もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

タグ:オペドン

OpD



オペレーション・ドーントレスは、1944年6月のノルマンディ上陸作戦に伴うカーン西方の戦いを戦術レベルで再現したシミュレーションゲームだ。1ユニット=小隊~中隊、1Hex=425ヤード、1Turn=90分(夜間は330分)というスケールから分かる通り、やや大きめの戦術級ゲーム(戦術作戦級)と言って良い。なお、ヘクス径は一般的なゲームよりもかなり大きく、対辺距離は約36mm。普通のゲームの2倍近い大きさだ。

このゲームのマップはカーン西方約13kmにあるフォントネ・ル・プネル(Fontenay-le-Pesnel)周辺の実在地形を描いている。また登場部隊もドーントレス作戦に参加した英独両軍の実在部隊が表現されており、英軍は第49歩兵師団や第79機甲師団、ドイツ軍は第12SS装甲師団「ヒトラー・ユーゲント」や戦車教導師団等が登場する。
戦術級ゲームと言えば、仮想マップと汎用ユニットを使ったマルチシナリオ形式、というのが定番となっているが、本作は戦術級ゲームでありながら徹底して実在地形、実在部隊に拘った作品になっており、そのことが本作のリアリティを高めている。ただし、登場部隊のバリエーションが乏しく、特に米軍部隊が全く登場しないというのは少し寂しい。

今回、VASSALを使ったソロプレイで本作のキャンペーンシナリオに挑戦してみた。これまで何度か本作をプレイしたのだが、キャンペーンの結末を見る所までは行かなかった。そこで今回はキャンペーンの最終決着はどうなるのかを見てみたいと思う。

ちなみに選択ルールは、19.1「射撃統制」と19.7「イギリス軍の装弾筒弾」を採用した。

注:本作の解説動画を以下の通り作成したので、併せて見て頂きたい。



Turn00


1944年6月25日

0400

UK49D_A_RSF第1Turn特別ルールによって英軍はフォントネ・ル・プネル(Fontenay-le-Pesnel)に向けて真っすぐ前進しなければならない。さらに特別ルールで英軍は近接戦闘で特別に奇襲効果として2コラムシフトを得る。しかし平地からボカージュ地形へ飛び込む際のマイナス4シフトの方が遥かに効果が大きく、加えて近接戦闘能力でドイツ軍は様々な有利な修正がある。このTurn、フォントネ・ル・プネルの北東端のヘクスを巡って激しい戦闘が行われたが、ドイツ軍の損害は皆無で、英軍は歩兵4ステップを失った。英軍のRSF大隊は、早くも兵力の半数を失ったことになる。

Turn01


0530

先ほどの大出血を見て英軍は作戦を変更。フォントネ・ル・プネル前面に歩兵部隊を広く散開させつつ、塹壕を掘り始めた。塹壕工事中の友軍歩兵を機関銃部隊や戦車部隊で守る。そして広く散開してドイツ軍の防御線の弱点を探る。

0700

GE_Tiger_1_101英軍はせっせと塹壕掘りを進める一方、増援の戦車部隊や対戦車砲をフォントネ・ル・プネル前面に展開する。一方のドイツ軍は英軍の機甲戦力に対抗すべく、増援部隊を投入。ティーガー戦車中隊とヤークトパンター1個小隊をフォントネ・ル・プネル市街地から1200mほど南の高台(テセルの森)に配置する。ここは所謂「制高点」で、北から近づく英軍部隊を射すくめることができる。

0830

濃霧のTurnとしては最終Turnになる。英軍は歩兵1個大隊(TS大隊)を活性化し、攻勢に備える。一方のドイツ軍は最前線から装甲車、ハーフトラックを後退させ、英戦車からの直撃を避ける。

Turn04


1000

UK79AD_Churchill_82_RE天候が張れた。英軍は戦線の東側、中央、西側の三か所から攻勢を仕掛けた。東側は、フォントネ・ル・プネル東端の突出部に対してTS歩兵大隊とチャーチルAVRE戦車、シャーマン戦車からなる部隊が突撃を仕掛ける。戦車中心の部隊で戦線突破を図るが、ドイツ軍の抵抗は激しく、突破は成功しない。

戦線西側では、フォントネ・ル・プネルを外れた西側では、Linc歩兵大隊とクロコダイル火炎放射戦車等がポウデル川の渡河点を襲う。しかしやはりドイツ軍の抵抗が激しく、渡河点の制圧には失敗。さらにドイツ軍の反撃によってLinc大隊が2個歩兵中隊を失って戦闘力を失ってしまった。

