もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

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DoomsDayProject1


The Battle for Germany(以下、本作)は、2021年に米国Compass Gamesが発表したシミュレーションゲームだ。テーマは1985年8月を想定した西ドイツにおけるワルシャワ条約機構(WP)軍とNATO軍の対決。1Turnは実際の1日、1Hexは12kmに相当し、1ユニットは連隊~師団規模になる。 本作の基本システムは、 以前の記事 で紹介したので、そちらを参照されたい。

今回は、その中からシナリオ4「The Battle for CENTAG」をソロプレイしてみた。このシナリオは北部戦域を除いたドイツ中南部での戦いを描いたシナリオである。キャンペーンシナリオほどではないが、それでもフルマップ2枚相当のかなり大規模なシナリオである。個人的には実質的にプレイなのはこの程度のシナリオまでかな、とも思っている。

前回までの展開は --> こちら

6Turn(1985/8/6)

戦略フェイズ

US_POMCUS2開戦6日目。久しぶりに晴天となった。このTurn、米軍の第4歩兵師団がPOMCUSに登場する予定であったが、POMCUSが破壊されてしまったので登場しない。1個師団丸々登場しないのは痛いが、僅かな慰めとしてPOMCUSで使用されるはずの人員が補充ポイント4ポイントとなって加算される。その補充ポイントを利用して米第11装甲騎兵連隊を復活させる。全般に戦力不足のNATO軍にあって、貴重な予備兵力となる。

ここで重大なルールミスが判明した。それは回復ルールである。

5.1 The NATO player refreshes all their Spent Units that have a Line of Communications.
6.1 The Warsaw Pact player refreshes all their Spent Units that have a Line of Communications.

このルールを読みと、単純に「連絡線がつながっていれば全部のユニットを未活性面に戻せる」と思ってしまう。私もそう思っていた。
しかしルール3.2.1に重大な一文が・・・、しかも太字で強調するように・・・、

HQs are not Units.

つまりHQはルール5.1や6.1の手順では元に戻せないのだ。
ではHQはどうやって回復させるのか。その方法がルール9.2に書かれている。HQはSP(補給ポイント)を消費して回復させる必要があるのだ。逆に言えばSPの範囲内でしかHQを回復させられない。このことは特にWP側が西ドイツ領内奥深くに侵攻した場合に重大な意味を持ってくる。敵領内にいるHQを回復させるために2SP(NATOは3SP)が必要なのだ。そしてSPの蓄積量は最大でも15SPしかない。

WP_Z_SupplyPointこの間違いに気づいた時、一瞬「もうここで止めようか」という軽い絶望感に襲われた。しかしここで気を取り直して続けることにした。幸いSPはお互いに余り気味だったので、ルール通りにやっていてもそれほど大きな変化はなかったかもしれない。そう思いなおした。


ルール間違いに気づいて改めて補給・インフラフェイズを行う。両軍とも残り少なくなったSPを使ってHQの回復を行う。NATO軍は4個軍団を回復させて4SPを消費し、2SPで避難民を救援する。残り2SPを使って1ヶ所に掩体壕を構築する。
一方のWP軍。SPの残りは13SPである。一見余裕があるようにも思えるが、SAMの修理に6SP使うので(放置しておいてもい良いが、NATO側の経空脅威を考慮すると放置は得策とは言えない)。結局WP側はSAMの修理に5SPを消費し、残る8SPでHQ5個を活性化した。今までの半分以下である。

次は航空作戦である。WP側は最早制空戦闘を挑むのが難しいので、制空戦闘を諦めて稼働全機を対地支援に投入する。対地支援の場合は、対地支援任務を行わない限り、NATO戦闘機に食われる心配はない。これに対してNATO側はBounce任務に最強のF-15とF-18を計4ユニット配置する。これにより、WP側の地上支援はほぼ自殺行為となる。

US_F111_20TFW一方的に航空優勢を握ったNATO側は、WPのSAM(地対空ミサイル)ネットワークを破壊すべく激しい爆撃を加えた。SAMを制圧することがWP側に補給ポイントを消費させる最も効果的な方法だと考えたからだ。米空軍のF-111アードバーグ2ユニットとF-16ファルコン3ユニット、そしてやや旧式のF-4ファントム5ユニットの計10ユニットがWP側のSAMネットワークに襲いかかる。F-16 2ユニットとF-4 1ユニットがSAMの反撃で被弾して離脱したが、残りが爆撃に成功。SAM計10個を制圧し、SAM能力を4から1へ激減させた。これを回復させるためには、WP側は1Turnで使用可能なSPの実に2/3を消費しなければならない。

