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Panzerは、米国GMT社が2012年に発売したシミュレーションゲームです。テーマはWW2における戦車戦で、戦車同士の戦いを戦闘車両1両、砲1門、歩兵分隊~班のスケールで再現します。1Hexは実際の100m、1Turnは最大15分程度を想定しています。
Panzerには、基本セット以外に4種類のエクスパンションキットが発売されています。東部戦線が2種類、西部戦線が2種類で、それぞれ前半と後半に分かれています。北アフリカ戦線についてはエクスパンションキットはまだ発表されていません。

今回、Panzer及びそのエクスパンションキットのシナリオをいくつかプレイしてみました。今回はその概要についてご報告させて頂きます。

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The Crossings Part 2: Ukraine, late 1943

名作「Ukraine43」等で描かれている1943年後半ウクライナにおける独ソの典型的な戦車戦を描いたシナリオです。ソ連軍の主力はT-34/76戦車10両と76.2mm対戦車砲2門。ドイツ軍は4号戦車G型11両と7.5cm対戦車砲2門です。数量的に差はないので一見するとドイツ軍有利に思える内容ですが、練度や指揮統制で独ソに差はありません。従って性能が同等であれば、独ソ両軍に大きな優劣はありません。
で、その性能ですが、T-34/76と4号G型を比較すると、攻撃力では搭載火砲の性能に勝る4号戦車が有利ですが、防御力では傾斜装甲を備えて避弾経始の良いT-34がやや有利。また機動力でもT-34が上回っているので、質的にはややソ連側が有利と言えます。

このシナリオは下名はドイツ軍を担当して2度プレイしました。2度とも戦力を局所的に集中し、対戦車砲の火力を有効活用したドイツ側の勝利に終わりました。

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Chance Encounter: Mortain, August 1944

次にプレイしたのは、エクスパンションキット#3に含まれているシナリオです。1944年8月の西部戦線。ノルマンディ戦末期の戦いを描いたものです。
このシナリオではドイツ軍が4号戦車H/J型計16両。それに対して米軍はシャーマン戦車17両(75mm型、76.2mm型混成)とM8自走榴弾砲1門です。兵力的にはやや米軍有利ですが、戦車性能では逆にドイツ軍がやや有利かもしれません。なお、このシナリオは視界の効かないボカージュ地形での遭遇戦で、敵撃破以外に数多くのユニットを盤の北端より突破させた側が勝利します。私は米軍を担当しました。
両軍とも交差点を射界に収めたままにらみ合いが続きます。ボカージュによって見通しが効かない地形では、不用意に動いて敵の待ち伏せ攻撃を受けるとまず助からない。お互い敵が先に動くのを期待して不気味な沈黙が続きます。
ドイツ軍が沈黙を破って北方へ一部兵力を突破を図る。米軍が配置変更しようといていた矢先であったため、突破を図ったドイツ軍戦車2両は、米軍戦車の鼻先をかすめて盤外へ離脱していく。これによってVP的に有利になったドイツ軍は、米軍の動きを見極めつつ逃げ切りに入ります。
このままでは敗北すると踏んだ米軍は、シナリオ終盤に戦車4両からなる1個小隊をドイツ軍戦車2両の鼻先に配置します。その狙いは、オーバーウォッチによって仮に2両がやられても、次のTurnに主導権を取れれば、反撃で2両のドイツ戦車を撃破できると踏んだためです。
しかし所詮「絵に描いた餅」。主導権確保に失敗した米軍は、ドイツ軍の防御射撃と先制射撃によって戦車2両を失い、1両が損傷してしまいます。反撃によってドイツ軍戦車1両に損傷を与えたため、一応残存兵力では互角に戻しましたが、この時点で米軍の勝利は困難と判断。この時点でゲーム終了としました。

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感想

今回は上級ルールを全て導入してプレイしました。今回プレイしたシナリオはいずれも小規模なものでした。理由としては、今回の対戦の目的の1つに対戦相手氏のルール習熟があったためです。そういった意味においては、Panzerの基本システムについては対戦相手氏にご理解頂けたようで、良かったです。

次回はもう少し規模の大きいシナリオを対戦しましょう、と約束して、今回の対戦は終わりにしました。

4号戦車