには丹波長秀が主力を率いて長宗我部勢副将格の香宗我部親康率いる機動兵力を攻撃する。丹波長秀の後方からは神戸信孝、三好康長(3-1-3)らが続き、その兵力は香宗我部親康勢の2倍を超える。そのため香宗我部親康は前線を支えきれずにズルズルと後退を余儀なくされる。

長元記04


最終的には羽床資戴勢は十河存保らの攻撃を受けて壊滅。香川信景も城に囲まれて動きが取れなくなる。こうして十河存保は讃岐一帯を制圧した。
阿波方面は後退を続ける香宗我部親康が阿波方面における長宗我部勢策源地である白地城(現在の阿波池田付近)まで追い詰められ、さらに白地城から追い出される所まで追い詰められた。一方の西部戦線では長宗我部勢が攻勢側に立っているものの、西園寺、河野両氏の遅退戦術に阻まれて勢力拡大には至らない。
ここに至って長宗我部勢は防衛戦を放棄。織田信長との和平交渉に応じることとした。つまり長宗我部勢の投了である。

長元記05


感想だが、全般に兵力に劣る長宗我部勢の不利は否めない。しかもこのシナリオには一切のハンディキャップがなく、純粋に奪取した敵城と除去した敵武将のみがVP源となる。総兵力に劣る長宗我部勢としては、織田方主力が登場してくる讃岐・阿波方面で如何にして無駄な失点を防ぎつつ、西伊予方面で戦果を挙げて失ったもの以上の戦果を収める必要があろう。長期戦では万に一つも長宗我部勢に勝ち目はないが、幸いこのシナリオはたった10Turnの短期シナリオだ。上にも述べた通り主導権は長宗我部勢にあるのだから、長宗我部勢は苦しいながらも綱渡りで勝利を狙うことは十分可能だと思う。

つづく


「ドイツ装甲師団長2」
(以下、本作)は、2012年にGame Journal#43の付録ゲームとして発表されたシミュレーションゲームである。テーマはWW2東部戦線における独ソ師団規模部隊同士の激突で、1ユニット=1個中隊、1Hexは750~1500m、1Turnは2~3時間で再現する。

本作のシステムについては、 以前に紹介した「SS装甲師団長」 と殆ど同じである(というよりも「SS装甲師団長」の方が本作にシステムを西部戦線に適用したものである)。従ってシステム等については、当該記事を参照されたい。

今回、本作を対人戦でプレイしてみた。

第1戦

SO_T34_85下名はソ連軍を担当する。任務は「突破」と「消耗」である。「突破」で勝つためには前半戦でユニットを敵側の盤外に突破させなければならない。しかし相手が対応してきた場合、「突破」を達成するのは必ずしも容易ではない。そこで「突破」の達成を目指して部隊を広く展開させつつ、マップ中央付近の市街地ヘクスを占領する。市街地ヘクスを占領すれば、ドイツ側はそこを取り返すために攻撃してくるだろう。そこで相手を消耗戦に引きずり込み、勝利条件を達成する、という寸法だ。その時注意すべきは敵に市街地ヘクス過半数の占拠を許さないことで、もし敵の勝利条件が「占領」だった場合、こちらが「消耗」の勝利条件を満たしても、VP差で負けてしまう。こちらが「消耗」の条件を満足させつつ、敵側の「占領」を阻止するのが当方の勝ち方になる。

以下は第2Turn終了時の状況。マップ中央を挟んで両軍が対峙している。

G1_Turn02a
G1_Turn02b


GE_SG ソ連軍はマップ中央の都市ヘクス前面で陣地を構築してドイツ軍と対峙しつつ、左翼から快速を誇る中戦車群で突破を図る。また戦線右翼からも側面突破を試みる。戦線右翼では、両軍の戦車が激突し、ソ連側T-34/76戦車中隊1個が混乱状態となってしまう。

G1_Turn03a
G1_Turn03b


第4Turnには戦線左翼でのソ連軍の突破成功が決定的となり、戦線右翼でもドイツ側の4号戦車中隊1個を包囲攻撃で葬っていた。

G1_Turn04a


第5Turnでソ連軍快速戦車中隊3個が戦線左翼から盤外への突破に成功した時点でソ連側の勝利が明らかになったため、この時点でゲーム終了となった。ここまでの所要時間はセットアップを除けば約2時間である。

G1_Turn05a


第2戦

GE_PzV昼食を挟んで2回目のプレイである。今回も下名はソ連軍を担当する。プレイ開始前にダイスを振って戦力を判定するのだが、その時ドイツ軍が"6"の目を出してしまい、恐るべき大規模部隊になった。その時は「ちょっと可笑しいなぁ」と思ったが、取り合えずこのままゲームを開始した。

ちなみにプレイ中にルール間違いに気づいた。戦力決定のダイスは一振りではなくユニットの種類毎に振るのが正しいルールらしい。かなり致命的な間違いであったが、やり直す時間もなかったのでこのまま継続することにした。

SO_122HZソ連側の命令は「阻止」と「消耗」である。残りは「突破」「威力偵察」「占領」の3つ。兵力に劣るソ連側としては「突破」「威力偵察」は絶対に阻止しつつ、後は最終Turn(第16Turn!!)まで都市ヘクスの半数を保持して「占領」任務を阻止して勝利するしかない。仮にその達成に失敗しても、その過程でドイツ軍に消耗を強いて最小限の勝利だけは達成したい。

G2_Turn02


果たせるかな、兵力と性能に勝るドイツ軍は、しかし慎重に前進してくる。ソ連側は最終防衛ラインだけではなく、その前面に陣地帯を築いて時間稼ぎを試みる。

G2_Turn03


ドイツ軍は兵力の優位を生かしてソ連軍の陣地線をジワジワと攻めあがってくる。ソ連側は時間稼ぎしつつも兵力の損耗を嫌って徐々に下がるしかない。

G2_Turn04a
G2_Turn04b
G2_Turn05


結局第8Turnまでプレイした。途中でティーガー重戦車2個中隊のスタックに対して砲撃を集中して混乱させた後、戦車部隊による包囲攻撃でまとめて殲滅するなど戦果を挙げたが、兵力の劣勢は如何ともし難く、都市ヘクスの過半数を失って敗退が決まった。

G2_Turn08


感想

GE_NHルールは簡単だが、少し癖がある。ZOCの扱い(進入及び離脱時に2MP必要)、障害地形の扱い(機動戦闘で障害地形内を敵を攻撃するためには"準備"マーカーの配置が必要)等がその例だ。まあ慣れれば大したことはない。
それよりも問題はシチュエーションの乏しさだろう。標準シナリオ及びキャンペーンシナリオの両方とも「ほぼ同数の両軍が遭遇戦を戦う」という状況しか再現できないのだ。本来であれば「敵よりも兵力は劣るが、遅退すれば勝利」とか「圧倒的な大兵力だが、損害を抑えつつ急速な突破が求められる」といったようなウォーゲームの「非対称性」に依る戦い方は本作とは無縁だ。さらに架空地図のマップも「箱庭」戦争感を強くさせる。総じていえばウォーゲームというよりもミリタリーチェスという感じだ。
結論から言えば、悪いゲームではないが、プレイバリエーションの低さが評価を下げる、といった所か。シチュエーションが特殊過ぎて(そもそも同兵力の遭遇戦なんてそうそうあるものではない)、それに合わせてシステムを合わせたことによる限界というのが私の感想である。

TigerTank


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