英軍の攻撃で唯一成功したのが、戦線中央部である。村の中央を蛇行するポウデル川。ボウデル川が北から西へ向けて川の流れを変えた湾曲部に位置する渡河点を攻撃してきた英軍のHal歩兵大隊はドイツ戦車教導師団の歩兵中隊を撃破し、渡河点を確保した。

GELehr_2_654戦線東側、突出してきた連合軍の戦車部隊に反撃を加えるべく、ティーガー重戦車1個小隊とヤークトパンター1個小隊を同方面に派遣したドイツ軍。そのためにシャーマンやチャーチルAVREがドイツ重戦車、重駆逐戦車の射撃を受けて次々と撃破されていく。慌てて17ポンド砲やファイアフライ戦車が反撃の砲火を浴びせるが、重装甲を誇るドイツ戦車隊を撃破することはできない。

Turn05


2Turn後に気づいたのですが、ヤークトパンターは戦車教導師団所属なので、戦線右翼の第2SS装甲師団のHexに入れたのは違反でした。ティーガーは独立部隊なので自由に運用可能なので、ヤークトパンターも同一視してしまいました。完全なミスです。困ったな。しかもヤークトパンター自体が第7Turnからしか使えないじゃないか・・・。まあ知らなかったことにして先へ進もう・・・。

Turn05b


1130

UK49D_17pdr_217ATフォントネ・ル・プネル北東部のドイツ軍突出部に対し、歩戦連合の英軍部隊が攻撃を加える。激しい砲撃によってドイツ軍機関銃中隊を踏みつぶし、突出部に英軍戦車部隊が進出する。それに対して4号戦車が激しい砲撃を浴びせるが、効果なし。業を煮やしたティーガー重戦車小隊が前進。シャーマン戦車にステップロスの被害を与えたが、その発砲閃光を見た英17ポンド砲が距離500mからティーガーに対して集中射撃を浴びせる。虎の子ティーガー小隊1個が撃破されてしまう。

フォントネ村西部では、ポウデル川を渡河した英軍部隊が攻撃を継続。ドイツ軍戦車教導師団の歩兵部隊が守る防御陣地を攻撃。チャーチルAVRE重戦車の集中投入によってドイツ軍を追い払う。

Turn06


1300

UK8B_FireFly_A_24L英軍は増援ポイントを消費する。ファイアフライを装備した対戦車火力に優れた戦車中隊1個と、クロコダイル火炎放射戦車2個小隊を投入した。ファイアフライが前進してきたので、テセルの森に布陣したティーガー重戦車小隊が距離1250m(5Hex)から発砲した。それは外れたが、その発砲に対して反撃したファイアフライが距離750mで射撃し、これまた外れ。それに対してティーガーが発砲してファイアフライを見事に撃破。王冠が失われて弱体化したシャーマン小隊はコソコソと逃げるしかない(ファイアフライ装備の小隊は、ステップロスするとファイアフライが撃破されたとみなされ、対戦車火力がいきなり弱体化する)。

UK49D_CP_RSFフォントネ村では、チャーチルAVREとシャーマン、機械化歩兵からなる打撃グループを編制。近接突撃のよってドイツ戦車教導師団麾下の歩兵中隊を攻撃し、これを撃退した。また第2SS装甲師団戦区では、ドイツ軍歩兵中隊が守る拠点を英軍が3ヶ所から包囲攻撃。激しい砲撃によってドイツ軍歩兵小隊は壊滅。英軍は労せずして拠点を占領する。これで英軍はフォントネ村の全14Hexのうち、8Hexを占拠した。特にポウデル川西岸地区の戦車教導師団の戦区では、ドイツ軍の支配領域が残り2Hexまで減らされてしまう。

ドイツ軍はフォントネ村へ増援兵力を送るべく、第2SS装甲師団の75mm対戦車砲小隊と機械化歩兵中隊2個を投入した。

Turn07



UK_Churchill_AVRE


つづく

UK_U_Carrier


「Operation Dauntless」(以下、本作)は、1944年6月のノルマンディ上陸作戦に伴うカーン西方の戦いを戦術レベルで再現したシミュレーションゲームだ。1ユニット=小隊~中隊、1Hex=425ヤード、1Turn=90分(夜間は330分)というスケールから分かる通り、やや大きめの戦術級ゲーム(戦術作戦級)と言って良い。
本作のシステムについては、 以前の記事 で紹介済なので、詳細はそちらを参照されたい。

前回 はキャンペーンシナリオの序盤戦を紹介した。その時、選択ルールの採用がバランスをより悪化させているという意見が出たため、改めて選択ルールなしでキャンペーンシナリオを仕切り直すことにした。

