「ドイツ装甲師団長2」 (以下、本作)は、2012年にGame Journal#43の付録ゲームとして発表されたシミュレーションゲームである。テーマはWW2東部戦線における独ソ師団規模部隊同士の激突で、1ユニット=1個中隊、1Hexは750~1500m、1Turnは2~3時間で再現する。
本作のシステムについては、 以前に紹介した「SS装甲師団長」 と殆ど同じである(というよりも「SS装甲師団長」の方が本作にシステムを西部戦線に適用したものである)。従ってシステム等については、当該記事を参照されたい。
今回、本作を対人戦でプレイしてみた。
第1戦

以下は第2Turn終了時の状況。マップ中央を挟んで両軍が対峙している。

第4Turnには戦線左翼でのソ連軍の突破成功が決定的となり、戦線右翼でもドイツ側の4号戦車中隊1個を包囲攻撃で葬っていた。
第5Turnでソ連軍快速戦車中隊3個が戦線左翼から盤外への突破に成功した時点でソ連側の勝利が明らかになったため、この時点でゲーム終了となった。ここまでの所要時間はセットアップを除けば約2時間である。
第2戦

ちなみにプレイ中にルール間違いに気づいた。戦力決定のダイスは一振りではなくユニットの種類毎に振るのが正しいルールらしい。かなり致命的な間違いであったが、やり直す時間もなかったのでこのまま継続することにした。

果たせるかな、兵力と性能に勝るドイツ軍は、しかし慎重に前進してくる。ソ連側は最終防衛ラインだけではなく、その前面に陣地帯を築いて時間稼ぎを試みる。
ドイツ軍は兵力の優位を生かしてソ連軍の陣地線をジワジワと攻めあがってくる。ソ連側は時間稼ぎしつつも兵力の損耗を嫌って徐々に下がるしかない。
結局第8Turnまでプレイした。途中でティーガー重戦車2個中隊のスタックに対して砲撃を集中して混乱させた後、戦車部隊による包囲攻撃でまとめて殲滅するなど戦果を挙げたが、兵力の劣勢は如何ともし難く、都市ヘクスの過半数を失って敗退が決まった。
感想

それよりも問題はシチュエーションの乏しさだろう。標準シナリオ及びキャンペーンシナリオの両方とも「ほぼ同数の両軍が遭遇戦を戦う」という状況しか再現できないのだ。本来であれば「敵よりも兵力は劣るが、遅退すれば勝利」とか「圧倒的な大兵力だが、損害を抑えつつ急速な突破が求められる」といったようなウォーゲームの「非対称性」に依る戦い方は本作とは無縁だ。さらに架空地図のマップも「箱庭」戦争感を強くさせる。総じていえばウォーゲームというよりもミリタリーチェスという感じだ。
結論から言えば、悪いゲームではないが、プレイバリエーションの低さが評価を下げる、といった所か。シチュエーションが特殊過ぎて(そもそも同兵力の遭遇戦なんてそうそうあるものではない)、それに合わせてシステムを合わせたことによる限界というのが私の感想である。