もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

タグ:西国の雄

写真00b


「西国の雄」 (以下、本作)は、 以前に紹介した「信玄上洛」 と同じく、群雄伝シリーズの作品である。「信玄上洛」が(結果的にではあるが)群雄伝シリーズの第1番目の作品となったのに対し、本作は比較的後期の作品になり、システム的にも洗練されたものになっている。本作の舞台は中国地方における毛利、大内、尼子の三つ巴の戦いで、別々の時期を扱う4本のシナリオが用意されている。
今回、本作を対人戦でプレイすることになった。

前回はシナリオ1「折敷畑の戦い」 について紹介した。

シナリオ3「郡山の戦い」

イメージ 15


尼子晴久時間がまだ十分あったので、もう1本シナリオをやりましょう、ということで、シナリオ3「郡山の戦い」をプレイしてみた。これは若き日の毛利元就の活躍を描いたシナリオで、出雲を支配する尼子氏と毛利氏との戦いを描いたものである。毛利方の兵力は5ユニット10ステップ。対する尼子氏は37ユニット74ステップ。兵力差は圧倒的で、まともに戦えば毛利方に勝ち目はない。しかし毛利方は指揮能力において勝っており、かつ本城である郡山城一点を守っていればよい。自城のヘクスでは合戦を回避できるため、尼子の武将が個別に元就と戦う必要があり、兵力の優位を生かしきれない。また毛利方は本城なので補充能力が高い。従って郡山城に毛利全軍がスタックしている限り、郡山城は難攻不落の要塞になる。

とはいえ、それだけなら単に「岩山に卵をぶつける」だけの単純なゲームになるのだが、そこに一捻り加えているのが面白い所。ゲーム途中から毛利方の友軍として大内勢26ユニット(52ステップ)が登場する。尼子勢はあえて郡山城を落とさなくても、例えば毛利の持ち城である高松城を落として、あとは逃げ切っても勝利条件的には勝利が可能だ。毛利勢は郡山城にいてこそ無敵だが、城から離れた瞬間脆弱な存在となる。そのための大内勢だ。大内の援軍が安芸に到着した時こそ、本当の戦いが始まるといって良い。

写真13


下名は毛利・大内側を担当する。

このシナリオについては詳細な記録をつけていなかったので、概略を記するに留める。
尼子久幸序盤、定石通り尼子の大軍が郡山城を囲むが、郡山城に対する攻撃は一向に功を奏さず、徒に尼子側の損害だけが増えてくる。業を煮やした尼子勢は郡山城を後方に残したまま南下。尼子方の武将本城常光(2-2-2★)が高松城を包囲しこれを落城。尼子久幸(2-2-3★)、尼子誠久(2-1-3★)は大内方の城郭である八尾城、神戸城などを伺う。

やがて高松城が陥落。毛利の城が1つでも落城すると大内氏が介入してくる可能性がある。確率は毎Turn1/6であるが、2ターン目に大内参戦の目が出たので、大内の大軍が陶晴賢、江良房栄、吉見正頼らに率いられて安芸国に入る。安芸南部の銀山城、鏡山城、竹原城あたりが焦点となるが、大内が重視した竹原城は、増援部隊の到着が間に合わず、城主である小早川奥景(2-1-2★)は切腹して果てた。

写真14


大内軍は目標を銀山城に変更。銀山城は安芸南部に位置する尼子の城郭である。銀山城が実は安芸から尼子勢を追い出すキーストーンとなるのだが、こんな田舎の小城がまさか戦略的な要域になるとは・・・。だから戦略は難しい。そしてウォーゲームは面白い・・・。

宍戸隆家銀山城を攻め落としたのは、大内きっての名将、陶晴賢。銀山を拠点とした大内勢は北上への道が開ける。また銀山の落城と前後して郡山の毛利が動いた。尼子の出城である日野山と尼子が奪取した高松城の間に毛利方武将である宍戸隆家を出陣させた。

本城常光驚いたのは、高松城を守る尼子方武将本城常光である。いきなり後方連絡線を遮断され、補給切れに陥ってしまう。しかしそれに対処する尼子方の予備兵力も今や乏しい。本城常光は高松城を捨てて後退。石見に向けて北上していく。さらに予備兵力捻出と戦線整理のために安芸南部に布陣していた尼子方の諸将が次々と北上を開始。出雲との国境付近まで後退していく。
高松城に抑えの兵力を残し、陶晴賢が遂に郡山城に入った。これにより郡山城を守っていた毛利元就はフリーハンドになった。いよいよ野戦能力と機動力で他を圧する毛利元就が動き始める。狙いは石見山中を彷徨う尼子方の本城常光。士気が低下したままの状態で回復の目途が立たず、何とか尼子の勢力圏まで後退を図る。その背後を追う毛利元就。本城常光の運命は正に風前の灯火である。