最後にWP側が空挺部隊によるライン川西岸への降下作戦を試みたが、出目に恵まれずに失敗に終わった。

WPプレイヤーターン

回復ルールを適正利用したため活性化できるHQの数が劇的に減少した。これはプレイ時間の短縮化という意味からは有益である。これまでは無料でHQを回復させていたため「動かさないと損」とばかりにユニットを動かしていたからプレイ時間が延びる傾向があった。しかしHQの回復が無限ではなくなったため、無駄な移動はお互いに控えるようになると思う。

SO_GCF_HQWPが活性化したHQは今回は3個に留まった。活性化させたHQが少なかったため、WP側の攻撃はいきなり小規模なものになった。ライン川を渡河するチャンスもあったが、WP側としても戦線拡大の余裕はないと判断。フランクフルト北方で米軍と西ドイツ軍を分断するという比較的限定的な攻勢に出た。砲兵火力ではNATO側を圧倒していたWP軍であったが、NATO側の優勢な航空兵力がそれを帳消しにした。さらにNATO側の優れた装備品、例えば西ドイツ軍のレオパルド2主力戦車や米軍のM2ブラッドレー歩兵戦闘車がWP側の劣った装備品を圧倒した。2ヶ所で実施されたWP側の攻勢は悉く失敗に終わり、WP側は一歩も前進できなかった。唯一の戦果は、WP側戦線後方に取り残されていたフルダを掃討したことぐらいだ。

Turn06a


NATOプレイヤーターン

US_F16_86TFWWP側の動きが止まった。NATOにとってはここが反撃のチャンスである。「敵が止まったからこちらも一休み」では勝てる戦争も勝てない。敵が疲れているからこそ揺さぶりをかけて戦力の回復を妨害しなければならないのだ。
最初に動いたのは米軍である。第5軍団麾下の第8歩兵師団「パスファインダー」がフランクフルト南東部に突出してきたソ連第31戦車師団に対して包囲攻撃を実施したのだ。包囲によって後方連絡線を遮断した米軍部隊は、M1エイブラムス戦車やA-10サンダーボルト攻撃機等を総動員してソ連軍を攻撃する。後方連絡線を断ってしまえば、ソ連自慢の砲兵部隊は使用できなくなるのだ。しかもソ連軍にとっては悪いことに、川を背後に布陣する所謂「背水の陣」であったため、後退路も断たれてしまっていた。ソ連軍師団は抵抗の術もなく壊滅してしまう。

Turn06b


WG_5PzD_15Pz続いて本命、ライン川に迫るソ連軍に対する反撃作戦を開始する。攻撃目標はケルンに到達していたソ連第13親衛戦車師団である。NATO側の主役は歴戦の西ドイツ第5装甲師団だ。最新鋭のレオパルド2主力戦車を装備している。NATO側の作戦は例によってソ連軍師団の背後を遮断して連絡線を断ち、その圧倒的な砲兵火力を封じる。そしてNATO側は戦車、砲兵、航空兵力の支援を受けた三位一体攻撃を行う。
果たせるかな。NATO側は期待していた砲兵支援と航空支援が得られず(ダイスが9と10であった)、一時はどうなることかと思わせたが、攻撃時のダイス目が良く、ソ連軍師団は後退することもできずに壊滅した。

Turn06c


北方ではさらに東ドイツ軍の1個師団を包囲したが、これは撃滅に失敗。ただその東ドイツ軍師団は「ただ生き残っただけ」という感じで、戦闘能力は半分以上失われていた。NATO軍はライン川に取りついていたWP軍部隊をほぼ一掃し、ルール工業地帯に迫る脅威を排除した。

Turn06d


WG_1GD_24Pz南方では西ドイツ第2軍団がチェコ軍相手に反撃を実施した。レオパルド2主力戦車装備の西ドイツ第10装甲師団はチェコ軍第2機械化歩兵師団を壊滅に追い込み、西ドイツ第1擲弾兵師団はソ連軍独立部隊2個を撃破した。チェコ軍はこの時点で計3個師団を失っており、その戦闘力は当初の半分程度にまで低下していた。チェコ軍の攻勢能力はほぼ失われており、あとは損害を避けるために後退するしかなかった。

Turn06e



つづく

F16CJ




 

