もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

タグ:Montelimar

写真09


1944年8月25日、モンテリマールを巡る戦いは新たな局面に入った。第11装甲師団の大半は北方に去り、その残余部隊が撤退路を守っている。一方南方では、1個軍団のドイツ軍が北へ向けて撤退を成功させるべく戦いを続けていた。

という訳で、新たなシナリオに挑戦することにした。選択したシナリオは、シナリオ6「The Final Battle」。8月25日から29日までの5日間、モンテリマール戦の後半戦を扱う。 前回 のシナリオとは異なり、今回はいきなり大兵力同士の激突が楽しめるハズ。前回暇を持て余したプレイヤーも今回は楽しめるハズである。前回同様参加者は4名。私はドイツ軍の北方部隊(第11装甲師団の残余)を担当する。

写真10


1944/08/25

0700時

米軍が得意の砲兵射撃を加えるべく、M8グレイハウンド装甲車をドイツ第11装甲師団の戦区に突入させてきた。北へ向けて撤退準備中のドイツ軍は砲撃を受けて混乱する。3個中隊のスタックは猛砲撃を浴びて右往左往する(潰走)。
ドイツ軍も態勢を立て直して反撃開始。パンター戦車がM8グレイハウンド装甲車1個中隊を撃破していきあがる中、さあこれから。ところがなんとイベント「ドイツ軍の補給不足」。第110装甲擲弾兵のチットが空しく放棄されてしまう。

写真11


0900時

第11装甲師団の反撃開始。パンター戦車の砲撃によって米M8装甲車2ユニットを撃破。さらに3211付近では米軍の偵察戦車部隊の3個中隊スタックをドイツ第110装甲擲弾兵連隊が包囲攻撃。装甲車1個中隊を潰走させ、1個中隊を撃破した。

写真12


1100時

派兵ポイントが足りないため、第11装甲師団の活動がやや弱くなる。米軍の第36歩兵師団が逆に反撃に転じてきた。怪しいヒーローStephan Raymond Greg少尉が魔法の威力を発揮。ドイツ軍最強のパンター中隊が1人の歩兵少尉のために瞬時に降伏してしまう。戦車1個中隊を降伏させるステファン少尉とは一体何者・・・。

写真13


3311付近の戦いで米第36歩兵師団長が搭乗する軽戦車ユニットに猛砲撃を浴びせて同師団長を戦死せしめた。

1300時

米軍が戦線南部の第63独立高射砲連隊に対して砲撃を仕掛けてきた。同部隊は北に下がりながら半円形に展開して塹壕を掘る。

南方戦線ではモンテリマール付近を友軍(ドイツ軍)の第198歩兵師団が北上するが、ボーフラの如くに湧いてくるフランス国内軍(FFI)の抵抗に苦戦を強いられている。やられてもやれれても「何ともないない」といって復活するレジスタンスに業を煮やした独軍南方部隊。当該指揮官の悲痛な叫びが響く。

「レジスタンスルールがインチキだ」
「レジスタンスルールがそのままならこのゲームは2度とプレイしないぞ」


写真14
写真15



1500時

北方戦線ではシャーマン戦車が近づいてくるので、砲撃を誘導して足を止める。本作では、戦車でもなんでも重砲撃を受けると移動力がゼロになってしまう。従って重砲撃で戦車の足を止めることが可能だ。
しかし・・・、何たることか突然の風が吹いて砲煙が晴れてしまう。砲煙が晴れると、重砲撃による足止め効果は消えてしまうのだ。再び動き出したシャーマン戦車がドイツ軍陣地に襲いかかる。戦車の砲撃を浴びながらも耐えるドイツ歩兵。
しかしドイツ軍にも反撃の機会がやってきた。しばらくなりを潜めていたパンター戦車の1個中隊(今や米軍の奇策によって僅か1ユニットまで減らされていた)が米軍のM10駆逐戦車を射程距離に収めた。距離2000mから75mm方が火を噴き、M10駆逐戦車を撃破する。