写真15


といった所でお開きとした。尼子側プレイヤーによるとこの時点で勝ち目なしと見たとのこと。私の見た所では、まだ絶望的な状況でもないようにも思えるが・・・。まあ、それはそれとして・・・。

ゲーム終了まで後5Turn残した状態での終了となった。全体で20Turnのシナリオなので、全体の3/4が終了したことになる。プレイ時間はセットアップ等を除いて約3時間であった。1Turnの平均所要時間は10分強といった所か。

陶晴賢今回、対人戦で久しぶりに群雄伝をプレイしてみたが、群雄伝はやはり面白い。特に後期の作品はシステム面で洗練されているだけではなく、シナリオのバランスについても良く練られている。つくづく「ゲームシステムとシチュエーション(シナリオ)のバランスって大事だなぁ」と改めて感じた。
プレイ時間の短さも魅力の1つで、1Turnの所要時間が10~15分程度というのも嬉しい所。最近のゲームでは1Turnの所要時間が1時間を超えるものも少なくないので、本シリーズの「軽さ」は感動的ですらある。本作でも今回プレイしたシナリオ以外にまだ未プレイのシナリオが2本もあるし、他にも「秀吉軍記」「九州三国志」等のシナリオもまだまだプレイしたい。

群雄伝シリーズはやはり傑作だなぁ、と改めて感じた。

イメージ 2


写真00


「西国の雄」 (以下、本作)は、 以前に紹介した「信玄上洛」 と同じく、群雄伝シリーズの作品である。「信玄上洛」が(結果的にではあるが)群雄伝シリーズの第1番目の作品となったのに対し、本作は比較的後期の作品になり、システム的にも洗練されたものになっている。
毛利元就本作は中国地方における毛利、大内、尼子の三つ巴の戦いを4本のシナリオで描いている。主役はもちろん毛利元就で武将能力では他の勢力を圧倒しているが、地方の豪族に過ぎない毛利氏に対し、大内、尼子は兵力で勝っている。従ってまともに戦うと「単純に毛利圧勝」ということにはならない(多分)。

小早川隆景今回、本作を対人戦でプレイすることになった。最初にプレイするのは、シナリオ1「折敷畑の戦い」である。これは、天文23年(1554年)における大内家の内紛(陶晴賢の内乱)を機に大内氏と断交した毛利と大内との戦いを全18Turn(約4.5か月)で描いたシナリオである。下名は毛利方を担当した。

シナリオ1「折敷畑の戦い」

5月第3週(第1Turn)

大内義長大内氏は主将大内義長(2-0-2★★、戦闘力-野戦修正-行動力-指揮順位、以下同じ)が大内家に反旗を翻した吉見正頼(2-2-3★)の籠る津和野城に攻め込む。また大内家の陶晴賢(2-2-3★)と江良房栄(2-1-3★)は山陰地方に進出し、銀の産出地である石見国山吹城(10VPの価値がある)を目指す。
対する毛利方は主将毛利元就(3-3-4★★)が拠点である郡山城を出陣。安芸国における毛利方の拠点であった銀山城を囲んだ。

写真01


5月第4週(第2Turn)

大内義長が津和野城を包囲する。その一方で毛利元就は銀山城に連続強襲を仕掛けてこれを陥落させた。

[
写真02

6月第1週(第3Turn)

江良房栄大内方の江良房栄が石見から国境を超えて安芸国へ侵入を図る。毛利元就は銀山城の守りに小早川隆景(3-1-4★)を残し、主力を率いて日野山城に向かう。日野山城は安芸北部にある城郭で、このシナリオでは毛利の持ち城となっている。毛利元就の北上を見て江良房栄は石見の山中へ後退していく。毛利元就の方が行動力が1大きいので江良房栄を石見山中で捕捉攻撃したものの、ダイス目が振るわず、僅かに1ヒットのみであった。

写真03a

写真03b


6月第2週(第4Turn)

吉川元春大内方は山吹城を包囲していた陶晴賢を後退させる。また先に毛利元就の追撃を受けた江良房栄も海岸付近まで後退していく。 毛利元就は山吹城の守りに吉川元春(3-2-3★)を残し、さらに小早川隆景も安芸・石見国境の防衛のために派遣した上で、残りの主力を率いて南下。宮島に面した桜尾城に入った。
写真04


6月第3週(第5Turn)

毛利元就は包囲下の津和野城を救援するため周防国から津和野を目指す。元就の進撃を阻止すべく、大内方から陶晴賢、江良房栄が相次いで迎撃に向かったが、いずれも元就との交戦で撃破されて士気値が-2となってしまう。しかし肝心の津和野城は耐久力残り3まで低下しており、陥落寸前である。

写真05a

写真05b

6月第4週(第6Turn)