DoomsDayProject1


The Battle for Germany(以下、本作)は、2021年に米国Compass Gamesが発表したシミュレーションゲームだ。テーマは1985年8月を想定した西ドイツにおけるワルシャワ条約機構(WP)軍とNATO軍の対決。1Turnは実際の1日、1Hexは12kmに相当し、1ユニットは連隊~師団規模になる。 本作の基本システムは、 以前の記事 で紹介したので、そちらを参照されたい。

今回は、その中からシナリオ4「The Battle for CENTAG」をソロプレイしてみた。このシナリオは北部戦域を除いたドイツ中南部での戦いを描いたシナリオである。キャンペーンシナリオほどではないが、それでもフルマップ2枚相当のかなり大規模なシナリオである。個人的には実質的にプレイなのはこの程度のシナリオまでかな、とも思っている。

前回までの展開は --> こちら

4Turn(1985/8/4)

戦略フェイズ

Z_Weather天候は悪天候になった。悪天候になるとNATO側は性能値が-1、WP側は性能値が-2される。性能の低下したWP側戦闘機はNATO側の一方的な的になり、次々と撃墜されていったが、それでもギリギリで制空権は持ちこたえた。WP側は地対地ミサイルで西ドイツと英本土のNATO軍基地を攻撃し、飛行場2か所を使用不能とした。

WPプレイヤーターン

SO_SGF_HQ北方では、ソ連第1親衛戦車軍と親衛打撃軍(SGF)麾下の戦車師団、機械化歩兵師団が西ドイツ軍第3軍団に対して猛攻を加える。目の前にはルール工業地帯が見えている。度重なる戦闘でボロボロになっている西ドイツ第3軍団は、それでもWP軍の攻撃に対して懸命な遅退戦闘を行い、ドムトムント前面でWP軍の攻撃を阻止していた。

Turn04a


US_A10_174TFWその南方ではWP軍がウルツブルグとニュルンベルクの間を攻撃し、米第8歩兵師団「パスファインダー」や西ドイツ第10装甲擲弾兵師団に圧力をかける。しかしNATO側の防衛態勢もある程度固まってきたため、今までのような大規模突破は難しい。WP軍は兵力の優越を生かしてNATO軍兵力を削っていく消耗戦を仕掛けていく。NATO側も航空兵力の優越を利用して地上支援機を惜しみなく投入する。フルダやニュルンベルクといった都市部では、取り残されたNATO軍部隊が孤軍奮闘。兵力で勝るWP軍の猛攻を跳ね返していた。

Turn04b


ニュルンベルグからミュンヘンにかけての地域ではチェコ軍を中心とする部隊が攻撃を継続していたが、チェコ軍も度重なる戦闘で大きな損害を被っていたため、その攻撃にはやや鋭さが欠けていた。

Turn04c


NATOプレイヤーターン

CZ_4TDこのTurn、NATO軍は北と南で反撃を行う。南方戦線では突出してきたチョコ軍の師団に対して西ドイツ第2軍団が2ヶ所で反撃を行う。ミュンヘンでは、突出してきたチェコ軍第15機械化歩兵師団を西ドイツ第1擲弾兵師団が攻撃してこれを撃破。ニュルンベルグ南方では、チェコ軍第4戦車師団を西ドイツ軍第10装甲師団が攻撃してこれを撃破した。

北方ではドムトムント南東部をライン川に向かって急進するソ連軍第90戦車師団を最新鋭のレオパルド2主力戦車を装備した西ドイツ第5装甲師団が夜襲を仕掛けてこれを壊滅に追い込んだ。

反撃が西ドイツ軍戦線で集中的に行われたため、米軍戦線では反撃を実施せずに戦線の整理を行う。フルダ方面に残る米独部隊は見捨てる形で戦線を整理し、フランクフルトを起点としてそこから北方向と南東方向に戦線を敷く。そしてそのフランクフルトには米第3機甲師団を展開し、その北側には米第3歩兵師団、南東方向には米第8歩兵師団と同第1機甲師団等が展開する。

Turn04d


5Turn(1985/8/5)

戦略フェイズ

天候はなおも悪天候が続く。WP側の制空戦闘機はNATO戦闘機隊に対して果敢に挑んだが、数と性能に勝るNATO側戦闘機の攻撃を受けて一方的に撃墜されてしまった。NATOは航空優勢を確立した。

