もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

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写真00


「真珠湾強襲」(以下、本作)は、2011年にGame Journal#39の付録ゲームとして発表されたシミュレーション・ウォーゲームだ。テーマは1941年12月に開始される太平洋戦争。3年8ヶ月に及ぶ太平洋戦争を1Turn4ヶ月、計11Turnで再現する。

本作のシステムについては 以前の記事で紹介したので 、参照されたい。

今回、シナリオ4「第2ターンからのキャンペーン」を対人戦でプレイすることになった。このシナリオは文字通り第2ターンからのキャンペーンシナリオで、1942年1~2月頃の状況からゲーム開始となる。
日本軍はマレー半島、フィリピンへの上陸には成功しているが、シンガポール、マニラ等は未だに連合軍が押さえている状況だ。日本軍としては東南アジア一帯を速やかに占領して長期不敗態勢を固めると共に、インド、南東太平洋、ハワイ方面といった連合軍の枢要地域に侵攻作戦を行って勝利を確実なものにしたい。
一方の連合軍は日本軍によるサドンデス勝利を阻みつつ、反攻の糸口を捉えて日本軍に打撃を与えたい。

今回、私は連合軍を担当した。

2Turn



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JP_AF台南まず日本軍は東南アジア一帯を支配下に収めようとする。地上部隊の攻撃によりマニラ、シンガポールを相次いで占領。スラバヤに対しては「急襲作戦」を仕掛けて電撃戦でこれを占領した。ビルマ方面では、日本軍2個師団がラングーンに前進を果たしたが、同地を占領するには至らず。さらにガダルカナルは2個旅団を投入したが、これまた占領には至らない。

写真02


このTurn、日本軍はマニラ、シンガポール(各5VP)、スラバヤ(2VP)の計12VPを獲得し、VPの総量は19VPとなった。

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3Turn

JP_BG川口アメリカ西海岸から米空母機動部隊が出動し、ソロモン諸島南東海域に進出する。米空母から発進した艦載機がガダルカナルの日本軍に対して激しい空襲を加えてこれを制圧するも、日本軍は不屈の精神(単に「補給」カードを使用しただけ)で復活。「急襲作戦」でガダルカナルを守る米軍部隊を撃破し、同地を占領した。

写真04


ビルマ方面では日本軍が航空部隊の支援の元、ラングーンを連続攻撃し、遂にラングーン占領を果たした。他にレイテを日本軍部隊が無血占領している。

このTurn、日本軍はガダルカナル、ラングーン、レイテ(各2VP)の計6VPを獲得し、VPの総量は25VPとなった。他にボーナス1VPがあるので、サドンデス勝利まであと4VPである。

写真05


4Turn



写真06


JP_CV飛龍蒼龍南太平洋で日米の機動部隊が激突した。「空母機動部隊」によって先制攻撃をかけてきた日本機動部隊に対し、米機動部隊は「迎撃機」で反撃。激しい戦いにより日本軍は空母「隼鷹/飛鷹」が沈没、「飛龍/蒼龍」が中破する。一方米機動部隊も空母「ホーネット/ワスプ」が沈没。空母同士の戦いは痛み分けに終わった。
その間、ガダルカナルには米海兵隊2個師団が上陸。同島の奪回を図るも、日本軍守備隊の奮戦によってこれを撃破するには至らず。

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ビルマ戦線では英東洋艦隊が出撃し、ベンガル湾に進出して制海権を握る。英軍2個師団が、英東洋艦隊と航空兵力の援護の下、ラングーンに反攻作戦を実施。「急襲作戦」によって日本軍を撃破し、ラングーン奪回に成功した。

写真08


このTurn、連合軍がラングーン(2VP)を奪回し、日本軍のVPの総量は23VPに減少した。

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5Turn

日本軍はラングーン奪回のため航空兵力を地上兵力を投入したが、英軍も2個師団を投入し、ラングーンを守り切った。

US_AF南東太平洋方面では、ガダルカナルで日米両軍の睨み合いが続く中、珊瑚海に米機動部隊が進出する。米機動部隊の攻撃によってラバウルの日本軍基地航空部隊が一掃されたため、日本軍は慌てて地上部隊をラバウルに送り込んだ。一方日本軍も空母機動部隊をソロモン海に送り込み、空母機の攻撃で米空母「エンタープライズ/ヨークタウン」を撃沈することに成功する。