私の担当は前回同様ドイツ軍である。

ここまでの展開 --> こちら

6Turn

UK49D_6pdr_AT_7DWR第12SS装甲師団戦区で防衛線の一角が破られた。英軍部隊がフォントネ村の東北端を占拠し、そこに拠点を構えたのである。同師団所属の4号中戦車は敵対戦車砲と激しく交戦。6ポンド対戦車砲2ユニットを撃破したが、敵の反撃によって4号戦車も2ステップの損害を出してしまう。あー、やはりティーガー重戦車が欲しい・・・。
敵対戦車砲の脅威を受けて、ドイツ軍戦車部隊はボウデル川のラインの南に下がる。

OpD16


7~8Turn

GE12SS_SP_12_26独軍戦車の後退によって戦車同士の戦闘がなくなったため、ゲームが淡々と進むようになった。英軍は確実にフォントネ村の支配領域を広げていくが、ドイツ軍も撤退しつつ英軍に損害を強いていく。
麾下歩兵の損害に業を煮やしたのか、途中から英軍はAFVだけによる通常戦闘で土地の占領を図ってきた。この方法は有効で(理由は後述)、英軍は大きな損害を受けることなくフォントネ村の支配領域を拡大していく。
ドイツ軍は第10Turnになると第12SS装甲師団に所属する強力なパンター戦車等を投入可能になるので、それまでは忍の一手だ。

第8Turnの終了時点までプレイして英軍はフォントネ村の5Hexを支配下におさめた。フォントネ村全体で14Hexなので、約1/3を支配下に置いたことになる。勝利条件的には、やはり独軍の勝利であった。

今回のプレイ時間はセットアップを含めて約8時間。デザイナーの見積値の約2倍である。

OpD17


教訓

今回のプレイで得た教訓をいくつか列挙してみた。

・戦車を単独で配置してはいけない。敵戦車スタックの良い餌になる。
・アクション終了時点における友軍装甲車両の配置に注意。敵前に放置していると敵側のアクションフェイズと戦闘フェイズで2回タコ殴りされるので、不用意に前線には置かない。
・歩兵の回復(ルール13.3)は重要。ステップロスした歩兵は速やかに後退させ、回復によりステップ回復させるべきである。補充(ルール13.2)よりも速やかにかつ確実に回復できる。適用範囲が広い(キャリア小隊やスカウト小隊も回復可能)な点にも注意せよ。
・平地から攻撃する際には可能な限り築壕すること。DRM-1の効果は予想以上に大きい。
・英軍は平地に歩兵2個中隊以上をスタックさせてはいけない。間接砲撃の好餌になる。
・通常戦闘の際、AFVのみによる攻撃は、意外と有効である。何故ならAFVは通常戦闘の戦闘結果の適用対象外になるので、攻撃側にリスクが殆どないのである(一寸ズルい気もしなくはないが)。
・通常戦闘で敵の後退が予想される際、後退路に平地(畑)があるのであれば、そこを射撃できる友軍ユニットを残しておくこと。後退時の干渉射撃(FF)によって損害を強いることが期待できる。
・ドイツ軍の場合、重戦車/重駆逐戦車と通常の中戦車をスタックのは有効である。重戦車/重駆逐戦車が敵戦車/対戦車砲からの盾になってくれる(撃破された時のショックが大きいので運用は慎重になるべきだが)。

感想

未だにドイツ軍が有利過ぎる感が強い。選択ルール19.1は個人的に好きなルールなのだが、ただでさえドイツ軍有利なゲームなので、対人戦では上記選択ルールは封印した方が良いのかもしれない。何とか英軍側の勝ち筋が見えてくれば良いのだが・・・。現時点では英軍にとって辛いゲームという印象は変わらない。キャンペーンシナリオで英軍を担当する場合には、強靭な精神力が必要になるだろう(あるいはキャンペーンシナリオ以外をプレイする手もある)。
とはいえ、本作のシステムはWW2における機甲戦闘を再現するのに極めて優れたシステムであると言える。システム面で本作の優れた点はいくつもあるが、小隊~中隊規模の戦術級ゲームでありながら戦車の性能や性格の違い(例えばティーガーとヤクトパンターの違い、ファイアフライの優秀さ等)が見事に再現されている点。あるいは歩兵戦車共同の重要性の再現。さらには大兵力による突撃が容易に大虐殺に変わってしまう点を見事に再現している点は感嘆するしかない。ライバルであるCSSが「砲兵のゲーム」であって機甲戦闘の再現性が今一つだったのに比べると、本作では戦車同士のハードバトルが見事に再現されている。もちろん、歩兵や砲兵に関する再現性も素晴らしい。ゲームバランスの面を除けば、本作は現在プレイ可能な小隊~中隊クラスの戦術級ゲームではベストワンだと思う。