写真16


1700時

時間の関係上、このTurnを最終turnとした。最終Turnなので派兵ポイント(DP)を全部ぶち込んで活性化チットを投入する。これでパンター戦車の大活躍、と思った矢先、イベントで「ドイツ軍の補給不足」。このイベントはドイツ軍が準備した活性化チットが全て無効化されてしまうというもの。この2日間で3回出たが、ドイツ軍プレイヤーとしては納得し難いルールである。ドイツ軍の大反撃は夢と終わり、その後米軍プレイヤーが楽しくドイツ軍ユニットを撃ちまくっていました。 後で「コニャック」(ダイスの振り直し権利)を使えば良かったかと気づいたが、後の祭であった。

写真17


感想

前回 に比べると展開が派手になり、その点は良かった。プレイ時間も少しだけ短縮化でき、前回よりも1Turn余分に進めたのは良かったと思う。

ゲーム展開を見た場合、とにかく「目の前の敵を殴る」という展開に終始し、見るべき点はない。もう少し大局的な視点に立って戦うべきであっただろう。多人数プレイの場合、とにかく戦略的な配慮が甘くなり、殴り合いに終始し勝ちである。1人で全軍を担当した時には、「華麗な戦略的機動」を演じることができるのに・・・。このあたり、現実の世界にも相通じる点があって興味深い。

ゲームとしての難点を挙げる。
イベントやDPチェックのダイス目の影響が大きすぎるのではないか。イベントでは、特に「ドイツ軍の補給不足」が強烈。なけなしの派兵ポイントで購入した活性化チットがイベント1つで吹き飛ぶのは悲しい。せめて「任意のチット1枚を捨てる」ぐらいにして欲しかった。(「コニャック」を使わなかった弊方の不手際もあったが)。
派兵ポイントについても成功と失敗の差が大きすぎる。出目が平均化して期待値以上の派兵ポイントが得られれば良いが、出目が悪いと派兵ポイントが全く得られない。悪い目が続くと最悪「1Turnに動けるのは僅かに1個連隊」という悲しい結果にもなりかねない。
フランス国内軍ルール(いわゆる「レジスタンス」)は洗練されていない感が強い。手順が面倒なのと効果が大きすぎる。手順が面倒なのはプレイのスピード感を妨げているし、効果の大きさはドイツ軍をして機動的な突破を諦めさせるほどのものだ。兎に角「突破を試みればレジスタンスが表れて道路に障害物を置いていく」という感じでドイツ軍としてはイライラ感が溜まる一方だ。
他に難点を挙げれば、マーカーやチットを使う機会が多く、マーカーやチットを探すのに時間を取られてしまう。そういった意味ではVASSALによる通信対戦向きのゲームかもしれない。

とまあ色々と書いたが、システム的には見るべき点もあり、テーマ的にも面白い。中隊規模の作戦戦術級ゲームという視点も魅力的である。今回キャンペーンシナリオをプレイしたのが失敗だったが、その前にプレイしたショートシナリオは面白かった。そういった意味ではシナリオプレイが適切なゲームなのかもしれない。

Panther


写真00


モンテリマール(以下、本作)は、Compass Gamesが精力的に発売を進めているCSS(Company Scale Series)の1作品である。同じシリーズの作品としては、太平洋の島嶼戦を舞台とした"Saipan", "Tinian", "Guam"、カスピ海ノヴォロシスクでの上陸作戦を扱った"The Little Land"などがある。さらには2020年に発売された最新の"The Fulda Gap"は、1985年に想定されていた西ドイツにおける東西対決をテーマとしている。

CSSのシステムについては、 既に紹介している ので、簡単に記すと、1Turnは2時間(夜間は除く)、1Hexは500mに相当し、1ユニットは1個中隊である。基本システムはチットドリブンで、師団や連隊に相当する活動チットをカップに入れてチットに従って部隊が行動する。チットを購入するためには「発令ポイント」(Dispatch Point)と呼ばれるポイントを消費する。

今回プレイは、本作最大のシナリオである「シナリオ7.キャンペーン」をプレイすることにした。フルマップ5枚で再現される巨大な南フランスのマップは壮観そのもの。その中で最大9日間に渡る激戦を再現する。参加者は計4名。下名はドイツ軍を担当する。

写真01


1944/08/22

0700時

本来このシナリオは1944年8月21日の1100時から開始される。ところが8月21日は殆ど米軍しか登場せず、ドイツ軍に選択の余地はない。しかも手番ばかりかかってしまってしまう。