米軍はニューギニア北東岸のラエに陸軍2個師団と航空部隊を進出させ、その攻撃によりトラック島に展開する日本軍の航空部隊を撃破した。

写真10


このTurn、VPに変化はなく、日本軍のVPの総量は23VPのままである。

写真11


6Turn

US_CVエセックスバンカーヒル米艦隊の一部がダンビール海峡を越えてビスマルク海に進出。同地の制海権を米軍が確保した。さらに新鋭空母「エセックス/バンカーヒル」、インデペンデンス級軽空母2ユニット(4隻)が艦隊に加わり、珊瑚海に進出。ベテランの空母「サラトガ/レキシントン」と合流する。南太平洋で三度日米の機動部隊が激突。先手を取った米機動部隊は空母「翔鶴/瑞鶴」を撃沈し、ベテラン「赤城/加賀」も艦載機を失ったので日本本土へ後退していった。

トラック島が危ない。
US_DV1MD日本軍はトラック島に1個旅団を送り込んで守りを固める。連合軍は「急襲作戦」を利用して海兵師団1個にてトラック島を攻撃。日本軍の守備隊を撃破してトラックを占領した。

写真12


この時点で日本軍のVP総量は21VPに減少。日本軍は勝利の望みを失ったと判断し、ゲーム終了となった。

プレイ時間=3~4時間

写真13


感想

JP_CV赤城加賀ルールは簡単だが、意外なほど歴史的に忠実な展開になる。ソロモン諸島や東部ニューギニアでVPの高い地域が集まっているため、必然的に同方面が激戦地になる。現実の戦略的な価値を考えた時、ソロモン諸島や東部ニューギニアに高い戦略的価値があったかどうかは疑問だが、ゲーム展開を歴史に忠実になるように誘導するという観点からは有効なデザイン手法と言える。
ルールが簡単な太平洋戦争キャンペーンゲームとして、「太平洋戦史」や「Victory in the Pacific」等があるが、これらの作品に比べると、本作の展開は比較的「大人しい」ものと言える。また上記2作品では陸軍の存在がかなり抽象的に扱われているが、本作では米海兵隊や日本海軍の小規模部隊(一木支隊、川口支隊、南海支隊等)の有用性がしっかりと再現されているので、嬉しい所だ。
本作で気になる所はカードの使い方で、この点についてはある程度の経験値が必要になるだろう。とはいえ一度プレイすればコツが掴めるレベルのものなので、致命的な欠点という訳ではない。
総じていえば、本作はゲーム性やシミュレーション性の両面から万人にお奨めできる太平洋戦争キャンペーンゲームといえる。既に発売から10年近くが経過しているが、豪華版という形で再販が望まれる作品だ。

表紙


「真珠湾強襲」(以下、本作)は、2011年にGame Journal#39の付録ゲームとして発表されたシミュレーション・ウォーゲームだ。テーマは1941年12月に開始される太平洋戦争。3年8ヶ月に及ぶ太平洋戦争を1Turn4ヶ月、計11Turnで再現する。
システムはいわゆる強襲システム。決められた数のカードで自分のデッキを構築し、カードを交互にプレイすることで進行する。マップはエリア方式、艦艇は同型艦2隻、航空隊、地上部隊は旅団から師団で再現する。
今回、その中からシナリオ2「珊瑚海海戦」をプレイしてみた。このシナリオは第2Turnから始まり、第5Turnまでをプレイするシナリオである。1942年の春から翌1943年の春までを扱う。日本軍が30VPの勝利ラインをどこかでクリアすれば勝利、それ以外は連合軍の勝利である。

Turn02-00


2Turn

日本軍は、急襲作戦2枚、空母機動部隊2枚、補給2枚、共同作戦、独立部隊でデッキを組んだ。
対する連合軍は、空母機動部隊、補給、独立部隊である。

JP_CVL祥鳳瑞鳳日本軍はまずガダルカナル攻略を目指して同島に展開する米歩兵師団(4-2-2)の無力化を図る。基地機による爆撃は失敗(成功率1/3)に終わったが、軽空母による爆撃は成功(成功率1/2)し、米師団は裏返しになる。
このままではガダルカナルが危ない。米軍は「補給」カードの利用も考えたが、まだ早い。そこでエスピリッツサントの航空機によってガダルカナルの日本軍旅団(3-1-3)を攻撃。成功率は1/3に過ぎなかったが、これが見事に命中して日本軍旅団を裏返しにした。これでガ島の危機は僅かに遠のいた。