Z_NuclearAttackWP側はNATO側の制空権に対抗するために地対地ミサイルによる核攻撃を行うことも可能であった。これに対して(実際とは異なり)ゲーム上のNATO側には有効な対抗手段がない(相手が核を使えば、こちらも報復攻撃が正当化されると思うのだが、本ゲームには報復攻撃を示唆するルールはない)。しかし個人的に核の飛び交う第3次世界大戦というのは受け入れ難いものがあった。そこで(悩んだ末)今回は核ミサイルを使用しないことを決意した。
ただし本作はWP側の核戦力での優位を前提としてバランスを調整しているフシがある。だから対人戦でWP側を担当した際には、戦術核兵器を容赦なくNATO軍航空基地に叩き込むことになるだろう。


核爆発


WPプレイヤーターン

遂にWP軍はNATOの戦線を突破した。ドムトムント南方で西ドイツ第2装甲擲弾兵師団を撃破したソ連軍の先鋒がライン川に到達したのである。NATOの戦線は南北分断の危機を迎える。

Turn05a


しかしそれより南方ではWP軍の攻撃力が限界に近づいてきた。各地で行った攻撃でもNATO軍は豊富な航空戦力を継ぎこんでWP軍の攻撃を撃退していた。中でも戦線南翼を担うチェコ軍の損害は激しく、最早攻勢継続は困難な状況になりつつあった。

Turn05b


NATOプレイヤーターン

WG_54BDENATO軍は南方戦線ではチェコ軍に対する限定的な反撃を実施し、チェコ第15機械化歩兵師団を壊滅に追い込んだ。このまま西ドイツ第2軍団はチェコ軍に対する攻勢を継続できそうな雰囲気だったが、そうは問屋が卸さない。西ドイツ第2軍団は基幹兵力である3個機械化師団を除く独立部隊等を北方戦線に送り込み、ライン川防衛戦に回す。

Turn05c


そして決戦場となる北方戦域。NATO軍は思い切ってドムトムントを放棄。戦線をライン川西岸まで後退させた。そして兵力不足を補うべく弱体化した西ドイツ第3軍団に増援部隊を送り込む。各種独立部隊及び米第5軍団の第3機甲師団をバックアップ用の兵力として送り込んだ。

Turn05d



つづく

Leopard2A




 

Turn01d


The Battle for Germany(以下、本作)は、2021年に米国Compass Gamesが発表したシミュレーションゲームだ。テーマは1985年8月を想定した西ドイツにおけるワルシャワ条約機構(WP)軍とNATO軍の対決。1Turnは実際の1日、1Hexは12kmに相当し、1ユニットは連隊~師団規模になる。 本作の基本システムは、 以前の記事 で紹介したので、そちらを参照されたい。

今回は、その中からシナリオ4「The Battle for CENTAG」をソロプレイしてみた。このシナリオは北部戦域を除いたドイツ中南部での戦いを描いたシナリオである。キャンペーンシナリオほどではないが、それでもフルマップ2枚相当のかなり大規模なシナリオである。個人的には実質的にプレイなのはこの程度のシナリオまでかな、とも思っている。

前回までの展開は --> こちら

2Turn(1985/8/2)

戦略フェイズ

開戦2日目。相変わらず晴天である。NATO側は燃料切れを起こした西ドイツ軍部隊に空中補給で燃料を輸送する。空中戦は増援を得たWP側が盛り返し、西ドイツ上空の制空権をWP側が握った。

WPプレイヤーターン

SO_79GTD増援部隊を得たWP軍が西ドイツ領内に殺到する。北方ではソ連第1親衛戦車軍麾下の機甲部隊が国境線を超えてカッセル周辺のNATO軍に襲いかかる。西ドイツ第2装甲擲弾兵師団、第12装甲擲弾兵師団、そして米陸軍第11装甲騎兵連隊を撃破し、カッセルを占領した。

Turn02a


その南では、ソ連軍第8親衛軍がSCHWEINFURT周辺のNATO軍を攻撃。米第3歩兵師団麾下の1個連隊を撃破してSCHWEINFURTを占領し、WURZBURGに接敵した。

Turn02b


その南方、チェコ軍の担当戦線では、ニュルンベルク前方まで前進したチェコ軍に対し、西ドイツ軍第4装甲擲弾兵師団が予備移動で対応し、ニュルンベルクの守りを固める。

Turn02c


全般にWP側のダイスが走っている。というよりもNATO側のダイスが悪く、支援効果が使えないケースが多かった。平地における戦いでは戦車支援の有無が勝敗を左右することになるので、支援ダイスにコケるとそのまま戦闘結果に直結することになる。

