もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

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The Battle for Germany(以下、本作)は、2021年に米国Compass Gamesが発表したシミュレーションゲームだ。テーマは1985年8月を想定した西ドイツにおけるワルシャワ条約機構(WP)軍とNATO軍の対決。1Turnは実際の1日、1Hexは12kmに相当し、1ユニットは連隊~師団規模になる。 本作の基本システムは、 以前の記事 で紹介したので、そちらを参照されたい。

今回は、その中からシナリオ5「The Battle for Germany」をソロプレイしてみた。このシナリオはマップ全域を使ういわば「グランドキャンペーン」というべきシナリオである。

前回までの展開は --> こちら

Turn03z


4Turn(1985/8/4)

戦略フェイズ

天候は晴天。NATOがAWACS優勢を確保した。WPは航空戦力が整わないので迎撃を断念。全機を地上待機とした。そのためNATOの攻撃機が思うがままに暴れ回り、WP側のSAM部隊を完全制圧。さらにインフラストラクチャー網を攻撃し、インフラ値を15から一気に5までダウンさせた。事実上これで決着がついた感がある。

WPプレイヤーターン

US_3AD_3WPはそれでもNATOの前線を突破すべく攻勢をしかける。フルダ峡谷前面では、歴戦の第79親衛戦車師団(79GTD)や第39親衛機械化師団(39GMRD)などが米第3機甲師団の守るフランクフルト東部に対して定点攻撃を仕掛けた。しかしNATO側の守りは固い上、航空戦力の支援も欠いたWP側に最早勝機はなく、攻撃側が大損害を出しただけに終わった。

Turn04a


UK_1AD_7AR同様に北部戦線でもハンブルグ南方に孤立したソ連軍、東ドイツ軍各1個師団を救援すべくNATOの防衛線に激しい攻撃を加えた。しかし西ドイツ軍、イギリス軍、そしてベルギー軍がガッチリ防衛線を固めており、WP側大兵力の攻撃にもビクともしない。無論、一部ではWP側が勝利する場面もあったが、NATOの兵力が大きいためにステップロスや補充ポイントの消化だけで賄われてしまっている。WP側が唯一前進できたのはハンブルグ北西部のエルベ川流域で2個師団の兵力がエルベ川西岸へ強行渡河に成功。オランダ軍第4歩兵師団前面に3ヶ所の橋頭保を築いた。

Turn04b


感想

この時点でWP側の突破能力が無くなったと判断。ゲーム終了とした。

プレイの途中に気づいたのだが、予備移動のルールに適用ミスがあった。大きなミスは以下の2点である。

 1)予備移動で活性化した司令部は行動済みになる(補給ポイントを支払えば行動済みにならないと思っていた)。
 2)予備移動ではRoad Column(路上行軍)を利用できない(路上行軍を利用できると思っていた)。

この2点のおかげで第1TurnにおけるNATOの展開が早くなり、防御態勢が固まってしまった。それが今回の一方的な展開の大きな要因だと思う。それがなければ、WP側はもう少し大きく前進できたと思う。

今回初めてキャンペーンシナリオをプレイしてみたが、政治ルールに問題があると感じた。小国の脱落が簡単に起こり過ぎるのだ。デンマークのように開戦劈頭に本土侵略を受けるような国ならまだしも、オランダやベルギーのような国家が開戦1~2日で、しかも本土が侵攻されている訳でもないのに簡単に脱落するものだろうか?。ましてやポーランドやチェコスロバキアのような国家が、簡単に脱落するものだろうか?。現実問題として自国国内に敵側の軍隊が進入するとか、あるいは自国内で大型核兵器が炸裂するとかしない限り、これらの中小国が単独で戦線離脱は考え難いように思う。

下表は本作でNATO諸国が戦線から離脱する可能性を示すものである。

Turn04c


ここで注意してほしいのは、NATO諸国が戦線から離脱する可能性は、WP側の獲得したVPの「絶対量」に応じて変化するということである。「絶対量」という意味に注意してほしい。本作のVPシステムは基本的に「加算」方式である。すなわち自軍に有利な事象を達成すれば自軍のVPが加算され、逆に敵軍に有利な事象が達成されれば敵軍のVPが加算される。つまり両軍とも時間の経過と共にVPは増えていくことになる。

