もりつちの徒然なるままに

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表紙


The Battle for Germany(以下、本作)は、2021年に米国Compass Gamesが発表したシミュレーションゲームだ。テーマは1985年8月を想定した西ドイツにおけるワルシャワ条約機構(WTO)軍とNATO軍の対決。1Turnは実際の1日、1Hexは12kmに相当し、1ユニットは連隊~師団規模になる。

今回、本作のシナリオ1をソロプレイしてみた。シナリオ1は西ベルリン攻防戦を扱ったシナリオで、A4版ぐらいの大きさのマップ上で両軍合わせて10個以下のユニットが登場する。Turn数は2Turnで、練習用のシナリオと言って良い。

Turn0


1Turn

ワルシャワ条約機構軍(以下、WP)は、5個機械化師団(4個ソ連、1個東ドイツ)と1個独立連隊を持っている。対するNATOは西ベルリンを守る米英仏の各守備隊と西ドイツ軍民兵部隊からなる。WPは周到な準備の元、フランス軍とアメリカ軍の守備隊を攻撃する。しかしNATO側も頑強に抵抗し、西ベルリン市街に留まり続けている。
WPは8VPを獲得、NATOは19VPを獲得した。

Turn1


2Turn

WP軍は弱体化したNATOベルリン守備隊を一掃すべく掃討戦を実施した。アメリカの守備隊はソ連第35機械化歩兵師団の攻撃を受けてベルリンから叩き出された。またイギリスの守備隊はソ連第32親衛戦車師団の攻撃を受けて壊滅した。フランスの守備隊も別のソ連軍による攻撃を受けて壊滅し、ソ連軍がベルリン全領域を占領した。
このTURN、WPは15VPを獲得、NATOは7VPを獲得した。合計はWPが23VP、NATOが26VPでNATOが勝利した。

Turn2


感想

戦略的にはベルリンを制覇したWP側の勝利だが、ゲーム的にはWP側の敗北に終わった。WP側の敗因は自軍の損害が多かったこと。装備品を5ポイント、兵員を1ポイント失ったのが響いた。装備品については、市街戦に戦車を投入すれば自動的にロスが発生するし、歩兵戦闘車を投入すれば相手の戦車に食われる。いわば如何ともし難い面がある。WP側に勝機があるとすれば、第1Turnに3ヘクス支配しておく。これなら±8VPの差がつくので、WP側が勝てる。



まあ練習用シナリオなので、あまり勝敗に拘る必要もないとは思うのだが・・・。


BMP-2

写真00

写真01


システム紹介

The Battle for Germany(以下、本作)は、2021年に米国Compass Gamesが発表したシミュレーションゲームだ。テーマは1985年8月を想定した西ドイツにおけるワルシャワ条約機構(WTO)軍とNATO軍の対決。1Turnは実際の1日、1Hexは12kmに相当し、1ユニットは連隊~師団規模になる。

本作は非常に難解かつユニークなシステムを採用している。ルールブックを読んだだけでは全体の概念が理解できないだろう。ルールの概略を理解し、数名で実際に駒を動かしてプレイしてみて、さらに疑問点を確認し、解消するというプロセスの中で少しずつルールを理解していくという地道な作業が不可欠になる。

基本的なシステムは、移動、戦闘の繰り返しとなる。全てのユニットは1Turnに1度移動、戦闘ができる、というのは他の一般的なウォーゲームと同じ。また1つのTurnが同じ手順からなる2つのプレイヤーターンからなる、というのも、多くの陸戦ゲームに見られる基本的なスタイルだ。
本作のシステムをしてユニークたらしめているのは、移動、戦闘の手順だ。多くのウォーゲームでは、移動可能な全てのユニットが移動した後、戦闘を1ヶ所ずつ解決していく。あるいはユニットやスタック単位で移動・戦闘を逐次解決していくようなシステムもある。本作はその両方の特徴を取り入れたものになっている。
手番プレイヤーは活性化する司令部を選択し、その麾下にあるユニットの中から規定数以下のユニットを活性化させる。活性化させられたユニットは、一斉に移動し、戦闘を解決する。それが終わればまた別のユニットたちを移動、戦闘させる。そのようにして希望する全ユニットの活性化が完了するまで繰り返す。その間相手プレイヤーも望めば未活性のユニットを活性化させて予備移動を実施できる。