惜しむらくは、(ゲームバランス以外の点として)「ドーントレス作戦」という些かマイナーなテーマを扱っているためにプレイされる機会が少ないこと。また連合軍の雄である米軍とロシア軍が登場しないことが挙げられる。できればこのシステムを流用して米独戦(ノルマンディとかアルデンヌとか)や独ソ戦テーマの作品をデザインして頂きたいものである。
あるいは現在戦(今流行の198x年WW3テーマ)等も面白そうだ。

M4



OpD00


「Operation Dauntless」(以下、本作)は、1944年6月のノルマンディ上陸作戦に伴うカーン西方の戦いを戦術レベルで再現したシミュレーションゲームだ。1ユニット=小隊~中隊、1Hex=425ヤード、1Turn=90分(夜間は330分)というスケールから分かる通り、やや大きめの戦術級ゲーム(戦術作戦級)と言って良い。
本作のシステムについては、 以前の記事 で紹介済なので、詳細はそちらを参照されたい。

前回 はキャンペーンシナリオの序盤戦を紹介した。その時、選択ルールの採用がバランスをより悪化させているという意見が出たため、改めて選択ルールなしでキャンペーンシナリオを仕切り直すことにした。

私の担当は前回同様ドイツ軍である。

OpD11


1Turn

英軍は前回の教訓により第1Turnは積極的な攻撃を行わない。フォントネ村の前面に進出して様子を伺う。

2Turn

GE12SS_Pz4_8_Pz12「今回はオーソドックスにプレイします」

という舌の根も乾かぬうちに、英軍プレイヤーは奇策を弄してきた。戦車を広く散開させて独軍陣地帯の後方に展開せしめてきたのである。しかしこの戦術は独軍にとってはチャンスである。散開した戦車は、戦車同士の接近戦に脆いのだ。4号戦車3個小隊をスタックした打撃部隊を編制したドイツ軍は、シャーマン戦車の小隊に対して接近戦を挑む。最初のシャーマンとの交戦で1ステップロスの損害を与えてこちらは無傷。幸先良し、ということになるが、シャーマンを殲滅できなかったため、突撃はこの時点で頓挫してしまう。ちょっと残念である。

OpD12


3Turn

UK8B_FireFly_A_24Lさすがに英軍は戦車を散開させる不利を悟ったのか、戦車を集結させて歩兵によって援護させる態勢に入った。この態勢だと独軍としても軽々しく接近戦を仕掛けることができなくなる。それでも独軍は強敵ファイアフライ戦車に打撃を与えるチャンスと見、霧の中、ファイアフライのスタックに対して戦車同士のドッグファイトを挑んだ。運命のチット引き。しかし霧の中なので攻撃側が有利な近接戦闘であったが、あまり良いチットが出なかったので戦車戦は不発に終わってしまう。

OpD13


4Turn

次のTurnから霧が明ける。敵中深くに入り込んでいた英軍はスリスリと撤退していく。また英軍はフォントネ村前面に突撃用の塹壕戦を構築。次turnにおける総攻撃準備に入る。

OpD14


5Turn

GE12SS_AT_12_26霧が晴れ上がった。青空に覆われたフォントネ村の前面では、激しい戦いが巻き起こる。
まず戦線右翼で戦いの幕が上がった。最前線に進出していた独軍装甲車に対してシャーマン戦車が射撃を加えてきた。装甲車は命中弾を受けて爆発する。それを見たドイツ75mm対戦車砲。シャーマン戦車に対して報復の射弾を見舞う。

「一撃必殺」

を期待したが、無情にも出目は低く、攻撃失敗。それを見たシャーマン戦車が75mm砲に対して反撃を仕掛ける。

「トーチカに守られた75mm砲が簡単に撃破されるはずはないさ」

と高を括っていたドイツ軍プレイヤー(筆者)は、英軍のダイス目に見事に裏切られる。英軍が出した出目はなんと"12"(2d6)。期待の75mm対戦車砲は序盤でアッサリと撃破されてしまった。これにより戦線右翼でシャーマンの跳梁を阻む手段が(一時的に)なくなってしまう。