ここで大規模シナリオと中規模シナリオの違いを考えてみてほしい。当然大規模シナリオでは中規模シナリオに比べて同じ期間で比較すれば両軍ともより多くのVPを獲得する(VPの加算機会が多い)。これがどういうことかと言えば、大規模シナリオでは必然的に中規模シナリオよりも中小国の戦線離脱が起こりやすくなるわけだ。もっと分かりやすく言うと、本作で北部戦線のみを扱ったシナリオ3では、中小国の戦線離脱はそれほど激しくは起こらない。しかしキャンペーンシナリオではいとも簡単に両陣営の中小国が「戦争を止めて」しまう。シナリオ3とシナリオ5では同じ状況を扱っており単に切り取り方が違うだけなのに、再現される現象が異なるのは如何なものか?。

この問題について個人的な見解を述べれば、中小国の離脱ルールはデンマーク以外は無視した方が良いと思う。またデンマークについてはWP側が2個師団以上をユトランド半島北端より盤外離脱させればデンマークは降伏する、ぐらいで良いように思う。
そこまで極端に変えるのが嫌なら、例えばキャンペーンシナリオでは政治テーブルのVPラインを2倍程度に引き上げて中小国の離脱が発生し難くするのが良いと思う。

先に挙げたVP判定の件以外にも工兵チェックや各種支援の是非など、ダイスによる変動要素が多く、「荒れる」ことの多いゲームである。ミニキャンペーンではそれほど気にならなかったが、キャンペーンシナリオだとこの「荒れ具合」がやや極端に思えてくる。シナリオ3や4のようなミニキャンペーンでは左程気にならなかったのだが・・・。対人戦を考えると、シナリオ5よりもシナリオ3とか4の方が向いているように思えた。

そう考えると、GDWのThe Third World Warの方が全体的に安定しており、そちらの方が高く評価できる。やはりThe Third World Warは傑作だなぁ、と、思い直した次第だ。

Turn04z




DoomsDayProject1

The Battle for Germany(以下、本作)は、2021年に米国Compass Gamesが発表したシミュレーションゲームだ。テーマは1985年8月を想定した西ドイツにおけるワルシャワ条約機構(WP)軍とNATO軍の対決。1Turnは実際の1日、1Hexは12kmに相当し、1ユニットは連隊~師団規模になる。 本作の基本システムは、 以前の記事 で紹介したので、そちらを参照されたい。

今回は、その中からシナリオ5「The Battle for Germany」をソロプレイしてみた。このシナリオはマップ全域を使ういわば「グランドキャンペーン」というべきシナリオである。

前回までの展開は --> こちら

Turn02z3


3Turn(1985/8/3)

戦略フェイズ

US_F15_36TFW天候が悪化した。両軍ともAWACS優勢は取れず。NATOは大量の航空機増援を受けて制空権を掌握すべく全力出撃。先ほどの攻撃で一時は全飛行場が使用不能となっていた英本土のNATO航空基地も、米英工兵隊による献身的な修理により半数がその使用可能となっていた。WPも航空戦力で劣るものの、可能な限りNATOの航空脅威を弱めるべく全力出撃する。

Turn03a


制空戦闘はNATOの圧勝であった。NATO側は1機も損せずWP側制空戦闘機を一掃。さらに英本土に向かっていた長距離侵攻部隊も半数以上を洋上で撃破した。生き残ったWP側長距離侵攻部隊は英本土のNATO飛行場を爆撃したものの、悪天候下で正確な攻撃ができずに攻撃は失敗に終わる。
NATO側のSAM制圧部隊も積極的にWP側SAM部隊を狙ったが、こちらも悪天候に災いされ、SAMを4個制圧したに留まった。

なお先のTurnに大量の避難民が発生したため、NATOとしては避難民をケアするために一定量の補給ポイント消費を余儀なくされてしまう。そのため燃料切れや弾薬切れの部隊に補給を与える余裕は未だになかった。