吉見正頼津和野城が陥落した。守将である吉見正頼は毛利方の桜尾城に落ち延びた。
その津和野城に対して毛利元就が逆撃を仕掛け、毛利と大内の合戦となった(津和野城の戦い)。毛利元就14ステップ(約14,000人)、大内義長30ステップ(約30,000人)。兵力では大内方が2倍以上であったが、野戦修正値に大差があり、普通に戦えば「毛利楽勝」の筈であった。しかし合戦の出目は毛利方にとって最悪で、最初の2ラウンドで1,2を出してしまい、逆に大内方は出目が良くて6,6という出目。このまま続けても勝ち目がないと見た毛利方は合戦を中止して撤退してく。

ちなみにここで両者が合戦したことは実はルール違反であった。というのも、合戦当事者のいずれかが山地ヘクスにいる場合、合戦は成立しないのである。他にも今回いくつかルールミスがあったので、最後にまとめて紹介したい。

写真06


7月第1週(第7Turn)

損害を被った毛利勢は周防東端の高森城まで後退。前線には小早川隆景を配置し、山峡部の守備に当たらせる。元就本隊は高森城を包囲しつつ、兵力の再整備に努める。

写真07


7月第2週(第8Turn)

7月第3週(第9Turn)

大内方の江良房栄が周防に向けて進撃の構えを見せてきたので、小早川隆景は遅退戦術を展開。徐々に後退しつつ時間稼ぎをする。 その間、毛利元就本隊は先の合戦で受けた損害を回復し、高森城に対する強襲攻撃開始した。高森城の落城も時間の問題である。

写真08


7月第4週(第10Turn)

8月第1週(第11Turn)

高森城は陥落した。これにより毛利勢は津和野方面に向けての前進基地を確保した。毛利勢は再び周防から石見に向けて出撃していく。
一方の大内方は江良房栄が再び石見の山吹城方面へ出撃し、山吹城を包囲した。

写真09


8月第2週(第12Turn)

刺賀長信 山吹城で事件が相次いで起こり、士気値が-2になってしまう。山吹城落城の危機。この城はVP10点分の価値があるので、もし山吹城を大内方に奪われると、毛利勢としてはかなり苦しい立場になる。
毛利勢は山吹城を間接援護するため、津和野城東面の峠道に布陣した。この峠道は長門から石見に向かう大内方の連絡線上に位置しているため、この峠を押さえている限り山吹城を囲む大内方にも連絡線が通じなくなる。ちなみに先ほど説明した合戦ルール適用ミスの件、気づいたのはこの時点であった。

写真10


8月第3週(第13Turn)

毛利元就毛利勢は津和野を守る大内義長、陶晴賢の軍勢を書く各個に攻撃し、これを個別に撃破した。大内勢は津和野から南西部へ後退していく。それを追う毛利元就。渡川城南の平原地帯で毛利元就が大内義長を捕捉した。指揮能力差、さらに士気差が合計5差もあり、大内側に勝ち目はなかった。この渡川合戦で回復困難な大打撃を被った大内側。この時点で敗北を認めてゲーム終了となった。

大内側としては津和野城下に毛利元就を入れた時点で勝ち目はなかった。津和野前面を守るため、例えば陶晴賢あたりに大兵力を持たせ、峠道で毛利元就を迎え撃つのが良いと思う。

写真11

写真12

感想

全18Turn中13ターンをプレイしたプレイ時間は2時間強である。全18Turn(しかも毎Turn4ステージ)というと結構長いように感じるが、本作の場合1度に動くスタック数が少ないため、1Turnあたりの所要時間は驚くほど短い。今回も1Turn平均10分というペース。本作で一番長いシナリオは、シナリオ4「大内氏滅亡」で48Turnであるが、それでも朝から初めて夕方には決着がつくペースである。

ルールミスについて書く。先に書いた合戦ルール以外では、いずれもシナリオルール適用のミスである。まず毛利がゲーム開始前に1回分の行動が可能となるルールがある。これによって毛利方の初期対応がより効果的になる。もう1つは毛利川の統率能力の件。このシナリオでは毛利元就の統率力が5に制限されている。シナリオ後半の津和野攻撃の際、この制限を超過して適用してしまった。

シナリオのバランスは不明だが、それほど悪くはないと思う。気持ち毛利方が有利に思えるが、大内方としては津和野を落として吉見正頼を切腹させれば、その時点でVPが逆転する。後は毛利勢の津和野方面への侵攻を峠道で阻止しつつ、周防の城を落とされないようにすればよい。あるいは山吹城を攻めてこれを落城させれば、勝利への道が近づく。大内の強みは兵力の優位と機動力3の武将が陶晴賢、江良房栄の2名あること。これらを機動的に運用し、毛利方の兵力集中を妨げるようにするのが得策と思われる。

つづく

↑このページのトップヘ