Turn02-01


日本軍は「独立部隊」でセイロン沖の制海権を確保する一方、ラングーンには2個師団を送り込んでこれを脅威し、レイテ島を無血占領した。

連合軍はパスしたので、日本軍は「補給」を使ってラングーンの2個師団、レイテの旅団、ガダルカナルの旅団を復活させる。

Turn02-02


連合軍はラングーンとガダルカナルの両方が危機に陥った。ラングーンの日本軍に対してカルカッタの英空軍が爆撃を試みたが、失敗に終わる。

この機を逃さじ。日本軍は「急襲作戦」でラングーンを強襲した。この作戦が奏功し、日本軍がラングーンを占領した。

Turn02-03


さすがに連合軍もこれはヤバイと見て、「補給」でガダルの師団と基地航空隊2個を復活させた。

JP_BG川口日本軍は基地航空部隊でマニラとシンガポールの連合軍部隊を裏返した後、「共同作戦」により地上部隊で2個所同時攻撃を敢行。確率1/9での失敗が危惧されたが、無難に作戦は成功した。

日本軍はさらに「空母機動部隊」を以てジャワ海に進出。やや「牛刀を以て鶏肉を割く」の感がなきにしもあらずだが、空母部隊の圧倒的な攻撃力でジャワ島のオランダ軍を制圧した。その後日本軍は「急襲作戦」でジャワ島へ奇襲上陸を敢行。成功率1/2のギャンブルを見事に成功させてスラバヤを制圧した。

Turn02-04


JP_CV赤城加賀日本軍にとって残る目標はガダルカナルである。日本軍は「空母機動部隊」をソロモン海に進出せしめてガダルカナルを攻撃。ガダルカナルの米軍師団を再び裏返し状態にした。さらに珊瑚海に展開中の連合軍水上部隊を航空攻撃にて撃退する。頃合い良し。日本軍は最後の1枚「補給」カードを裏返しで使用。ガダルカナルの日本軍で米守備隊を攻撃した。成功率1/2のギャンブルであったが、今回は運命の女神が米軍側に微笑んだ。日本軍による攻撃は失敗に終わり、ガダルカナルは連合軍が保持し続けた。

Turn02-05


US_DV32D連合軍は「独立部隊」でヌーメアとフィジーに各1個師団を送りこんで守りを固める。さらにインパールには英軍2個師団が進出。ラングーンの日本軍に対しては基地航空隊とさらにベンガル湾に進出した空母「ハーミーズ」の機動部隊が猛攻を加えたが、出目に恵まれずに有効打はなかった。

Turn02-06


このTurnに獲得した日本軍のVPは、マニラ、シンガポールで各5VP(計10VP)、ラングーン、スラバヤ、レイテで各2VP(計6VP)、レイテで1VPで合計16VPであった。これまでの槨得分と合算すると計23VP。ボーナス1VPなので計24VPなる。勝利まであと6VP。

Turn03-00


3Turn

このTurnから日本軍の手札は確保している資源エリアの数となる。現時点で日本軍が獲得している資源エリアは、計6ヶ所。これは地図上に存在する全ての資源エリア数に等しい。つまり日本軍は最大でも1Turnに獲得できるカードの枚数は6枚となり、それは今後減ることはあっても、増えることは決してない事を意味している。

このTurn、日本軍としては、ビアク、ラエは無血で取りたい。あとはガダルカナルとポートモレスピーが攻防の焦点となるだろう。
日本軍は、急襲作戦2枚、空母機動部隊、補給、独立部隊、海上輸送でデッキを組んだ。
対する連合軍は、急襲作戦、空母機動部隊、補給、海上輸送である。図らずも両軍似たようなデッキ構成となった。

まず日本軍は軽空母を使ってガダルカナルを航空攻撃し、守備隊を無力化した。あとは日本軍旅団による突撃が成功すればガダルカナルを占領できる。

US_DV32Dところが、だ。米軍がなんと海兵隊(4-2-3)を単独でガダルカナルに送り込んできたのだ。「急襲作戦」によってガダルの日本軍旅団を一気に追い落とす作戦である。成功率2/3なので悪くない作戦であったが、何とここで米軍は作戦に失敗してしまう。ガダルカナルでは日本軍1個旅団と米軍2個師団が睨み合う形となった。

Turn03-01


日本軍にとっても困った事態である。これまでの状況なら無力化した敵師団を旅団で海に追い落とせば良かった。しかし相手が2個師団ならそうはいかない。1個師団を撃破しても、それだけでは足りないのだ。さてどうしたものか・・・。
取り敢えず日本軍は「海上輸送」を使って本国から増援部隊をラバウルに送り届けた。米軍も「海上輸送」で増援部隊を南東太平洋方面に送り込んだが、早速日本軍の攻撃を受けて航空機1ユニットが蒸発してしまう。
日本軍は「急襲作戦」を使ってニューギニア北岸のビアクとラエを一気に占領した。これで日本軍は勝利まであと4VPとなった。
連合軍がパスしたので、日本軍はさらに「急襲作戦」でガダルカナルを猛撃する。2回連続で3以下の目が出ればガダルカナルは日本軍の手に落ちる(確率25%)。しかし3以下の目が1個しか出なかったので、米軍1個師団が除去されたものの、何とか踏みとどまる米軍なのであった。