WPプレイヤーターン

SO_79GTDWPの先頭を進むのはフルダ渓谷を西へ突進する第1親衛戦車軍(1GTA)と第8親衛軍(8GA)である。既にフランクフルトを目前にしていた彼らだが、フランクフルトは守りが固いと見たので、目標をヴェツラー(WETZLAR H17.34)に変更。ここを西へ抜いてライン川を目指す。第8親衛軍所属の第79親衛戦車師団(79GTD))と第39親衛機械師団(39GMRD)が攻勢の主力を務める。NATOも西ドイツ第5装甲師団が全力展開する。
戦闘自体はWP側の勝利に終わり、西ドイツ第5装甲師団はヴェツラーの町から叩き出されてしまったが、損害自体は軽微であり、西ドイツ軍は整然と退却していく。ただし砲兵戦の失敗で西ドイツ第3軍団の砲兵レベルが低下したことが痛かった。

Turn03b



WG_10PzD_28Pz北部戦線では、ハンブルグの南で橋頭保を固めたWP側は橋頭保の南に3個師団を浸透させて橋頭保の拡張を図る。しかしハンブルグ南に展開した西ドイツ民兵(VKK)や増援にかけつけた西ドイツ第7装甲師団第21装甲連隊の活躍でWP側の浸透を阻止。さらにソ連第6親衛機械師団を壊滅に追い込んだ。

Turn03c


UK_1AD_7ARフルダとハンブルグの間では、ソ連第3諸兵科連合軍(3CAA)が英ライン軍団(BAOR)麾下の第4機甲師団、第1機甲師団等に攻勢を加えていた。ハンブルグとフルダを分断することで、フルダ方面に啓開した突破口を維持しようとするものである。
しかし既にNATO側は防衛体制を整え、制空権も確保して余裕を持ってWPを迎え撃てるようになっていた。WPの攻撃は各地で頓挫し、第10新鋭戦車師団(10GTA)などは英第4機甲師団第20機甲連隊チーフテン戦車の待ち伏せ攻撃を受けて壊滅してしまう。

Turn03d


なお西ベルリンのNATO軍は、この日の終わりまでに一掃された。

NATOプレイヤーターン

NATOは積極的な反撃はあまり実施せず、部隊を広く展開して防御戦闘でWP側の進撃を阻止する構えである。
US_3ID_2特徴的な部分は、フルダ渓谷からフランクフルトにかけての地域。WP側が最も快調に進撃している地域だ。既にソ連軍の機械化師団数個がフルダ渓谷を抜けてフランクフルトに接敵しつつあった。それに対してNATOはフランクフルトの守りを固めつつ、フルダ渓谷の後方線を遮断する作戦に出た。米第3歩兵師団がフルダ~フランクフルト間の街道上に進出したのだ。
OMG(作戦機動群)を構成するソ連軍機械化部隊が如何に精鋭であっても、後方からの増援が遮断されればその進撃はストップせざるを得ない。所詮は時間稼ぎに過ぎないが、WP側の進撃が1日でも2日でも停滞すれば、それだけ全般戦局はNATOに有利な方に傾く。時間を味方にしているのはNATOなのだ。

Turn03e


北部戦線では、ハンブルグ南方に突出してきたWP軍2個師団に対し、イギリス、西ドイツ、ベルギーの連合軍が反撃を仕掛けた。後方を遮断して連絡線を断ち切った状態で攻撃開始。NATOが圧倒的に有利な状況であったが、WPの2個師団も奮戦し、損害を被ったものの現時点を死守した。

Turn03f


終端フェイズ

WP軍は前Turn同様デンマークの離脱判定を実施できる。今回もNATOはデンマークの運命を天に委ねた。1d6を振った結果、出目は"4"。デンマークはギリギリで戦線に留まる。

一方、WP側も離脱チェックが発生する。ポーランドとチェコスロバキアだ。それぞれ67~83%という高い確率で両国が離脱してしまう。これもWPはVPを支払って離脱確率を低減することができる。WPはポーランドのために2VPを払って離脱確率を33%にした。これでd6で2以下が出ない限りポーランドは戦線に留まり続ける。出目は"4"でポーランドは戦線に留まった。
さらにチェコスロバキアも離脱チェック。こちらも67%で離脱してしまう。WPは2VP支払ってチェコの戦線離脱を阻止せんとした。出目は"5"でこちらも戦線に留まる。