ちなみに後で計算してみると、トーチカに守られた対戦車砲をシャーマン戦車の反応射撃で撃破できる可能性は、約8%(2d6で11以上、火力5の場合)であった。

戦線右翼でも英軍による跳梁が続く。装甲車やハーフトラックとシャーマン戦車では勝負にならない。霧が晴れる前に装甲の弱い車両群を後方に下げるべきであったか、と、後悔するドイツ軍であったが、後の祭り。白兵戦でのAFV支援効果に期待したドイツ軍の貧乏根性が裏目に出た感がある。ドイツ軍が失った装甲車/ハーフトラックは合計6ステップにも及んだ。
それでもフォントネ村を守るドイツ軍歩兵は善戦を見せ、各地で英軍の攻撃を撃退。強力な盤外砲撃を使って英軍に出血を強い続ける。フォントネ村の1ヶ所で防衛ラインを食い破られたが、その後の白兵戦で街の一角を取り返した。

GELehr_2_654ドイツ軍は増援としてヤークトパンター駆逐戦車を装備した第654重駆逐戦車大隊と4号戦車装備の戦車中隊を増援として投入した。前回活躍したティーガー重戦車は、コスパが良くない(選択ルールなしなので練度優越が使えない)ので今回は投入を見合わせる。

ティーガーは1ユニット(1ステップ)あたり3円、ヤークトパンターは同2円、4号戦車は同1円である。ティーガーは論外としても、ヤークトパンターも「割高」感は拭えない。しかし敵対戦車火器に直面した際、やはり重戦車/重駆逐戦車の重装甲は頼もしい。数が必要な分では4号戦車を揃え、強力な敵を排除する際には重戦車/重駆逐戦車と組み合わせる。いわゆる「ハイ&ローミックス」戦法が有効であると感じた。

重駆逐戦車と4号戦車の組み合わせは効果的で、前線に現れたシャーマン戦車に痛打を浴びせ続けた。シャーマン戦車6ステップと6ポンド対戦車砲2ユニットを撃破。こちらは4号戦車2ステップを失ったのみであった。それでも装甲の弱い4号戦車が6ポンド対戦車砲を前に逡巡する場面も見られ、対戦車砲の厭らしさを感じた。

OpD15


つづく


OpD00


「Operation Dauntless」(以下、本作)は、1944年6月のノルマンディ上陸作戦に伴うカーン西方の戦いを戦術レベルで再現したシミュレーションゲームだ。1ユニット=小隊~中隊、1Hex=425ヤード、1Turn=90分(夜間は330分)というスケールから分かる通り、やや大きめの戦術級ゲーム(戦術作戦級)と言って良い。
本作のシステムについては、 以前の記事 で紹介済なので、詳細はそちらを参照されたい。


前回 キャンペーンシナリオの練習としてソロプレイを紹介したが、今回は対人戦を試してみることにした。
選択したシナリオは、18.5「The Campagin Game Operation Dauntless」。1944年6月25日から始まるドーントレス作戦全般を扱った本作最大のシナリオである。
下名はドイツ軍を担当し、選択ルールは19.1「射撃統制」及び19.11「対砲兵射撃」を採用した。またプレイの前にシナリオ18.4「The Battle for the Parc」を2Turnほどプレイし、ルールの感覚を確かめた。

OpD01


1Turn

UK49D_B_Linc以前にも紹介したが このシナリオの最初の4Turnは濃い霧の中の戦いとなる。長射程兵器は一切使えず、隣接ヘクスすら射撃できない。攻撃方法は近接突撃(移動中に敵のヘクスに突入して戦うやり方)のみに限定され、その他の手段では敵を攻撃できない。
また第1Turnのみに適用されるルールとして、英軍の移動支援砲撃ルールがある。英軍の突撃直前の支援射撃を表現するルールで、第1Turnのみ近接突撃時に英軍側に有利な2シフトが得られる。
上記ルールに関連し、ある特定のヘクスに配置される英軍部隊は第1Turnに真っすぐ南に向けて移動し、ぶつかる敵に近接突撃を仕掛けなければならないルールがある。いわゆる「万歳突撃」ルールだが、2シフトが使えるので有利にも思えるが、ドイツ軍の堅固な防衛ラインにまともにぶつかることになるので、どこまで有利なのかはわからない。

今回英軍は支配下の3個歩兵大隊全力を以てフォントネ・ル・プネル(以下、フォントネ)のドイツ軍陣地に対して正面攻撃を実施した。しかし拠点に陣取るドイツ軍の防衛ラインは堅固であり、英軍は大損害を被り撃退された。英軍はフォントネを1ヘクスも占領できず、あまつさえ歩兵戦力多数を失うことになったのである。ドイツ軍の損害は歩兵支援用の装甲車2ステップのみであった。