Turn03-02


日本軍が「補給」を使ってガダルカナルの旅団を復活させたため、米軍もなけなしの「補給」を使ってガダルカナルの地上部隊を回復させた。
残り手札は日本軍が2枚、連合軍が1枚である。
JP_AF台南日本軍はカードを使わない航空攻撃でガダルカナルの米海兵隊を再び航空攻撃する。しかし軽空母による攻撃は外れ。一方の米軍はガダルを狙わずにラバウルで唯一健在な日本軍基地航空隊を狙う。確率50%。これが見事に成功し、日本軍基地航空隊1ユニットを壊滅させた。さあ、日本軍はどうする?。虎の子「空母機動部隊」を使ってくるのか?。

JP_CV赤城加賀使うしかない。「空母機動部隊」を使って南雲機動部隊を珊瑚海に進出させた。これで日本軍の機動部隊は空母5ユニットが集結したことになる。日本機動部隊の威力はすさまじく、ガダルカナルの海兵隊を無力化し、さらにポートモレスピーの基地航空部隊を無力化させた。しかし日本軍の手札は残り1枚。これを使うかどうか・・・。

日本軍にとっては難しい決断になる。ここで最後のカードを使ってしまうと、無防備の空母機動部隊が珊瑚海に残ってしまう。それに対して米軍が「空母機動部隊」で攻撃を仕掛けてきた場合は、虎の子の日本機動部隊が大打撃を被る危険性がある。
しかし日本側に手札が1枚残っていると、それが「迎撃機」である可能性があるので、米軍としても迂闊に攻撃できない。

US_CVホーネットワスプ米軍が先に決断した。日本軍に「迎撃機」を持たないと見切って「空母機動部隊」による攻撃を決意したのである。危険な賭けであったが、米軍の賭けは成功した。米空母部隊の奇襲攻撃で空母「蒼龍/飛龍」が大破、空母「翔鶴/瑞鶴」と「赤城/加賀」が後退した。奇襲に成功した割には戦果はやや寂しかった。さらに日本軽空母の反撃によって米空母「ホーネット/ワスプ」が沈没。空母戦自体は日本軍の勝利に終わった 。

Turn03-03



JP_BG川口日本軍は「独立部隊」でガダルカナルを攻撃。米海兵隊を撃破し、遂にガダルカナルを奪取した。このTurnに獲得した日本軍のVPは、ガダルカナルで2VP、ビアク、ラエの2ヶ所で各1VP(計2VP)、これまでの獲得分と合算すると計27VP。ボーナス1VPなので計28VPなる。日本軍勝利まであと2VP。

Turn04-00


つづく

表紙

「長元記」(以下、本作)は、Game Journal#80の付録ゲームだ。テーマは日本の戦国時代で、四国での戦いを作戦レベルで描いている。
本作のシステムは所謂「戦国群雄伝シリーズ」で、1Turnは実際の1週間、1Hexは実際の約6kmに相当し、マップには四国全域と淡路島の南端、山陽地方の沿岸地帯の一部が描かれている。1ユニットは500~1000人程度の兵力を表している。

今回、本作に挑戦してみた。

前回までの展開 --> こちらく

シナリオ4.中冨川原

十河存保 前回のシナリオ3は仮想戦だったが、今度はヒストリカルシナリオである。本能寺で織田信長が討たれたことで小康を得た長宗我部勢は、この機会に一気に四国平定を図る。本シナリオは長宗我部元親の四国平定戦、その一部である讃岐・阿波方面での長宗我部元親と十河存保の戦いを描いたものである。私は劣勢の十河勢を担当した。

長元記06


長宗我部元親 兵力は、長宗我部元親率いる長宗我部勢は計46ユニット。対する十河存保勢は16~17ユニット。長宗我部勢が約3倍の優勢を得ている。まともに戦えば長宗我部勢の優位は動かない。が、今回は勝利条件にハンディキャップが付けられており、長宗我部勢は相手方よりも6点以上多いVPを獲得しなければ勝てない。

この状況で十河方の戦い方を考察すれば、自らの失点をできる限る押さえつつ、遅退戦術で時間稼ぎをする。まともに戦えば勝てないので、長宗我部勢の時間切れで勝機を見出す。

実際の展開を簡単に記す。
長宗我部勢は二手に分かれて阿波領内に攻め込んでくる。その主力は白地城から吉野川沿いに東へ向けて進んでくる。十河方の防衛ラインは吉野川中流域にある岩倉城。岩倉城前面に攻め込んできた長宗我部勢と十河勢が大規模な合戦を戦う。後の世に言う「岩倉の戦い」である。