最後にフランスの参戦チェックだ。d10で出目がTurn+1数以下ならフランスは参戦する。DRMは両軍のVPで、現在はNATOが4点リードしているのでDRM-4となる。先ほどポーランドとチェコでVPを支払ったのが痛い所。出目は"8"でWPにとっては悪くない出目であったが、フランスは参戦することとなった。

Turn03z


つづく

The Battle for Germany(以下、本作)は、2021年に米国Compass Gamesが発表したシミュレーションゲームだ。テーマは1985年8月を想定した西ドイツにおけるワルシャワ条約機構(WP)軍とNATO軍の対決。1Turnは実際の1日、1Hexは12kmに相当し、1ユニットは連隊~師団規模になる。 本作の基本システムは、 以前の記事 で紹介したので、そちらを参照されたい。

今回は、その中からシナリオ5「The Battle for Germany」をソロプレイしてみた。このシナリオはマップ全域を使ういわば「グランドキャンペーン」というべきシナリオである。

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Turn01z


2Turn(1985/8/2)

戦略フェイズ

SO_Su24_56BD天候は晴天である。NATOはAWACS優勢を取れなかった。さらに前回WP側が散布した化学兵器の影響が残る西ドイツのNATO軍基地からは航空機を全力発進できない。NATO側は制空権確保を最重要視し、制空戦闘機を優先的に発進させた。しかし空戦の出目が悪くWP軍と互角の結果しか残せなかった。その結果、WP側の長距離侵攻部隊の英本土進入を許してしまう。さらにこういう時に限ってSAMも外れまくり。Su24やSu17といったソ連軍戦闘爆撃機が大暴れ。このTurn、英本土の航空基地は4ヶ所全てが機能停止してしまう。

Turn02a


WPプレイヤーターン

US_11ACRWP側が最初に行動を開始したのは、定番のフルダギャップである。ソ連最強の第1親衛戦車軍(1GTA)と第8親衛軍(8GA)の機械化部隊がフルダ渓谷に殺到。フルダ(FLUDA H24.34)を守る米第11装甲騎兵連隊を攻撃する。第11装甲騎兵連隊は善戦するも壊滅。フルダにはソ連軍第11親衛戦車師団が入城した。
NATOは予備移動で米第5軍団(5th Corps)を活性化。米第8歩兵師団、第3機甲師団をフランクフルトに展開し、市街地防衛の態勢を取る。米第3歩兵師団はフランクフルトからニュルンベルグにかけての回廊地域に展開。米第1機甲師団はニュルンベルグ(NUREMBERG H31.45-H32.45)とバンベルク(BAMBERG H30.41)を結ぶライン上に展開する。

Turn02b


SO_94GMRD次にWPは北部戦線での攻勢を開始した。ソ連第2親衛軍(2GA)麾下の第94親衛機械化歩兵師団がキール市街地でエルベ川渡河を敢行。しかし西ドイツ軍守備隊が善戦し、ソ連軍によるエルベ川渡河こそ許したものの、そこからの突破展開を阻止していた。

Turn02c


西ベルリン攻防戦はベルリン守備隊が奮戦し、WPの攻撃を一部で食い止めていた。しかし戦闘そのものはWP側の勝利であったため、WPは合計4VPを獲得した。これでWPの獲得したVPは合計9VPとなり、デンマーク脱落の可能性が出てきた。

Turn02d


NATOプレイヤーターン

WG_11PG_32PGNATO軍はまだ動いていない部隊の移動を行う。またブレーメンに陣取るソ連空挺部隊に対して反撃を実施した。攻撃を担当するのは西ドイツ陸軍第11装甲擲弾兵師団所属の第37装甲擲弾兵連隊である。NATO自慢の夜襲によって精鋭を誇ったソ連空挺部隊はブレーメン市街から叩き出されてしまう。この戦いによってNATOは目標マーカーを1個取得。それがなんと5VPの大当たりであった。NATOの獲得VPは8VPになる。