OpD02
OpD03

2Turn

UK79AD_Churchill_141RACフォントネの正面突破が困難だと悟った英軍は、ドイツ軍の両翼を突破して戦線後方への雪崩れ込みを図る。戦線左翼(ドイツ軍から見た場合、左翼は西側)では、LINC歩兵大隊(薄緑)とHAL歩兵大隊(濃緑)がボウデル(BORDEL)川の浅瀬を渡って戦線後方に進入。こちたは渡河点をドイツ軍が押さえていたので、歩兵戦力のみによる浸透戦術だ(装甲車両は橋がないと川を渡れない)。

戦線右翼では、水障壁はないため、ドイツ軍戦線の外側を大きく迂回したRSF歩兵大隊(橙色)大隊がSRY戦車中隊所属シャーマン戦車の援護を受けつつフォントネ村の背後に回り込む。

OpD04


さらに英軍はチャーチル重戦車の改良型であるAVREとクロコダイル火炎放射戦車を増援として投入した。頑強なドイツ軍陣地に対する突破戦力の切り札を期待してのことである。

GE_Tiger_1_101ドイツ軍はなけなしの増援ポイントを投入して第101重戦車大隊所属のティーガー戦車3ユニットを増援として投入。戦線右翼に無造作に展開していたシャーマン戦車に対して果敢な近接突撃を敢行した。選択ルール19.1を採用していた効果もあって練度に勝るティーガー戦車(あのミハエル・ヴィットマンSS大尉が所属している)の威力は凄まじい。シャーマン戦車4ステップ(2個小隊)が瞬時にスクラップと化し、ティーガーの方は完全に無傷である。

OpD05


German_Michael_Wittmann_Tiger1


3Turn

UK49D_CP_RSFシャーマン戦車の損害に驚いたのか、英軍も戦車単独での布陣を改め、戦車と歩兵をスタックさせた。こうすることによってティーガーの練度面での優位を打ち消すことができるようになり、練度・性能に劣るシャーマン戦車でも反撃の可能性が生まれてくる。
連合軍は戦線後方での浸透戦術をさらに推し進め、ドイツ軍が守るテセルの森の一角を占領した。
戦線右翼では英RSF歩兵大隊が大きく迂回して戦線背後を伺う。

OpD06


4Turn

このTurnが霧の最終Turnである。英軍はドイツ軍の分散を強いるべく敵中後方に広く散開していた。
またフォントネ正面では、チャーチルAVRE特殊戦車に支援された部隊が、近接突撃によりフォントネの一角を漸く占領した。
ドイツ軍の方は、対戦車火力を強化するため第654重戦車駆逐大隊所属のヤークトパンター1ユニットを増援として投入した。そして重要拠点を中心に拠点防御を固めていく。

OpD07


JagdPanther_1944


5Turn

UK79AD_Churchill_82_RE 霧が晴れた。英軍はチャーチルAVRE特殊戦車を支柱としてフォントネの制圧地域を広げてく。またシャーマンはファイアフライ戦車もそれを直接・間接に支援する。ドイツ軍の戦車兵力はフォントネ正面には投入されておらず、フォントネ後方に回り込んだ英軍の殲滅に躍起となっていた。そのためフォントネ正面は連合軍戦車が跳梁する所となり、ドイツ軍の軽装甲戦闘車両は、連合軍戦車を避けるべく後退する他なかった。こうしてAFVよる優位を得たフォントネ正面の連合軍は、少しずつその占領地域を拡大していった。

フォントネの後方ではドイツ軍戦車の天下である。4号戦車やティーガー重戦車が連合軍の後方を断ちつつ包囲下にある英SRY戦車中隊のシャーマン戦車をなぶり殺しにしていた。連合軍は反撃したくても、下手に反撃するとARCによって倍返しを食らってしまうので、やられるがままであった。この戦線で失われたシャーマンはこのTurnだけで3ステップ(1.5個小隊)にも及び、その他歩兵部隊も3ステップを失っていた。