この戦いでは兵力に勝る長宗我部勢が十河勢を圧倒。出目の悪さも手伝って十河勢は全軍崩壊して後退していく。不幸中の幸いは一方的な敗北にも拘らず十河勢の失ったユニット数は2ユニットのみ。何とか回復の可能性を残した敗走であった。

ここで十河側は馬鹿正直に合戦に応じたが、自城のヘクスに位置していた場合、合戦を拒否することができる。ただし通常の野戦は拒否できない。合戦ではなく野戦の場合、1部隊同士の戦いになるので、長宗我部勢の数的優勢をある程度緩和できる。また地形効果や指揮官の能力で十河側が勝っているので、今回のような惨めな大敗を喫することなく遅退戦術が可能であったと思われる。

新開実綱その後、十河勢は本城である勝端に後退。十河方の武将で牛尾城を守る新開実綱は、長宗我部勢の奸計により暗殺されてしまい、牛尾城は長宗我部の元へ。先に合戦が戦われた岩倉城も長宗我部勢が奪取した。さらに長宗我部勢は、主力の長宗我部元親と同信親の部隊が十河氏の本城である勝端城に迫る。勝端城危うし。

その時、十河氏は奇策を取った。勝端城をワザと解放状態にして長宗我部勢を誘い出す。そして折からの大雨で吉野川の水嵩が増したことを見計らって十河勢主力を長宗我部勢の背後に集結させる。先の「岩倉の戦い」で敗北した十河勢であったが、合戦から約1ヶ月経過した後ということもあり、十河方の兵力は決戦が可能なレベルまで回復していた。
士気-1大雨による増水で連絡線を断たれた長宗我部勢は浮足立つ(士気-1)。そこへ立ち直った十河勢が猛攻撃を加えた。後に言う「中富川の合戦」である。今回も兵力では長宗我部勢が優位にたっていたが、前回とは違って兵力の半数が城攻めに回っていた長宗我部勢に対し、十河勢は稼働兵力のほぼ全部をこの合戦につぎ込んだ。その結果兵力比は前回の「岩倉の戦い」よりも十河勢に有利になっていた。

指揮能力の違い(十河存保は長宗我部元親よりも野戦能力が1つ高い)と連絡線切れによる混乱により長宗我部勢は十河勢の猛攻を阻止できなかった。さらに戦場が敵地であり背後を押さえられていることから、長宗我部勢はこの戦いで大敗北を喫した。これにより継戦能力を失った長宗我部勢は阿波の国内から下がるしかなかった。

長元記07


感想だが、小粒ながらも色々と考える所の多いシナリオである。兵力的には長宗我部勢が圧倒的に優勢だが、吉野川沿いの急峻な地形、十河勢の指揮能力の高さなどを加味すると、十河勢にも付け入る隙はありそうだ。実際、今回のシナリオで十河勢が勝利を収めたように・・・。

全体の感想

小粒ながらも良くまとまった作品である。練習用のシナリオである1,2はとにかく、その他のシナリオはいずれも遊べそうな内容だと思う。兵力差が結構ハッキリしている上、質的な優劣が少ないため、兵力の大きい側が一方的に押す展開になりがちだ。しかし内線と外線の使い分け、シナリオでのハンディキャップの設定等もあって劣勢側でもある程度は戦えるようになっている点は評価したい。さらに言えば、各シナリオの長さが最大でも20Turnと短く、登場するユニット数も手頃なので、1日あれば十分にフルターンをプレイできる。
四国の戦役自体はややマイナーだが、登場する武将たちは、長宗我部元親、羽柴秀吉、丹波長秀といったメジャー所なので、そういった意味からでも楽しめる作品だ。

長元記00


「長元記」(以下、本作)は、Game Journal#80の付録ゲームだ。テーマは日本の戦国時代で、四国での戦いを作戦レベルで描いている。
長宗我部元親本作のシステムは所謂「戦国群雄伝シリーズ」で、1Turnは実際の1週間(当時1週間という単位はなかったと思うのだが・・・)、1Hexは実際の約6kmに相当し、マップには四国全域と淡路島の南端、山陽地方の沿岸地帯の一部が描かれている。1ユニットは500~1000人程度の兵力を表している。
本作には6本のシナリオが用意されており、それぞれ1569年から1585年までの特定の期間を扱っている。6本の内訳は、ショートシナリオが3本、大型シナリオが3本だが、一番大規模なシナリオ5にしても長さは20Turnが最大なので、1日あれば十分プレイし終えることができる。