Turn02e


終端フェイズ

WP軍はデンマークの離脱判定を実施できる。MATOはVPを献上することでDRMを得る。例えば3VP献上すればデンマークは戦線に留まり続ける。しかし仮に今回を乗り切っても次Turnに再び離脱チェックがある。しかもNATOも8VPを得ているので、あと1VP確保すればポーランドの離脱チェックを行える。WP側にプレッシャーを与えるためにもVPを献上したくない。
結局デンマークは運を天に任せることにした。離脱確率は50%である。1d6を振った結果、出目は"6"。デンマークは戦線に留まる。

最後にフランスの参戦チェックだ。d10で出目がTurn+1数以下ならフランスは参戦する。DRMは両軍のVPで、現在はWPが1点リードしているのでDRM+1となる。
出目は"6"でフランスは中立に留まる。

Turn02z1
Turn02z2
Turn02z3

つづく

DoomsDayProject1

The Battle for Germany(以下、本作)は、2021年に米国Compass Gamesが発表したシミュレーションゲームだ。テーマは1985年8月を想定した西ドイツにおけるワルシャワ条約機構(WP)軍とNATO軍の対決。1Turnは実際の1日、1Hexは12kmに相当し、1ユニットは連隊~師団規模になる。 本作の基本システムは、 以前の記事 で紹介したので、そちらを参照されたい。

今回は、その中からシナリオ5「The Battle for Germany」をソロプレイしてみた。このシナリオはマップ全域を使ういわば「グランドキャンペーン」というべきシナリオである。
このシナリオでは、 昨年紹介したシナリオ4 で省略されていた西ベルリンの戦いと北部戦域の戦いを含んでいる。すなわち北ドイツ平原の突破戦とフルダ峡谷での戦いを同時に堪能できるシナリオで、まさに本作の大本命となるシナリオと言って良い。

Turn00a


1Turn(1985/8/1)

戦略フェイズ

SO_Spetsnazシナリオ開始時点でWP軍は特殊部隊(スペツナズ)を6個使用できる。米軍の事前備蓄基地POMCUSに対して3個、司令部襲撃(中央軍、米第5軍団司令部)に1個、飛行場襲撃に2個を投入した。
結果は平均的で、3ヶ所のPOMCUS襲撃は全て成功したもの、飛行場襲撃と司令部襲撃は悉く失敗した。

連絡線チェック。シナリオ特別ルールによって第1TurnのNATO軍は連絡線で不利な修正が適用されるため、連絡線遮断のユニットが続出する。このあたり、単なる「手続き」なので、シナリオのセットアップ情報に含んでいて欲しい所ではある。(これ、前回も言ったな・・・)

NATO_Z_AWACS続いて航空戦の割り当てである。AWACSチェック。NATO側のAWACSレベルが7なので、D10で7以下を出せばNATO側がAWACS優勢を確保する。出目は"6"でNATO側が順当にAWACS優勢を獲得した。
これによってNATO側は相手側の航空部隊を布陣を見た後で自陣営の航空兵力に任務割り当てができるようになる。WP側は可能な限り多数の戦闘機を制空任務に割り当てて、残りは対地支援に割り当てた。 NATOも可能な限りの戦闘機を制空任務に割り当てて、残りはトーネードがSAM制圧、A-10とアルファジェットを対地支援に回した。

Turn01a


Z_Chemical_Attack航空戦を解決する前にSSM攻撃の解決がある。SSM攻撃は目標を選択し、D10を振る。出目が自身のSSM値以下の場合は攻撃成功で、損害判定を行う。出目がSSM値よりも大きい場合はSSM攻撃失敗となり、SSM値が1減少する。
WPは化学兵器を搭載したSSMを西ドイツ領内のNATO飛行場に打ち込んだ。SSMの発射は成功し、NATO飛行場の1つが使用不能になる。さらに西ドイツ飛行場に化学兵器が撃ち込まれたことにより、西ドイツ領内のNATO飛行場は防護服を着用しての作業となり、作業効率は低下した(飛行場1個当たりの発進可能ユニット数が減少する)。