NATOプレイヤーターン

WG_12PGD_CDR NATO側はTurn前半の戦闘で師団基幹(Cadre)を失ってしまった。西ドイツ軍の第12装甲師団と第2装甲擲弾兵師団だ。そのために麾下の部隊が全て連絡線切れになってしまう。簡単に基幹部隊を失うと酷い目に遭う、ということを知った時には遅かった。
NATO側はまだ増援部隊が少ないので、現有戦力で支えるしかない。突出部を後退させて戦線に深みを作って守りを固める。またTurn終了時にはデンマークの離脱チェックを行うが、デンマークは戦線に留まった。

Turn02d


3Turn(1985/8/3)

戦略フェイズ

Z_Chemical_Attack天候は晴れ。両軍とも敵航空基地に対する打撃戦を実施する。WP側は化学兵器を搭載した地対地ミサイルで攻撃を実施。英本土を狙ったミサイルが飛行場中心に着弾し、持続性化学剤をバラまいて飛行場の機能を麻痺状態にした。対するNATO側はトーネード攻撃3ユニットで飛行場に対する反撃を実施したものの、対空砲火に阻まれて2ユニットが後退。残り1ユニットが飛行場1個を使用不能にするに留まった。さらに米陸軍の地対地ミサイル部隊も通常弾頭による飛行場攻撃を行ったが、これまた出目に恵まれず外れとなる。

WPプレイヤーターン

SO_20GMRDWP軍は北方でルール工業地帯へ向けて前進する。ソ連第9戦車師団と同第90親衛戦車師団が西ドイツ第5装甲師団麾下の戦車連隊をカッセル西方の山岳地帯で撃破。突破口を啓開し、ドムトムントまであと4Hexの地点まで前進した。NATO側は予備移動で第2装甲擲弾兵師団を同方面へ急速展開し、突破口を防ぐ。しかしソ連側の第20親衛機械化歩兵師団が追い打ちをかけ、展開してきた西ドイツ第2装甲擲弾兵師団の機械化歩兵連隊を攻撃してこれを撃破、ドムトムントまであと3Hexと迫る。

Turn03a


SO_11GTD中央戦線ではソ連軍第11親衛戦車師団その他が西ドイツ軍第5装甲師団の戦車連隊を撃破し、フルダとGIESSENの間に回り込む。フルダを守る米第3機甲師団の背後が危ない。予備に控置されていた西ドイツ第12装甲擲弾兵師団の2個連隊が前進。フルダ川西岸に布陣し、ソ連軍先鋒と後続部隊との間隙に布陣する。これによってWP側の後続部隊はフルダ川の東岸から渡河できない。

Turn03b


南方では、チェコ軍がニュルンベルク~ミュンヘン間に進出し、西ドイツ軍第2軍団麾下の第1擲弾兵師団、第4装甲擲弾兵師団。第10装甲師団と交戦状態に入る。しかし支援火力に乏しいチェコ軍は、西ドイツ軍の抵抗線を突破できずにいた。

Turn03c


WP_Z_RoadColumnここでルール適用ミス発覚。道路移動モードのユニットは、その規模値を戦闘支援に使えませんでした。ルールでは道路移動モードのユニットには"Road Column"マーカーを載せて識別する必要があるのだが、どうせ全部道路移動モードなので面倒で載せていなかった。共同攻撃時以外は殆ど問題ないのだが、共同攻撃の際にはかなり重要な意味を持ってくる。気づいた時点で可能な限り補正しておいたが、一部適用漏れがあるかもしれない。

NATOプレイヤーターン

WG_5PzD_15Pzドムトムント東方でNATO軍が反撃を実施した。西ドイツ軍第5装甲師団がソ連第20親衛機械化歩兵師団に対して夜襲を仕掛けたのである。戦力は必ずしも十分ではなかったが、戦車性能の優越とダイス目の優越が奏功してソ連軍を撃破した。第20親衛機械化歩兵師団は主要装備の殆ど失って東方へと退いていく。

Turn03d


US_3AD_3フルダ西方では米軍を主体とする反撃が行われた。反撃に参加したのは米第5軍団所属の第3機甲師団「スピアヘッド」と第7軍団所属の第3歩兵師団「ロックオブマルヌ」である。目標となったのはソ連軍第11親衛戦車師団と第32親衛戦車師団。空にはA-10サンダーボルトの航空支援が舞い、戦車や砲兵火力を集中した米軍の激しい反撃で、第11師団が壊滅、第32師団も大損害を被ったが辛うじて踏みとどまった。