今回、本作に挑戦してみた。


シナリオ3.天魔王襲来

神戸信孝このシナリオは、本能寺の変の時期を扱ったシナリオだが、「もし本能寺の変が起こらずに織田信長が当初の予定通り四国平定戦を行っていたならば」という仮想設定を描いたシナリオである。四国平定を目指す長宗我部と、長宗我部を撃破してやはり四国平定を目指す織田・反長宗我部連合軍の戦い。私は織田・反長宗我部陣営を担当した。

長宗我部信親 長宗我部陣営は、長宗我部、金子、香川、羽床の各氏からなる。ユニット数は長宗我部27、その他11の計38ユニット。対する織田・反長宗我部陣営は、神戸信孝率いる織田本隊と三好、十河、奈良、香西ら東部方面軍が30ユニット、河野、西園寺の西部方面隊が20ユニットで、合計50ユニット。兵力的には織田・反長宗我部陣営が約30%優位に立っている。
では指揮官の能力はどうか。長宗我部陣営は、総大将の長宗我部元親は3-2-3。また長宗我部家の武将は、長宗我部信親(3-3-2)、香宗我部親康(3-2-3)、久武親直(3-2-3)等、さらに中小大名は金子元宅(3-2-3)、羽床資戴(3-3-2)等、それなりに有力な顔ぶれである。

丹波長秀 対する織田・反長宗我部連合の方。総大将の神戸信孝は2-1-3と少し寂しいレーティングだが、副将格の丹波長秀が2-2-4で両軍通じて数少ない行動力4を誇り、さらに阿波を支配する十河存保は3-3-3と全ての面でバランスが取れた能力を有している。一方で伊予方面の地侍である河野道直が2-2-2、西園寺公広が3-1-2でちょっと寂しい一方、西園寺家の土居清良は3-4-3と突出した能力を誇っている。

長元記01


両軍の配置を見ると、織田・反長宗我部方は東四国の讃岐・阿波方面に神戸信孝、丹波長秀、十河存保ら計30ユニット。伊予方面には河野氏と西園寺氏の20ユニットである。対する長宗我部氏は、金子氏、香川氏、羽床氏といった小大名が西讃岐から東伊予にほぼ固定配備されているが、主力である長宗我部は自陣営領内でかなり自由配置が認められている。従って兵力的には劣る長宗我部が本シナリオでは主導権を握っていることが理解できよう。

今回の展開を簡単に触れておく。
西園寺公広長宗我部は主力を西伊予へ投入。西園寺、河野氏といった中小大名に対して攻勢を仕掛ける。一方、織田方主力が登場する讃岐・阿波方面には香宗我部親康、久武親直らが数ユニットを率いて出陣し、羽床、香川らと共に遅退戦術を行う。長宗我部の意図は、西伊予方面で攻勢を仕掛けて城を落してVPを稼ぎ、讃岐・阿波方面では遅退戦術で時間を稼ぐ、というものであったと推測する。

西伊予では、まず黒瀬城(現在の西予市付近)を本拠とする西園寺氏が長宗我部主力による攻撃を受ける。指揮能力や兵力に劣る西園寺氏は城郭を盾に抵抗する。しかし長宗我部も兵力をバラしたため、城攻めをするだけの兵力はない。

長元記02


十河存保 一方の讃岐・阿波方面は、淡路島を拠点とする織田方は、神戸信孝、丹波長秀らが率いる主力部隊が渡海してくる。そして阿波一帯と東讃岐に地盤を持つ十河存保と合流し、讃岐・阿波方面の長宗我部勢を追う。
讃岐に攻め込んだのは十河存保。同方面には長宗我部方についている香川信景(2-1-2)、羽床資戴らが布陣している。十河存保は反長宗我部方についた地侍の香西佳清(2-1-2)と共同で長宗我部勢を攻撃する。羽床資戴は能力に優れた武将であったが、それでも能力と兵力の両方で勝る十河存保に抗すべくもなく、野戦の末壊滅する。

長元記03


香宗我部親康一方、吉野川沿いには丹波長秀が主力を率いて長宗我部勢副将格の香宗我部親康率いる機動兵力を攻撃する。丹波長秀の後方からは神戸信孝、三好康長(3-1-3)らが続き、その兵力は香宗我部親康勢の2倍を超える。そのため香宗我部親康は前線を支えきれずにズルズルと後退を余儀なくされる。

長元記04


最終的には羽床資戴勢は十河存保らの攻撃を受けて壊滅。香川信景も城に囲まれて動きが取れなくなる。こうして十河存保は讃岐一帯を制圧した。
阿波方面は後退を続ける香宗我部親康が阿波方面における長宗我部勢策源地である白地城(現在の阿波池田付近)まで追い詰められ、さらに白地城から追い出される所まで追い詰められた。一方の西部戦線では長宗我部勢が攻勢側に立っているものの、西園寺、河野両氏の遅退戦術に阻まれて勢力拡大には至らない。
ここに至って長宗我部勢は防衛戦を放棄。織田信長との和平交渉に応じることとした。つまり長宗我部勢の投了である。