次が補給フェイズである。NATOは補給ポイントを使ってインフラを2レベル向上させる。WPは既にインフラが最大値(=15)なので、これ以上の上昇はない。

US_F15_36TFW次に航空ミッション解決フェイズである。開戦奇襲を仕掛けたWPであったが、空ではAWACSに誘導されたNATO戦闘機の独壇場であった。最新鋭のMiG29もミサイルを発射する前にNATO戦闘機の放った中距離空対空ミサイルの餌食となった。何とかそれを掻い潜ったWP戦闘機群も、今度はNATOの誇る全角度型赤外線誘導ミサイル(AIM-9L/M)によって射すくめられ、殆ど戦果を挙げることなく大空から一掃された。

WG_Trndo_JBG32一方、SAM制圧任務にあたったイギリス、西ドイツのトーネード編隊は、WP側防空部隊が撃ちあげる対空砲火によって9ユニット中2ユニットが撃退されるという損害を被ったが、残り7ユニットがWP側SAM陣地を猛爆。全体の半数以上にあたるSAM10個を機能不全に陥れた。

SO_Regt最後にWP側が空挺作戦を行う。WP側で投入可能な空挺部隊は4個連隊。目標ヘクスを選んでD10で輸送値以下の目が出れば空挺降下成功になる。3個連隊がミュンヘン(MUNCHEN H33.58)、ブレーメン(BREMEN H24.12)に空挺堡を築いた。最後の1個連隊はキール(KIEL H32.02)を狙ったが、作戦に失敗して基地に引き上げた。

Turn01b


実は最初にプレイした時、WPの空挺部隊をNATOの後方奥深くの目標ヘクスに降下させる戦法を行った。しかしこの方法は失敗であった。まず後方の目標ヘクスを占領しても、LoCが通らなければVPにならない。逆にNATOの反撃で空挺部隊が叩き出されてしまうと、そのヘクスのVPがそのままNATO側に行ってしまう。従って空挺部隊はLoCが通りそうな目標ヘクスを狙って降下するのが良策と思われる。

WPプレイヤーターン

SO_20GMRD最初のTurnはWP側も十分な兵力がないため大々的な突破は難しい。北方ではキール(KIEL H32.02)を無血占領し、ハンブルグは東半分を占領した。しかしそれ以外は目立った前進はなく、西ベルリンに対しても包囲するにとどまって攻撃は差し控えた。


Turn01c


NATOプレイヤーターン

WG_10PzD_28PzNATO側は補給ポイントが少なく、さらに特別ルールによって移動が大きく制限されているので、できることは少ない。それでも目標ヘクスは可能な限り取り返しておきたい。そこでミュンヘンに対して反撃を実施した。しかしミュンヘンはなかなか手強い。ソ連軍の砲兵支援や航空支援も得られる場所であったからだ。NATOは一計を案じ、敢えて遭遇戦を仕掛けた。WP側の砲兵/航空支援を可能な限り減殺しておこうという策だ。NATOの作戦は奏功し、ミュンヘンのソ連空挺部隊は撃退された。

Turn01d


実際の所、ミュンヘンに対する反撃はかなりリスクが大きく、NATO側が大損害を被る可能性も十分にあった。反撃作戦が成功したのは僥倖と言えるが、逆に言えばWP側がミュンヘンに空挺部隊を投入する価値は十分にある。

終端フェイズ

WP側がこのTURN獲得した目標マーカーは計3個である。ご開帳。1VPが2枚、3VPが1枚で計5VPである。これはデンマークを戦争から脱落させるのにはあと1歩足りない。もしミュンヘンの目標マーカーを保持できれば、6VP以上になり、デンマークの脱落を狙うことができた。

NATOはミュンヘンで戦闘に勝利したので、目標マーカーを1個獲得した。得点は3VPであった。トータルすると、NATOが4VP、WPが5VP。各国の降伏チェックには足りないし、フランス参戦の可能性も、未だない。

今回はNATO側の脱落国がなかったが、もしWPが6VP以上獲得していれば、デンマークが50%の確率で脱落する。さらに11VP以上ならデンマークはほぼ確実に脱落し、オランダ、ベルギーが脱落する可能性も出てくる。このゲーム、これらの諸国が簡単に脱落してしまう傾向があり、開戦後1~2日でデンマーク、ベルギー、オランダの3ヵ国が中立を宣言してしまう可能性はかなり高い。

