もりつちの徒然なるままに

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タグ:歴史

海軍水雷史

海軍水雷史刊行会

大東亜戦争時(太平洋戦争)における日本海軍の水雷について扱った著作である。1000ページ以上にも及ぶ大作で、大きく分けると「兵器」に関する部分と「制度、組織、用兵及び戦史」に関する部分に分けられる。扱う分野は「兵器」は魚雷、機雷、爆雷、「制度、組織、用兵及び戦史」については水上艦艇、航空雷撃、潜水艦、対潜戦、機雷戦、特攻作戦等に触れている。旧海軍の水雷戦についてはバイブル的な著作で資料的価値は大きい。また実際に水雷戦に関わった人たちの赤裸々な思いが綴られている著作でもある。旧海軍軍人の著作なので旧海軍に対する評価が甘く、特に戦果判定についてはかなり甘目の判定であることは否めない。
個人的に興味を惹いたのは、米海軍の魚雷に対抗する魚雷妨害装置に関する記述と、対潜戦に関する記述である。特に後者は「米潜水艦にやられっ放し」という評価が一般に定着しているため、筆者たちの「憤懣やるかたない」思いが伝わって興味深い。

お奨め度★★★★

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戦史叢書-海軍航空概史

良い世の中になったものである。戦史叢書がネットでいつでも読めるようになった。本誌は海軍航空隊の発祥から発展、支那事変や大東亜戦争における戦いについて概要を記した著作である。純粋な戦史としてみれば概要レベルにとどまっているが、本書では海軍航空隊の戦術や燃料事情、搭乗員育成問題、組織変遷についても触れている。日本側の視点からの著作なのでかなり身びいきと思われる記述もあるが、全般的には公平な内容であり、日本海軍航空隊の弱点についても触れられている。

お奨め度★★★

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United States Naval Aviation 1919-1940

E.R.Johnson McFarland & Company Inc

タイトル通りWW1とWW2との間、所謂戦間期における米海軍の航空機について扱った著作である。内容は個々の機体解説、航空機搭載艦についての解説であり、どちらかといえばハードウェアの説明が主である。ソフトウェア、すなわち運用や戦術に関する記述はメインではない。航空機といっても量産された機体ばかりではなく、1機しか製造されなかった試作機や実験機のような機体も取り上げられている。また戦間期の米海軍航空兵力を語る上で欠かせない「空気よりも軽い航空機」、すなわち飛行船についても多くのページを割いている。本書を読むと米海軍が航空兵力の一翼を担う存在として飛行船を重視した様が良く分かる。
戦間期の航空機といえば日本では資料が少なく、そういった点からも貴重な著作と言えるだろう。

お奨め度★★★★

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Mine Warefare History and Technology

機雷戦の歴史について知りたくて購入したが、機雷戦に関する記事は全体の1/7程度であった。その他は、2014年前後における国際軍事情勢に関するレポートで、イラン、北朝鮮の核武装、中国の軍事近代化、アルカイダやイスラム国のテロリズムについて触れられている。個人的にはやや期待外れかな。

お奨め度★★

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Cruisers of the US Navy 1922-1962

Stefan Terzibaschitsch Naval Institute Press

オマハ級からロングビーチに至る計20種類の米巡洋艦について、それぞれの仕様と個艦別の簡単な艦歴を記載した著作である。また所謂「正統的な」巡洋艦以外にも、アラスカ級大型巡洋艦、指揮巡洋艦ノーザンプトン、饗導駆逐艦(対潜巡洋艦?)ノフォーク、さらには鹵獲艦プリンツオイゲンなども取り上げられている。大型書籍で計300ページ以上の内容だが、中身は写真が多く、通読するのにそれほど時間はかからない。本書で興味を惹くのは、戦後型の各種ミサイル巡洋艦で、クリーブランド級やバルチモア級を再生利用したボストン級、アルバニー級、ガルベストン級、リトルロック級などである。これは紹介される機会が少ないだけに興味深く読めた。
初版が1988年とやや古く、タイコンデロガ級巡洋艦や当初はフリゲートに類別されていたリーヒ級、ベルナップ級、カリフォルニア級、ヴァーニジア級などが紹介されていないのがちょっと寂しいが、まあ仕方がない。

お奨め度★★★

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