長元記05


感想だが、全般に兵力に劣る長宗我部勢の不利は否めない。しかもこのシナリオには一切のハンディキャップがなく、純粋に奪取した敵城と除去した敵武将のみがVP源となる。総兵力に劣る長宗我部勢としては、織田方主力が登場してくる讃岐・阿波方面で如何にして無駄な失点を防ぎつつ、西伊予方面で戦果を挙げて失ったもの以上の戦果を収める必要があろう。長期戦では万に一つも長宗我部勢に勝ち目はないが、幸いこのシナリオはたった10Turnの短期シナリオだ。上にも述べた通り主導権は長宗我部勢にあるのだから、長宗我部勢は苦しいながらも綱渡りで勝利を狙うことは十分可能だと思う。

つづく

Game Journal誌の傑作ゲーム「信長最大の危機」(以下、本作)をソロプレイしてみた。このゲームは、1570年(元亀元年)の金ヶ崎からの撤退戦から始まる織田信長による平定戦を1Turn=半年、1ユニット=1500~2000名、ポイントトウポイントシステムで再現する。
今回はVASSALを使ったソロプレイにチャレンジしてみた。今回上級ゲームでプレイしたが、選択ルールは採用しなかった。

前回までの展開は-->こちら

22Turn(天正八年)

上杉景勝半年間の空白期間が空いて、北陸戦線が動いた。いつの間にか当主が上杉謙信から上杉景勝に代わっていたが、その上杉勢が2万以上の大軍を率いて木ノ本峠を越えて北近江に姿を現した。小谷城下を抜けた上杉勢はそのまま前進して再び横山城を囲んだ。

Turn22a


次に動いたのは「毛利」。鳥取を発し、2万の大軍を率いた吉川元春が但馬国の出石城下に出現した。出石には、先に同地を制圧していた明智光秀が、やはり約2万の兵力を率いて布陣していた。ほぼ互角の両者が出石城下で激突する。
序盤で優勢を得た吉川勢が明智勢の一部を撃破すると、明智勢は無理をせず撤退。一部は出石城に籠り、光秀の率いる主力は黒井城まで後退した。

Turn22b


本願寺石山本願寺を囲む織田勢は遂に7万以上の大兵力になっていた。しかし本願寺勢や三好の残党が大坂湾の海路を利用して増援部隊を送り込んでいるので、石山本願寺の兵力もほぼ元通りに戻っていた。そして大坂湾の制海権は村上水軍がガッチリと押さえている。それでも織田は大軍は石山本願寺を攻めたが、これを落とすには至らなかった。

Turn22c


織田信長しかし信長公は諦めない。「浅井・朝倉」を引いた後、再び「織田信長」チットを引いたのである。度重なる包囲戦によって石山本願寺を守る守備兵力は半数程度まで撃ち減らされていた。対する織田勢は守備隊の倍以上の死傷者を出してはいたが、後方から無限の補給能力を生かして総兵力は全く減少する気配を見せない。丹波戦線から急遽はせ参じた明智光秀麾下の約1万5千も攻城戦に加わり、総兵力は約7万。守備隊約6千の実に10倍以上である。さすがにこれだけの兵力差があると、堅固を誇った石山本願寺も落城せざるを得ない。籠城していた一向宗徒は悉くなで斬りにされ、遂に石山本願寺は織田方の手中に落ちた。

この戦いの後、織田陣営と本願寺陣営の間で和睦協定が結ばれた。

Turn22d


23Turn(天正九年)

明智光秀最大の脅威である本願寺勢との和睦を成し遂げた信長公は、休む間もなく次の行動に打って出る、花隈に布陣する毛利の一翼である小早川隆景を包囲殲滅する作戦だ。播磨の大名である別所・波多野氏に使者を送り、織田側への内応の約束を取り付けていた。
いきなり旗を上げした別所・波多野氏は三木城から南下し、加古川まで南下して小早川隆景の背後を遮断する。そして正面からは明智光秀率いる約1万6千が花隈に進出する。本来ならば、花隈の前面にある野田・福島の陣で反織田陣営の三好勢が布陣している筈であったが、事前の調略によって三好の守備隊は織田側に降りていた。従って石山本願寺に布陣していた明智光秀が抵抗なしに花隈に進出出来た訳である。