SA6


つづく

表紙


The Battle for Germany(以下、本作)は、2021年に米国Compass Gamesが発表したシミュレーションゲームだ。テーマは1985年8月を想定した西ドイツにおけるワルシャワ条約機構(WTO)軍とNATO軍の対決。1Turnは実際の1日、1Hexは12kmに相当し、1ユニットは連隊~師団規模になる。

今回、キャンペーンシナリオの中から航空戦場面だけを選んでプレイしてみた。キャンペーンシナリオをプレイする前に航空戦の流れを押さえておくのが狙いである。

Turn00


1Turn

US_F15_36TFWNATOはAWACS優勢を取れなかった。それでも制空戦闘機の数と性能で勝るNATO側が制空権を確保した。

NATOは英国と西ドイツのトーネード9ユニットでSAM制圧任務を実施する。しかし出目に恵まれずSAM4個を制圧したのみ。この程度の打撃であれば、すぐに修復されてしまうだろう。

WPは果敢にも飛行場攻撃を実施。濃密なSAMを掻い潜って飛行場を爆撃し、英本土のNATO飛行場2個を制圧した。しかしこの損害は勇敢なNATO工兵隊の活躍によって修復されてしまう。

Turn01


2Turn

悪天候となった。NATOがAWACS優勢を確保した。そのままの勢いでNATOが制空権を掌握する。WP側の五月雨的な増援は、ここでは焼け石に水となっている。

Turn02


3Turn

NATO_Z_AWACS 天候が回復した。NATOがAWACS優勢を確保した。圧倒的な戦闘機兵力を誇るNATOは、上空からWPの戦闘機を一掃。NATO側戦闘機は全くの無傷である。また米空軍のF-4と西ドイツ、イギリスのトーネードはSAM制圧任務を実施。こちらはさすがに無傷という訳には行かなかったが、SAM8個を制圧した。

Turn03


4Turn

WG_Trndo_JBG32またもや悪天候である。NATOがAWACS優勢を確保した。WP軍が兵力温存を図るべく、航空兵力の発進を控えた。NATOは大規模な航空撃滅戦を行うべく、F-4、F-16、トーネード、アードバーグといった各種攻撃機を大量投入した。
まず米空軍のF-4、F-16、F-111がSAM制圧任務を行う。F4とF16各1ユニットがSAMを食らってステップロスしたが、残りは順当にSAM制圧を実行。全てのSAM陣地を制圧した。
続いてNATO諸国のF-16、トーネード、F-4等が飛行場攻撃を実施する。SAMが制圧された後なので被撃墜の危険はない。ただしこちらは出目が振るわず、飛行場4個を制圧したにとどまった。

Turn04


5Turn

US_F111_20TFW悪天候は続く。またもやNATOがAWACS優勢を確保した。WP側は兵力的には不十分であったが、このままでは「座して死を待つ」のみなので、全力出撃。しかし優勢なNATO側戦闘機に敵う筈もなく、敵に一矢を報いることもできず、大空から一掃された。

F-16やF-4の一部が制空任務に投入されたため、対地攻撃に回す機体はやや減少した。それでもF-111やF-4がSAMを完全制圧。トーネードの編隊が東ドイツ領内のWP側飛行場を一掃するなど、対地攻撃でも目覚ましい戦果を挙げていた。

Turn05


感想

BE_Air_Group1_F16取り敢えずこの時点でNATO側の航空優勢は明らかになったので、終了とする。今回は航空戦のみを試してみたが、実際にはSSMによる攻撃、化学兵器、核攻撃、さらにはWPの進撃による西ドイツ領内飛行場の蹂躙といった要素があり、これらはWP側に有利に作用する。従って実際のプレイで今回のような一方的な展開になるとは限らない。

プレイしていて思ったのは、やはりカウンターに数値がないのは不便と感じた。空戦能力や戦略航空作戦能力を一々チャートを参照する時間はやはり無駄。数値を3つカウンターに追加するだけなのだから、現状のままでも十分対応できると思うのだが・・・。

まあデザイナー様の拘りというやつでしょうね。

EF-111A_Raven




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