Turn03e


US_8ID_CDRフルダより南では、フランクフルト東方から南東方向へ、ウルツブルグ、ニュルンベルク、ミュンヘンといった広い地域に、北から米第8歩兵師団、同第1機甲師団、西ドイツ第4装甲擲弾兵師団、同第10装甲師団、同第1擲弾兵師団がその他の独立部隊と共に戦線を敷いていた。しかしその戦線は決して強固なものではなく、WP軍の本気の攻撃を受ければ簡単に突破されてしまう恐れがあった。

Turn03f


この日、数台のトラックが東ドイツ領内の空軍基地に厳重に警備された一連の貨物を運び渾んだ。さらに東ドイツ領内に展開するソ連軍中距離ミサイル大隊は、ミサイルに弾頭を装填して発射準備を整えた。

つづく

SS-20




 

表紙


The Battle for Germany(以下、本作)は、2021年に米国Compass Gamesが発表したシミュレーションゲームだ。テーマは1985年8月を想定した西ドイツにおけるワルシャワ条約機構(WP)軍とNATO軍の対決。1Turnは実際の1日、1Hexは12kmに相当し、1ユニットは連隊~師団規模になる。 本作の基本システムは、 以前の記事 で紹介したので、そちらを参照されたい。

今回は、その中からシナリオ4「The Battle for CENTAG」をソロプレイしてみた。このシナリオは北部戦域を除いたドイツ中南部での戦いを描いたシナリオである。キャンペーンシナリオほどではないが、それでもフルマップ2枚相当のかなり大規模なシナリオである。個人的には実質的にプレイなのはこの程度のシナリオまでかな、とも思っている。

Turn00a


1Turn(1985/8/1)

戦略フェイズ

SO_Spetsnazシナリオ開始時点でWP軍は特殊部隊(スペツナズ)を3個使用できる。米軍の事前備蓄基地POMCUSに対して2個、KARLSRUHE(H13.47)で裸で置かれている目標マーカーに対して1個を投入した。2ヶ所のPOMCUSのうち1か所を破壊し、目標マーカーも奪取した。WP側が3VPを獲得した。

連絡線チェック。シナリオ特別ルールによって第1TurnのNATO軍は連絡線で不利な修正が適用されるため、連絡線遮断のユニットが続出する。このあたり、単なる「手続き」なので、シナリオのセットアップ情報に含んでいて欲しい所ではある。

WG_Trndo_JBG32続いて航空戦の割り当てである。AWACSチェック。NATO側のAWACSレベルが7なので、D10で7以下を出せばNATO側がAWACS優勢を確保する。出目は"6"でNATO側が順当にAWACS優勢を獲得した。
これによってNATO側は相手側の航空部隊を布陣を見た後で自陣営の航空兵力に任務割り当てができるようになる。WP側は可能な限り多数の戦闘機を制空任務に割り当てて、残りは対地支援に割り当てた。
NATOも可能な限りの戦闘機を制空任務に割り当てて、残りはトーネードがSAM制圧、A-10とアルファジェットを対地支援に回した。

Turn00b


SO_SSM航空戦を解決する前にSSM攻撃の解決がある。SSM攻撃は目標を選択し、D10を振る。出目が自身のSSM値以下の場合は攻撃成功で、損害判定を行う。出目がSSM値よりも大きい場合はSSM攻撃失敗となり、SSM値が1減少する。
WP側はここではSSM戦力の温存を選択し、SSM攻撃は実施しないことにした。下手に攻撃を行って失敗してしまうと、貴重なSSM戦力が減少してしまう。それを恐れたためである。
NATO側もSSM攻撃は実施しない。NATO側のSSM値は低いので、下手に使用するとSSM値が減るだけの結果になるだけである。

次が補給フェイズである。両陣営とも補給ポイントを使ってインフラを2レベル向上させる。

US_F15_36TFWそして遂にお待ちかねの航空作戦である。まずは両陣営の制空戦闘を解決する。AWACS優勢を取ったNATO側の先制攻撃で空中戦が始まる。WP側最強のMiG-29 3ユニットは、自らが射撃する前に2ユニットを撃破されてしまう。残り1ユニットの射撃で米空軍のF-16に対してステップロスの結果を得。一矢を報いた。結局空戦の結果、NATO側は2ユニット、WP側は4ユニットが減少戦力となって後退していった。
次にSAM制圧。NATO側のトーネード3ユニットが攻撃を行う。しかし1ユニットがSAMの反撃で被弾。残り2ユニットがSAM制圧攻撃を実施するが、外れに終わった。