Turn23a


明智光秀と小早川隆景はほぼ同兵力の激突であったが、連絡線を断たれた小早川勢に元から勝機はなかった。明智勢の一方的な攻撃によって小早川勢は壊滅。小早川隆景もあえなく討死を遂げてしまう。

24Turn(天正九年)

鉄甲船信長公は大坂湾に鉄甲船を浮かべた。これにより大坂湾から播磨灘にかけての制海権確保に向けた信長公の策である。村上水軍が大坂湾に進出し、鉄甲船と戦う。しかしさすがに鉄甲船は強く、損害を出した村上水軍は後退するしかなかった。

Turn24a


25Turn(天正十年)

信長公は琵琶湖方面で反攻に転じた。琵琶湖東岸地区では、徳川家康を総大将にする織田・徳川連合軍約3万が、横山城を囲む上杉景勝約2万に戦闘を仕掛けていく。兵力に勝る織田・徳川連合軍と精強を誇る上杉軍の戦いは精算を極めたが、最終的には織田・徳川連合軍が勝利し、戦力を失った上杉勢は越後へ向けて落ちていった。
琵琶湖西岸では、柴田勝家麾下の約1万6千が比叡山延暦寺を包囲して攻め立てた。延暦寺には僧兵約4千が篭って抵抗を続けており、容易に陥落する気配はない。

Turn25a


26Turn(天正十年)

延暦寺織田方の電撃侵攻が行われた。まず近江戦線では、徳川家康、丹波長秀の連合軍約3万が浅井の本拠地小谷城を急襲し、これを落城せしめた。これにより後方連絡線を断たれた浅井長政は、琵琶湖西岸で柴田勝家の強襲攻撃を受け、退路を断たれて壊滅、討死を遂げる。さらに織田・徳川連合軍の進攻は留まる所を知らず、若狭の金ヶ崎に進出し、同地の朝倉軍守備隊を壊滅させていた。また比叡山延暦寺もこのTurnに落城している。

Turn26a


西方では明智光秀を総大将とする織田軍が姫路を抜けて備前天神山まで地歩を進めていた。宇喜多秀家の本拠地岡山はもう目前である。

Turn26b


29Turn(天正十二年)

丹波戦線に信長公ご自身が現れた。約3万の大軍を率いて出石に布陣する吉川広家約1万6千を攻撃する。あまりの兵力差に流石の吉川広家も退却を決意。総兵力の約半数を失いつつも、なんとか日本海沿岸へ逃げ延びた。

30Turn(天正十二年)

徳川家康2年前に横山城下で織田・徳川連合軍に大敗を喫した上杉景勝が、再び2万の兵を動員して若狭金ヶ崎に姿を現したのである。同地には徳川家康を総大将とする織田・徳川連合軍約2万が布陣していた。ほぼ同兵力の対決。今度こそ雪辱を期して景勝は敵陣に総攻撃を加える。
が、家康はここで「待ち伏せ」を仕掛けてきた。地面に伏せていた兵がいきなり上杉勢の後方を遮断すると、上杉勢に忽ち動揺が走る。その期を逃さず反撃を行った徳川勢の前に、上杉勢は再び大敗を喫した。上杉景勝は辛うじて落ち延びていく。

Turn30a


感想

30Turnをプレイした時点で一旦終了としたい。
現時点での情勢は、浅井、武田が壊滅、本願寺とは和睦が成立。対毛利戦も優勢という状況だ。史実では壊滅していた朝倉が未だ健在で、対毛利戦も史実ほど順調ではない。とはいえ、史実の信長公は第25Turnに明智光秀の裏切りによって討死しているので、史実よりは上手くやっているといえるだろう。

このゲームをプレイするのは6年ぶりだが、やはり面白い。 前回はVASSAL対戦 、今回はソロプレイと、プレイスタイルは違うが、それぞれ異なった楽しさがあった。 対戦の場合は敵の出方が全くわからないというドキドキ感と意外な展開に対する驚きがある。ソロプレイの場合もチット引きや行軍ダイスによる思わぬ展開があり、対人戦とは別の意味でのドキドキ感があって楽しい。また勝敗が関係ないので、一種の大河ドラマを見るような臨場感もまた良し。

今回のプレイでは織田方が一方的に優勢なようにも見えるが、筆者自身がかなり織田側に思い入れしてプレイしたためもあろう。だから本作が織田方有利という訳では決してなく、特に序盤に手を間違えると瞬時に崩壊するのが織田側の難しい所だ。京都を死守する必要があるのは勿論だが、京と岐阜との間の連絡線も保持する必要があり、脆弱な側面を守る困難さが織田側の楽しい所であり、苦しい所でもある。

さてさて、次はどんなプレイスタイルで楽しみましょうか・・・。

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