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WG_11PG_32PG戦闘ルールもユニークだ。一言で言えば「お互いにダイスを振り合って大きい目を出した方が勝つ」というもの。ただしこのダイス目に様々な修正が加わる。彼我の戦闘比も地形効果もダイス目修正要素に過ぎない。 様々な支援は自軍のダイスを有利にするものだが、主要なものは、AFVによる支援、砲兵支援、航空支援等がある。特にユニークなのがAFVによる支援である。ユニットには、それぞれのユニットが装備するAFVが2種類記載されており、主装備(primary)と副装備(secondary )とされている。装備はAFVの車種名(レオパルド2とかBMPとか)が記載されている。戦闘の際には、攻撃側、防御側がそれぞれ支援に投入するAFVを宣言し、D10を振る。その出目がAFVの支援値以下なら支援が成功で戦闘時に有利なDRMが得られる。支援値の大小が装備の優劣を現しており、優秀な装備は支援値が高い。さらに支援値の高いAFVは、相手の支援値を減らすこともできたりする。
先にも述べたように、戦闘には様々な支援があり、その成否を判定する必要があるので、1度の戦闘で両軍が合わせて10回以上ダイスを振り合うことも珍しくない。そんなこんなで戦闘自体は非常に時間がかかる。戦闘ルール自体も大ボリュームで、陸戦ルールを示す7.7項だけでルールブック全体の20%弱を占めている。

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BE_Air_Group1_F16航空戦ルールについては、基本的にはGDW社の名作「The Third World War」(以下、TTWW)に近いシステムで、双方が任務を割り振った後(AWACS優勢を持つ側が後で任務を決定できる)、まず制空戦闘を解決。制空戦闘が終わった後で、条件を満たせば、他任務の航空機を戦闘機で射撃できる。制空戦闘は、空戦力の高い機体が順番に射撃していき、空戦力が同じならAWACS優勢を占めている側が先に射撃できる。空戦力はF-15の9が最強で、F-18とMiG-29が8、F-16が7・・・となっている。ちなみにTTWWと違う所は、制空戦闘で一方が全滅しない限り、他任務に投入している敵機を攻撃できない。従って航空戦で劣勢なWP側も、爆撃任務機を守るために制空戦闘機を上げておく必要がある。逆に制空戦に勝利して敵機を一掃すると、宣伝効果で1VPを獲得できる。
航空機による攻撃任務には、近接支援、飛行場攻撃、インフラ攻撃、SAM制圧がある。SAM制圧が任務化されている点、21世紀のゲームらしい所。SAMはかなり強力(何もしなければ攻撃機を40%で撃墜、撃退できる)なので、自軍航空兵力の損失を低減するためには、SAM制圧任務の実施が必要となる。

写真08


取り敢えずプレイしてみた

今回は練習ということで、シナリオ3「THE BATTLE FOR NORTHAG」(北部軍集団の戦い)をプレイした。北ドイツ平原を巡る戦いを扱ったシナリオで、開戦から最初の6日間を描く。今回は4人でプレイし、私はNATO軍の一部を担当した。

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今回は約8時間のプレイで最初の2Turn分をプレイした。WTO軍はハンブルグを攻めて西ドイツ軍を拘束しつつ、その南ではハノーヴァー前面で英ライン軍団(BAOR)がWTO軍と激闘を交えている。そんな所で今回はお開きとなった。

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写真04


時間がかかった原因は、細かいルールが多くその確認に時間がかかったこと。さらに1ユニット1ユニットで選択肢が多く、何をするかで迷った事等が時間のかかった要因である。ルールに慣れればもう少し時間を短縮できると思うが、1Turnあたり2~3時間はかかると思う。

結論

今回はホンの「触り」をプレイしただけなので、ゲーム展開についての論評は差し控えたい。システム的には細かいルールが多く手間がかかるが、決してプレイ不可能ではない。細かいルールも現代戦の雰囲気を感じさせるものであり、手間に見合う価値はあるように感じた。機会を見つけて再戦してみたい作品である。

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