TornadoIDS_WG


SO_Regt最後にWP側が空挺作戦を行う。WP側で投入可能な空挺部隊は2個連隊。目標ヘクスを選んでD10で輸送値以下の目が出れば空挺降下成功になる。最初の空挺降下はMUNCHENの南端ヘクス(H33.58)に向けられた。ここには目標マーカー(別名「ドラゴンボール」)がある。輸送値は8なのでD10で8以下を出せば降下成功だ。出目は"8"で降下成功。WP軍は3VPのドラゴンボールを獲得した。
もう1個の空挺部隊は将来に備えて温存する。渡河作戦等で空挺部隊が必要となる場面が出てくるかもしれないからだ。

Turn01a



WPプレイヤーターン

ここからは通常の陸戦ゲームのように移動・戦闘の繰り返しになる。ただし、「全ユニットが移動した後に戦闘」ではなく、「活性化したグループが移動、戦闘」「別のグループが移動、戦闘」という手順になる。さらに別のグループが活性化する前に相手の予備移動が入るので、展開は流動的になる。
US_11ACRまずは「フルダ渓谷」ではお馴染みのソ連第8親衛軍(8GDS)が活動を開始する。国境線を守る西ドイツ民間防衛部隊(VKK)を東ドイツ軍の第4機械化歩兵師団がオーバーランにより撃破し、国境線の門を開く。NATO軍は予備移動で米第5軍団HQを活性化し、麾下の第11装甲騎兵連隊をFULDA北方に布陣させる。アウトバーン経由でによるWP軍部隊の西方への突破を阻止するためだ。その後詰めには米第3機甲師団の1個戦車旅団をFULDAに入城させる。

Turn01b


その南、NUREMBERG北方のBAMBERG(H31.41)では、同地を守る米第3機甲師団の1個旅団がソ連軍第39親衛機械化歩兵師団の攻撃を受け、壊滅した。弾薬不足のため、殆ど抵抗できずに一方的に殲滅されてしまう。

ソ連第1親衛戦車軍(1GTA)麾下の4個師団は、第8親衛軍の北側を進んだが、この日は国境線を突破して西ドイツ領内に入っただけであった。
東ドイツ軍はソ連第8親衛軍と第1親衛戦車軍の間を埋めるように進む。チェコ軍は西ドイツ南部の突出部を西へ向けて進撃する。

Turn01c



NATOプレイヤーターン

NATO軍は補給切れの部隊が多い上、ユニット数だけは多い。北から西ドイツ第3軍団、米第5軍団、米第7軍団、西ドイツ第2軍団の4個軍団が展開している。各軍団は2~3個師団+独立部隊からなり、総兵力は10個師団以上に登る。WP側先鋒部隊の兵力が15個師団なので、実質的な兵力はこの時点で大差はない。むしろ質の差を考慮するとWP側が有利なぐらいだ。
NATO軍は後方に降りたスペツナズを撃破し、さらにミュンヘンへ降下したソ連空挺旅団を西ドイツ軍第1装甲擲弾兵師団が攻撃して街から叩き出した。

NATO軍はユニット数が多い(連隊~旅団単位)ので、特に第1Turnは時間がかかる。今回のソロプレイでも、NATO側プレイヤーTurnだけで3~4時間かかってしまった。第2Turn以降は戦線が整理されてくるからもう少しスピードアップできそうだが、果たして・・・。

Turn01d



つづく

ZSU23




 

表紙


The Battle for Germany(以下、本作)は、2021年に米国Compass Gamesが発表したシミュレーションゲームだ。テーマは1985年8月を想定した西ドイツにおけるワルシャワ条約機構(WP)軍とNATO軍の対決。1Turnは実際の1日、1Hexは12kmに相当し、1ユニットは連隊~師団規模になる。 本作の基本システムは、 以前の記事 で紹介したので、そちらを参照されたい。

今回は、その中からシナリオ3「The Battle for NORTHAG」をVASSAL対戦することになった。これはドイツ北部における開戦から6日間の戦いを描いたシナリオで、WP軍は西ドイツ北部からベルギー、オランダ方面への突破を目指す。私はWP軍を担当した。

Turn00a


1Turn(1985/8/1)

戦略フェイズ

シナリオ開始時点でWP軍は特殊部隊(スペツナズ)を3個使用できる。米軍の事前備蓄基地POMCUSに対して使用。3ヶ所のPOMCUSのうち2か所を破壊し、まずは戦果を達成した。
航空戦では両陣営とも戦闘機を制空任務に投入する。数で勝るNATO軍が航空戦を有利に進め、WP側のSAM陣地に大きな打撃を与えた。WP軍もSAM攻撃を実施するが、こちらは失敗。腹いせ(ではないが)化学兵器を満載したSSM(地対地ミサイル)を英本土のNATO軍基地にバラまき、同方面のNATO航空兵力に多大な損害を与えた。