OpD08


6Turn

GE_ART_88mm英軍は歩兵1個大隊(DLI大隊=薄青)を増援として投入し、フォントネへの正面攻撃を実行した。しかし平地に2個歩兵中隊をスタックさせたことが致命傷になる。280mmロケット砲を含む強力な砲兵戦力を投入したドイツ軍。その間接射撃が致命的な威力を発揮した。突撃部隊は砲撃により大損害を被り、その上で低比率攻撃を強いられたため、歩兵2個中隊とキャリア1個小隊が壊滅。DLI大隊は一瞬にして戦闘能力を喪失した。
同じ頃、フォントネ南方へ浸透中であった英SRY戦車中隊とRSF歩兵大隊はドイツ軍の包囲攻撃を受けていた。重装甲を誇るチャーチルAVRE特殊戦車は、ドイツ軍の包囲を破って撤退を図ったが、ドイツ軍4号戦車からの射撃を側面後方から受けて撃破されてしまう。また先ほど来ドイツ軍戦車の攻撃を受けている英SRY戦車中隊のシャーマン戦車は、火力に勝るドイツ戦車の包囲攻撃を受けて壊滅した。また英RSF歩兵大隊の方も3個目の歩兵中隊を失い「崩壊」の適用を受けた。

OpD10
OpD11


この段階で英軍は攻撃力が失われたと判断。この時点でお開きとした。

感想

ここまでの所要時間はセットアップを含めて約6時間である。このシナリオは両軍とも大部隊同士が登場するが、所要時間としてはデザイナーの主張する見積値の約2倍であった(デザイナー氏は1~7Turnのシナリオで所要時間3~4時間と主張している)。

今回の展開としては、前回のソロプレイとほぼ同様の展開となった。正面攻撃の危険、兵力分散の不利などはソロプレイで判明していたので、英軍が兵力を散開させてきたときもそれほど慌てることはなかった。むしろフォントネに対する衝撃力が殺がれるので、兵力分散は有難いともいえる。勿論渡河点や制高点といった重要拠点は敵に奪われないようにする必要があることは言うまでもない。
勿論英軍としても独軍に散開を強要させるという意味で分散攻撃は有効だと思う。ただしあくまでも主攻勢はフォントネに向けられるべきであろう。

ちなみに英軍プレイヤーから選択ルール19.1は独軍に有利過ぎるのではないかという意見が出た。確かにこれまでの展開を見ていると本シナリオは元々独軍が有利な上、19.1を入れると練度に勝るドイツ軍がさらに有利になることは否めない。そういった意味でゲームバランスを取るという観点からは「選択ルールなし」というのが妥当という主張も頷ける。という訳で 翌日、選択ルールなしで再戦 することになった。

(個人的には19.1は戦車戦の雰囲気が出ていて好きなルールなので、些か残念ではある)



OpD


「Operation Dauntless」(以下、本作)は、1944年6月のノルマンディ上陸作戦に伴うカーン西方の戦いを戦術レベルで再現したシミュレーションゲームだ。1ユニット=小隊~中隊、1Hex=425ヤード、1Turn=90分(夜間は330分)というスケールから分かる通り、やや大きめの戦術級ゲーム(戦術作戦級)と言って良い。本作のシステムについては、 以前の記事 で紹介済なので、詳細はそちらを参照されたい。

今回、本作のキャンペーンシナリオを対戦することになったので、そのための事前準備として本作のシナリオをソロプレイで試してみた。選択したシナリオは「18.7 "Barracuda"」。1944年6月25日から始まるドーントレス作戦の最初の半日を扱うものである。キャンペーンシナリオの序盤戦を再現する。
今回、全てのルールを使用することにし、選択ルールは19.1「射撃統制」を採用した。

前回までの展開 --> こちら

6Turn

UK8B_FireFly_A_24L英軍は戦車兵力を強化するため、ファイアフライ戦車を装備したシャーマン戦車の1個増強中隊(スコードロン)を増援として投入した。さらに突撃支援用としてチャーチル重戦車に火炎放射器を装備した特殊車両2個小隊も増援に加わる。

英軍アクションフェイズ

フォントネ方面では英軍は慎重な動きを見せ、これまでのように強引に近接突撃を行うようなことはしない。それよりも独軍拠点の周囲を固め、次の戦闘フェイズで確実に奪取を図る方針である。

UK49D_Achilles_146ATそんな中、激しい戦闘が起こったのは、フォントネ西方地区、ボウデル川西岸地区であった。先ほどから猛威を振るっていたドイツ重戦車部隊に対し、正面から決戦を挑むべく17ポンド砲を搭載した強力なアキリーズ駆逐戦車3個小隊が、ドイツ重戦車の陣取る高地(テセルの森)に対して正面に布陣したのである。これに対してテセルの森に布陣するヤークトパンターが射撃距離約1200mで長砲身の88mmを発射。しかし砲手の腕が悪く初弾外れ(選択ルール19.1を見よ)。これをみたアキリーズは、直ちに反撃。的確な射撃を見舞ってヤークトパンターを葬った(選択ルール19.1を見よ)。