ドイツ軍でこのTurnに登場するのは第11装甲師団の第11装甲偵察大隊(黒地に緑色のバー)と第71高射砲連隊(薄青色地)である。そのうち第11装甲師団麾下の部隊を下名が指揮する。
第11装甲偵察大隊は、その名の通り偵察部隊で、偵察用の装甲車が1個中隊と機械化歩兵2個中隊がその主力である。まずは強行偵察ということで、米軍の主要防御陣地である300高地に肉薄する。それを見た米軍は周囲の砲兵部隊が激しい砲撃を第11装甲偵察大隊に浴びせかける。砲撃を受けた村落の建物が倒壊し、火災が発生する。

写真02


0900時

300高地に近づいた第11装甲偵察大隊の装甲車が対戦車砲の射撃を浴びた。対戦車砲の存在を見逃していた当方のミスである。直撃を受けた装甲車が撃破される。序盤に貴重な偵察用装甲車を失ったのは痛い。 このTurnに第110装甲擲弾兵連隊(黒地に黄色バー)が到着する。

写真03


1100時

イベントで「ドイツ軍の補給不足」が発生した。カップに入れた活性化チットが全てキャンセルされてしまう。一番悪いタイミングで一番悪いイベントが出てしまった。全般的に苦しい状況が続くドイツ軍だが、砲兵部隊が殊勲を上げた。300高地を守る米軍部隊に対する砲撃で、同地に布陣する米バトラー戦闘団の隊長を戦死せしめた。

写真04


1300時

相変わらず米軍の猛烈な砲撃がドイツ軍を苦しめる。このTurn米軍の砲撃で"0"の目が連発し、ドイツ軍の歩兵2ユニットが昇天した。ハーフトラックに乗車して砲撃による損害を最小にしていたにも関わらずだ。あまりに"0"が連発するので、イカサマダイス疑惑が持ち上がったのもこの頃だ。
そのような中、ドイツ軍第110装甲擲弾兵連隊が300高地の麓に集結。同高地への突撃の機会を伺う。

写真05


1500時

米軍はM8グレイハウンド装甲車をドイツ第110装甲擲弾兵連隊の集結点に進出せしめ、そこを観測点にして砲火を誘導する。激しい砲撃がドイツ軍擲弾兵に降り注ぎ、またもや突撃の足並みが乱れる。
ドイツ軍第11装甲師団本隊が戦場に姿を現した。その一部である第115装甲連隊(黒地に橙色バー)のパンター戦車中隊がドイツ軍を悩ませ続けている米M8グレイハウンド装甲車に肉薄。距離500から徹甲弾を撃つ。が、射弾は惜しくも目標を逸れた。
ドイツ軍第110装甲擲弾兵連隊が300高地に肉薄。同連隊の3個中隊が同地を守る米軍部隊に近接突撃を試みる。米軍も猛烈な反撃。特に砲兵部隊が砲火をばら撒くが、ドイツ歩兵の大半はこれに耐えた。そしてドイツ軍の砲兵部隊も支援砲撃を浴びせて高地を守る米軍を制圧する。
最終的にはドイツ軍の猛攻が功を奏して300高地の守備隊を撃破。同地を占領した。

写真06


時を同じくしてドイツ軍の対戦車砲中隊が先にパンターの射撃を逃れたM8グレイハウンド装甲車を捕捉。距離1000から直接射撃を浴びせかけてこれを撃破した。解放されたパンター戦車中隊はさらに敵中に突進し、距離2000でM5スチュアート軽戦車を捕捉。直接射撃でこれを撃破した。ここの至り、米軍のバトラー戦闘団は前線部隊の過半を失い、後方の砲兵陣地がドイツ軍の脅威を受けることになる。

写真07


突然の終了

この時点で時間の関係上一旦終了とした。ここまでの所要時間はセットアップを含めて約10時間である。全部で5Turn進んだので、1Turnあたりの所要時間は2時間弱だ。

ゲーム展開は、 前回紹介したシナリオ3 とほぼ同じであった。考えてみれば当然で、シナリオ3はキャンペーンシナリオの前半部分だけを切り取ったものである。序盤なので登場部隊も少なく、4人で回すにはやや持て余す感じだ。キャンペーンシナリオをプレイする場合、序盤はプレイヤー2人で十分だと思った。

そんなこんなで「もう少し派手なシナリオをやりたい」ということになり、本シナリオはいったんここで終了。別のシナリオをプレイすることになった。

つづく

↑このページのトップヘ