WPプレイヤーターン

序盤はWP軍としても決して兵力が潤沢な訳ではなく、攻勢に投入できるのはソ連軍2個軍(2GTA=第2親衛戦車軍、3CAA=第3戦車軍)の計8個師団(戦車5個師団、機械化3個師団)と東ドイツ軍1個軍(EGA)所属の1個戦車師団に過ぎない。さらにその主力戦車はT-64で(東ドイツ軍に至ってはT-55)、NATOの新型戦車(レオパルド2、チャレンジャー等)には到底及ばない。そのためにその前進は決して楽なものではなかったが、それでも何とか主要都市であるハンブルグ(Hamburg)とBrunswickを占領し、突破口を啓開した。この時点ではNATO軍の地上部隊は戦闘展開しておらず、そのためにWP軍機械化部隊が何とか進撃できた訳である。

Turn01a


NATOプレイヤーターン

序盤、NATO側の部隊の多くは連絡線切れの状態になっており、組織だった行動が難しい。取り合えず後方に取り残されたスペツナズユニットをオーバーランで撃破しつつ、残りはエルベ川等南北に流れる河川沿いに戦線を敷いてWP軍の突破に備える。

Turn01b


感想

今回は時間の関係でこの時点で終了とした。所要時間は6~7時間である。わずか1Turnでこれだけ時間がかかるのは、慣れの問題もあるが、ゲームシステム自体の問題もある。
今回のプレイでルール等についていくつか疑問点が出てきた。そのいくつかは Board Game Geek で質問しておいたが、そのいくつかを紹介する。

まず最初に疑問に思ったのは河川の効果である。TEC(地形効果表)によれば、「河川越えの移動で敵ZOCには進入できない」とある。ということは例えば下図のように河川の1ヘクス後ろに布陣すると攻撃側は手も足も出なくなる。一応「工兵支援」というルールがあり、それを使えば河川を渡河できるのだが、それは確実なものではなく、成功率は50%以下でしかない。しかも失敗する度に工兵能力が10%ずつ減っていくので、ダイス目が悪いと何もしない間に渡河能力が失われていく・・・。
個人的には「渡河禁止」はZOC to ZOCの場合に限定した方が良いようにも思うのだが、Board Game Geek で質問した所、デザイナーからはハッキリと「ZOCに進入する渡河は禁止」という回答を得た。従ってまずはデザイナーの意向を尊重するしかない。

Hamburg


ちなみにこのデザイナーは水障壁が好きらしく、前作The Fulda Gap(CompassGames)では、水溜まりのような小川であっても戦車の渡河をストップさせる効果を与えていたりして、批判されていた。

VKK(西ドイツ地域防衛コマンド)に関するルールにも疑問がある。西ドイツの都市ヘクスに隣接する度にVKKユニットの登場有無を判定するルールだが、この判定の実施について何の制限もないことである。一番問題なのはWP側が一度占領した都市ヘクスであってもVKK生成チェックの対象になる所で、折角占領した筈の都市ヘクスがVKKユニットによって再占領されたらWP側としては目も当てられない。単に邪魔になるだけではなく、補給線の障害にすらなりかねない。
個人的には一度WP側が占領した都市ヘクスについては、VKK登場チェックの対象外にするといったハウスルールが必要だと思う。そうでなければ、WP軍の後続梯団は、VKKの再登場を避けるために、西ドイツの都市ヘクスを避けて通ることが必要になるのかもしれない(実はそういう効果を狙ってのことかもしれないが・・・)。

後日、Board Game Geek で確認した所、WP軍が一度占領した都市ヘクスはVKK登場チェックの対象外となるらしい。常識的な解釈が正しかったという訳だ。

あとは細かい話なのだが、何故か英国製のファントムに限って他国(米独)のファントムよりも著しく性能が落ちるとか、ミラージュF1Cには空戦能力があるのに、Mirage 2000Cには空戦能力がないとか、航空機の能力についても気なる点がある。

これについても Board Game Geek で確認した所、西ドイツ本土に配備されているFGR-2(英国製ファントム)は対地支援を主な任務としており制空戦闘は担当していない。だからこういうレーティングになったそうだ。ナルホドね。

そんなこんなで細かいレベルではいろいろ気になる点のある本作だが、細かいルールで1980年代の東西両陣営の戦いを描いた本作が魅力的なのは確かである。いつかキャンペーンシナリオを試してみたいと思う。

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