Turn06a


この時テセルの森の高地上にはティーガー重戦車の小隊が残っていた。兵力的には圧倒的に不利な状況でティーガーは射撃を諦める手もあったが、敵を目の前にして逡巡するを潔しとしなかった重戦車は、的確な射撃でアキリーズ数両を葬った(選択ルール19.1・・・、はここではあまり関係なかった)。

「しめた」

と思ったのか、顔を出したティーガーに対して選択ルール19.1を見ながら放ったアキリーズの17ポンド徹甲弾は歴戦の重戦車を一撃で粉砕した。こうして英軍を悩ませ続けたテセルの森にある対戦車拠点は制圧され、ボウデル川西南部地区で英軍は機甲部隊を自由に行動できるようになったのである。

UK_M10C_Achilles


英軍戦闘フェイズ

UK49D_D_TS英軍は独軍拠点2か所を占拠すべく攻撃を敢行する。まずヘクス1211への攻撃。額面値で既に4:1。しかも包囲攻撃、戦車支援アリという状況で「これは楽勝」と思われていたが、そうは問屋が卸さない。ここで発揮された独軍の突撃破砕射撃の威力は、まさに破壊的であった。平地を漫然と突撃してきた英軍兵士は、間接射撃の恐るべき破壊力を思い知ることになる。

Turn06b


GE12SS_1_Werfr2独軍がこの時投入したのは、火力9を誇る88mm砲と火力8の280mmロケット砲。いずれも独軍砲兵部隊の中では最強を誇る部隊だ。このうちロケット砲は1回しか使えないまさに「虎の子兵器」である。通常はDRM+5とか+6とかで行われる間接射撃(2d6)で、いきなり+11とか+12とかのDRMが適用されたのである。英軍は一気に3個中隊の歩兵を失い、突撃戦力は半減以下になってしまう。しかもコラムシフト3のおまけつき。最終戦闘比は1:2となり、圧倒的有利であった筈の戦闘は、いきなり自殺突撃に早変わりした。

教訓:歩兵による平地からの突撃は自殺行為である。

それでもさすがは英軍である。出目9(2d6)を出して1/1という互角の結果に持ち込んだ。損害を嫌がった独軍は拠点を捨てて後退し、英軍がそこを占拠し、なんとか当初の目的は達成した。

ちなみにこの時点で英軍は前線に投入した歩兵大隊4個のうち2個が「崩壊」状態、もう1個も半壊していた。崩壊状態についてはシナリオ特別ルールにより「3個歩兵中隊を失った大隊は崩壊し、全ユニットが除去される」というルールがあり、途中から適用漏れに気づいたが、敢えて無視した。いずれにしても今回のような状況が対人戦で起こったら、英軍プレイヤーは戦意を失って投了しているだろう。

英軍はヘクス1111に対しても攻撃を実施した。当初こちらの方が苦戦を予想されていたため、英軍は多数の重砲支援を投入した。これが功を奏して間接射撃によりドイツ歩兵中隊に1ステップロス。戦闘自体も最高比の5-1となり、戦闘結果0/4となってドイツ歩兵中隊は壊滅(後退限界を超えていた)。英軍は戦闘後前進で歩兵と機関銃を前進させて地歩を広げた。

この時点でフォントネ全14ヘクスのうち、英軍は10ヘクスを支配。独軍の支配は4ヘクスを残すのみであった。

Turn06c


独軍アクションフェイズ

GE12SS_2_Flak12ドイツ軍は重戦車戦力を強化すべく、最後のヤークトパンターを増援として投入した。そして壊滅したテセルの森の対戦車拠点を再度立て直すべく、ヤークトパンター2個小隊を同地に送り込んだ。しかしこの高地は既に英軍駆逐戦車の射撃管制下にある。果してどこまで耐えられるか・・・。

この時のドイツ軍は、全く異なる兵種である対戦車砲が欲しい所だろう。対戦車砲であれば駆逐戦車の17ポンド砲など恐れる必要はないからだ。

一方、フォントネ東部では、孤立していたチャーチルAVREに対してティーガー戦車が近接戦闘を仕掛けた。技量に勝るティーガー大隊は戦術アドバンテージを得て有利に戦いを展開(選択ルール19.1を見よ)。性能の優越と相まってチャーチルAVREを葬った。

独軍戦闘フェイズ

独軍は1012に包囲した英軍キャリア部隊を殲滅せんと攻撃を仕掛けた。戦闘比は5-1の最高比であったが、出目は最低の2(2d6)で、ドイツ軍にとっては残念な結果に終わった。

Turn06d


つづく

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